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魔法の姫と世紀末世界のストレンジャー  作者: ウィル・テネブリス
魔法の姫とファンタジー世界暮らしの余所者たち
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71 敵だらけでもツチグモは座るし、胆も据わる


 ちょうどいい空き地にツチグモが腰を下ろしてた。

 車体左右にある計四つのスタビライザーを地面に突き立てる様子がクモみたいだから『ツチグモ』だそうだ。


「……これが今の俺たちの置かれた環境か、良いニュースはどこいったんだ?」


 そんな見上げるほどの車に背を預けつつ、また地図に目で触れた。

 大昔の地図に今なりの情報を上乗せしてできたキメラ模様が、この未開の地が危険なことを必死に伝えてる。


「ヌイスさんのおかげでこのあたりの事情がはっきりしてきてるけど、これって良くないよね……?」


 すぐお隣でミコも信じたくなさそうな訝しい顔だ。

 もう一度、手元の現代的な紙質を二人でじっくり眺め直す。

 拠点を中心とした地図が脳に傷を負ったやつでも分かりやすく広がっていた。


「おかげでこのあたりの事情に対する理解が深まったな。ああもちろん悪い意味だ、これみんなに広めない方が気分的にいいんじゃないか?」

「うん……だってどこを向いても敵だらけだもん。みんなでけっこういろいろな場所を押さえたと思うんだけど、まだ全然序の口って感じがするよ」

「なあミコ。もしかしてここが未開拓のままぶん投げられたのってさ、ほとんどこれが原因じゃないか? 俺そんな気がしてきた」

「そうだよね、流石にこんな状態だったらこの世界の人達でも手が付けられなかったんじゃないかな……?」

「冒険者にありったけの信頼をよこしやがった理由も判明してきたぞ、そりゃぶん投げたくもなるわ」


 桃色髪の相棒の「うわあ」な顔で、俺はここらの実情を受け入れることにした。

 北にはクラングルまで通じる川が伸びて、ほぼ手つかずの丘陵地帯がながったるく広がってる。 

 東は馬鹿でかい森林地帯、西はゆるやかな土地がどこまでも続き、南とくれば小さな山々が立ちふさがって文明とは程遠いありさまだ。


「……クラングル周辺ってだいぶ穏やかな場所だったんだね。手つかずの土地に踏み込んだだけでこんなに大変なんて思わなかったよ」

「そういえばフランメリア全土には未開の土地がいっぱいあるそうだぞ。まさか全部こんな感じじゃないよな?」

「ちょっと考えたくないです……。フランメリアは都市部と外のギャップの差が激しいって聞いたことはあるけど、ここがまさにそうなんだろうね、うん……」

「どうして向こうであんな馬鹿でかい壁に覆われてるか少し分かった気がする。あれくらい派手に飾らないと駄目な世界なんだろうな」


 問題はこの地方のあちこちに立つ場所(ロケーション)である。

 ハナコ作のイラストが村だの砦だの表記しており、まだ知らないものだらけだ。

 例えば南西側へずっと進んだあたりの山に『採掘場』と名がつけられているが。


「現状、敵の数が分かっちゃうとなんか嫌だなあ……」

「ああ、しかも南の方に新種がけっこう混じってるのが目に見えてる。こんなに待ち構えてたのかよあいつら」

「魔獣もこんなにいるなんて思わなかったよ――あっ、ここってクエイクサーペントも生息してるんだ?」

「誰だそいつ、そんな可愛げがない名前はお友達じゃなさそうだな」

「えっとね、MGOに出てきた敵キャラだよ。大きな身体を振り回して攻撃してくるヘビの魔獣なんだけど」

「でっかいヘビの怪物が出るなんて聞いてないぞ。そういうの勘弁してくれよ……」

「だ、大丈夫だと思うよ? わたしたちがまだゲームの中にいた頃は、序盤のお金稼ぎでよく狩ってたような相手だったし」

「何も知らない身からすればヘビのの化け物って響きだけで満足だ。しかもなんだその大層な名前、序盤向けのネーミングセンスじゃねーだろ誰だ名付けたの――あれ、もしかして未来の俺?」

