基本情報って何ですか?
世の中には、資格というものがある。
それは何かをできることを証明したり、そもそもその行為をするための資格だったり千差万別である。
ここにもまた資格で悩む若者が一人いた。
「せんぱい~、もう無理です。 私には無理ですよ」
「人がモノローグに浸ってるときに話しかけんな」
後ろでは俺が教育係を務める後輩である葵がわめいている。
この前部長から国家試験である基本情報技術者試験合格しろというお達しが来てから常にこんな感じである。
「そもそも基本情報って何ですか。 プロフィールかなんかですか」
「そういう意味の基本情報ではないな。 まぁ独立行政法人っていう国の機関が作っている資格だ」
その独立行政法人のサイトを葵に見せながら説明を続ける。
「まぁ、技術の多様化とか、需要変化に対応できるエンジニアとかいろいろ書いているがそんなのはそれより上のレベル4試験であって、レベル2試験である基本情報はまぁ行ってしまえばエンジニアの基礎ができてますよっていう証明の一種だな」
「変なところうちの会社ってこだわりますよね」
「そうだな、この資格があるからってIT知識があるかっていうと疑問符が浮かばなくもないが、国家資格っていうのもあって他会社へのアピールや受注条件の一種だったりするからやっぱり持っておいて損はないな」
後ろでまだ部長に対してぶつくさと文句を言っている葵をなだめながら説明する。
さすがに資格を取れって言ったからと言ってハゲとかいう暴言を吐くな。
「でもでも、文系の私じゃ受かりっこないですよ~」
「この試験の最年少合格者は小4だぞ?」
そう言って最少年齢の合格者の発表のページを見せる。
「なら私でも受かりそうですね!!」
「気持ちがいいぐらいの手のひら返しだな。 まぁ全部選択問題だから冗談抜きで運がいいと受かることもある」
迷ったらウを選べっていうジンクスがあるぐらいだしなと、学生時代の先生から言われたことを話しながら葵のやる気が出るようなことを考える。
「試験サイト少し見たんですけど、午前と午後っていうのに分かれてるんですね」
「そうそう、午前問題が4択の問題で80問、午後が文章問題で各分野に分かれてるものが13問あって、セキュリティと疑似言語が必須、それから6分野から4つ選択の問題と5個のプログラミング言語からの選択問題1問の合計7問を解くって感じだな」
「午前・午後両方60点以上で合格でしたっけ」
「そうだ。 ただ問題ごとの点数配分は最初決まっておらず、回答率により変動すること。 また、その配点は非公開なので、60%以上の正答率でも受かることがあったり59%正答率でも受かることがあるのが要注意だな」
えー、なんですかそれ。 卑怯じゃないですか。 とかわめく葵をしり目に作業を続ける。
「せんぱい~。 せ~ん~ぱ~い~~~。 かわいい後輩が困っているんですから仕事なんてほっぽり出して助けてくださいよ」
「うるさい! お前が午後一から俺の仕事を邪魔するから俺の仕事が進まないの!」
パワハラだとかいじめだとかドSだとか後ろでわめいている葵をほっておいてレビューを続ける。
ひとしきり騒いだ後、何を思ってか葵がこんなことを言い始めた。
「そうだ! 先輩! 私が合格したらご褒美くださいよ!」
「あぁ、会社から報奨金が出るぞ」
「いや、そうじゃなくて! 先輩のおごりでどっか連れて行ってくれるとか」
「えー、めんどくさ。 でもお前が合格しないと俺の評価にもかかわるからまぁどっか連れてってやるよ」
「やった! じゃあ明日から午前問題の勉強会お願いしますね!」
「はぁ!? なんで俺がっておい! 待てかえるな!」
そんなことを言い残して文句を言う前に去っていく後輩を呆然と見送るのであった。
IT用語の補足コーナー
ここでは、本編に出てきた用語に関しての補足がある場合に補足を泣ければ雑談を書きます。
主「今回出てきた用語は基本情報ぐらいか」
葵「ほんとに取らないとダメなんですかー」
主「まぁ部長命令だしな。 それに給料上がらんぞ?」
葵「それは困るなぁ」
主「まぁ本格的な授業は次話からだから今のうちに予習でもしてろ」
葵「そもそも次は何を勉強するんですか」
主「とりあえず午前問題に出てくる用語だな。 基本的は午前問題の流れに沿って行くから次はハードウェアからだな」
葵「ハードウェアですか? PCとかのパーツのお話の」
主「まぁ一番最初はそこより前の2進数からだな」
葵「2進数? 聞いたことないですが」
主「まぁそこらへんは次回でな」