表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛ゲームの世界を願ったらなぜかヒロインになった俺は、今日も攻略を回避するのに忙しい  作者: うちうち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/37

黒い石(1)

 俺は舞台上で行われているやたらに血しぶきの上がる劇を眺めながら、この後の予定について頭の中で再度おさらいする。1日目の午前は北辻さんと、午後は高宮城先輩と回る予定。ここで消化するべき必須イベントは特にない。楽しく出店や展示を回ればそれでいい。



 というか2日目もそうだ。最後に校庭で行われるフォークダンス以外は、基本的にはどこで過ごしても問題ない。……でもなんかイベント多すぎて俺も把握できてないんだよな……。関係ない事件とかもやたら起こるし。急病人が救急車で搬送されたりとか、幽霊騒ぎとか。展示品が盗まれたってのも聞いた気がする。んなもん盗んでどうするんだ。ここはいつからスラム街に?



 俺がそんな風に我が校の風紀の乱れに心を痛めていると、いつの間にやら劇は終わっていたらしい。座席のあちこちからパラパラ起こる拍手で、俺はそれを理解する。立ち上がり始める周りの客とともに、俺たちは体育館を後にした。




 北辻さんは意外にもさっきの血みどろの劇はお気に入りだったらしく、体育館を出てもずっとニコニコ笑顔だった。ちょっぴりそれも恐ろしい。俺の中での「浮気したら突然刺してきそうなヒロインランキング」1位は柚乃ちゃんだったのだが、これは再考の余地があるかもしれん……。


 まあでも、北辻さんあんま物事深く考えないしな。脳筋とも言う。テストで1桁の点数を取ったって北辻さんが言ったことをきっかけに一緒に勉強するイベントがあるんだけど、よく考えなくても1桁ってヤバいよな……。最低だと1だし最高でも9じゃん。……いや、この場合の最低って0なん? でも0点なら1桁とは言わないか? まあ、0点でも9点でももう一緒な気はするが……。



「次、どこに行きます?」


「そうねえ……そういえば後輩に、展示やってるから来いって言われたんだったわ。もしどこでも良ければちょっと寄って行ってもいい?」







 そしてやってきたのは北館の3階の教室だった。あの脳筋北辻さんが寄りたいという展示ってどんなんだろ? 「プロテインはご飯かおかずか」みたいなの? 個人的には俺はプロテインは間食だと思うね。


 俺はそこに張り出されている看板を読み上げてみる。えーっと。『この街の昔と今』……?


「あれ、なんだか真面目なテーマですね……? あの……その方は、本当に北辻さんの後輩なんですか……?」


「それはどーいう意味よ!?」


「ごめんなさい、つい。とりあえず入ってみましょう」



 教室の中は机と椅子が撤去されており、真ん中には粘土で作ったらしき巨大なジオラマのような物がでーんと展開されていた。しかし見事に田んぼと畑ばっかり。なにこれ、昔の田舎の想像図とか? 誰得なんだ。えーっとどれどれ……『100年前の私達の街』だって。


「100年前はこんな感じだったのね」


「そういや俺の爺ちゃんも米作ってたって言ってました。今はさすがに止めてるらしいですけど」


 興味深そうにジオラマをまじまじと覗き込む北辻さんと崇高。そうか、当たり前だけど俺以外この街育ちだもんな。俺も聖地巡礼という意味ならこの街に愛着はあるのだが、さすがに歴史にまでは興味は持てん。よって、ジオラマには早めに見切りをつけ、教室の端っこのもう1つの展示の方に俺はふらふらと歩み寄った。



 そっちのゾーンには板が何枚か並べてあり、そこに模造紙が何枚か貼ってある。ぱっと見たところ、どうもこちらには街のこぼれ話というか、豆知識がつらつらと書いてあるようだ。まずは1枚目……ほうほう……。結構最近、といっても300年ほど前までは、このあたりは海だったんだって。その後、急な土地の隆起により、完全に陸地になったんだとか。ほーん。だからこの街では、今もあちこちで貝殻が見つかるんだそうな。まあこっちも「へーそうなんだ」以上の感想は特にないな……。




 続いて何気なく隣に歩きながら、その横に張ってある記事に目を移した。えーっと。『願いを叶えてくれる海の神様の石』……?



