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毒と健康は紙一重(9)

 傭兵に押し開かれた扉を過ぎた先で、喧騒と興奮が耳をつんざいた。


 妖しく漂う煙草の煙が薄暗い照明の下でゆらめき、その広い空間を無法地帯とばかりに演出していた。

 脳を揺さぶるような音楽が緊迫した心臓さながらに脈打ち、市民やギャングの姿をまぜこぜに突き動かしているようだ。

 笑い声と罵声が飛び交う賑やかな雰囲気だが、そこに健全さは微塵もない。

 薬中特有の体臭と清掃不足からくる異臭がフロアを包み、黄ばんだ壁や無造作に転がるゴミの数々が民度を物語るほどだ。


「……レッドレフト・カジノへようこそだ。俺から離れるなよ、ついてこい」


 目の前の異質な光景の数々にイワンは複雑な面持ちのまま進んだ。

 俺たちがその後に続けば、カジノの詳しい様子がよく理解できた。

 テーブルに一攫千金を目論む人種がチップをじゃらじゃら投げ入れ、スロットマシンにはひどく興奮した人々が食いつく。

 カウンターでは酒とドラッグが売られ、壁際には気持ちよさそうに楽しむ薬中が集まっていた。


『無事に侵入できたみたいだね、これより任務開始だ。それにしても汚すぎやしないかい……?』

『ハハ、カジノとゴミ捨て場と薬中のたまり場を兼ね揃えてお得だな。変なやつに捕まるなよ?』


 ヌイスとエルドリーチの声が合図だ、用心深くカジノの奥へ潜った。

 しかしニシズミのお嬢様はよく目立ってるみたいだ。老若男女問わず物珍しそうな視線が追いかけてくる。


「お、お、おい、あれ、見ろよ! すげえ美人がいるっ! やべえぞっ!」

「へへっ、もしかして例の新商品ってやつか? あの先頭にいる女とか最高だな、ありゃしらふだぜ」

「あの犬っぽいガキと耳が尖ってる姉ちゃん、ニシズミのコスプレガールか? いいね、これからもっと気持ちよくなるんだからよ……」

「あーあお気の毒。薬につられてきちゃったのかしらあの子たち……」

「に、にしても、ちょっとお、おかしくない? あ、あのしらふの子たち、きょどきょどしてないじゃない、く、くすりっ! いくっ!」


 好き放題な言葉も浴びせられるが、黒い傭兵たちがかばってくれた。

 イワンの目は「味方だ」と訴えてる。こいつらは残り二割の方か。


「……イワン副司令、武器庫に細工をしておきました。二階からの見張りも予定通り分散しています」

「お客さんも中まで手引きしときましたよ。あの、ところでこいつが例のやつってマジですか。すげえ好みなんですけど」

「一階の監視ルームは相変わらずドミトリー派が抑えてます。例のハッカーとやら、信用して大丈夫なんですか?」

「ご苦労、俺だってこのお嬢様にいろいろ文句はあるが黙って続きに取り掛かれ。誰一人死ぬんじゃないぞ」


 裏切り予定の数人はしばらく付き添った後、どこかへ向かったようだ。

 激しい盛り上がりを抜けると、きょろきょろしてたロアベアが彼の人柄に興味を持ったそうで。


「イワン様慕われてるっすねえ」

「肩身が狭い者同士の派閥というやつだ。あの表現過多な馬鹿のおかげで結束力がついて感謝しているさ」

「だからこんなに謀反の手際がいいんすね。でもでも、そんな風に寄り合ってると残り八割の方々に怪しまれるじゃないんすか~?」

「あいつはなんやかんやで身内にはクソ甘いんだ。ドミトリーは何を隠そう俺の幼馴染だしな、そのせいでなおさらだ」

「わ~お」


 なんて話を引き出したんだこいつは、あれがこいつの幼馴染だって?

