7 新たな村へ
7 新たな村へ
「ラクマカの街の名誉市民として、私としては一等地にリベルラ様の邸宅を建てるつもりでございます。なにとぞ受け取って貰えれば……」
「ギルド長まで、困りますよ……」
僕は申し出を断る。
ビオリンゴンテの戦いから2日が経過した。
平和になったラクマカの街で、冒険者達はこの2日間勝利の美酒に酔いしれ、今日も酔いしれるつもりらしい。
「いえ、ギルド長、その邸宅はリベルラ様の別荘として、ありがたく使わしてもらいますわ」
イマノリさんが割り込んできて言った。
「ではリベルラ様に相応しいものにいたしますゆえ、ご期待くださいませ」
「心遣い、感謝いたしますわ、ギルド長殿」
「はい、ありがとうございますイマノリ様」
イマノリさんとギルド長で、なんか勝手に決まっている。
だいたい僕は、戦いの後にすぐに出発するつもりだった。
しかし皆は許してはくれない。
「リベルラ様は飲んでいかないのですか?どうして?」
「肉も大量にあるですぜ?ささっどうぞどうぞ!」
遠慮しておきます。
「弟子にしてください!」
「結婚してください!」
しません。
と、こんな感じだ……。
「ちょっとイマノリさん、家なんて貰っちゃ悪いよ……」
僕はイマノリさんを非難する。
「……リベルラ様……ちょっとお話があります」
イマノリさんがギルド長に一礼して、一人スタスタとギルド長室から出て行ってしまった。
……なんだろ?すごい怒ってたような……。
僕も一礼して部屋を後にする。
イマノリさんの後ろ姿が階段を下り、僕らに用意してもらった宿屋のスイートルームに入って行った。
僕も後から付いて部屋に入る。
「……リベルラ様……何のつもりでしょうか、今のような態度は」
ドアを閉めた途端、こっちも見ずにイマノリさんが聞いてきた。
「何って、何の事?」
僕はイマノリさんの背中に向け、聞き返す。
「せっかく邸宅をくれると言うのに断ったりするのは何なのかと、申しているのです」
イマノリさんがクルッと回転して僕と向き合った。
「どうして人間共に遠慮など!ましてや、優しくなどするのですか!」
ビックリした……何だ?なにをそんなに……。
「どうして……何を怒ってるのさ」
「リベルラ様が人間共の味方をしているようで、妾は心配で……ああっリベルラ様っ」
急にイマノリさんが抱き着いてきた。
強く抱きしめられ、おっぱいに顔がうずまる。
「うううぅぅぅ、どうしたの?」
「妾達の、味方ですよね、裏切ったりしませんよね、一緒に魔族の世界を作っていただけるんですよね?」
イマノリさんが焦燥感に駆られているような声音で、早口に言ってきた。
「……うん、味方だよ、別に今まで僕をコケにしてきた人間の仲間なんかしないさ」
「ああっそうでございますよねっ」
イマノリさんがもっと強く抱きしめてくる。
「うぅぅぅううう、うっ、離し、て、息が、でき、な……」
よっぽど嬉しかったのか、安心したのか、不安を抱きしめて解消したかったのか、イマノリさんは離そうとしなかった。
僕は必死に引きはがそうとするも、イマノリさんはビクともしない。
なぜだ!
覇王の紋章で強化されているはずなのに!
この女、化け物か!
「ううぅぅぅ、おぉぉぉおおお、ああああああぁぁぁぁ、んんんんんん……」
僕は窒息してしまった。
◇
翌朝、朝日と共に目覚めた僕は、イマノリさんに謝り倒される。
とりあえず回復のためにオッパイを吸って全快した。
逆に良く寝れたのもあって、前より好調である。
やぁ、おっぱいってすごいねぇ!
「何はともあれ、出発しよう……魔族の隠れ家だっけ」
「はい、リベルラ様、一刻も早く行って確認したいですわ」
予定では昨日出発する予定だったのが今日にズレた。
イマノリさんと同じく、魔族達が潜んで暮らしている村があるらしい。
そこが今、ピンチらしいのだ。
荷物をまとめ部屋を出て、階段を降りると、ギルド長と冒険者達がギルドのエントランスに集合している。
「リベルラ様、本当に行ってしまうってのか?」
「そうだぜ、行かないでくれよ!」
「リベルラの旦那、ずっといてくださせえ!」
「これ、やめぬか!」
騒ぐ冒険者達をギルド長が一喝して黙らせた。
「リベルラ様はこれから全世界で活躍なさる者なのだ、ここに居るわけにはいくまい」
そう言うと、僕に向き直り、
「リベルラ様、私、冒険者ギルドの本部に今回の功績については広く喧伝し、リベルラ様の罪もマンヒの策略であった事を伝えておきました所、昨日、返答が帰ってまいりました」
「返事はなんと?」
僕は興味津々なってしまう。
「当然の話ですが、罪は晴れ、マンヒは牢に捕らえられ懲役五十年だそうでございます」
「ほぅ、そうですか!」
ははは、こりゃ良い!
こりゃ良い事を聞いた!
「何でもマンヒの奴は、リベルラ様はなぜ、恵まれて生まれてきたんだ?運だろ?たまたま、生まれ落ちた時から持っていただけの、運だけ野郎だろうが!と、そんな僻みばかりを叫んでいるようでございます、何とも見苦しい……」
「ははは、いい気味だ」
「全くです」
「では、お世話になりましたギルド長、僕達は出発します」
「失礼いたしますわ、ギルド長殿」
僕とイマノリさんが軽く会釈してエントランスを横切る。
「またいつでも俺たちの街に寄ってくだせぇ」
「そして今度こそ俺の酒で酔ってくだせぇ」
冒険者達が、深々とお辞儀をしてきた。
僕達はギルドを後にしても、見送る冒険者のお辞儀は僕達が見えなくなるまで続いていた。
第一部完結です。
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しばらくしたら、続きを上げます
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