「ど、どうなんだろう……?」


 山のふもとには分かりやすく敵の名前とシルエットと添えてあった。 

 大きな四つ腕やのっぽの白い人型が表すのはコロッサスとゴライアスだ。

 離れの土地には【クエイクサーペント】と名のつく何かもあって、魔獣とやらの存在がぼんやり姿を見せてる。


「ここって白き民だけじゃなく、魔獣もいっぱいいたんだね……」

「都市から20km離れてこれかよ。やっぱり壁の中って恵まれてたんだな」

「人の手がついてない土地だからかな、クラングル近辺だったらワールウィンディアとかガストホグとか、そういう魔物が見付かる程度だったんだけど」

「ミナミさんがいってたけど魔物が俺たちにとってまだ利益がある方で、魔獣が面倒ごとしか持ち込まない害獣だったか?」

「うん、狩人ギルドの人達がそう定めてるみたい。魔獣っていうのは、わたしたちの暮らしや自然環境に悪影響を与えるもののことを示してるの」

「ってことはまた一歩前進したと思ったら、また厄介なやつらとお近づきになったってわけか。嫌な付き合いが増えたな」


 あまり喜べないミコの顔色が全ての答えだ、俺たちの周りには危険しかない。

 地図を信じるなら、森に山に川沿いと人気が離れるほど()()の存在感が増していく。

 さっきオリスが話題に出してくれた北西の森林地帯がそうだろう。

 その名もユルズの森。風車の町を何個も飲み込める規模がこう注意を促してる。

 【グラフティングパペット】と【ストライクリザード】に注意だそうだ。


「グラフティングパペットもいるんだ……半年前なのに懐かしいなあ」

「パペットってなんだ、人形でもいるのか? 言っとくけどホラーはごめんだぞ」

「――できる限りは調べたんだけど、近辺の白き民はともかく魔獣の所在に関しては正直情報不足だ。古い地図やアキ君が狩人ギルドから取り寄せた資料を頼りに探ったけど、ここから遠すぎたり森で隠れていたりと難儀しててね。特にその森は古い情報からその二種がいると推測するしかないものさ」


 新たな脅威を感じてると、ティーカップ片手のヌイスがすたすた混じってきた。


「ここに書いてある以外の何かが出るかもしれないってことか?」

「それ以上かもしれないし、それ以下かもしれないね。今使ってるドローンで見つけられたのはごく一部、あとは「百聞は一見に聞かず」さ。誰かが足を運んで調べてくれたら完璧だろうね」


 言うにはつまり、この新しい地図はまだまだ不完全ってことか。

 そしてオリスたちが調査してくれればちょうどいい、と噛みあいつつある。


「お近くの白き民の場所と戦力は割り出されたので、あとはどこかにいる魔獣に気を付けて気を引き締めてくださいってことか。ひどいセルフサービスだ」

「今一番気がかりなのはこの北西の森林地帯だよ、昔の情報通り生息しているのがグラフティングパペットにストライクリザードだけとは限らないんだ。ミコ君、どうしてか分かるよね?」

「えっと、マナが豊富だったり、魔獣にとって餌になるものがいっぱいあったらそこに住み着くようになる……からですよね」

「そうさ。例えばこのユルズの森とか言う場所は相当豊かな場所らしいけど、そこから鑑みるに他の種が居座るのにも都合が良くないかい? もしかしたら、白き民が潜む余地だってありえるだろう?」


 ヌイスは紅茶をに「後は自分の目で確かめるだけさ」といった澄ました顔だ。

 その現状一番不確定要素が強い場所を試そうとするロリどもがいるわけだけど、あいつらどうするんだ。


「その先の読めない森にさっきのチビエルフが腕試しと小遣い稼ぎのために行ってみたいそうだ。ついでにご一緒にどうだって誘われた」

「あのタイニーエルフの子がかい? ならちょうどいいかもね、この大きな森の現状が分かれば周辺地域の事情もだいぶ計り知れるだろうし」

「ちょ、ちょうどいいって……そんな場所にあの子たちを行かせるなんて、危ないんじゃないんでしょうか?」

「あいつら揃いも揃って軽々しく意気込んでたぞ。いくら白き民と魔獣の両方経験済みだからってそんな計り知れない森へ「はいどうぞ」とは言えないだろ」

「君たちの心配はもっともだけど、彼女たちは見た目幼女で中身成年の合法ロリでもれっきとしたヒロインさ。私としては、自信もついて自ずと赴く意欲の立った今を尊重したいかな? 何も引き際をわきまえられない新人じゃないだろう?」


 けれどもこいつはそのモチベーションを買って賛成といった具合だ。

 オリスたちの活躍ぶりは何度も目にしてるし、あんなちんまりしたなりでもMGOをよく知るヒロインなのは承知だ。

 そこにまだ見ぬ森の事情やこの頃の白き民のことを絡めると「じゃあどうぞ」と送りたい気持ちじゃなくなる。

 あとは個人的なものだ、何かと付き合ってくれてるロリどもが気に入ってる。


「確かにそうですけど、敵が魔獣だけとは限りませんよね……?」

「しかもキャロルたちの報告だと東の廃墟でもコロッサス級のやつが見付かったからな、だったら今後は新手が北方面にも現れたっておかしくない状況だ。今までの経験上、いざ森へ向かったらでかいのがお友達沢山連れて待ってましたなんてありえるだろ」