 ミコも『幼馴染……』とほっそり驚いてる。俺も気になってしまった。


「つまりあんたの予定表には幼馴染殺しが入ってるのか、なんか悪いな」

「あんたの想像よりひどいぞ。無駄に長い自分語りを何十年と聞かされ続け、癇癪起こしたらなだめ、気づけばあいつは天狗になって俺を見下してるというオチだ」

「もしかして長々話しながらくねくねしてるところも見せられたか?」

「そうだ、最近なんてダンサーになれるぐらい磨きがかかってる。おまけにガキの頃貸したゲームをいまだに返さないときた。どうだ、俺が謀反を起こす立派な理由だろ?」

「仲違いの究極系ってこんな感じなんだな。勉強になった」

「あんたも幼馴染がいるなら大事にしろよ。親しき仲にも礼儀ありだ」

『夢も希望もない幼馴染だね。こればかりは心から彼に同情するよ』

『イチ、オイラが思うにお前の幼馴染は単眼フェチで奇行種だがそっちより百倍いいからな。向こうで仲良くしろよ』


 イワンは壮絶な人生とアドバイスを語って深いため息をついた。

 おかげでこんな思いを馳せた――タカアキ、お前いい幼馴染だったんだな。

 シュウコとしてそっと肩を撫でてやると、奥深くまでたどり着いたようで。


「あー、おい、副司令。どうなってんだこりゃ? ずいぶんと豪勢な料理が運ばれてきてるんだが……」


 おそらく味方ではない兵士がこっちに戸惑っていた。

 原因は背後で盛大な立食パーティーが執り行われているからだ。

 業者に扮した侵入者たちによってセットされたご馳走の数々に、客も兵士もわいわい食いついている。


『ふっ……ラーベの方々の食の嗜好に沿っていっぱい作りましたわ。私の作ったご馳走を最後の晩餐にするがよい!』


 リム様の仕業だ。これで気を引きつつ外から仲間たちを手引きする理由ができた。

 別チームのやつらは上手に場を仕上げたようだ。乱雑な皿の山が積もって汚らしくなってしまってる。


「ドミトリーが盛大にやれと言ったからだろ。文句があるのか?」

「いや、まあ、完璧じゃないか? ところでそこのお嬢さんがたはどうした?」

「お前たちが招待しろと言ったのも覚えてるぞ。ニシズミから連れてきた」

「……急だな、あんなにやる気なかったくせに何頑張ってやがんだ?」

「ほう、毎日毎日俺たち兵站部隊に小言を挟んでたくせに、いざ連れてくれば怖気つくのか?」

「なにムキになってんだよ。分かった、どういう風の吹き回しか知らんが一皮むけたんだな。やったなイワン」


 二人はどんな付き合いがあるのか、あまり仲は良くなさそうなやり取りだ。

 やがて美女たちを見ると少し距離を置かれた。そいつらの口に集中する。


『ちゃんとウェルカムドリンクはご馳走したか?』

『エネルギスタとエアブーストだ。車の中ですんなり飲んでくれた』

『うちのバーでひっかける習わしだろ? これだから後ろの連中は分かっちゃいねえ』

『お前たちのやり方は非効率的すぎる。ドミトリーは? また癇癪を起こしていないな?』

『義手自慢がうるせえや、今朝からずっと自分語りが止まんねえ』

『なら大丈夫か。案内は済ませておく、部屋とかはこっちの管轄だからな』

『にしても向こうの人工食品を使った料理か……お前どんだけマジなんだよ? どういうコネかしらんがドミトリーさんが絶賛してんぞ』

『あいつが俺に三時間も説教するからだ。いいからお前は飯でも食ってろ』

『お、そうするか。豚どもの案内は任せたぞ、見直したぜイワン』


 後ろめたい話が終わると、そいつは『よい一日を!』と下心のある笑顔だ。

 イワンは不満そうなため息だ。本当にここは複雑な人間関係なんだろう。


「ちょっと聞きかじったけどあんまりいい話じゃなさそうだな」

「いいわけあるか。今からお前らは薬漬けで出荷されることになってる」

「……今、豚って言ってたけどぼくたちのこと? ぼく犬だけど」

「ここじゃ商品のことを豚って呼んでるんだよ。厳密に言えば()()()()()()()だが」


 話の内容にヴィラが「最低ね」とつぶやくのも仕方ない。

 さっきのやつは傭兵たちに話を広めたようだ。じろじろした視線が濃くなった。

 そこで一際目立つ男がしゃしゃり出てきた――黒髪で自信満々な顔立ちだ。


「イワン、お前マジか! ニシズミのご令嬢をわざわざさ……招待してきてくれたのか! 女にモテない顔してやるじゃねえか! ごきげんようお嬢様がた! ブルヘッドで一番盛り上がってる俺のカジノへようこそだ! 少しやかましいかもしれねえが段々これがクセになるんだ、楽しめよ!」