 そこでふと、何かが気になって足を止める。『願いが叶う』。……そのワードに、どこか聞き覚えがあったからだ。俺はまじまじと記事をもう1度眺めた。



 「……昔々、ここがまだ海辺だったころ……。人々は、魚や貝を獲って生活していた。しかし何年かに1度、不思議と何も獲れなくなる時期が決まって訪れたそうだ。人々は、それを怒った神の仕業と感じ、仲間内で1人、若い女性を選び、怒りを鎮めるために決まって生贄を捧げた。すると、驚くほどすぐに豊漁が戻ってきたという――。


 やがて、近代になり、生贄の代わりに巫女が神に祈る形で豊漁を祈願するようになった。その際、神との交流に必ず用いられていたのが、黒い石である(図1)。この石は、神との交流、ひいては願いを叶えてもらうためのアイテムとしてこの地に古くから伝えられてきたのだろう。それが転じて、今もこの地には黒い石には『願いを叶えてくれる』という信仰が根付いている……」





 ……なんか俺が知っているのと違うな。確かにこの地には「願いが叶う」という伝承がある。少なくとも、ゲームではそういう設定だった。ただ、それは単に不思議パワーというか、由来のない、理由のない奇跡みたいなものだったはずだ。しかし、俺は同時に思い出す。



 ……ゲームの中で、確かにヒロイン達は個別ルートにおいて『何か』を見つける。それが何かは明示されないのだが、確かにそれを見つけた後、物語は決まって非現実的な展開へ動き出した、はずだ。あれは、ひょっとして、この石を見つけていた……?




 俺は、続いて記事の下の方にあるイラストに目を移した。どうやらこれがその、伝承を基に書き起こした黒い石とやららしいが……。



「あれ? ……これって……?」


 描かれていたのは、尖った黒い水晶みたいな石だった。ほら、日本史の教科書の古代のページでよく見るようなあれ。なんだっけ……そうそう、黒曜石みたいな。でも俺が見覚えのあるのは教科書でではなかった。あれと同じような石を……この世界に来る直前に、見た。確か、鞄に入ってて。その翌日に、俺はこの世界にいた。これは、偶然か?それとも……。




 ――それとも? 偶然じゃなければ、誰かが意図した結果、だった?









 その時、俺の肩に不意に……がっしりと、冷たい誰かの手が乗せられる。「捕まえた」と言わんばかりに。ぞわりと背筋に冷たいものが走り、俺は思わず少し飛び上がった。


「……ひっ!」


「あ、驚かせたか? ごめん汐音。さっきから呼んでたんだけど返事がなかったから。顔色悪いぞ。……体調悪いのか?」


「ううん。大丈夫。だから向こうに行ってね。あとお願いだから肩にいきなり手を置くのやめて」


 裏拳をお見舞いしたい気持ちを笑顔で抑え、俺はまとわりつく主人公をしっしっと追い払った。それでも主人公はうろうろと遠巻きに俺の周りを所在なく歩き回る。ええい散れい、お前はこの教室に住み着く地縛霊か。今はちょっとお前とじゃれてる暇はないんだ。




 俺は再度記事の方に向き直る。しかし記事は残念ながらそこで終わっていた。……いや、もうちょい、もうちょいなんかない……? ほら、簡単な手がかりだけでもいいからさ。……駄目? しかし俺の願いに反し、別に続きが炙り出し等で記載されている様子もなさそうだった。



 俺は諦めきれずに記事の周りをうろうろと何度も歩き回る。そしてカルガモのように俺の後ろにくっついて同じように蛇行する崇高。ドラクエのように隊列を組み、俺たちはしばしそのあたりをさまよった。しかし何度読んでも記事からそれ以上の手がかりは得られなかった。ええい、ならば周りだ。周りには何かないか。



 俺が見回してみると、その記事の隣には大きなガラスケースが置かれており、貝殻の化石や、石っぽい物がいくつか展示されていた。その前まで歩き、そっちも中を覗き込んでみる。すると、その中の1つ、黒曜石みたいな石が目に入り、俺はピシッと固まった。目も半分くらい飛び出てたんじゃないかと思う。



 見間違いかと思って何度も見直したり、目を擦ったりしてみた。しかし石は消えたりせず、確かにそこにある。……いやいや!? えーっ!? あるじゃん! あれだよあれ! なんか普通に置いてある。……えぇ……? 伝承だっていうからには現存してないもんじゃないの?