「うん、あの白き民を呼び出した灰色の何かも考えると……いつでもどこでも、わたしたちの想定を上回る数が出てくる可能性があるだろうし……」

「で、森を歩いてたら巨人とこんにちはなんてシチュエーションがあり得るわけだ」

「でもだからといって冒険者というフットワークの軽さをここで必要以上に遊ばせるのは非効率的さ。今だからこそもっと外へ向かうべきだと思うけどね」

「だからあいつらに行ってもらった方がいいってか。ところでこのユルズの森って原作にあった場所か?」

「あったら知ってる事全部話してたと思うよ。まったく知らない場所さ」

「だよな、もしそうだったら詳しい奴がいっぱいいたはずだ」

「ゲームにはないオリジナルの場所、っていうことになるね……」

「バケモンつきでな。呪われた森じゃないよな?」

「イチ君、君相変わらずそういうのが苦手なんだね」


 けっきょくそこまで話が進んで、行かせるかどうかでなお悩んだ。

 近場だけでもこうも敵だらけと考えると、万が一敵が来ても大丈夫な程度の戦力を残しておきたいのもある。


 ――がしょんっ!


 考えてるうち、横から弾けるような機械音が盛大に届いてきた。

 話も途切れるほどのボリュームだ。何事なんだと俺たちが気にすると。


『見たかタケナカ、一発で当てたぜ! 俺すげえ!』


 以前作った射撃場に騒ぎがあった。

 台座に固定されたあの『スコルピウス』の手前で、シナダ先輩がガッツポーズで喜びを振りまいてる。

 目標は100mほど先でちょこんと立たされたナイトの鎧である。

 仮想の白き民は腹の風通しを良くされて、見守る冒険者たちが拍手喝采だ。


『お前が一発で当てたことにも驚きだが、この威力もどうかしてるぜ。ナイトの鎧が弾け飛んでやがる』

『うーわ……右半分吹っ飛んでねえか。これだったら防具完備のコロッサスにも効くんじゃねぇの?』

『これならデカいのが来ても安心だろうよ。いいかお前ら、もう一度使い方を説明するが、左右のクランクをこっちに向けて回して弦を引け。絞り切ったら太矢を乗せて、狙いを定めたら下部にある解放レバーを引いて発射だ。一人でもできるだろうが原則二人でやれ、装填を考えりゃ三人だ』


 今朝口にしたように、タケナカ先輩が新兵器の使い方を広めてるようだ。


『こいつは一人で扱うには忙しいな、タケナカの言う通り分担して操作した方が良さそうだ。次装填するぞ、撃ちたいやついるか? 早いモン勝ちな』


 その言葉をなぞって、シナダ先輩の手がめりはりのある動きで次弾を装填した。

 本体左右についたクランクを忙しく回し、極太の弦がぎゅっと絞られる。

 あとは槍みたいな太矢を番えて、狙いを定めて横のレバーを引ききるだけだ。


『はいっ! セアリさんやりますっ! ミセリコルディアを代表して見事にヘッドショット決めてやりましょう!』


 そこまで準備して「誰がやる?」という表情に狼の手が上がった。

 ドヤ顔の似合う青毛な狼少女が取りついた。やるんだなセアリ。

 あいつは射撃場のどこかにスコルピウスの向きをあてがい。


『――そこっ!』


 がしょんっ、と景気のいい音でかっ飛ばした。

 コロッサスがぶっ放すよりもずっと勢いづいた矢は並んだ木の板まっしぐらだ。

 だけど外れた、セアリの「そこ」を越してぼふっとむなしく土煙が広がった。


『はい下手~、次団長ね!』

『ぐぬぬ……! セアリさんの真心込めた一撃がなぜ外れるんですか! 理不尽です、壊れてますよこれ!』

『やっぱ尻に栄養持ってかれてる子はだめだね、見てなよみんな当てるから!』

『誰がデカケツですかこらぁ!? いいでしょう、次は見事にこれで継ぎ矢してさしあげますよ!』


 今度はフランが割り込んで次を装填し始めた。何やってるんだろうあいつら。


「……二人とも、楽しそうだね?」

「俺たちにまだあそびとモチベがある証拠だな。朝からこんな余裕ぶっていいのか?」

「ああも精が出るならアサイラムはまだ無事だろうね。ていうかなんだいあの二人、仲睦まじく喧嘩してるけれども」

「いつもどおりです……あっ、セアリさんまた外してる」

「フランが煽るからだろ。もうちょい下狙えばいいのに」


 そんなやる気に溢れた光景を見て思った。

 勢いづいてる今だからこそ、もっと周りを()()()()べきか。

 地図を一目にかかれば白き民だの魔獣だのと敵だらけだ。

 いける場所はとことん攻めて、もっと脅威を遠ざけた方が安心できるはずだ。


『補給も行き届いとるし、士気も充実しとることはいいことじゃよ。このままもっとわしらの縄張りを広げたいところじゃが、ここんところお前さんら戦いっぱなしなのが不安なところよ。』