 ただし、そのながったるい第一声はかなり間抜けに感じた。

 取り巻きらしい兵士たちも「また始まった」と呆れてる。噂のドミトリーだ。


「ドミトリー、客人の前ではしたないぞ。挨拶するのか俺を馬鹿にするのかどっちかにしろ」

「うるせえな! こっちは怪我人なんだぞ、しかも名誉の負傷だ。おい見ろよそこの姉ちゃん、この義手すげえだろ? ラーベ最新の新しい腕だ、前のやつはあのストレンジャーってやつに持ってかれたがご覧の通り生え変わっちまった! 分かるか? あの壁の外からラーベに喧嘩売りに来たっていうやべえやつだ!」


 ちっ、ほんとにゴキブリのごとくしぶとくご存命のようだ。

 吹っ飛ばしたはずの片腕には下品な金色が施された作り物の腕が生えていた。

 滑らかに手が開いて閉じて、挙句に身振りがくねくねしているが隙だらけだ。

 こいつならこのまま近づいて首を折れる。ただの雑魚だ。


「こんにちは、ドミトリー様。ご丁寧に私たちをご招待いただき、誠にありがとうございます……私はシュウコと申しますわ」

「アリーだよ、よろしく」

「どうもどうも、ロベリアっすよ。カジノで一山当てに来たっす!」

「くくく……我は吸血鬼の王女、ブレアだ! 楽しませてもらうぞ、人間!」

「ヴェラよ、このブレアって子はロールプレイ系の子なの。そういうのお嫌い?」

「こちらはニシズミからきたお嬢さんがただ。お前の大胆な宣伝はあっちまで届いてるみたいだぞ、良かったな」


 でも今は我慢だ。ニシズミの人間らしく着物を崩さぬようお辞儀をした。

 ドミトリーの調子が「お、おう」と崩れた。次第に顔も得意げににやけた。


「そ……そうか、うん、可愛い姉ちゃんが来てくれるなんて光栄だ。えーっと、ドミトリーっていうんだ、レッド・プラトーンっていう傭兵を束ねてて――」

「あら? 義手のようですが、痛みなどはございませんか? 先ほどからお身体が震えていらっしゃるようで、私とても心配です……」

「大丈夫だ! 昨晩手術したばっかでちょいと拒絶反応が出てるがこれくらいなんともない! それでその、シュウコ……だったか? うちのカジノはどうだ、気に入ったか? この盛況ぶり、すごいだろ? いやあここまで成りあがるまで苦労したんだ」

「うふふ……そう緊張なさらないでください、あなた様。こんな力強く活気に満ちた場所はニシズミにはございませんもの、急かさなくてもシュウコは逃げませんよ?」


 こいつに恥をかかせるためなら死神に尻でも捧げてやるさ。長い言葉にシュウコらしく微笑んで見せた。

 効果は抜群、長々語るつもりだったであろうドミトリーが口ごもる。

 ロアベアが楽しそうにニヤニヤしてるのでもっと畳みかけてやるか。


「そうか、まあそうだよな、ニシズミにはこういう刺激的な場所がないだろ? うちのカジノを気に入ってくれたみたいで何よりだ。あー……ところで薬とか、興味あるのか?」

「実は、恥ずかしながらお薬に関することには以前から興味を抱いておりました。先ほどいただきましたところ、胸の奥が引き締まるようでしたわ……とても気持ちのよいものでございますね?」

