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魔法の姫と世紀末世界のストレンジャー  作者: ウィル・テネブリス
The Witch's Hound (魔女の猟犬)
579/580

3 堂々たる憩いの姿を、それがフランメリア(3)

 ステーキの香りが薄まってもアサイラムの休日はまだまだ賑わうばかりだ。

 道路を横切った向こうなんてどうだろう、行商人たちがやたらとデカい鞄を広げて商ってた。

 遠巻きに見る分には雑貨やポーションが並んでて、じろじろ物色するのはチーム・ロリや九尾院ズか。


「まあ、少し見ないうちにまた一つ活気がついてますわね! あちらにいらっしゃるのは商人ギルドの方たちかしら? 見ていて楽しいですわ~」


 残念なのはこの景観にはしゃぐ芋の化身が混じってるところだ。何しにきたんだこの人。


「ついでに誰かさんが出荷されてきたせいでまた一つやかましくなった。なんだあの登場の仕方、後ろめたい理由もついてきてない?」

「ふっ……別にこそこそとお邪魔する理由などはありませんの。お芋と擬態してイっちゃんにちょっとしたサプライズをしようかと思っただけですわ、完璧でしょう?」

「どこが完璧なの!? 普通に来ようよりむサマ!?」

「そうか、なら良かったよ。じゃあ罪状はキリガヤとメカにいらん肉体労働させたことだけだな」


 本人はとんがり帽子をみょんみょんさせながらアサイラムを楽しんでる。

 今のところは軽率な理由で遊びにきたようにしか見えない。


「巷はすっかりアサイラムの話でもちきりですわ。冒険者の皆様の活躍ぶりに狩人ギルドはこの地を調べ尽くす気概ですし、商人ギルドは商機を見だして積極的な姿勢を見せておりますし、ならば私の料理ギルドも一層手厚く支援をすることにいたしましたの」

