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魔法の姫と世紀末世界のストレンジャー  作者: ウィル・テネブリス
Journey's End(たびのおわり)
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21 バーベキューとデイビッド・ダム

 昼を過ぎ更に夕方、ファクトリーは一段と賑やかになった。

 ご機嫌なマダムが職人たちを働かせて食事を作らせたからだ。

 今やそこらじゅうで『ピットマスター』とか呼ばれる連中がバーベキューグリルを使って肉を焼きだしていた。


「……おにく」


 当然ニクは反応した。じゅるりしてる。

 俺だって肉の脂が混じった炭焼きの香りのせいでひどく腹が減ってしまった。


「本日はファクトリー特製の肉料理を提供中だ! お値段はマダムへの感謝でいいぞ! 品切れになる前に早く取りな!」

「付け合わせのパン、ピクルス、豆料理はこっちだ! じゃがいももあるぞ!」


 特にやかましい場所へ近づくと、急ごしらえのブースが俺たちを待っていた。

 そこに立ってる野郎どもが背後で焼けている肉を提供してるらしい。

 旅人だろうがトレーダーだろうがここの住人だろうがお構いなしの振る舞いだ。誰もが肉を食らってる。


「買い物してたらいつの間に肉食う行事が執り行われてるぞ、どうなってんだ」

『人がいっぱい集まってるね……それにこの匂い、すごく美味しそう……』

「ご主人、お肉」


 いきなり視界に入った肉だらけの光景に立ち止まり(そしてニクにくいくいされながら)様子を眺めてると。


「おや、この匂いにつられてきたのかい?」


 マダムがのしのしやってきた――肉だらけのプレートを抱えてだが。

 プラスチック製のそれに焼かれた肉が要塞を作っていた。

 スパイスを効かせた薄切りの肉、こんがり焼かれてカットされたソーセージ、黒い焼き目とほのかな赤色を覗かせる馬鹿みたいに大きな肉塊。

 添え物は直接盛られたピクルスにスライスされた玉ねぎに焼いたじゃがいもに……情報量が多すぎる。


「マダム、それなんだ?」

『す、すごい量ですね……?』

「なんだって? 私の晩飯さ。今日は臨時収入がたんまり入ったからね、ファクトリー恒例の月に一度の大盤振る舞いってやつだよ」


 ふっくらした巨体は「月に二度目になっちまったがね」と豪快に笑ってる。

 そこらへんに作られた席にどんと座ると、そんなえらい量の食事にありついたらしい。

 うまそうに食べながら俺たちにも取って来いと促してる――行くか。


「あの人、あれ全部食うつもりかよ……」

『一人で食べちゃうんだ……』

「ご主人、お肉……!」


 ニクにも引っ張られて急ぎ足になるように向かってしまった。

 ブースの一つに近づくと先客が料理を受け取ってるところだ。

 そこでクラウディアがいい笑顔でプレートを抱っこしていて。


「イチ、見てくれこのご馳走を。肉がいっぱいだ!」


 ドヤ顔で積み重なる肉の数々を見せてきた。マダムに負けない量だ。

 申し訳程度に添えられたバンズの数々と焼かれたじゃがいもが潔い栄養バランスを織りなしてる。


「……気を付けろ、こいつらは栄養学だとかそういう概念はないみたいだぞ。それと遠慮と容赦という言葉も辞典にないようだ」


 その後に顔色悪く続くクリューサもいた。医者の体調を無視した盛り具合だ。

 しかしダークエルフにけしかけるつもりか絶望は深くない。向こうから「顔色悪いぞ、一杯食え」と職人が語りかけてる。


「よう、ストレンジャー。もちろん肉だよな?」


