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1 パーティ追放


1 パーティ追放




 取調室は狭く、汚い。


 僕の名前はリベルラ・ロッサ、18歳の冒険者だ。


 どいつもこいつも、僕を非難の目で見てくる。


 ついさっき、役立たずとパーティーから追放を宣言された。


 頑張ってきたが……駄目だった……。


 でも、


「もういらないから、追放しまーす、出てってー」


 とパーティメンバーが、高らかに、からかうように言ってきたのには、さすがに頭にきてしまった。

 

 だが、べつに何も言わない。


 もう慣れてしまった、逆にこんなパーティから解放されてせいせいした気持ちの方がデカい。


 もう僕は、相手にもしたくない。


 何も言い返さずパーティーメンバーから背を向け、部屋から出ていこうとする。


「なっ!?」


 すると背後で、パーティリーダーであるマンヒの驚愕する声が聞こえた。


「おい!待てロッサ!」


 名前を呼んだので足を止めて振り返ると、マンヒは怨嗟とも言うべき視線を向けていた。


「ロッサ!馬鹿なのかてめえ!?追放だぞ!お前はこの栄えある俺のパーティーを追放されたんだぞ!この俺、天帝特別指定冒険者である俺の!マンヒパーティを!ちょっとは悔しがれよ!」


 マンヒは僕と同い年で、幼馴染の男だ。


 マンヒは難攻不落と名高いダンジョンに潜り探索を進めただけでなく、レアアイテムをたくさん手に入れ献上していた事で、天帝陛下から直々に表彰され、期待されている。


 それは全部、マンヒの固有スキル、の盗賊の極意の賜物だ。


 この特級クラスのスキルは、高確率でレアアイテムを見つけられるし、盗めるだけでなく、トラップ回避や全状態異常耐性付与、時間経過による体力・魔力回復までできる。


「そうよ、そうよ!マンヒ様に謝りなさいよ!単におこぼれに預かった棚ぼた荷物運び男!」


 叫んだのは、女拳闘士のノーノ。


 隣国のラクマカの町出身である彼女の褐色肌は、いつも動きやすい薄着で露出され、巨乳を揺らしマンヒにくっついている。


 玉の輿を狙っているらしい……まぁ、それは他の奴もそうなんだが……。


「確かにお前のステータスの低さは、パーティーの連携を著しく損なってきた。それなのになんだその態度は」


 続けて言ってきたのはシールダーのセミア。


「ま、どうでもいいじゃない、こんなステータスの低いだけでなく、何のスキルも持ってないゴミ」


 続いて魔法使いのレイ。


「よし無礼だが出て行くのを許してやる、だがその前にロッサ、装備を置いていけ」


 マンヒが高圧的に言った。


「え?」


 その言葉に、ついつい呆然としてしまう。


「その装備は、俺たちパーティのものだ。お前のものじゃない」


「……」


 マンヒは剣の柄に手を置いて臨戦態勢を取った。


 ……承諾しがたい、が、僕がかなうわけがない……。


 くっついていたノーノも僕に拳法の構えを取る。


 ほぼ同時に、セニアが盾を構え、レイが杖の先端を向けてきた。


 皆が僕の敵だった。


「……わかったよ」


 僕の装備なんて、どうせ皆のあまりもの。


 こいつらにとっては別にあってもなくても良いものなのに。


 ……僕は装備を外していく。


 まずは武器の「ステュクスの剣」を置き、


 防具の、僕の鼻を横に突き通していた「とがったホネ」を抜き、


 毎日着ていた愛用の「カメのこうら」を脱ぎすて、パンツ一丁になると、


 背中の「登り竜のタトゥー」を消し、


最後に「ステテコパンツ」を脱いで畳んだ。


 パンツ一丁に亀の甲羅を背負った、どこかの民族出身でその誇りを忘れてない男として、界隈で有名だった僕の姿は今や、みっともない全裸姿となった。


「あっはっはっはっは」


 元パーティーの皆が腹を抱えて笑っている。


 ……やれやれ。


 僕が一人になるのを怖がったばかりに、こんなことになったんだ……。


 一人で生きていこう。


 仲間との縁が完全に切れた。


 いや……元々、仲間でもなんでもなかったのかもしれない。


 今も昔も、僕は一人なんだ……。


 僕は部屋を後にする。


 外は夜風が気持ち良い、裸だから全身で心地よい風を感じる。


 そうやって風を感じていたら、警備兵に肩を叩かれた。


 こうして僕は今、露出魔として取り調べを受けているわけだ。




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