「わたしたちの噂、すっかり国中に広がっちゃってるなあ……そういえば色んなギルドの人達がここに集まってるよね」

「ミコ、俺と一緒に紅茶の女王が介入しにこないことを祈ってくれ。ところでその支援っていうのは倉庫に突っ込んだ芋のことじゃないよな?」

「あれは違いますわ、お芋が足りないと思ってポケットマネーで買った高級じゃがいもですの」

「りむサマ、食糧庫がじゃがいもだらけになってます……」


 芋テロ魔リーリムは鞄をごそごそした。


「HONK!」


 真っ白つやつやなガチョウがひょこっと出てきた。お前もかアイペス。


「参加者がまた増えたとのことですので、こちらから追加の料理人を数名派遣いたしますわ。カルーセスで作られたばかりの最新の調理器具もそちらに貸与しようかと」

「食い扶持がまた増えたからな、そりゃ助かるよ。で? 全部ひっくるめて実地試験ってやつか?」

「もちろんですわ、これほど実戦的な場を経験できる機会を踏ませない手はありませんもの。そういうわけでギルドマスター直々に下見に来たのです!」

「オーケー、つまり食堂の拡張に寝床の追加だな。今日は退屈せずに済みそうだ仕事もくれてマジでありがとう」

「なんだかいちクン忙しくなりすぎじゃないかな……? 大丈夫?」

「あっちで命狙われたころから平穏な暮らしは諦めたし腹もくくった身だ、気にすんな」

「なぁぁぁぁん」

「あっ! 猫ちゃん! 猫ちゃんですわ!」


 話を聞けば料理ギルドマスターらしい理由だ。おかげで拠点の機能性を向上させる義務ができた。

 やることがまた増えたけど、きょろきょろ好奇心を向ける小動物めいた仕草に免じて許してやろう。


「ところでニクちゃんとセアリちゃんがそちらでぐったりしてますけれども、どうかしましたの? お肉の焼けた香ばしい香りもまだ漂っているような……」

「おなかいっぱい……幸せ……♡」

「骨が思いのほかボリュームいっぱいでしたね……セアリさん食べ過ぎてもう動けません、お昼ご飯はデザートだけにします。むしゃむしゃしてやりましたが後悔してません」


 リム様はお腹をさすって幸せそうな犬ッ娘二人に気づいたようだ。

 食い意地で平らげられた一品にクラウディアの顔も「ふふん」と得意げだ。


「あいつらなら朝からステーキ大食いチャレンジしてああなった」

「私がイチに教えながら一緒にステーキを作ったんだ。うまかったそうだぞ」

「ほ、骨すら残ってないよ……朝から食べ過ぎだよ二人とも……」

「まあ、イっちゃんもとうとうお料理に目覚めましたのね! 自分でお肉を焼けるようになるなんてお母さん嬉しいです、デザートにお芋はいかが?」

「芋でトドメ刺そうとするな」


 巡り巡って自力でご馳走を作ったストレンジャーに自称ママは嬉しそうだ。

 でもその微笑ましい眼差しは本気だろう。俺だって褒めてくれてちょっと嬉しいさ。


「……まあなんだ、いつまでも誰かに飯作ってもらうなんてちょっとカッコ悪いだろ? だからこれでまた一歩前進だ」


 俺は尻尾をゆったりさせるわん娘どもを少しだけ得意げにした。

 すると「おいで」と手が伸びた。すっと屈むと頭を柔らかく撫でられた。


「この国にイっちゃんのことが少しずつ知れ渡って、段々と慌ただしい日々になっていそうで心配していましたけれども……貴方らしく過ごしているようでとっても安心しましたわ。よしよし……♪」

「元々そういう覚悟だったけど、こうしていろいろな人たちに助けられてるから朝からパン焼くぐらいには気楽にやれてるみたいだ」

「冒険者の影響は著しいものですわ。あれだけ停滞していた国中に明るい兆しが広く回っていますもの、皆がここに手を伸ばしたくなるのも仕方がありませんの」

「みんながそれで喜んでるなら頑張るさ。料理ギルドの人達にはマジで感謝してるよ、いつもありがとう」

「ふふっ、毎日おいしいご飯が食べられるからみんな満足してるよね?」

「とってもえらいですわイっちゃん。ご褒美は子供な私がいいですか? 大人な私ですか? それともじゃがいも?」

「――じゃあ全部チェンジで」

「全部チェンジで!? どんな断り方してるのいちクン!?」


 褒められて嬉しいけど、途端に「全部受け取れオラッ!」と語気を強めてくるやべーのはいったん忘れよう。

 それよりフランに託した生地の発酵がそろそろ仕上がったはずだ。

 ぎゅっとしがみつくリム様ごと周りを探ると、アオとヤグチの身長差がこっちの騒がしさに気づいたらしい。


「あ、イチ君がリム様に捕まってる。こんにちはー」

「ほんとだ。リム様来てたんだ、今日も面白いね!」

「ごきげんよう。相変わらず仲睦まじいですわねアオちゃんヤグチちゃん、さっそくお芋食べる?」

「お芋はちょっといいかなぁ……」

「お芋足りてるよ~? ていうかさ、リム様のかばんって色々出て来るけど一体どうなってるの? 物理法則無視しちゃってるマジックアイテム的なものなのかな?」

「これはカルーセスで作られた見た目以上にいっぱい入る魔法の鞄ですの! ガチョウもすんなり入って永久保証付きで50万メルタです!」

「HONK!」


 二人は誇らしげなガチョウに箔付けされた鞄を見て「たっか」と驚いてる。

 ミコと仲良く「捕まってます」と銀髪ロリ魔女の頬をもちもちしてると、そこに駆けつける姿がまた一つあって。


「あら、リーリム様。いらしていたのですね?」


 リム様の明るさにムツミさんがつられたようだ。休日なのに抜かりなく着込んだ料理人服の白さが眩しい。


「ムツミちゃん! ギルドメンバーの様子が気になって来ちゃいましたわ~、あれから調子はいかがかしら?」

「ええ、我々一同とても作りがいを感じています。冒険者の皆様はよく食べてくれて微笑ましいものですし、お食事の後はお行儀よく『ごちそうさま』と一声かけてくださるし、調理を手伝ってくれることもあるので気持ちよく過ごしていますよ。それにイチさんのおかげもあって不便な暮らしはしていません」

「よかったですわ、遺憾なく腕を振るってたのですね! さすムツ! ところで私からのメッセージはお読みになったかしら?」

「はい、人員の追加があるとのことでしたね。食堂での業務も抜かりなくマニュアル化しておりますのでいつでも受け入れる準備ができておりますよ」


 料理ギルドの誇る気高いおばちゃんは厨房のボスらしく上品な貫禄で俺たちににっこりだ。

 冒険者が心身共に健やかなのはムツミさんあってこそだ。頭が上がらない俺たちもにっこりし返した。


「横から失礼、これから拠点いじりタイムだけどなんか作って欲しいものある? じゃがいも畑以外だったらなんでも作るつもりだ」

「でしたら食糧庫とキッチンを拡張していただけないでしょうか? 席の方はまだ余裕がありますので差し支えありませんが、取り扱う食材が増えたのでもう少し収納スペースがあれば助かります」