 そう考えを右往左往させてると、スパタ爺さんの一声が混ざった。

 ごろごろという音もだ。樽ボデ……ドワーフの強靭な肉体が樽を転がしてきた。


「ちょうどよかったな、俺もみんなで目につく場所片っ端から制圧すればいいんじゃないかって思い始めてたんだけど」


 ごろっと受け取った。粘土の高い何かを感じる。

 が、送り主は俺の考え方にはやんわり否定的な首の振り方で。


「わしもそんな気持ちよ。しかしこの様子じゃと、まだ大規模な攻勢に打って出るのは無理じゃろうなぁ……」

「どうしてだ、向こうで元気にやってるだろ?」

「ちと考えてみ? わしらここに来てからなんやかんや、ずうっと戦っとるよな?」

「ああ、俺はまだやれるぞ」

「お前さんだとかノルベルトの坊主あたりならそりゃ平気じゃろうよ。けどな、あれから何度交戦したか覚えとるか?」


 しまいに向こうの様子にどこか心配してる。

 言われてみればそうだ、アサイラムに本腰を入れてから戦いっぱなしだ。

 俺たちはエーテルブルーインとの遭遇に、アサイラム()()()に、書店のテュマー退治に、ガソリンスタンド制圧に、先日の新種の遭遇と、なかなか濃厚な時間を過ごしてる。


「徳を積んだ回数ならエーテルブルーインから新種のやつらの時まで覚えてる、ここに来てから五回だったっけ?」

「わ、わたしたちが来るまでそんなに戦ってたんだ……?」

「ミセリコルディア目線でも多かったか?」

「戦い過ぎだと思うよ、武器を手放したら死ぬ病か何かなのかい?」


 思い返せば戦い続きの日々だった。するとスパタ爺さんは射撃場の集まりを見て。


「うむ、いっぱい徳を積んどるな。して他の連中はどうよ? 追加で送られてきたやつらも組み込んでローテーション作って休みも挟んどるとはいえ、けっきょくわしらは敵だらけの土地に放り込まれて戦い続けとることには変わりないのよ」


 と、俺たちの置かれた状況について触れてきた。


「今のところは調子よく勝ってるな」

「そこは喜ぶとこじゃないぞ。一見どいつもこいつも精力的に見えるかもしれんが、内面的な疲れは溜まっとるぞ」

「つまりスパタさんが言いたいのはストレスだね。ああも活発そうでも、目に見えない疲れは溜まるものさ」

「そゆこと、ストレスよ。今はまだああして余裕でおられるけど、わしの見立てじゃ翌日ぐらいにはそろそろ根を上げ始めると思っとるよ」

「というか、きたばかりの新米の人達には刺激が強すぎると思うよ。今まで安全だった都市から飛び出してここにいるんだろう?」

「この前駆けつけてくれたやつらもいきなり攻め込まれてる場面に出くわしとったからなあ……いい加減どっからか気の疲れも浮かんでくる頃じゃぞ」

「実はわたしたちも、別の依頼が終わって間もなく急いできたんだよね。エルさんもフランさんもセアリさんも大丈夫そうだけど……」


 けれども話にされた通りだ、アサイラムの日々は濃厚すぎる。

 安全なクラングルの環境から物理的にも心理的にも遠くかけ離れて、周りも敵だらけとなればもはやここは最前線だ。


 つまり日常とのギャップの差が一番激しい場所だと思う。

 その負担は新米の肩にはずっしりのしかかるだろうし、タケナカ先輩みたいな腹の据わった人柄にもじわじわ届くかもしれない。

 初日から戦い続けてるオリスたちもそうだ。今は大丈夫でもいつ響くか分からない。


「つまりみんなストレスが溜まってると。でも俺ならまだいけるぞ」

「いやそういう問題じゃなくてね? なんやかんや戦い続けてけろっとしてるのは君だけだと思うよ。君はもうちょっとこう、戦闘時のストレスだとかそういうのに気を配った方がいいよ」

「い、いちクンなら大丈夫かもしれないけども……みんなの心の状態がちょっと心配かな。クラングルから遠く離れちゃってるし、周囲が敵でいっぱいだと気が休まらないよね……」

「この頃のお前さんらのことは信頼しとるが、やはり精神的な疲れってのは容易く解けるもんじゃないのよ。余裕があるうちに大きく休ませとくべきじゃろうなあ」

「ストレスなんて戦えば発散できるだろ」

「それ、いちクンだけだと思います……」

「それは君だけの特権だね、なんて恐ろしい子に育ったんだ」

「ウェイストランドに染まったやつは気が頑丈になっとるのう。まあ、そうじゃな、今日のところはもうひと頑張りしてもらうとして、明日にはいっそ全員ひとまとめに休養させようと思っとるよ。なんなら今まで順調に進んだ分、二日連続で休ませて希望者は都市まで一旦戻ってよいことにするのもありじゃな?」