「の、飲んだのか……気分が上がって最高だろ? もし足りなくなったら言えよ、いくらでもくれてやるからさ。あの、でも、やりすぎんなよ?」

「ドミトリー、そろそろいいか? 良かったらこいつらを――」

「あー分かった。イワン、しばらくシュウコについてやってくれ。頼む」

「案内すればいいんだな。そうだ、さっき空調設備のメンテが来たところなんだ。他のやつらに通すよう言っといてくれ」


 シュウコの振る舞いを続けるとイワンに引き剥がされてしまった。

 司令官は名残惜しそうだ――にっこり手を振ってやると全力で返された。

 これから部屋とやらに案内されるらしい。その前に少し腹ごしらえだ。


「あら、おいしそうなお料理ですね? 私もいただいてよろしいでしょうか?」


 周りの視線を集めながら、テーブルに並んだ料理の数々にありついた。

 近くで見張っていた兵士たちがそそくさ構いにきた。いい気分だ。


「おっ……おお、どうぞ、遠慮せず食べてくれ」

「見ろよあの姉ちゃん……副司令が連れてきたニシズミのご令嬢だとさ、アニメやマンガの中から飛び出してきたみてーだ」

「ありがとうございます。それではいただきますね?」


 俺はすたすた堂々とテーブルから料理を求めた。

 ここには似つかわしくないリム様渾身のごちそうだらけだ。ピクルスが鮮やかな一口サイズのバーガーをお上品に頂いた。


「とてもおいしいお料理ですね。私、お肉が大好きなものでして……」

「ん……おいしい。ぼくもお肉大好き」

「いっ、いっぱい食ってくれ! おいどけ! お嬢さんが優先だ!」

「良かったら俺が取ってやるよ! どれがいい? 肉だな!」


 もぐもぐしてると傭兵がちやほやしにきた、シューちゃんってすごかったんだなヌイス。

 そんなやつらを適当にあしらうと、イワンは何か言いたげにエレベーターまで導いてくれたが。


「……あのドミトリーってやつ、童貞ね。よりにもよって初恋の相手がストレンジャーだなんて気の毒すぎるわ」


 全員でパーティー会場を後にして、ヴィラがしれっとこぼした。

 すると無線越しに『ぶはっ』とバロールの社長の声がした。

 それはいい起爆剤になったらしい。あらゆる人種が笑いだす。


『まさかあいつ一目ぼれしたのか? なんてこった、自分の命狙ってる刺客にときめいちまうとかなんて皮肉だ! なあ親父?』

『はははっ! とても皮肉が効いているな! だからお前は彼を信頼するわけだ、よく分かったよ馬鹿息子よ』

『こちらエミリオ、ダクトに忍び込めたよ。まったく、こそこそしてる時に面白い話はやめてもらいたいね』

『こちらボレアス、点検業者って体でサムと一緒に潜伏中だ。ストレンジャー様は多芸なこった』

『サムだ、お前らのおかげで簡単に紛れ込んだぞ。仕事に取り掛かる』

『こちらノルベルトだ、このまま物資を運ぶ体でその時を待つぞ。しかし良い演技だな、イチ』

『もしもーしこちらタロンだ、敵の服分捕ったぜ』

『アクイロよ、いつでも来な。食事でも楽しんで待ってるわ』

『ハーレーだ、トラックとゴミ収集車は何時でも出せるぞ。運び屋をこんな風にこき使いやがってこの野郎、永遠に祟られろ』

『ダネルより報告、屋上で待機中。今回は場所も天気も良好だ、装甲車でもウォーカーでもかかってこい』

『さあて……例の装置を起動するよ。今からちょっとした悪戯を始めるから、みんなうまく乗ってくれ』


 こいつはちょっとした合図だ、意味は準備万端ってとこだろう。

 他の連中も動いた頃合いか、俺たちもそろそろ動こう。


「はっ、ざまあ見ろドミトリー。お前が鼻の下伸ばしたのはストレンジャーだ」


 エレベーターが止まる直前、イワンが楽し気だった。

 恨みを一つ晴らせたような顔だ。緊張が少し吹き飛んでる。


「やっといい顔したな、晴れ晴れしてるぞあんた」

「俺は傭兵なんかじゃなくこういうのに憧れてたのかもな。ありがとよ、ストレン……シュウコ」

『いいねえ、意趣返しは男のたしなみってもんさ。もしこの仕事を完遂したら歓迎してやるって伝えてくれ』

「それからバロールの社長がうまくやったら『ようこそ』だとさ」

「いいぞ、やる気が出てきた。おたくらの期待以上に働いてやる」


 裏切る覚悟が固まったそいつの背を追った。



 二階は今までと比べるとだいぶマシな程度に掃除不足な通路が続いてる。

 ここに女性がいるそうだが、不健康な薬の臭いと壁の汚れにいい印象はない。


『二階についたみたいだね、今から監視カメラを無力化する』