「オーケー、あとでいい感じにしとくよ」

「せっかくのお休みなのに申し訳ありません。急を要するほど不便なわけではありませんので、そちらのご都合がよろしい時でいいですからね?」

「いいんだよ、毎日三食きっちり食わせてもらってるこっちからすればお安い御用だ。俺のことは好きなだけこき使ってくれ」


 日頃のお礼を込めて食堂の改装も引き受けた。うまい飯のため頑張ろう。

 いつの間にやらかまどの近くはちょっとした人だかりだ。俺は向こうに見えた赤髪ドラゴン娘を手招きした。


「へいへーい、団長のこと呼んだ? もう発酵いいの?」

「もういいぞ、返してくれ。ドラゴン体温をどうも」

「いちクン、なにフランさんに生地の発酵させてるの……」

「ドラゴン体温っていうから大事に温めてました。ってなんか人だかりできるなーって思ったらリム様じゃ~ん? 元気してた? お芋いらないよ?」

「みんなお芋いらないんですの……?」


 フランは「はいこれ!」と託したボウルを返してくれた。

 赤い衣装にぼるんっと浮かぶ大きな乳肉二つで蓋をしてたらしい。情熱的な体温がしみ込んでる。

 いざ布とドラゴンっぱいをどかしてみると。


「あれ? なんか生地ぼそぼそしてないか?」


 なんかおかしい。そこにはイメージ通りのつやつやな生地がなかった。

 やや歪でざらつく表面の丸形がへにゃっと広がってるし、触れると見た目通りにコシがない。


「いちクン、これ発酵しすぎだよ……」

「過発酵しちゃってますわね。温度が高すぎたのかしら?」

「ふむ、ボウルが温かすぎるような気がします。発酵する力が余分に働いてしまったようですね」

「あちゃー、生地がしわしわに膨れ上がってる。イチ君さては温度ミスったな? っていうかさ、女の子になんて温め方させてるんだ……」


 ミコも料理ギルドもそう口を揃えてるし、アオも混じってくるんだから揺るぎない事実だ。


「……ん、なんか匂いも少し変かも」


 ニクですらすんすん嗅ぎにきて怪訝なジト顔である、発酵しすぎだこれ。


「くそっ、ドラゴン体温舐めてた……!」

「どうやら団長、情熱的過ぎたみたいだね――ねえこれ謝った方がいい? おっぱい乗せなかった方が良かったかも、なんかごめんねイチ君」

「いや、お前のことを何も知らなかった俺が悪いだけだ。気にすんな」


 竜娘のぬくもりとおっぱいに罪はない、しいて言うなら自分の勉強不足だ。

 この場にいる料理ギルド二名は「失敗から学べ」とばかりに俺を見守ってる。気にしながらも続けることにした。


「えーと、生地を取ってオリーブオイルを塗りながら伸ばして……」

「ご主人、なんか生地がへなへなしてる」

「マジで失敗したって感じがする。焼いたらどうにかなるか……?」


 いまいち弾力のない生地を打ち粉をしたのし台に切って広げた。

 ぺたぺた伸ばしてニクに油を垂らしてもらって、ひっくり返してまた同じことをすれば少しは形になってきた。

 てかりが馴染んだらスケッパーで細く切り分ける。これを丸く整えて棒状のパン生地を揃えれば後は焼くだけだ。


「うーん、見た感じちゃんとまとまってるし大丈夫だろ。200℃ちょいで焼くぞ、時間は13分ぐらいでいくか」

「ん、分かった。薪抜いておくね」


 愛犬との共同作業で仕上げに入ることにした。

 かまどから少しの薪と炭を取り除いてる間、油を塗った天板に生地を並べた。

 程なく温度計が200℃を軽く追い越したあたりに落ち着いた。熱々のスペースに天板を押し込んだ。

 どうか美味しく焼けてくれ。そう祈って鉄の戸をそっと閉じた。


*A FEW MOMENTS LATER...*


「――思ってたんとなんか違う」

「ん……? こんなものなのかな?」


 レシピ通りに焼き上げたものを引っ張り出すと、熱々の湯気を立てる棒状のパンが焼き揃ってた。

 確かに焼けてはいるけど色が想像以上に薄い、消滅寸前のきつね色だ。


「……味もなんかイメージとだいぶ違うな」

「……小麦の味が薄いかも」


 二人で訝しみつつ食べてみたが、甘みも薄ければ塩辛い気もする。

 食感だってサクサクというかぱさぱさかりかりだ。まずくはないけどスナック菓子に近いものを感じる。

 料理ギルドの偉い顔ぶれ二つに苦笑いで「どう?」と評価を求めてみたが。


「発酵のしすぎでパンの風味が抜けてしまってますわね。油も少し入れすぎじゃないかしら? それも相まって塩辛さが際立っておりますし……」

「焼き具合は完璧ですね。この地方はクラングルの気温とはだいぶ異なりますし、発酵の具合を掴めれば言うことなしかと思われますよ」

「うわあガチ料理人からガチ目の感想きた……どうしてこうなった」

「そうですね。お二人とも、まずはこの色を見てくださいますか?」

「そうだな、俺のイメージだともうちょっとこう、こんがりきつね色だった」

「焼き色はついてるけど、なんか白っぽいね……?」

「生地に含まれる糖分を使い過ぎてしまったんです。これにより焼き色が薄くなったり、食感と共に小麦の持つうま味や甘味も損ないます。それが過発酵が引き起こす弊害なのですよ」