「今日でいい感じに区切れるかもね。見た感じ、依頼が張り出された当日から残ってるメンバーの顔色に少し疲れがあったし、一度大きな休みをとって仕切り直すのはいい判断かもしれないよ」

「ぶっちゃけ後方のやつらの負担も増えつつあるのよ、考えてみりゃうまくきすぎてちょいと急ぎ足すぎたかもしれん」


 ならばひとまず今日は頑張ってもらって、明日には大胆に休もうかという話だ。

 それで不安が消えるならいいけど、果たして敵だらけの地でそんな悠長にしてもいいんだろうか。


「えーと、つまり今日頑張ったら明日はみんなお休みですってことか? 白き民の新種が確認されて間もないのに?」

「そうじゃぞ。思うにあやつらはしばらくこっちに攻め込むこたーないと思うしな」

「なんでそう言いきれるのか教えてくれ」

「お前さんの見た灰色のやつなんじゃが、突然何もない場所からいきなり仲間呼び出すっつーいんちきなことしでかすくせに、戦力を逐次投入して全部やられちまったんじゃぞ? ありゃ戦い慣れとらんわ」

「そうだね。そもそもそんな真似ができるなら、手に持ってるものを全部アサイラムにつぎ込めば終わるはずさ。恐ろしい選択肢だけれども、なぜだか向こうはそれを選ばなかったんだよ?」

「……あの灰色、いちクンに撃たれて引っ込んじゃいましたもんね」

「あやつらもたいそう派手なことしてくれたが、けっきょく手駒も持て余して逆に全滅させられた挙句、お偉いのが(えれ)えやつに狙撃されたっていう馬鹿な話よ」


 スパタ爺さんにヌイスも、いやなんならミコすら明日の休養の理由に「大したことないから」とでもいいたげだ。


「なるほど、だから大胆に休んじゃえと?」


 一応、話題を上げた本人に確認してみた――ゆっくり頷かれた。


「このまま目につく場所片っ端から制圧しちまってもよいが、あんまり急に伸ばし過ぎればかえって足がもつれるからのう。敵の有無や規模が分かって、こっちの手札も増えてかなり余裕ができてるからこそじゃよ」

「それに君たち、あんなものを初見で壊滅させて犠牲者ゼロで涼しい顔して帰ってきたじゃないか? この実績があるだけでだいぶ違うものさ、仮に来られても対処できるほどの余裕をもたらしてるはずだよ」

「お前さんらの活躍がそんだけここを支えとるってことじゃな。ここは無理せず、輝かしい活躍にあやかって少しばかり安息の時間を設けりゃみんなの士気も奮い立つじゃろう」

「ま、私とスパタさんがいいたいのは『今だからこそ』だね。みんなちょっと頑張りすぎだし、パフォーマンスを上げるためにも一度足並みを大きく止めるべきさ」

「一旦冒険者たちの統制を仕切り直したいってのもあるがな。もし敵が来ても明るく出迎えてやらあ、そん時はあそこで楽しそうにぶっ放してる【スコルピウス】の出番よ」


 白衣とドワーフな二人にそう言われると、また「がしょんっ」と発射音が聞こえた。

 ミナミさんが「っしゃー!」と張り切ってた。巨人サイズの的に大当たりだ。


「クールダウンするにはいいタイミングってことか」

「わたしたちが来る前からだいぶいろいろあったみたいだし、身体を休める他にも気持ちの整理とかも大切だよね……うん。それなら思い切って休んじゃったほうがいいんじゃないかな」