 そして俺の番がやってきた。しかも第一声は『肉』だ。

 ここらしい清潔な衣装を煙と汗で濡らした兄ちゃんが笑顔で待ち構えてた。


「いったい何が起きてるのか少し混乱してるところだ。なんだこの肉祭り」

「何って、ファクトリーじゃ商売繁盛を願ってたまにこうやって肉を食うのさ。来客にも振舞ってみんなで肉を楽しむんだ」

「そりゃ豪快なお祭りなことで」

「ほんとは月に一回程度なんだけどな、今日は収穫が山ほどだから臨時の『もう一度』だ。ここんところ俺たちは良く儲かってるぜ」


 肉焼き男はそばの倉庫を眺めて機嫌がよさそうだった。

 中ではまだごうごうと機械の音がするが、今頃傭兵崩れがもたらした材料が加工されてるはずだ。


「おっちゃん! このソースおいしいですの! 何使ってますの?」


 ……そしてリム様もしれっとその後ろにいた。

 とんがり帽子をかぶったあの姿が開放的な調理場をうろうろしてる。


「おっちゃ……いや、そのソースは秘伝のレシピってやつさ。でも作り方を公開してるからそうでもないか」

「上品な酸味を感じますわね、酢でもなければ柑橘類でもない……何かしら?」

「魔女の嬢ちゃんは味覚に恵まれてるな。そいつは変異したクランベリーを使ってるんだよ」

「クランベリー?」


 リム様の疑問に肉の兄ちゃんは「見せてやれ」と仲間に伝えたようだ。

 アホみたいに大きなコンロに向き合っていた誰かが段ボールいっぱいの赤色を見せてきた。

 握りこぶしほどの赤色を見せる何かだ。葉っぱの緑が添えられてなければボールと勘違いしたかもしれない。


「北の方じゃこういうベリーが嫌というほど繁殖しててな。妙に甘くて酸味もあってうまいんだが、こいつがバーベキューソースの材料にうってつけだ」

「ちょっとしたリンゴみたいですわね。匂いは弱いけれども果肉が詰まっている質感が伝わりますの」

「その通りだ。だから北部の料理には欠かせない素材さ、欠点はガイガーカウンターがちょっとカリカリ言う程度だが良くとれるし栄養もあるぞ?」


 そんなやり取りを見てるとリム様がさっそくかじった。しゃりしゃりいってる。

 甘酸っぱそうな顔になった。料理にどう使えるか思案してる感じだ。


「――で、どうだい? 腹減ってるだろ?」


 そしておっちゃ……お兄さんは「いっぱい食うよな?」と期待してきた。


「ん、いっぱいください」

「おいわんこの嬢ちゃん、俺は子供でも容赦はしないぞ?」

「くるならこい」

「言いやがったな? 待ってろ、上等なやつくれてやらぁ」


 わん娘がご主人より早く食いついてしまったようだ。

 勝負を挑まれた肉焼き男が後ろに指示を出すと、てきぱきと料理が盛られるのが伺えて。


「うちじゃ客を見て何を出すのか決めるならわしだ。ファクトリー関係者の伝統だが、文句はないよな?」


 プラスチックプレートが運ばれてきた――肉まみれだった。

 解した肉と焼かれた肉とソーセージとピクルスだけのクソ正直な顔ぶれだ。


「お肉……!」


 ニクは幸せそうだ。先にどうぞ、と促すとマダムの方へ向かった。

 どうかイロモノは来ないで下さいと祈りながら男に立ち会うと。


「おいおい心配するなよストレンジャー、あんたが不死身だからって死ぬほど肉を食わしたりはしねえよ」


 笑われた。不安が表情に出てたらしい。


「こりゃ失礼、肉を見て不安になったのはこれが初めてだからな」

「客に味わってもらうのが生きがいだ、変な押し付け方はしないのもまたポリシーさ。おい、ストレンジャーに『スペシャル』くれてやれ!」


 ご理解はありがたいが、続く言葉の持つ特別性は果たして安全なのやら。

 調理場を少し心配しながら見ると、プレートに次々と肉やらが盛られていた。