「この地方はクラングルの快適な温度と勝手が違いますの。こればかりは経験と試行錯誤で覚えるしかありませんわ」

「発酵に失敗するとこうなるんだな……アドバイスどうも、次から気を付ける」

「味も見た目も悪くなるんだね。知らなかった」

「でしたら食堂の中で発酵させてみてはいかがでしょう? 布巾をかぶせて40分ほどが良いかもしれません」

「生地に塗る油はほんのり控えめにした方がいいですわよ。このようなパンは軽やかな口当たりが大事なのです」

「分かった、じゃあリベンジだ。よし今度は1㎏でいくか」


 本職の方々からきっちり指導もしてもらったぞ、次は成功させてやる。

 言葉を胸に刻んで懲りずにまた生地を作りに取り掛かると。


「ところでイチさん、こちらのかまどを使ってもよろしいでしょうか?」


 ムツミさんはまだ火の入ったかまどに興味津々だ。使いたさそうである。


「こいつをか? パンでも焼くの?」

「お昼にお出しする煮物を作ろうかと」

「かまどで煮物か」

「ええ、魔法で動くコンロとは火の通りが違いますからきっと美味しくできるはずです。他にも()()()も使って夕食の仕込みもしてみたいのですが」


 なんだったらせっかくこもった熱を余すことなく活用するつもりらしい。

 捨て窯っていうのは火を消したかまどに残った余熱のことだ。

 そういえば奥さんは肉でいっぱいの鍋を突っ込んで、煮込み料理をよくまかないに出してくれたな。


「俺より使い込んでくれそうだな。使い方は分かる?」

「もちろんですよ。この世界に来てからしっかり学びましたから」

「ムツキさんがいうと説得力が違うな。オーケー、かまどの下に薪入ってるからどうぞご自由に」


 どうせ俺一人じゃ持て余す大きさだ、料理ギルドの役に立つなら是非活用してほしい。

 そう一言でかまどのスペースを譲るとなぜかアオもひょこっと挟まって。


「あ、私も使いたいんだけど……いいかな?」

「お前もかよアオ」

「なんかイチ君がパン焼いてるの見たら、久々にお菓子作りたくなっちゃったんだよね。私の料理スキルが疼いてるのさ!」


 感化されたやつがもう一人増えてしまった。甘味づくりに役立てるそうだ。


「あら。それでしたら一緒におやつでも作りませんか? せっかく皆さまのお休みですし、何か気分を癒せるような甘味でも提供しようかと思っていたところでして」

「でも私、しばらく料理してなかったからスキル値低いんだよなー。宿の調理場借りてサンドイッチとか作ってたから10ぐらいはあるんだけど……いいのかな?」

「いいのですよ、スキル値ではなくアオさんの作りたいというその気持ちが大切が一番ですから」

「そっか、じゃあ後で作っちゃお! えーと食材とか確認していいかな?」

「ええ、クラングルからいろいろと送られてきましたのでレパートリーには困らないはずです。では食糧庫を見に行きましょうか」

「久々にお菓子作るか―、ヤグチも手伝って!」

「アオがお菓子作るなんてしばらくぶりだなあ……何作るの? 俺チョコ系がいいな」

(お二人とも、聞こえていますか? いまあなたたちの魂に訴えかけています。おいもを使ったおやつを作るのです……)


 かまどがある美点その2ができた、ヤグチとアオが楽しそうにしてる。

 料理に造詣がある連中はぞろぞろ赴いてしまった。作っておいてよかった。


「ふふっ、今日のご飯が楽しみだね?」

「かまど作って良かったな。生地作ったらさっさと建設しちまうか」


 失敗したグリッシーニをミコの微笑みにそっと促した。

 「うーん?」と微妙な顔をされてしまった。どうしようこのぱさぱさのパン。


「おーおー、リム様来てるとやっぱ賑やかだねえ。無事にパン焼けたのか? なんか二人して微妙な顔してねーか?」

「……んふっ……口の中がぱさぱさするよこれ……」


 もれなく連帯して微妙な味をぱさぱささくさく確かめてるとタカアキが来た。

 買い物してきましたとばかりに紙袋を抱えてる。お前もぱっさぱさになれ。


「失敗作ができたぞ、召し上がれ。あとステーションに物資運搬用の地下通路とエレベーターと、それから風呂作ってくれってさ」

「失敗してんじゃねーよ。つーかおい待て作るもん増えすぎじゃねーか。お兄さんが少し目離した隙にクエスト増えすぎとらん?」

「俺もすっかり便利なやつになったみたいだな。で、いけるか?」

「奇しくも全部いけるぜ、おめでとう」

「マジかよ……」

「DLCにハウジング特化系のやつがあったんだよ、全部送り付けて正解だったか。STEELのセールと気前よくプレゼントした俺に感謝してくれ」

「おかげで便利なフリー素材化に磨きがかかってるよマジでありがとう。ところでお前何買ったんだ?」

「普段着とか鞄とかあったから買っちまった。転移したやつらの裁縫スキルが件並み上がってたり、そういうの作る基盤ができたりで出回ってる服のバリエーションが増えてるみてえだ」

