3 ララの願い
「うーん、美味しいですわ!」
イマノリさんは出された料理に感激して食べまくっている。
本場のエルフ料理はさすがに美味しい。
「食べながらで、聞いていただけますか?」
向かいの椅子に座ったララさんが言った。
僕は食べるのをやめる。
「うーん、このアップルパイみたいなの美味しいですわ!」
イマノリさんはやめなかった。
「ラクマカでは本当に素晴らしいご活躍です。まさに天帝としての働きと思います」
僕は肩をすくめて返事とした。
「戦ってくれるよう頼むなんて、どういう事なんです」
「もはや、我々だけでは人間達には敵いません。協力が必要なのです」
「村の人達はそう思ってないようですが?」
そう言うと、ララさんはうつむいてしまった。
「父の後を継いだ私は、何としても子の里を守らなくてはなりません。役に立たないプライドだけの皆の言う事を聞いては、もう守れません」
「父……」
「はい、死んだ父を次いで、私が長になりました。皆はまだ私を認めてはいないようで……」
僕は村に女性がいない事を思い出した。
「村に男性がいないのはなぜですか」
「……人間達に全員殺されてしまいました」
「何ですって!?」
そんなはずが……。
「エルフにもスキル持ちやステータスに優れた方もいたでしょう、そんなやられるわけが」
「それが、あの大部隊にかかっては……どんなスキルもどんなにステータスが高くても……」
……そんなに大部隊なんだ。
「戦争に行った男は全員……殺されてしまい、もはや女だけで戦わなくてはならなくなりました」
「僕ならやれると」
「はい、リベルラ様ならば、きっと倒せるはずです。覇王の紋章ならば、不可能などありません」
「リベルラ様、手を貸すことなどありませんわ」
イマノリさんが言ってきた。
見ると出された料理を全て食べつくしている。
「ふぅ、お腹いっぱい」
と爪楊枝を使いながら、
「うむうむ、ララよ、そなたが大変なのは理解しましたわ。ですが、妾達は急ぐ身、自分達だけで解決してくださいな」
と言い放った。
「……私の千里眼は、全てを見通します。……イマノリ様、あなたが魔族であることも、私は知っております」
イマノリさんがララさんに飛び掛かった。
僕が二人の間に入る。
「どうして止めるのですか」
イマノリさんが僕に尋ねた。
「駄目だよ、殺したら」
「秘密を知っております、こういうのは消しておきませんと」
「……」
どうしよ、止める理由が見当たらない……。
……別に殺されても良いかな……。
僕はララさんをチラと見る。
怯えた目でこちらを見ていた。
そこに居たのは、か弱い女の子だった。
父親の後を継いで、里の長の重圧に御渋られそうになっている、一人の女の子だった。
「なんとかしてやろうよ、この子らも、イマノリさんと同じく人間に滅ぼされかけているんじゃないか……」
「……」
イマノリさんはララさんを見つめる。
どうなるかと心配していると、しばらくして、
「まっエルフですし、黙っているのなら許してあげますわ」
「ありがとう、イマノリさん」
ララはほっとした顔になった。
「もちろん、言いふらすことなどいたしません。魔族と、魔族の復興のために行動していらっしゃるリベルラ様だからこそ、戦ってくれると、ただそう思っただけでございます」
「なるほど」
「そして……わ、私を、あの、私めを」
なぜかララさんが頬をピンクに染めて、ちらちらと僕を見る。
「妻に、なさってくださいませ!」
「何!?」
「何ですって!?」
「あの、リベルラ様の子種を、ぜひ!あっいぁや!ぜひだなんてっ私、はしたない!」
コ、子種!?それって、つまり!?
「あわわわわわわ」
「ど、どうしましたリベルラ様?あわわって」
「あわわわわわわ」
「ララよ!リベルラ様は妾のものですわ!」
「あわわわわわわ」
「存じております、第二夫人という事で、おねぇ様」
「あわわわわわわ」
「ダーメ!妾、一人のものなの!」
「いい加減にしろ!」
その時、扉が開かれ、数名のおばさんエルフが押し入って来た。
手には弓や槍を持っている。
「ララ様、長とありながら、こんな男などに篭絡されおって!もういい、貴様など長とは認めん!」
「あわわわわわわ」
「ああっリベルラ様、しっかりしてくださいませ、あわわ言ってる場合じゃありません」
イマノリさんが僕の体を揺さぶりながら言ってきた。
「ええい、3人を牢へ閉じ込めよ!今晩の夜襲の邪魔だ!」
パンチパーマのおばさんエルフは剣を振りながら。そう命令する。
「了解しました、隊長!」
「なんて愚かな!私の千里眼を皆さん、信じてください、リベルラ様こそ私達をを救う存在なのです!」
ララさんの叫びもむなしく、彼女はすぐに捕らえられてしまう。
「さて、どうしたものかな?イマノリさん」
「きゃああ!びっくりした、急に元に戻らないでいただきたいですわ!」
「……」
僕は悩ましく首をひねった。
「リベルラ様、やっぱり殺して去りますか、こんな村」
「まあまあ、大人しく捕まろう、で、そのコロレって奴を倒せば皆もわかってくれるさ」
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