「攻め込まれてもエグゾも戦車もあるしな。愉快な休日になりそうだ」


 ミコもなんだか納得したような仕草だ。ならこの提案に乗ってもいいかもな。


「どうせわしらは正規の軍隊だとかそういう堅っ苦しい連中とは違うんじゃ、そこんとこ忘れんなよ」

「まあ、こんな場所で堂々休める剛の者だらけの場所ってことでどんと構えればいいんじゃないかな――なんだかウェイストランド臭くなってきたね、ここ」

「今スティング思い出してる」

「……そういえば向こうってこんな感じだった気がするよ」


 そういえばスティングでも、目と鼻の先が敵だらけなのに酒は飲むわ肉は食うわぐっすり寝るわと堂々たる自由を謳歌するやつばっかだったな……

 ウェイストランドの気風がこの世界を侵食してる気がする。


「思えば我々は銃弾と砲弾飛び交うスティング・シティでも悠々自適にしておりましたなあ? いやはや、一昔前の出来事に感じますぞ」


 俺たちの話に一区切りがついた瞬間、どこからかアキが現れた。

 あっちの世界に思いを馳せつつご機嫌に紙包みの箱を手にしてる。


「だからってここがあそこみたいになるのはごめんだぞ。いきなりなんだアキ」

「ご覧のとおりです、クラングルからお菓子とご報告を持ち帰ってきましたぞ」

「一緒くたにするってことはどうでもいい報告なのか?」

「市から追加の支援があてられるという土産話ですな。新種の白き民の情報に、それを皆さまが撃破したとなれば報酬額を一日あたり2000メルタ増額するとのことです」

「また増額か。この土地の価値が段々上がってる感じがする」

「おそらく食指が動いちゃったんでしょうなあ……冒険者ギルドからも信頼できる人員をただちに派遣するそうですぞ」


 また一つ後ろからの支援も手厚くなったそうだ。

 正直2()0()0()0()()()()の報酬アップよりも人手が増える方が嬉しい。


「信頼できるやつらね。いっそのこと向こうに控えてる冒険者を片っ端から連れてきて、頭数増やして白き民に当たれば楽勝なんじゃないか?」


 でもふと思った。冒険者を手当たり次第集めて敵に当たれば勝てるんじゃないか?

 いざ口にはしてみたものの、アキは「確かにそうですなあ」と眼鏡を上げて。


「けっきょく戦いとは数ですからなあ。私もイチ殿の意見は至極当然でありまっとうなものだと思いますが」

「そう言うなら次はこうだ。じゃあどうしてそうしないんだ?」

「それが複雑なものなのですよ。まずそうですな、そもそもここはどのような背景がある場所かご存じでしょうか?」

「なぞかけからスタートするぐらい複雑な事情でもあるのか」

「ええ、実に」

「ああそう。フランメリアがすっごい栄えてた時、アバタールくたばってみんなテンション下がってぶん投げられた開拓地だろ?」

「その通りですな。この土地の数々の廃墟は本来であれば、フランメリアが富み栄えたに違いあるまいという証拠です。ではどうしてここに新たな人の営みを作ろうとしたかはわかりますかな?」

「まさかフランメリア人視点からして魔獣やら戦う相手に困らないから居心地がいい、とかいわないよな」

「あっはっは、それもありますあな」

「今のは冗談で言ったつもりだ。あんな森の中に市街地作るようなセンスがどこから来たのか少し理解できた気がする」


 あいつは何やら複雑なものを語りたさそうな調子で触れてくる。

 するとミコが「それもあるんだ……!?」とフランメリア人の品性を疑いつつ。


「クラングル方面と比べて資源が豊富にあるから、かな……?」


 今の冒険者たちに最適化された地図をそっと指で示した。

 細い人差し指が妙にあてはまった。

 各地には集落から砦まで、勝手な人の営みが当時の勢いだけをよく残してる。

 ところが採掘場だの伐採場だの、ここの豊かさにあやかろうとする魂胆がけっこうあった。


「その通りじゃなあ。昔の地図を見るに当時の連中は気づいて、この資源豊富な土地を開拓せねばと意気込んどったのかもしれん」

「このユルズの森とかもそうですよね。ざっくりですけど何が採取できるか、とかも書いてありますし」

「人の手が十分に回っとるクラングル方面よか恵まれとるのう、手つかずの鉱山もあんぞこりゃ。まあ問題は白き民に魔獣と、そういう厄介者がえらく敷居を高くしとるせいで気安く触れられないもんになっとるんじゃが」

「昔の人達、こんな危険な場所を拓こうとしてたんですね……それにしてもちょっと無理矢理すぎると思いますけど」

「……なんかお前らのコメントのおかげで思ったんだけど、なんていうかこう、アバタールがいなくなったことよりずっとデカい問題があったんじゃないか? そんな気がする」

「ふむ……数えてみたけど資源の数が尋常じゃないね。これならたとえ危険だらけでも、居座る価値はいっぱいあるだろうしねえ」


 俺たちがそうやって地図を囲えば、アキは紙一枚に呆れのこもった見つめ方だ。


「実際は『皆で同じ足並みを』などと一枚岩とはいかないでしょうな。ものの見方を変えれば、この後先考えずに乱立した建造物もうまみのある資源をいち早く独占しようという()()()にも感じませんか?」


 その口ぶりも重ねてみれば、仲睦まじい開拓じゃなかったのかもしれない。


「まあそんなものじゃないかな。この泥沼の上にお城を建てるがごとくの勢いは、純粋な開拓に対する意気込みよりも現金なものが絡んだ競い合いの方が当てはまるよ。古い地図に書かれた情報からすると、資源が取れる場所に居住区域がだいたい付きまとっているのもそういうことさ」