「オラッ! じゃがいも喰らえッ!」

「おい魔女ちゃん、勝手に芋添えるな」


 ……あと芋も。魔女謹製のフライドポテトがひどいことになってる。

 いいチームワークであっという間に完成だ。慎重に運ばれてきて。


「待たせたな、まあ不慮の事故もあったがこいつがお前の飯だ。おかわりが欲しかったらいつでも来いよ?」


 どん、とブース上にそれは置かれた。

 豪快な夕食だ。プレートの底が見えないのだから。

 両手で抱えるほどの広さの上には野郎どものロマンが詰まってる。

 具体的には肉とパンとじゃがいもとピクルスと玉ねぎとマカロニアンドチーズ。一日分の食事だろこれ。


「……あいつら俺のこと化け物か何かと勘違いしてらっしゃる?」

『こんなにすごい量のご飯、この世界に来て初めてだよ……』


 なんなら重みだってただならぬそれを手に席についた。

 そばにはマダムとニクが美味しそうに味わってる場面がある。


「よく食べるじゃないか坊や、やっぱりストレンジャーっていう名前に恥じないね」


 大分量を減らした奥様はにっこりだ。まだ手すらつけてないんだぞこっちは。

 隣を見ればニクが目を輝かせて耳も立てて尻尾もぶんぶんさせての大盤振る舞いだ。かなりうまいらしい。


「どうだいグッドボーイ、うちの飯はうまいかい?」

「マダムさま、これすごくおいしい……!」

「そうかい、そんなにがっついてくれてうちのピットマスターどもも喜んでるだろうさ」


 今日もわん娘は食欲旺盛だ。犬の手で鷲掴みにした肉をがぶがぶしてる。

 俺もならって――いやどこから攻め込めばいいんだこれは。


「ミコ、俺はじめて出された飯を見て命の危険を感じたぞ」

『……無理して全部食べなくてもいいと思うよ?』


 骨つきのブリスケットが真っ黒な表面と、薄桃色混じりの鮮やかな断面を見せたまま大部分を占めてる。

 解された豚肉がソースたっぷりに小山を作り、人を殺せそうなポテトが山盛り。

 クリューサの言い分が分かったよ。骨を掴んで肉にかぶりつく。


「……うまいなこれ!?」


 いや、うまかった。噛めば骨に沿って肉汁と脂がぼたぼた落ちるほどだ。

 少し噛んで飲み込めるほどに柔らかいし、スモークの効いた味だっていい。

 物言う短剣を刺しながら食らった。あの男の判断は間違ってなさそうだ。


『ほんとだ、おいしい……!? 肉が柔らかくてほのかに甘い……!?』

「気に入ったかい、あんたら? ファクトリーってのは何も武器防具だけを作ってるだけじゃないのさ」


 職人どものボスはいい顔で肉を飲み込んでる。プレートの上は骨だらけだ。

 ニクだって骨ごとバリバリ食らってた。ダウナー顔に野生丸出しである。


「フハハ、よく食うではないかイチよ。よほどうまいようだな?」


 こっちも人間性を忘れて肉にかぶりついてると、ノルベルトがお隣にやってきた。

 オーガらしいサイズがくるのかと思いきやそうでもなかった。肉と炭水化物と野菜がバランスよくてんこ盛りだ。


「そのよほどだ。絶対気に入るぞ」

「ほう、飢渇の魔女殿の料理よりもか?」

「ああ、たぶんリム様も気に入ってると思う」


 手が止まらない。プルドポークとマカロニアンドチーズをバンズに挟んで食らった。

 肉汁とソースで手がべたべたになるがやはりうまい。ノルベルトも「おお……」とうなるほど味わってる。


「いやはや、美味なものですな。エルフの戒律を破って良かった理由が人生にまた一つ刻まれたようです」

「これフランメリアでも食べれるっすかねえ? うち気に入ったっす~」


 気づくと眼鏡エルフとメイドも座ってた。ナイフとフォークが止まらないらしい。

