3 冒険者ギルド、追放
3 冒険者ギルド、追放
受付の人が上に駆け上って行って、しばらく待ってたら、白ひげを蓄えた偉そうな服を厚着した爺さんが下りて来た。
ギルド長のお出ましとあって、何事かとギルドにいた何百人もの冒険者達が集まってくる。
爺さんはその手に何やら紙を持っていた。
僕の前まで来ると、おもむろにその紙と僕の顔を交互に見だす。
「……人相書きとも一致する。リベルラ・ロッサ、間違いなく本人だな……」
「……そうですが、何か……」
爺さんは威圧的にこちらを見てくる。
「わしはここのギルド長だ。よく冒険者ギルドへ顔を出せたものだな!!」
「……僕が何か?」
「元マンヒパーティーの一員であるお前の罪業はここまで届いている。栄誉あるマンヒ様の名を怪我した悪党め。法律上では他国の罪で貴様をとらえることができないが、私の権限で、我が国の冒険者ギルドから貴様を追放処分とする!」
ギルド長が言い放つと、
「まじかよ!ギルドから追放って、何やったんだあいつ!」
「マンヒパーティーってあの天帝陛下から称号をもらった有名なところだよな」
「俺知ってるぞ、無能で有名なやつだ。マンヒさんがいつも言ってたぜ!」
「俺も知ってる、マンヒさんとは俺、仲良いんだぜ」
周りの冒険者達が一斉に騒ぎだした。
「即刻、冒険者ギルドから出ていくように」
ギルド長が威圧を込めて言ってくる。
「……」
……僕は、ここでも追放とは……。
くそっ、これで神からの報酬も、つまりレベルアップもない、ステータス効果もない、依頼も受けられない、国間を自由に行き来することもできない、武器類の売買も……くそっ、なんでこうもっ!
僕は手を握り締めた。
「……はい、わかりました」
我慢して、そう返答する。
そして、ゆっくり出口に足を向けた。
しかし、
「ビオリンゴンテが現れたのでしょう、宜しいのですか、リベルラ様がいなくなれば、ビオリンゴンテはこの街を飲み込むかもしれませんよ」
イマノリさんがそうギルド長に言ったので、僕の足が驚きのあまり止まる。
「はははっ、何言ってんだあの女!」
「こりゃ傑作だ!」
「おい!あんなのが、この危機を救ってくれるんだとよ!」
「パーティを追放された奴が何を言ってんだか!」
野次馬たちがさらに騒ぎ出した。
それに腹を立ったんだろう、イマノリの顔が怒りにゆがんだ。
「もう良い、イマノリ行こう」
そんなイマノリの手を僕は引っ張り、諫める。
「こんなの相手にしてどうすんだよ……無視してたら良いんだから……」
が、イマノリさんは周りを睨みつけ動こうとしない。
「そうだそうだ!ははは、無能は出ていけ!」
「二度と顔を見せるな、リベルラ・ロッサ!マンヒさんの幼馴染というだけで入っていた役立たずめ!」
「逆にやらしてみろよ。良い餌になって時間稼げるかもよ、ははは」
周りがおちょくってくる。
「どうして言い返さないんですリベルラ様!」
イマノリさんが、いきなり僕に向かって怒鳴ってきた。
僕はビックリしながら、
「どうしてって、どうでもいいじゃないか。無視しよ、ね」
なだめるようにそう言うと、イマノリの顔が見る見るうちに怒りの形相になって、
「んな事やから、おどれはあかんのとちゃうんかい!」
と怒鳴った。
「えっ、なにっ?急にどうしたの?」
「どうもこうもあるか!」
「あのイマノリっ、方言がでてるよっ、バレちゃうよっ」
イマノリの怒鳴り声に、
「おい、あの女、妙に魔界弁が達者だな、まさか本物?」
「ははは、そんな訳があるかよ」
「でも、イントネーションが完璧だ」
「あいつ本当に魔族なんじゃないのか?」
周りがざわつき始めた。
「じゃかあしい!野次馬が黙っとらんかい!」
怒号に冒険者達が静まり返る。
「んな事よりリベルラはん!わしは、自分悔しないんか聞いとんねん、はよ答えい!
「……うん……」
「はよ!答えい!」
「……うん……、……、……悔しいよ……」
「ほならぁ!」
イマノリさんが顔をこれでもかと僕の顔に近づけて、
「わしと!いっしょに!ビオリンゴンテ!ぶち殺すで!」
「……、いえ、……そうは言っても……できるんでしょうか……ホントにイマノリさんの言ってることが……僕には本当だとはとてもじゃないけれど……」
「おどれ、まだ信じてなかったんか!ええ加減にせぇよ!」
「……」
「良いか、ええこと教えたるわ、覇王の紋章の力を爆発させるには気合を込めればええねん!わかるか?気合や!気合を込めて戦かっときゃええねん!覇王竜!を出せや!」
イマノリさんが肩を掴んでぶんぶん振り回してそう言ってくる。
「覇王竜?」
「そうや、自分が召喚できる聖獣や。おどれが気合入れればすぐ現れるわ!」
「おいなんだ、あの男、なんか凄い能力があるらしいぞ」
「そんな風には見えないが……」
「あるわけないだろ、一体なんの能力だよ、見せてみろよ、追放者!」
「そうだそうだ!追放者!」
そんな僕らを見て、周りがからかってくる。
そんな中から、
「おい、ロッサじゃねぇか!」
と聞き覚えの声がして振り向くと、
「マンヒ……」
マンヒがレイとセミアを後ろに従えて、集まった冒険者達を押しのけて近づいてくる。
「何の騒ぎかと思ったら……おっギルド長久しぶり、何なんだ?こいつがまたなんかやったのか?」
「は、はいマンヒ様。この者をマンヒ様の名誉を傷つけた罪で、我らラクマカ冒険者ギルドでは追放処分とした次第でございますが、この者、何やらごねてきまして……」
ギルド長がさげすんだ目で僕を見てきた。
「はははっ、この無能らしい。よし、俺が痛めつけてやろう」
マンヒが剣を抜く。
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