 しかし、「黒い石?」という札がつけられて、他の色が黒いだけの石や水晶っぽい塊とかと一緒に括られているところを見ると、展示者にもよくわかっていないのではないだろうか。わかってない? 何を? つまり、これが。本物かもしれないってことをだ。




 ……でも……もし、本物だったら? 願いを叶えてくれるアイテムが、今ひっそりと俺の前にある。そして誰も、それに気づいては、いない。周りをこっそりと見渡して、誰もこちらを見ていないことを確認し。俺がそっと見つめると、石は何か言いたげにきらめいた。








 その時、突然、俺の頭にポンと手が乗せられる。


「ぎゃっ!」


「あ、ごめん汐音。ぼーっとしてるみたいだったから」


 頭の上に載っている手をばっと払い、俺は笑顔で崇高を見つめ、床を指さした。しかし、崇高はその意味がわからなかったらしい。不思議そうな顔をするだけだったので、俺は優しく口に出して教えてやる。


「お前な、ちょっとそこに座れ」


「いやそこって床しか……え!? 今なんて!?」


「座れ。いいから」


 ちょっと顔を引きつらせながらも、言われた通りおずおずと床に正座する崇高。その前で俺は腕組みをした。1度なら許そう。だがこいつは2度も同じ過ちを犯した。しかも俺が相当深刻な顔をしていたにも関わらずだ。この調子だと3度目も間違いなくありそうなので、ここで修正しておかねばならない。だがまず、こいつに日本語が通じるのかという基本的なところから確認しておく必要があるだろう。


「なんで頭に手を置くの? さっき駄目って言ったばかりじゃない。崇高くんは耳が遠いの? それともあいきゃんとすぴーくじゃぱにーずなの? どっち?」


「いや、だから肩は駄目なんだと思って……」


「頭の方が駄目に決まってるでしょ!? 何年幼馴染やってるの!? 頭を撫でていいのは恋人からっ!! そう聖書にもきちんと記載されています!!」


 なんか思った以上にエキサイトしてしまい、思わず自分でもよく分からないことを言ってしまった。しかしそれを聞いて、主人公の顔がなぜかぱあっと明るくなる。ちょっと嫌な予感。こいつが聖書に親しみを覚える敬虔なキリスト教徒だった、とかそういうのではたぶんない気がする。


「あ……! じゃあ……!」


「い、今何に納得したの!? じゃあじゃない!! それ以上口を開かないで!!」


 同行者のうち1人が突然教室の床に正座し始めて説教されるというあまり日常では見られない光景が繰り広げられたはずなのに、そんな俺たちを見て、北辻さんがどこか楽しげにくすくすと笑った。心が広いのか、やっぱりあんまり何も考えていないのか。少々判断に困るところだ。


「仲がいいのね」


「いえ全然仲良くないんです。それどころか困ってて。もう少し常識を身に着けて欲しいんですけど……」




 いやそうだ、今はそれどころではない。崇高が正座で動けない間に、俺は教室の端っこに座っている責任者らしき眼鏡女子のところにぱたぱたと駆け寄った。邪魔者がいない今がチャンスだ。しかし、崇高と違って至極常識的な行動しかしていないはずなのに、眼鏡女子は走り寄る俺を見てなぜか少々怯えた表情を見せた。