 わん娘と仲良く獣のごとく貪ってると。


「……ニク君、骨をぼりぼり食べてるようだけど大丈夫なのかい? いや消化できるできないの話じゃなくて、口の中怪我したりしないか心配なのだけど」


 料理を抱えた白衣姿が過っていった。デザートらしき切り分けた赤いパイがいっぱいだ。


「ん、大丈夫。一度も怪我したことない」

「ワイルドなわんこもいたものだね。そのご主人も中々に獣さながらに食らってるけれども」

「流石に骨までは食わないから安心してくれ。ところでそのパイどうした?」

「変異したクランベリーのパイだってさ。今なら紅茶もついてくるよ」


 ヌイスはパイに埋もれるようになったマグカップを見せつけてから行ってしまった。

 紅茶という単語が走った時点でなんだかある種の予感を感じていたが。


「――紅茶はいかが?」


 ほらみろきやがった! カップを手にした女王様が現れた。

 脂でべっとりの手で「けっこうです」と払うと笑顔で紅茶が置かれた。なんだこの組み合わせは。


「そういえばあんたら、デイビッド・ダムまで行くみたいだね?」


 ピクルスに手を付ける頃、マダムが伺ってきた。

 空っぽになったプラスチックトレイに満足そうにしたまま北の方を見てる。


「ちょっと用があるんだ」

「あんな場所に何かあるのかい? あのダムは取るもん取られて貯水槽ごと空っぽだよ」

「その何もないダムまで行くのが俺の任務でね」

「そりゃご苦労だね。えらい遠回りしてお仕事しにきたみたいじゃないか」


 感心するマダムに「確かにな」と顔で訴えながら酢漬け野菜を食らった。

 ところが酸っぱくて辛い。しまった、ハラペーニョだこれ。

 慌てて救済を求めるも手元には紅茶しかねえ。べとべとの手で飲んだ、甘くて渋い。


「遠回りこそが正解だった気がするよ。そうじゃなきゃ俺の先輩どももこの世に戻らなかったはずだろうし」


 大分かさの減った料理にまた手を付けると、マダムは納得したような顔で。


「そう思えるなら坊や、あんたはきっと正しい道でやってきたのさ」


 いい笑みを作ってきた。食後の紅茶(女王によるテロ)と洒落込んでる。


「ああ、結果的にこんなご馳走にありつけるんだからな。後悔したことは一度もない」


 負けじと肉とピクルスとマカロニアンドチーズを挟んだお手製バーガーを掲げた。褒められて鼻が高そうな様子だ。


「でも気をつけなよ、あの傭兵崩れどもを見ただろう?」

「そのことでお悩みのところだ。多分だけどダムにもいるだろうな」

「それがまさにタイムリーでね。あんたに悪い知らせがあるんだが」

「だと思ったよ。で、どうした?」


 しかし続いた言葉は問題へと変わってしまったようだ。

 デイビッド・ダムに傭兵崩れがいるかもしれないという予想は現実になったか。


「別の一団が北に逃げ込んで、あのダムを陣取ってやがるって報告がうちの偵察チームから届いたばっかだよ。追い込まれていい我が家を手に入れたみたいだ」

「ついさっきセキュリティのところでそんなもんかなって話してたんだ、大当たりか」

『やっぱりいたんだ……どうするの?』

「というか、坊やがそう話してたのを聞いてちょいと偵察に向かわせたのさ。そしたらあんたのいうように大当たりさ」

「それはご親切にどうも。ってことはぶっ潰してもいいんだな?」

「この話でまっすぐぶちのめす方向性に進むなんて最高だね。あいつらが居座ってるお陰でファクトリーへの道のりが不安になるもんだから迷惑極まりない話だよ」


 残るポテトをカリカリ食らいながら話を聞いた。

 その合間、ふくよかさの元にお付きの女性が赤いパイを届けてた。