 ヌイスも地図を通じて当時の事情を考察してる。

 もしそうだとすれば、その小競り合いむなしく全てとん挫したわけか。


「おい、まさか昔のやつらは金稼ぎのためにチキンレースしてたのか?」

「そ、そういう思惑があったんだ……?」

「うーわ、血の気盛んなやつらが多かったその昔を考えるとありえるのう……」

「それも踏まえてもろもろの事情が積み重なった結果でしょうなあ……新たに快適な住まいを求める者、まだ見ぬ土地に思いをはせる者、それに商機を見出した者、便乗する場所もまた山のようにありますゆえ」

「いや、でもねアキ君? どうもこの未開拓地は国の後押しもあったからこそ成り立ってたみたいじゃないか? つまり国益を考えて資源を獲得しようとしていたことになるけど、それを指導者一人の死でこうも「じゃあ解散」みたいに見逃して良かったのかい?」

「また複雑なものが絡んじゃうんですなあ、これが……」

「これ以上複雑になるのか? 勘弁してくれ」

「もう充分にこじれてるよ。どんな理由だい?」

「確かにこの地を拓こうと希望者たちを支援しましたが、開拓者アバタールの死がもたらした影響が強く影響しておられるのはご存じでしょう? 当然それが事の根幹ですが、まずスポンサーに数多の魔女様たちが絡んでいたのが大きいですな」

「なるほどね、こうも大きく動いたのはそういう方々の後ろ盾があってこそか」

「ええ、資金の提供から人智を超えた魔法による助力まで至れり尽くせりですぞ。しかしけっきょくはそれも彼がいたゆえの恩恵、唐突にあのような結末となれば、開拓を支えていた彼女たちも興を削がれるのも当たり前でしょうな」

「そして魔女とやらの後押しもなくなってこんな場所で立ち往生したわけか。勿体ない話だよ」

「まあ、さほど未練がなかったのもぶっちゃけ国のお財布がそんなに痛んでないのもありますなあ。開拓事業の成分の八割ほどは魔女様たちの伊達と酔狂さみたいなものですし」

「あのね君、イチ君の前でそれいうかい?」

「わざわざご本人に世知辛い事情を教えてくれてどうも。要はぶん投げるのも良心も痛まなかったんだな」

「そんなあんまりな理由で諦めちゃったの……!?」

「んで、フランメリアは長い停滞期に入ったわけじゃな。まったくひでえ話よ」

「いやあ、魔女の方々も総じて萎え落ちしちゃったようですなあ」


 この舞台は未来の加賀祝夜が魔女とやらと紡いだ縁によるものだそうだ。

 アキの口から馬鹿げた理由も明かされたが、あいつは「それゆえですぞ」と始め。


「さて、それでは先ほどのイチ殿の質問にお答えしましょうか」

「なぞかけどうも。じゃあなんで冒険者ラッシュかまさないのか話してくれ」

「すなわち、ここには当時から変わらず豊かな環境がそのまま残っているわけです。それが巡り巡ってまた開拓する機がこうして現れたのですから、我が国は()()()()やり遂げると意気込んでいるのですよ」

「俺見てそんなこと言うってことはマジだろうな。じゃあそれがうかつに人を呼べない理由とどうかかわるかって話だけど」

「あれこれ見境なく招いてしまっては、その無秩序さがせっかくの豊かな地にどう影響するか心配になるでしょう? それに現状、我々が掴み切れぬ人の数は必ずよからぬ事故を起こしますぞ」

「なるほど、つまり国の利益ためと俺たちへの心配で半々ってところか?」

「いやはや実にその通り。厳しいことを申し上げますが、あなたがた旅人は国民ではなくあくまで外からの流れ者なのです。そのような方々に土地を奪われるようなことは避けたいでしょう?」


 にっこり笑顔でどうして冒険者が流れ込んでこないかも理解させてくれた。

 余所者に国の土地をくれてやるつもりはない、という根本があるそうだ。


「そうじゃよなあ……フランメリアは余所者がどんだけ金払おうが土地はくれてやらないって決めとるぐらいじゃしし。確か厳しい条件をきっちりこなして国民になるか、国に多大な利益をもたらした超重要人物として指定されんと買えないんじゃよな」