「あの! 展示品って記念に貰えたりしないんですか? 文化祭が終わったらどっちみち破棄しちゃうんだと思うんですけど。私なら誰よりも大事に部屋に飾れますっ!」


「何言ってるんだ汐音!? 常識的に考えて駄目だろ!?」


 外野からそんな心無い声が飛ぶが、俺は振り向かずにシカトした。常識のない人間が言う常識など、いつの時代も非常識以外の何物でもないに決まってるのだ。





 しかし、ぽかんと俺の顔を眺めた眼鏡女子は、困惑したようにしばらく沈黙した。ふと、その視線がすーっと俺の背後へスライドしたので、崇高が今度は俺の背中でもさすりに来たのかと思って振り向くと、北辻さんが眼鏡女子に拝むようなポーズを取ってくれていた。よくわかってなさそうだけど援護射撃してくれるらしい。どうやら北辻さんが言っていた後輩はこの眼鏡女子か。


「まあ……北辻先輩の知り合いみたいだし……あげてもいいけど。可愛いし」


「やった! やったぁ! ありがとうございます!! ……ほら見ろー!!」


 馬鹿な、という顔で俺たちを見つめる崇高。これで常識がないのはどちらかがはっきりしたな。わーいと北辻さんに駆け寄り、その手を熱烈に握って振り返ると、崇高はぐぬぬと大いに悔しそうな顔をした。わはは、ざまあ見やがれ。どちらが常識人かはこれではっきりしたようだな。大事なことだから2回言っておく。




 手を繋いでくるくると踊る俺とそれに付き合ってくれる北辻さん。俺たちをしばし笑顔で眺めた後、眼鏡女子はピンと人差し指を立てた。


「ただし! 文化祭が終わったらね」


「それはもちろ……」


 俺は頷きかけて、途中で口をつぐむ。変な沈黙になってしまったので、眼鏡女子は「えっどないしたん?」みたいな顔をしたが、俺は浮かんできた疑問をもう少し形にしようと黙って頭を回転させた。



 ……疑問、というより。正確に言うなら、気になることが1つある。



 それは、さっき思い浮かべて、なんで? って思ったことと共通する。なんで展示品が盗まれるの、ってあれ。だってそんなの盗んでどうするんだ。そりゃ展示した本人の思い出にはなるかもだが、普通は一般的に価値なんてないじゃん。



 ……そう、価値なんてない。……普通は。……でも、もし。展示品の中に、価値のあるものがひっそりと紛れ込んでいたら? この眼鏡女子が北辻さんの後輩だったから貰えるようなもので、そうでなければ確かに厳しいだろう。なら、誰か欲しい者がいたとしたら? そいつはどういう手を取る?




 ……おそらく、盗んででも手に入れようとするんじゃ、ないだろうか。なら俺の想像が正しければ、文化祭が終わった時には……きっともうこの石は、ここにない。








「いえ、今ください!!」


「え、これ本気? あ、本気だ。……あなた、見た目の割りになかなか貪欲ね。うーん……でもさすがにそこまで特別扱いは……」


「ど、どうしても駄目ですか……?」


 うるうると涙目で見つめてみたが、眼鏡女子は「うっ」とたじろいだものの、結局譲ってくれるとは言ってくれなかった。くそう、崇高なら一発なのに。たぶんあいつならあのケースの中のもの全部くれるぞ。ただそのどっちがまともな対応なのかはちょっとわからんが。




 しかし、眼鏡女子はしばらく考え込んでいたかと思うと、ぽんと手を打った。……お? ひょっとして気が変わって頭崇高になってくれた? キラキラした目で見つめる俺に、だが眼鏡女子は思っていたのと違う条件を提示してきた。


「そうだ。スタンプラリー制覇してきたらあげられるよ。それなら特別扱いにはならないし」


「スタンプラリー?」


「ええ、あれって完全制覇の賞品が『屋台や出し物になんでも希望を叶えてもらえる』ってものだから。ま、難易度がヤバいからだけど」



 ……スタンプラリー。文化祭の色々なイベントを回り、課題をクリアすることで貰えるスタンプを集める企画。まあ、よくあるやつだ。これがなぜ「何でも希望を叶える」なんて賞品になっているかというと、答えは簡単。難しすぎてクリアした人間がいないからだったりする。



 グループでチャレンジしてもいいのだが、そもそもクリア前提で作られてないっていうか……。たぶん半分でも達成できたらその時点で歴代3位には入れるんじゃないだろうか。俺でもゲーム内でクリアしたことはない。……何せ、あの高宮城先輩ですらも単体だと無理だったからな……。



 ……ん……? 待てよ? ……単体……?