「服とかも売ってるのかよ、どおりでずっと賑わってるわけだ」

「ところでうまくねーなこれ、口の中ぱっさぱさだよどーしてくれんの」


 幼馴染も口のぱさぱさ感にしかめっ面だ。俺は処分に困りつつ建設に移った。



「……でだ、ちょうど今のシチュエーションにぴったりなやつってこれのことか?」


 倉庫の横合いに建設ウィンドウを重ねて手繰らせながらそう尋ねた。

 建築リストに【P-DIY・Engineering】というタブがある、触れてみる。


「おう、P-DIY・Engineeringっていうやつな。そいつは拠点の機能性を特化させるDLCだぜ、俺の記憶が正しけりゃそこにエレベーターがあったはずだ。探してみ?」


 タカアキの言う通りだ、俺の手が及ぶ建築物がずらっとリストアップされた。

 ラジオ塔、缶詰工場、弾薬製造機、リサイクラー、水耕栽培装置とどれも今までとは毛色が違うし必要資源もけた違いである。

 ただそれほど幅広いわけじゃない。せいぜい数十のバリエーションが収まってる程度だ。


「うっわなんかいろいろ出てきた……なんだこれよくわからないのが羅列してんぞ」

「DLCに登場する奴そのまま来てんのかよ、笑うわこんなん」

「でも思ったよりも少ないな。こんなもんなのか?」

「そりゃスキル上げたりで開放しねえといけねえからな。でもこの時点でもいろいろあるだろ?」

「まだあるってのかよ。確かにいろいろあるけど必要な資源の量が過去一番えぐいぞ、しかも電子部品のゲージごっそり持ってかれるのばっかだ」

「ウェイストランドに文明を取り戻すってコンセプトだぜ? そりゃ便利な分先立つものも相応だ、しょうがねえよ。エレベーターあった?」

「あったあった、なんか無駄に種類があるし高さも選べるな」

「貨物用エレベーターってのがあるだろうからそいつにしとけ。読んで字のごとくいっぱい運べんぞ」


 幼馴染アドバイスで探ると【貨物用エレベーター】とお目当ての品があった。

 金属、コンポーネント、電子部品やらで作れるらしい。サイズや扉の数を選べるみたいだ。


「じゃあ立ててみるか。サイズは中あたりがおすすめ?」

「それくらいでいいだろ。ちょっとそこらへんに立ててみ」


 さっそく中くらいのサイズを呼び出してみた。

 途端にそれらしい半透明の()()が立ち上がる――分厚い壁に囲われた縦長のエレベーターシャフトが直立してた。

 見間違いかと思ったけどマジだ。目も擦ったけど偽りもない。

 目測で横に数メートルはある幅をしたスタンドアロンのエレベーターが今にも具現化されてしまいそうだ。


「タカアキ大変だ、なんかどっかから引っこ抜いてきたようなエレベーターが直立してる」

「あーそれな。そいつは独立したエレベーターだ、電力通せばどこでも上り下りできるぞ。穴掘ってそいつ埋め込めば地下にもまっしぐらだぜ」


 タカアキに念のため聞いたけど異常現象じゃないとのことだ。

 俺は本当に恐る恐るでそこらへんに【建設】と指示を飛ばした。


*がらんっ*


 ……転がるような音を立てて無骨なそれが軽々しく立ってしまった。

 四階建てに相当する高さが上開きの扉を縦に並べて利用者を待ち構えてる。

 何もない場所からエレベーターか。自分の可能性が恐ろしくなってきた。


「おいおい、見たまんまのやつがそのままいらっしゃったぞ」

「ぽんと出してるんじゃねーよお前変態か。でもすげえわ、ゲームでさんざん見たやつが現実になってるぜ」

「い、いちクンがエレベーター生み出しちゃった……」

「……いきなり出てきてびっくりしちゃった、ご主人すごい」


 ミコは口をあんぐりさせてるし、ニクもジトっとその高さに驚いてる。

 前触れなく現れたエレベーターに買い物の賑わいが怪奇現象にでも触れたようなざわめき方だ。お騒がせしてます。


「わしもそんな風に建設して~~~……こんなん指先一つで作っちまうとかずるいぞお前さん、日に日に妬ましくなっとるよわし」