「……だとさノルベルト、あいつら安直に陣取ってやがったな」

「となれば攻め入るしかなかろう? しかし見る限りあの険しい場所だ、崩れとはいえその防御は強いものだろうな」

「返答は「舐めんな馬鹿野郎」だ。そんな場所で決戦するように待ち構えてるアホに乗るつもりはないぞ」

「フハハ、よく言うではないか。だが俺様は「どうぞ殺してください」と待ってるように感じるぞ」

「だったら俺たちの共通認識は「ぶち殺せ」だな。ブルヘッドで世話になったお礼してやる」


 あの地図を頭の中で蘇らせればの話だが、あのダムを陣取れば地形的に捗るはずだ。

 山々に構えた陣地から機関銃やら砲で奇襲、通り道にバリケードを張って侵入を制限。

 守りの力を向ける場所だって四方八方に巡らせる必要はない。実に都合がいい場所だ。

 でも腹が立つ話だ。そこで『決戦』みたいな馬鹿げた籠城をしてるなんて気に食わない。


「なるほど、我々の想像通りになってしまったわけですな。して、やはり戦うわけで?」


 最後のポテトを流し込んでると眼鏡のエルフがにっこり尋ねてきた。


「単純な話だ。どうせあいつら死闘を繰り広げるつもりでご丁重に待ち構えてるんだ、だったら俺たちはそれすらさせない、お気持ち表明する暇も与えないまま一方的にぶちのめす」


 そう答えてやった。アキも気持ちよくうなずいてるし、通りがかった住人が口笛を吹いてた。


「プレッパーズのボスはたいした教育方針だね。あの人そっくりの思考じゃないかい」


 マダムもご満足だ。ニヤっとしてる。


「そう言ってくれて光栄だ。でも残念なことに狙撃の上手さだけはそっくりじゃないみたいだ」

「メルカバの奴があれだけ褒めてるんだ、ちゃんと練習すりゃ1㎞先の狙撃ぐらいできるようになるさ」

「上手なやつはボスで十分だ。マダム、ちょっと頼みがある」

「大体察してるよ、言ってごらん」

「そうか。じゃあ俺たちがダムのクソどもを片付けてくるっていったらどうする?」


 プレートいっぱいの料理を平らげた。豊満すぎる身体も一気に紅茶を飲み干したようで。


「決まりだね。ちょうどそんな考えをしてたところだよ、傭兵崩れをぶっ殺してくれる親切な誰かがいるだろうってね」

「この世界の連中は理解が早くて助かるよ」

「うちからいくつか武器を供与してやるさ。偵察チームからの情報もくれてやる。やってくれるんだね?」

「やってやるさ」

「上等だ坊や。あんたをよこしてくれたプレッパーズに感謝してるよ」


 これでお互い利害が一致したわけだ。

 俺たちはダムの気に食わない連中を片付ける、マダムはその支援をしてくれる。

 せいぜい逃げて来た傭兵崩れどもでこの旅で培ったものを試してやろう。その程度の話だ。


「てことでみんな、お次はダムの制圧だ。うまい飯と寝床のお礼と思って取り組むぞ」


 そう伝えて手元のプレートを片付けようとすると、ことんと何かが置かれた。

 真っ赤なフィリングが詰まったパイと紅茶だ。手の元を探ればロアベアがいて。


「あちらのお客様からっす~」


 ニヨニヨ顔はそういって誰かを案内してた。

 白い馬にクランベリーを食べさせる女王様が「私も行っていい?」と期待一杯のまなざしだ。


「攻城戦ね、私に任せなさいな」

「ヒヒン」

「あーうん、ご自由に参戦してください女王様」


 なんなら馬もむしゃむしゃしながら便乗してきた。

 こんな組み合わせを相手しなきゃいけなくなる傭兵崩れどもは気の毒な話だ。

 パイは甘酸っぱかった――あまりのおいしさにPDAがかすかにカリカリ唸ったが。


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