 ところどころで見下ろすカメラはたった今お休みに入ったようだ。

 まずは奥の部屋からだ。どんよりした空気の中を副司令と共に突っ切った。


『仕事道具はスカベンジャーたちに運んでもらったけど、ここの破壊に使うものを隠し込むのに精いっぱいだったんだ。悪いけど装備は現地で――』


 ヌイスがそんな連絡までよこしたところ、奥をうろつく兵士に気づかれる。

 しっかりと散弾銃をスリングで吊ったやつだ。イワンを見ると怪訝そうだ。


「マジで連れてきたんすか副司令? えらい美人だぜ、良かったら俺に」


 まずはお前からだ。早足でそいつに詰め寄った。

 「お?」と下品に笑うやつの懐に飛び込むなり、片腕を掴んで引いて崩れたところに喉へ肘をぶち込む。

 苦し気な声でうずくまった。首に腕を回して力を込めてごぎっと捻じる。


『――どうにかしてもらうことになってるけど、大丈夫そうだね』

「こちらシュウコ、足りないもんは現地で勝手に拾う。オーバー」

「一瞬で殺すとか、やっぱあんた本当にストレンジャーだな。そいつの死体ごとそこの部屋にお邪魔するぞ、まず一人目だ」

「シュウコちゃんは攻撃特化系ガールなんすよ~? あひひひっ♡」


 イワンはこいつの死に様なんてどうでもよさそうだ。一緒に肩を貸して死体を運んだ。

 ヴィラが最奥の扉に手をつけると、速やかに押しかけて中を探るが。


「やめて……! お願い……! もう、無理……!」

「無理とかどうでもいいんだよ、ちゃんと反応してくれよ? そうじゃないと興奮しないだろ? ほらさっさとこっちに尻――」


 ずかずか入った矢先にこれだ。黒髪の女性に戦闘服姿がくっついてた。

 二人の仲はボロボロにすり切れた服とあざだらけの身体が示す通りだ。


「あ、どうもっす。こちらお近づきの印っすよ」


 やれロアベア。あいつは一歩出て仕込み刀をちゃきっと抜刀した。

 相手が取り乱すより早い【ゲイルブレイド】が振り向きざまの顔を斬った。ごろんと首が落ちた。

 いきなり断首刑が施行されて女性が悲鳴を上げかけるも。


「しっ! 騒がないで! 助けに来たわ、大丈夫?」


 ヴィラがその口を押えた。相手は混乱しながら激しい頭の上下運動だ。

 傭兵の血もブレイムに吸い込まれて。あまりの光景に騒ぐ気も失せたらしい。


「……ほ、ほんと……? 助けてくれるの……?」

「ええ、ここにいる子全員ね。立てる?」

「た、立てます……! あの、む、向かい側の部屋に、私の妹がいるんです!」

「分かった、そっちもすぐに助けてあげる。だから落ち着きなさい」


 気の毒なそいつは半ばパニック状態だが落ち着いた。

 容態は良くない。顔がひどく疲れてるし、唇がとても渇いてる。


『一人目か、容態はどうだ?』


 クリューサからの連絡が来た。俺はヴィラのバッグを漁りつつ患者を見た。


「唇が渇いてる。肌も白くて寒そうだ」

『あとは……動いていないのに息切れを起こしてます、どうしますか?』

『まだ間に合うな。ブレイムに隠し持たせた緑の注射器を打て、可能であればミコの回復魔法もかけろ』


 指示によれば救いようはあるそうだ。ブレイムのマントから注射器を貰った。

 「ひっ」と怯えられたが構わずゼリー飲料の入ったパックも押し付けた。


「知り合いの医者が言うには解毒剤だ。ここぶっ潰してお前ら帰してやるから早く元気になれ、いいな?」

「ん、もう大丈夫。ぼくたちがみんな逃がしてあげるから信じて」

「くくく……そう怯えるな人の子よ。我らは貴様を取って食ったりはせんぞ、大人しく癒されるがよい!」


 ニクと一緒に詰め寄ると、相手はまた戸惑いながら受け入れた様子だ。

 怯えのある身体にぷしゅっと注射が打ち込まれる。追って『ヒール!』と詠唱もきて、見るに堪えない傷も消えた。


「あっ……? い、痛くない……? えっと……」

「……すまないな。必ず迎えにくる、そこで静かに待っていてくれ」


 イワンの後ろめたい一言を残して次へ移った。

 通路には誰もいない。早々と向かいの部屋に押しかけたが。


「……う……あ……? あえ……? うう……」


 むせ返るような甘酸っぱい臭いが俺たちを待っていた。

 今にも人が死にそうな悪臭だ。その発生源は奥で縮こまる女性だった。


『ひどい……こんなのひどすぎるよ、何考えてるのあの人たち……!?』


 俺たちの気持ちはミコが全て物語ってくれていた。

 ぼさぼさに乱れた髪に、力なく伏せた手足とむくれた肌が女性を屍一歩手前に近づけてる。

 焦点の合わない瞳や痙攣するだけの頭は、想定する限り最悪の状態だ。