「とうとうこんなものを生み出す怪異にでもなったのかい君は。見事なまでにファンタジー世界がかすむぐらいの異彩を放ってるねえ」


 じっと立ち会ってたスパタ爺さんとヌイスも羨んだり呆れたりと口々だ。

 俺だってこんなのが堂々たる姿でおっ立つなんて思ってもなかったんだぞ。どうしようこれ。


「なあタカアキ、こいつも電力を割り当てるだけでいいのか?」

「おう、そうすりゃ乗れるはずだぜ。さっそく試し乗りしてみっか」

「ねえ二人とも、試し乗りってもしかしてこれに乗るの……?」

 

 ミコが気にかけるのも仕方ないけどまずは動くかどうかだ。建設メニューから電力コントロールをいじる。

 ハウジング・テーブル越しに電力を通すと扉横のディスプレイに光が灯った。


「動作チェックのお時間だ、乗りたい奴は勝手にどうぞ」


 率先して【稼働中】とある画面をなぞればごーっと扉が上に開いた。

 白壁に囲われた広々さが横に長く待ち構えてる。新品の香りだ。


「そういえばわたし、自分の足でこれに乗るの初めてかも……」

「ん、ぼくも乗ってみる」

「さて何人ぐらい乗れるかね? エグゾぐらいは余裕でいけそうじゃね?」

「これどうなっとるんじゃ? ワイヤレス電力送られて動いとるだけで十分すごいんじゃが、これだけデカいのを動かす力の源はどこにあるんだかさっぱりじゃ」

「恐らくだけどスパタさん、外見からして上部にあそびがあったよ。そこに昇降に必要な機器を詰め込んでるんじゃないかな? もしそうだとしたらこれは相当すごい技術で作られてることになるんだけども」

「なんかできてるっす! うちも乗るっす~♡」

「おおっ、エレベーターではないか! こいつを見るのはブルヘッド以来だな、俺様も乗せてくれ!」


 みんなで口々に乗り込むとロアベアとノルベルトも駆け込んできた。これだけ乗ってもまだ快適!

 内部には縦長の端末が行き先を求めてる。最上階を目指した。


 ぶいーん。


 手を触れて間もなく急に動いた。控えめな重低音で滑らかに持ち上がってるようだ。

 みんなでフランメリアにあるまじき感覚を感じていると扉が開いて。


「……ワーオ、いい景色だ」


 律儀に仕事を果たしたエレベーターが外の世界へご案内してくれた。

 四階分の高さから人栄えるアサイラムを広く見渡せた。改善点は奇異の目が集まるのとうっかり踏み出せば墜落する二点だ。


「ひえっ……みんな、間違っても踏み出しちゃだめだからね?」

「おー……」

「こんな形でエレベーター乗るとかシュールすぎんだろ。着地に自信があるやつ以外は出てくんじゃねえぞ、おー怖えー」

「ほんとこれどーやって動いとるんじゃ、どうすりゃこんなパワフルかつ安定して動くのやらわくわくするじゃないの。こりゃどんな構造なのか調べんといかんな」

「いい景色だけどさ、第三者から見れば相当おかしな光景だと思うよ私は。ほら、行商人の方々がとてつもなく困惑してるじゃないか」

「とうとうエレベーターを生み出す異能を手になされたんすかイチ様ぁ。みんな注目してるっすね、あっタケナカ様が怪奇現象でも目の当たりにしたようなお顔っす」

「フハハ、実に皆の目を引いているな! この昇っていく感じはずいぶん久しいが、あちらでの暮らしを思い出させるではないか。懐かしい気分だ」

「この中にフリーフォール希望者の勇敢なやつはいるか? もう下々を見下すのもオーケー? オーガが乗っても大丈夫なのが分かったしそろそろ降りるぞ」


 ノルベルトを乗せて余裕ならこいつの実用性は十分だ。

 ぶいーん、と円滑に地上に戻ると行商人たちが驚いてる。手で「気にすんな」と返すと。


「ふむ……だいたいこのへんから南にまっすぐ掘りゃステーションの左側までぶち破れるのう。深さはこいつをあてはめるとして、いや四階じゃ足りんな、五階分のやつがありゃいけるか……?」