「わかりました! じゃあすぐに戻ってきますから! 行くよ、崇高くん! 北辻さん!」


「ま、待てよ汐音!」


 そして、スタスタと俺の隣に並んだ北辻さんに、俺は真剣な顔で話しかけた。


「北辻さん、1つお願いがあります」


「あら、あらたまって、何?」


「今日だけ、今日だけでいいので、どうか誰とも喧嘩しないでください」


「……それだけ? 別にそのくらい、いいけど……」


「ありがとうございます!」


 喜ぶ俺を見て、北辻さんは困惑した表情で何回も首をひねった。


「あたし、そんなに怒りっぽく見られてるのかしら……誰とでも別に喧嘩なんてしないと思うけど……」








 俺は、集合した一同の顔をぐるりと見渡した。約1名、北辻さんが高宮城先輩をギリギリと睨みつけている他は、当初予想していたよりは不穏な雰囲気はない。しかしほんとに北辻さんが我慢してくれるとは思わなかった。よかった先に釘刺しといて。


 ……あと1年生2名もよく来てくれたものだ。約束してたのは明日なのに。柚乃ちゃんは貝森ちゃんを呼んだら勝手についてきただけだけど。ただ、貝森ちゃんと柚乃ちゃんは隣り合っているのに不自然なほどに視線を合わせなかった。こちらも注意は必要だろう。



 だがこのメンバーなら不可能はない。俺はそう信じる。何せ普段は1人しかいないヒロインが俺も含めて5人いるんだからな。さすがヒロインだけあって、彼女たちは得意分野では他の人間の追随を許さないほどのスペックを誇る。あ、崇高はいてもいなくてもどっちでもいいや。




「では、説明します! 今日目指すは、スタンプラリーの制覇! これだけです! 何か質問は?」


「はい!」


 さっと手を挙げた貝森ちゃんに俺はビシッと指をさした。いいよいいよ、その積極姿勢。貝森ちゃんのそういう前向きなとこ、俺好きだな。


「……なんでそんなことしないといけないんですか?」


「それはね、賞品が欲しいから」


「……賞品って?」


「教室で展示されてる品をくれって言ったら、まずはスタンプラリーを制覇して来いと言われたんだよ」


「ヤバい……汐音先輩が何言ってるのか全然分からない……」


 すると、「はぁい」とその隣で可愛く柚乃ちゃんが手を挙げる。ちらりと貝森ちゃんに目をやった後、柚乃ちゃんはいかにも嘘っぽく微笑みながら口を開いた。


「わたしには今のでバッチリわかりましたよぉ」


「嘘ぉ!? 柚乃それ絶対嘘でしょ!? 嘘だ!!」


「亜佑美ちゃんだけじゃない? わからないの」


 そう言われて、ちょっぴり自信がなくなったらしい貝森ちゃんは、救いを求めるように高宮城先輩へ視線を移した。


「高宮城さん……わかりました……?」


「だいたい」


「嘘でしょ!? ほんとに……? ……あ、あたしの物分かりが悪いのかな……」


 高宮城先輩が分かってるのは、スタンプラリーを制覇して俺が賞品をゲットしたいと考えてる、ってとこくらいまでなんだと思うが、貝森ちゃんにはそこまで読み取るのはまだ難しかったらしい。まあ何でも構わん。さあ、じゃあ行くぞ、約束された明日へ。みんな俺についてこい!

このサブタイトル、なんかクトゥルフ神話ものみたい……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
[良い点] いい感じにミステリーなところ 貝森ちゃんが普通なのが普通に可愛いw
[良い点] つまり頭ポンを許した瞬間から恋人と言うことだな( ˘ω˘ )! [気になる点] 黒い石…… 色素胆石の黒色石かな? [一言] なるほど、仕事が忙しかったなら仕方ない( ˘ω˘ ) 気付いた…
[一言] 貝森ちゃん、ドンマイ 君は悪くない
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