「……あんまりっすね。流石にこれは許せないっす」


 ロアベアの手が注射器を近づけるが、もはや効くかどうかも怪しい。

 一応打った、でも駄目だ。ふるふる悶えるだけで微動だにしない。


「クリューサ、見えてるか? 手短に聞く、こいつは最悪の状況か?」

『くそっ……! 末期だ、意味は分かるな?』

「それくらい分かる。で、まさかこいつは諦めろって言いたいのか?」

『俺だって何とかしてやりたいさ! だがあの薬は最悪の失敗作だぞ!』

「そうか」


 医者がさじをぶん投げる具合らしいが、覚悟してきた俺は驚かない。

 こうして助けに来る前から()()()()をずっと考えてたからだ。

 クリューサ。お前はシリアスな顔で言ってたよな? こいつは毒だって。


「――ミコ、あれだ」

『……うん! お願い、効いて……!』


 俺の相棒はよく分かってる。短剣を抜いてかざした。


「【キュア!】」


 いつぞや覚えた回復魔法が発動した。

 間もなくゾンビにでも変化しそうな女性が優しく淡い光に包まれる。

 すると効果ありだ。肌色も、不健康に歪まされた身体もみるみるうちに戻り。


「……え? あ、あ……? 私……なに、どうなって……」


 さっきの女性にだいぶ似た面影がそこにあった。

 ついでに【ヒール】もかかって姉妹の再開ができるぐらいになったらしい。


『おい、今のはなんだ? な、治ったというのか……? あんな絶望的な症状だというのに……!?』


 クリューサが今まで聞いたことのない声で驚いてた。

 俺は短剣をほこらしくしながら鼻で笑った。


「いつも言ってただろ、薬と毒はなんとやらだ。まあ今回は毒だったらしい」

「お見事っすよミコ様ぁ。さあさあ、向かいの部屋でお姉さんがお待ちしてるんで静かに待ってるっすよ」


 いつも言われているセリフをここぞとばかりに返してやった。

 助かった患者はロアベアに連れてかれたようだ。これで残り十三名か。


『そうか、所詮はただの毒か』


 次に移ろうとすると、心なしかあいつが笑ったような気がした。


『ミコ』

『はい、クリューサ先生』

『……ありがとう』


 いや、本当だったらしい。あいつらしくない言葉がぽつりと伝わった。

 たった一言にはいろいろなものが詰まってた。それだけでいいさ。


「あいつらしくないな。壁の外から無人兵器が降ってきそうだ」

「やめなさいよストレンジャー、せっかく幸せに暮らしてるのに無人兵器が暴れ出したら困るじゃない」

「ははっ、さっきから俺は何を見せられているんだ……? 魔法なんてものは本当に存在したんだな……」


 ヴィラと軽口をたたいて、イワンを追って次の患者を探す。

 が、タイミングの悪さがとうとう敵に回った。通路に数人の兵士がいる。


「へへへ、手伝いに来たぜ副司令殿。豚どもはどうだ?」

「って……なんでまだ一緒なんだよ。もしかしてびびってんのか? そりゃそうか初めてらしいしな」

「おい、あいつら薬キメてんだよな? それにしちゃ様子が……」


 そいつらは最初こそどうでも良さそうな顔だったが、次第に俺たちに訝しげだ。

 一歩前に出て誤魔化してやろうとすると――


「私も手伝ってやろう。お前たちは今日で休職だぞ」


 その背後からフードを深くかぶった誰かが颯爽と現れた。

 兵士たちがはっとするよりも早く、そいつは褐色の肌を見せて懐に切り込む。

 手近な一人の腕を抑えて首を斬り、二人目にそいつをぶつけてすれ違いざまに腹を刺し、最後に構えた突撃銃を退けて心臓を一突きだ。


「ワオ、永遠に休職か。来てたのかお前」

「待たせたなお前たち。手を貸そう」


 住民に紛れてたんだろう、汚い身なりだが間違いなくクラウディアだ。

 一番の証拠はもぐもぐする口だ。途中で料理をくすねたのが見て取れる。


「飯食いながら登場するか普通。今から訪問治療だ、重症のやつはミコに任せてどんどん注射してくれ」

「鮮やかな手際ねクラウディア。ゼリー飲料もあるからそれも配ってあげて、刺激しないようにね?」

「任せろ、ダークエルフは腹ペコの相手を決して見殺しにせんぞ」


 死ぬほど頼もしいダークエルフは仕事道具を抱えて患者を見にいった。

 他の連中がうまくやってるか気になるが、俺たちは要救助者をどうにかしよう。


『報告だ。今、地下に向かったスカベンジャーたちと離反した部隊が共同で事に当たってるよ。監視カメラも当たり障りのない映像をリピートさせてるからまだ気づかないはずだ』