 スパタ爺さんがエレベーターと倉庫を見比べて何やら小難しくしてる。

 まさしく物資の積み込みに対してアイデアが浮かんだような仕草だ。実際その通りにナイフで地面をなぞりだして。


「よっしゃ閃いた! わしがいいっつーまでここ掘れイチ、遠慮はいらん!」


 ちょうど倉庫の横合いに大きな四角形を刻んで「掘れ」ときた。

 心なしかエレベーターの大きさを収めるにはちょうど良さそうなサイズだ。


「いきなりなんだスパタ爺さん、とりあえず俺のためにどんな閃きなのか話してくれないか?」

「なに、くっそシンプルなもんじゃよ。まずここを真下に掘ってエレベーターがすっぽり入る穴を作れ、できればもうちょい高いやつがいいんじゃがあるかの?」

「十階まで作れるみたいだぞ」

「わはは、ちょうどいいにも程があるわ! とりあえずこの形に添って10m以上直下掘りじゃ、そんでそこに五階用のやつを収めりゃ地下と地上を行き来できるな?」

「先に地中に埋め込めっていうのかよ、力技すぎないか?」

「そしたら南に向かってひたすら掘り進めばステーションにたどり着く寸法じゃ。地上に露出した部分は倉庫を一回りおっきくして取り込んじまえばいい、どや?」


 計画の内容は「地中に潜ってこい」だ、ドワーフのセンスを信じて人間掘削機械になれって話か。

 正直そんな奥深くまで掘削して大丈夫なのかって強い不安があるものの。


「それなら俺も付き合うぜ、経験者のアドバイスは必要だろ? ってことで光源連れてきました」

「レフレクをお呼びですか~?」


 タカアキが束ねたロープ持参で準備よく絡んできた。光源はふよふよしてる橙色の妖精さんだ。


「レフレクをライト代わりにするなよお前」

「じ、自動浮遊型ライト……」

「はいっ、おにーさんが頑張ってるときいて参上です! レフレクが明るく照らしますので大丈夫です!」

「そりゃどーも、ちょっと怖いからどうか俺の未来も明るく照らしてくれ」


 空を飛ぶ次は地中に進行か。ノルベルトに「頼んだ」とロープを投げた。



*じゃりっ* *じゃりっ* *じゃりっ* *じゃりっ* *じゃりっ*


 地面に大きな四角形の枠を重ねて【掘削可能!】のコマンドをひたすら押す。

 そのたびに一寸の狂いのないさぞ誠実な穴が足元を掘って、土の匂いを広げながらより深みを生んだ。

 すっかり硬そうな乾いた色だろうとハウジングの力は無遠慮に抉り続けてる。


『いやこれすげーわ! こんだけ掘っても崩れたりする気配が全くないぞ! チートじゃチート、その力どうしてわしらにくれなかったんじゃ!?』

「できることならスパタ爺さんにくれてやりたい気分だ! もうちょい掘った方がいいか!」

『あと四回真下に掘れ! うおーすげー地層がきれいな形でまる見えじゃぞこれ! 記念にスクショとっとこ!』

『イチよ、また降ろすがよいな! しかしけっこう深いところまで進んでいるではないか、俺様も行ってみたいぞ!』

「こんなとこ潜らせておいて呑気だなお前ら! 怖いからゆるめに頼む!」


 合図を送るとロープでつながった身体が闇へとゆるやかに落ちていく。

 オーガの筋力で降ろされて程よいところでストップ、また掘削した。

 見上げれば注文通りの穴が出来上がってる。青空と覗き込む顔ぶれが眩しい。


「……陸と空の次は地中か。次は水の中にでも駆り出されそうだな」


 カルトによし戦車によしウォーカーにもよしな余所者は今や生ける掘削機だ。

 愚痴ってもしょうがないか。枠をあててじゃりっと掘った。

 きれいに切り取られた地層の断面は物理法則ガン無視で綺麗に保たれてる。触るとつるつるだ。


「ふおおおおおおおお……! これが地面の中! レフレク冒険してるみたいでドキドキしますっ!」


 それから目の前で浮かぶ丸いお尻と縞ぱ……じゃなくレフレクがいる。誰が言ったか自動浮遊型ライト。

 宙づり降下させられる俺のそばで初めての地中深くにふよふよ楽しそうだ。


「レフレク、お前はフリースタイルで浮いてるけどな、こっちはロープでぶら下げられて掘削機械扱いなんだぞ? あとぱんつ見えてるから鼻先で飛ぶのやめなさい」

「おにーさんなら見られても平気ですよ~? ふふふー♡」

「ドヤ顔で言えるぐらい俺を信用してるんだなありがとう。もうちょっと下照らしてくれ、ずれると横掘っちゃうからな」

「それにしてもおにーさんすごいですっ! なんでもできちゃうんですね! もしかしてかみさまだった……?」

「なんでもできたらこうしてお前と一緒にプチ地中探検もしてないだろうさ――ところで幽霊とか出ないよな?」


*じゃりっ*


 人懐っこさが「は~い」と向かった先に枠を重ねてまた掘削。深さだけでいえばウォーカーの背が収まるほどに達してるようだ。 