「国家が外から土地を守るのは当たり前のことだからね。まあ、その割にはものの見事に土地丸ごと打ち捨てられてる有様だけど」

「まあなんです、ここにいる()()()()()冒険者と狩人の皆様で秩序ある土台を築き、再びの発展を願うばかりでございます。納得していただけたでしょうか?」


 なるほど、信頼できる冒険者っていうのはそういうことか。

 こうして話してくれたおかげで俺たちの地位も良く分かった、無秩序に土地を荒らす馬鹿はお断りってことだ。

 俺たちは活躍しようが昇級しようが揃いも揃ってまだまだ余所者(ゲスト)か。


「そうだな、まずこの地図見てよからぬ事故が起きそうだと思わないのか」

「特に南の方でなんか起きちゃいそうですなあ。そこはこう、ドワーフの皆様の技術力とか、ストレンジャーズのパワフルさで安らかにしていただければ……」

「まさかと思うけどアキ、輝かしい開拓地としてリスタートさせろとか言わない?」

「あっはっは、実は【冒険者の地アサイラム】などと勝手ながらにも土地のうたい文句を考えていたところですな。つまりそういうことです」

「冒険者がいいように扱われてるのがよーく分かった、しかも俺が深く関わってるならもう断りようもないだろうな。説明ありがとよこの眼鏡エルフ」


 やりかけの開拓を担わせるついで、ここで活躍して土地に箔をつけろってことらしい。

 アキはそう軽々しく言うと、実に軽やかな足取りで食堂へ向かった。


「――ここだけの話ではありますが、無事にこの地が平定された暁にはアサイラムの権利はあなたにゆだねられるでしょうな? 何せ我が国もそれを支える魔女たちも、皆それを望んでおりますゆえ」


 ところが「お茶もらってきます」と物語る仕草が一言付け足してきた。

 いや待て、今なんつった。ここをゆだねるだって?


「おいアキ、俺の脳が元気なら「ここをくれてやる」って聞こえたぞ」

「正しくは「また開拓に励んでください」でしょうなあ」

「え? マジで言ってる?」

「はっはっは、マジですぞ。その際のアドバイザーは私が勤めますゆえ、どうかこれからも末永くよろしくお願いしますぞ。さてシンゲンモチなるものを買ってきましたので、さっそくムツミ殿にお茶を淹れてもらいましょうか」


 この世の真実ほどじゃないが、それにしたってとんでもないセリフだ。

 「マジ?」と周りに気にかけた。特にミコがびっくりあたふたしてる。


「い、いちクンがここを任されるってこと……だよね? すごいことになっちゃってるような……?」

「この場合は任されるというより、彼のおかげで再び舵を切れたというべきかもね。いや、えらいことになってるのは変わりないと思うけど」

「わはは、こいつはいいこと聞いちまったぞ! もしお前さんがここの主になったらわしらと共に近辺の鉱山いただかんか? そんでドワーフ族を東の地からこっちに進出させて……夢が広がりまくって飛ぶわこんなん!」


 『開拓者イチ』の運命が決まったせいでこんな三者三様だ。

 スパタ爺さんなんてここでドワーフを栄えさせる気満々だ、どうなるんだろう俺の人生。


「白き民の新種よかよっぽど深刻だな、おかげで気楽になったよ。マジでありがとうクソッタレ」

「そう深刻に考えんでもよいぞ。アキのやつはああ言っとったが、第二のアバタールとなりゃこの土地をどう使おうが誰も文句言えんじゃろう。というかその妙な力で好き放題いじれるとなりゃ、もはやその主導権はお前さんだけのもんさ」

「じゃあ螺旋階段名物にするかー!!」

「いちクン待って、どうしてそこで迷わずそんなこと言えるの!?」

「私はいささか人選ミスを感じるんだけど、もうしょうがないよね。おめでとうイチ君、ここに立派な高層ビルでも建てたらどうだい?」

「わし近辺に第二第三の鉱山都市作りたい! 鉄道巡らせちまうとか考えちゃったぞ、作ったことねーけど!」


 もういい、未来永劫フリー素材として扱われるなら俺だって自由にやってやる。

 その前に足元に転がったままのタルをどうにかしよう。

 丁重な紙の説明文に『廃糖蜜』とある。


「ひでえ人生だ。ところでこの樽なーに? お勤めの時間?」

「火薬ちょーだいってやつじゃな、ステーションにお前さんの大好きな甘いもんやら届いとるぞ」

「別に好きになった覚えはないぞ。オーケー、どんどん作るから運んどいてくれ」

「お前さんはもはや火薬を司る神じゃよ。それからイチ、さっきユルズの森とやらに行くとか言っとらんかった?」

「行くとまではいってないぞ、オリスに誘われただけだ。それがどうした?」

「いやな、この【グラフティングパペット】ってのに用があるんじゃよ。もし誰か行くなら様子を見てくるついで、そいつの素材を持ち帰って欲しいんじゃが」

「なんだと思ったら爺さんのおつかいかよ。依頼のご指名か?」

「そういうことになるかの、どうせお前さん待機組じゃろ? ちびどもに誘われたんならお守りついでにちょいと取ってくるってのはどうじゃ? もちろん金は払うぞ」


 で、どうもスパタ爺さんは俺にユルズの森へいって欲しいみたいだ。

 木樽いっぱいの糖分を分解して少し考えて、悩んだ末にオリスを探すことにした。


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