 ヌイスの報告からするとトラブルはないらしい、ミコを手に次の部屋へ。

 部屋に訪れては「しっ」と黙らせて薬とヒール。重症患者はキュアとヒール。イワンに見張ってもらいつつどんどん健康にした。

 その数、十五名。死者ゼロのノーミスってやつだ。


「こちらシュウコ、全員めでたく退院だ。次に移る」

「本当に全員助けてしまうとはな……それで、問題はここからどうやって全員脱出させるかだが」


 一通りが終わると、イワンが帰り道を気にしていた。

 部屋にはすっかり健康になった女性たちがいるが、じゃあこれをどうやって怪しまれずに連れ出すかだ。


『了解だよ、ランナーズからお召し物をどうぞ』


 そんな頃合いで、向こうでエレベーターが開いた。

 副司令みたいに身構える必要はない。なぜなら傭兵たちが親し気な足取りでやってきて。


「やあお待たせ! 空調設備の工事完了だ、囚われのお姫様たちはどう?」


 良く知る声で荷物を運んでたからだ。エミリオ率いるランナーズである。

 そいつらはぎちぎちに詰め込んだダッフルバッグを落とした。中身はドワーフが徹夜で作った黒い戦闘服だ。


「今から元気にお帰りになってもらうところだ」

「あらエミリオ、もう終わったの?」

「仕事が終わったからこうして着替えたところさ。会いたかったよヴィラ、あいつらに俺の大事な彼女を寝取られないか心配だったんだ!」

「大丈夫よ。ラーベの男ってあんまり趣味じゃないし稼ぎが悪そうだもの」

「イチャついてる場合かお二人さん。さっさと着替えを手配するぞ」


 このままだと延々話しそうなので速やかに衣装を配りにいくことにした。

 なんてことはない、傭兵の格好をしてもらうだけだ。そうするにあたって――


「くくく……! では我も行くとしよう。イワンよ、下にはお前の部下はどれほどいるのだ?」


 ブレイムも動いた。退職予定の副司令は手際の良さに唖然としてる。


「あ、ああ、二十名ほどだ、あんたらの手伝いが終わったやつらが集まってるが」

「ならばその者たちが巻き込まれぬよう動かせ。壁際にでも引っ込ませるがよい」

「分かった。だが一体何をするつもりなんだ?」

「囚われの者たちを全て運ぶには人手がいるであろう? ならば手を貸してもらうだけのことだ」


 派手に装った吸血鬼系金髪美女は高笑いしながら戻っていった。

 しばらくすれば高笑いで帰ってくるはずだ。今のうちに服を配ろう。

 すっかり元気な女性たちは「どういうこと?」と戸惑ってたが、とにかく目出し帽も押し付けて着替えさせた。


「……はーっはっはっは! ということで戻ったぞ! 木を隠すならば森の中というやつだっ!」

『ご命令を』『主を守れ』『なんなりと我が主よ』『主様』『従います』


 そうこうしているうちに階段から真っ赤な瞳の傭兵たちを侍らせてお帰りだ。

 新しい雇用主を見つけた数十名ほどがド派手に押しかけてきた。どうにか堪えてたイワンもとうとうドン引きである。


「……ちょっと待て、なんか様子がおかしいぞ。どうしたんだこいつら」

「言い忘れてたけどその金髪のお姉ちゃんは吸血鬼で、人間を支配して好き勝手出来るぞ」

「は!? え? きゅう……嘘だろ……どうなってんだおい!? 吸血鬼だとか眷属だとかとんでもないこと聞かされたんだが!?」

『……あの、ブレイムさん!? ちょっと連れて来すぎてませんか!?』

「何を言うミセリコルデ! どうせ抜け出すのであれば十五も連れてこそこそ行くのは不可能であろう! フィナーレは盛大にだぞ!」


