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5 作戦失敗ー戦いに赴く戦士達と、盗賊の極意


5 作戦失敗ー戦いに赴く戦士達と、盗賊の極意




 乱暴な音を立てて、冒険者ギルドの扉が開かれた。


 血みどろの、装備している鎧が砕かれいる冒険者が、倒れこむようにして入って来たとおもうと、大きく息を吸い込み、


「第一作戦が失敗!ビオリンゴンテが動いた!こっちに向かってだ!もう抑えられない!早く皆も来てくれ!」


 と叫んで、その場に倒れ込んでしまった。


「そんな……騎士団はまだまだ来ないぞ……」


 そう呟いて、ギルド長の顔が青ざめる。


 冒険者達も全員が青ざめてしまっていた。


 僕も青ざめていたろう。


 ビオリンゴンテが動いた……しかもこっちに向かって……つまりこの街は滅ぶという事だ……一介の冒険者じゃ止める事なんて出来やないんだから……。


 皆が茫然と立ちつくして、ギルドの時が止まる。


 そんな時、堂々とした声で、


「ギルド長、俺が戦いに参加しよう!」


 とマンヒが言い放った。


「ああっマンヒ様っ!助力していただけるのですか!?ありがとうございます!」


 ギルド長がマンヒに頭を直角に下げる。


「おい、マンヒパーティが戦ってくれるらしいぞ!」


「それなら騎士団なんて待たなくて済むんじゃないか!?」


「マンヒ様、頼みます!」


「マンヒ様、この街を助けてください!」


 周りの冒険者達もマンヒのセリフに希望を取り戻したみたいだ。


「もちろんよ!天帝陛下から期待されている俺が、皆の危機補見過ごすなんてできるわけないだろう!」


 任せろと胸を叩きながら言う。


「マンヒ様なら、何とかなるかもしれない!」


「よし皆、マンヒ様に続け!」


「マンヒ様と共に!」


「そうだ、皆!」


 冒険者がマンヒの言い出しに戦意が湧いてきている。


 そして皆がが僕らを見てきた。


「さっリベルラ君とか言ったな、早く安全なところへ行きなさい」


「若いの、ここは俺たちに任せておけ」


「大丈夫だ、逃げても誰も攻めやしないし、笑いもしない、そのステータスではな」


「俺たちは君らの様な人を守るために戦うんだからな」


 と、打って変わって優しく声をかけてくる。


「やから、わしらが戦う言うてんねん!わしらは守ってもらわんでも、ええねん!」


 そう方言丸出しで、地団駄踏んで怒っているイマノリを回りの冒険者達が憐憫の目で見ていた。


「ギルド長、この無能にパーティ登録させてやれ。俺が認めてやる」


 マンヒがギルド長に言った。


「……はい、わたくしもその方が良いと思われます……」


 ギルド長は僕をじっと見つめて、


「特別にギルド追放は取り消す。覇王の紋章、それが事実かどうか見せてくれないか……」


 神妙な趣でそうリベルラに言った。


「ムカつく言い方やが、ま、ええわ。さっリベルラ様、はよパーティ登録いたしまひょ」


「イマノリ、いい加減方言やめよって」


 僕達はが神水晶の元へと走っていく。


   ◇


「どうおもうレイ」


 セミアが小声で聞く。


「うん……覇王の紋章……」


 レイが考え込んだ。


「では第二作戦を確認する!」


 ギルド長が冒険者たちに向けて、


「ビオリンゴンテが動きだした今、諸君らには騎士団なしで、ビオリンゴンテと戦う事となった。ただし、討伐ではない、街にこさせないようにするのが精一杯だ。

 ビオリンゴンテに攻撃を加え、こちらに進むと痛い目に合う、そう思わせ、進路を変える!

 諸君、マンヒ様をリーダーとして、共にすぐに今も戦っている者達と合流し、このラクマカの街を守ってくれ!」


「了解いたしました!」


 冒険者達が、諸声になって叫んだ。


 そして駆け足でビオリンゴンテの元へと向かっていく。


「待って!マンヒ!」


 他の冒険者と一緒に駆けて行こうとしたマンヒをレイが止めた。


「なんだよ?」


 マンヒは水を差されて不機嫌に返事をする。


「一度ギルド長にポファルで診てもらわない。ほら、さっきのダンジョンでの事があるから、一応、機能しなかったのはなぜか、何かわかるかもしれないし……」


「……」


「そうだマンヒ、見てもらった方が良い」


「……、はぁぁ」


 マンヒは不機嫌に息を吐くと、


「それもそうだな……ギルド長、たのむ。ポファルで俺の盗賊の極意スキルを見てくれ」


「なぜでございましょう?」


 ギルド長は訝しそうに尋ねた。


「知らねぇよ、なぜか俺の盗賊の極意スキルが機能しなかったりしたんだよっ」


「そんなっ、スキルが機能しないなんて事は、呪いにでもかかりませんと……でもそれでは見た目からすぐわかりますし……」


「良いから!早く見てくれ……時間もない、何かわかるかもしれねぇからな」


 ギルド長が考え始めるのを見て、マンヒはめんどくさそうに言った。


「……は、はい、では……」


 ギルド長が魔力を練り始める。


「ポファル。この者のステータスを見せよ、むむむ」


 マンヒの頭上にステータス表が現れた。


LV:34

HP:789

MP:872

攻撃力:845

守備力:884

魔力:853

素早さ:828

所持スキル:盗賊の極意


「さすがでございますな、最高ランク冒険者となれる境界線と言われる1000に、その年で全ての項目が届きそうでございます」


 ギルド長が感嘆の声を漏らす。


「ふはははは、まぁ当然よ」


「ギルド長、所持スキルの部分を詳しく見てほしいの」


 レイが小さい体を乗り出して言った。


「盗賊の極意の詳しい効果をか?」


 ギルド長がステータス表を操作する。


 盗賊の極意の効果説明が表示され、全員の目がその効果説明に釘付けになった。


「なんとっこれはっ珍しいですな。普通のと違うっさすがでございますっ、レアスキルですな」


 ギルド長が感嘆の声を漏らす。


「なんだこれ、俺の思ってるのと違う、が……」


 マンヒは引っ掛かりを覚え考え込んだ。


「……これは、つまり……」


 盗賊の極意の詳しい効果を見たレイも考え込み、そして、ある結論に至る。


「私、からくりが分かったわ」


 とセミアに耳打ちした。


「ちょっと待て、という事は……ありえねぇ、あいつが、足りなかったという事は……俺はあいつ……の……」


 マンヒも気づいた。


「さすがマンヒ様、このすさまじいスキルならば、ビオリンゴンテも討伐できるかもしれませんぞっ。早く合流いたしましょう、さっこの神託の腕輪を装備してくださいませ、駆り出された冒険者すべてがマンヒ様をリーダーとするパーティでございます」


 ギルド長はマンヒこそ、ビオリンゴンテ戦の切り札と確信した。





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