 そうやってスパタ爺さんが満足するまで掘り進めていくと。


「おーい、ヌイスがいろいろ割り出してくれたぞ。ちょいと想定よりズレたけどこの辺で降りてそのまま南にまっすぐ掘りまくって地下道作れってさ」


 頭上からすーーーーっと宙づりの幼馴染が追いかけてきた。

 誰に吊るされてるのかはともかく、もう一段掘るとロープを解いて着地した。

 真似して降り立った。地上より硬い足触りをざっくり感じる。


「こんなもんでいいのか。で、ここから真横に掘れってか」

「ああ、水平にまっすぐだぜ。もっと大きい掘削のパターンに変えとけ、俺のマイカー入るぐらいのやつなかったか?」

「オーケー変えといた。ちなみに掘ってる途中で崩落とかしないか不安だ、どうすればいい?」

「そこはハウジングのチート性能を信じるしかねえんじゃねえの? まあ大丈夫だろ、埋まったら供え物のジンジャーエールとノルベルトどっちがいい?」

「その時は両方持ってきて全力で掘り起こしてくれ」

「生き埋めになるときもレフレクはご一緒しますっ! いきましょう!」

「縁起でもねえこといってやがるぞこの子。心配になっちまったよお兄さん」


 ここから地中を横に掘れとか大丈夫なのか? 崩れて生き埋めはごめんだぞ。

 ハウジング機能に無事を願って、掘削範囲を大きくして南側の土色を狙う。


*じゃりっ*


 ざらつく音と共にでかい横穴が刻まれた。

 装甲車が窮屈に首を突っ込めそうなほど縦横に大きくて、切り取られた地面が断面を晒してる。

 念のため銃剣で頭上をつついてみた。つるつるして引き締まってる。


「とりあえずは掘れたな、崩落しそうにない感じだ」

「そうだなあ……建材はまだあるか?」

「セメント作ってくれたからいっぱいある」

「よーし、床と壁と天井にコンクリート張っとけ。何でもいいから照明もセットしとけよ」


 俺は言われるがままコンクリートの壁材を選んで「がらん」と張り付けた。

 自然色むき出しの通路に灰色をかぶせると見た目もマシになってきた。あっという間に立派な地下道だ。


「おっと、進む前に貨物用エレベーターも作っとくか。五階分だったな」


 そのままステーションを目指す前にこの深き穴を埋めてしまおう。

 作り立ての縦穴にエレベーターのガワをあてがうとぴったり収まるようだ。【建設】を押す。


*がらんっ*


 予定通り穴とあてはまった。これで地上と地下を行き来できるぞ。

 ワイヤレス送電も繋いで起動すると。


「でかしたぞ! こいつはちゃんと計画通りに地上に繋がっとる!」


 うまくいった証拠にビール瓶片手のご機嫌なスパタ爺さんが降りてきた。


「よっしゃ、成功だ。このままステーションまで掘るぞ」

「ビール片手に指示してたんかーい。通路はこんな感じでいい?」

「多少ずれてもどうにかなるしやっちまえ。にしてもこんだけ掘っても何事もないとかおかしいじゃろ……」

「無事に開通です! レフレクが照らしますのでどんどん掘ってください!」


 調子がついてきたぞ。さっきと同じ感覚で掘って埋めてを繰り返す。

 じゃりじゃりがらがらと壁を掘り建て進んで、時折頭上に照明をつけて道のりを作っていく。

 安定したリズムでそうことが進むと――


*じゃりっ*


 次の固い土がきれいに削れたその直後、人工的な白い光にぶちあたる。

 急な形で現れた変化に驚いたけれどもすぐ理解した。ステーションの中までぶち抜いたらしく。


「おおっ! 開通おめでとう! ほんとに掘り進んできたんだな!?」

「ひゃぁぁっ!? だ、だんなさま!? な、なんだかすごく長い道ができてるんですけどこれは一体……!?」


 ちょうどその先にメカとキリガヤが突っ立っていたということは大当たりだ。

 ドワーフの作業場やスタンバイ中のEVカートが混じる見慣れた光景が確かにあった。歩道橋の横あたりか。

 が、降りようとするとちょっとのミスに気づいた。地下通路が10㎝ほど浮いてしまってる。


「よおお前ら、約束通りこじ開けてきたぞ――ってもうほんの少し下だったか」

「まあいいだろ誤差だ誤差。つーかステーションの構造まで干渉できてるな、そりゃ範囲広げりゃ入っちまうか」

「わはは、こんなん工夫すりゃどうとでもなるわ。んじゃさっそく使い心地を確かめんか? ちょうど台車もこしらえたところだしの」

「メカさんです! ただいま工事完了しました~」


 俺は転ばないように慎重に降りた。これで物資の運搬も楽になるはずだ。


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