 辞職予定の副司令は人間性を損なった元仲間を見て怯えてしまった。

 ブレイムはランナーズと共に「任せろ」といった調子だ、イワンを連れてエレベーターに向かう。


『報告、地下の制圧が完了したよ。これよりスタルカーと兵站部隊は大仕事だ、ドミトリーの部屋にある資料の入手も急いでくれ』

『ボレアスだ、レンジャーのやつらがあっという間にぶっ殺しやがった。今から爆弾の設置に取り掛かるぞ、大廃墟でお宝さがしより楽勝なこった』

『こちらサム、チップの保管庫についた。ヌイス、ロックを外してくれ』

『ったく口だけだなこいつら! さーてチップちゃんとご対面だ!』

『アクイロより報告、地下の敵は皆殺しにしたわ。上はどうかしら?』


 他の連中は首尾よく仕事を進めてるな。俺も後ろめたい証拠を奪ってやろう。


『こちらシュウコです、今ドミトリー様のお部屋に向かうところですわ』

『ストレンジャー、お前役にハマりすぎてねえか』

『やめろ、調子が狂うだろ。今夜あたり夢にお前が出て来そうだ』

「あら、そう言われましても……あの方が私にニシズミの女性になりきるようにと仰ったのです。それで今もボロが出ないように練習を続けているところなのです」

『ストレンジャーがまさかニシズミの美女に扮してやってくるなんてスペシャルサプライズだ。もっと度肝を抜かしてやってくれ』

『合流するまで尻は守っとけよシュウコ』


 ボレアスとサムたちにどうかご武運を。目標のある階へ移った。

 更に高みにたどり着くと、打って変わって小奇麗な通路がすらりと伸びていた。

 下との格差を考えさせられる光景だ。監視カメラの配置も神経質である。


「ん? なんだ、副司令か。ドミトリーさんの相手してなくていいのか?」

「って……ご一緒されてるのってあのニシズミから来た方じゃないですか。まさかあれですか? しけこんでるみたいな?」

「三人も連れてくるとかハーレムっすね副司令。俺もどうですかい?」


 そこで暇そうにしていた兵士たちがだらだらと絡んできた。

 数は三人、通路奥にも三人、たぶん部屋の中にもいるだろう。


「……お前らに悪い知らせだ、今日を持って副司令を辞職する」

『そうだ、あの時みたいにお返しをしてあげようか。こんな音楽はどう?』


 そろそろ副司令をやめるやつの目配りがちらっと見えた。

 ヌイスが激しい重低音のBGMを流したらしく、一触即発の空気に早変わりだ。

 向こうが「は?」と首を傾げたその途端、俺はすたすた早足で近づいて。


「ごきげんよう――そして俺が退職代行のストレンジャーだ、お前らクビな」

「へっ……? え? こいつ、声がおと」


 煙草をふかしていた一人にサプライズだ、身体を捻って顔に蹴りをぶち込む。


「残念、ぼくも男だよ」


 崩れたそいつを掴んで引き倒すと、ニクがくぐって次に襲い掛かる。

 フードがめくれて犬耳が見えるほどの全力犬パンチだ。顎下を殴られたやつが苦し気にノックアウトした。

 次いで混じってたダークエルフが逃げようとしたやつを締めて刺す。退職者三名追加だ。


「はっ!? ど、どうなってんだ!? て、てきしゅっ」


 向こうで兵士たちが慌てふためく、死体から拳銃を抜いてポイント。

 イワン司令のアシストでスライドが引かれるのと同時に目見当が働く。


*Papapapapapam!*


 ここだ。動きを追うように速射した。九ミリの威力にばたばた倒れた。

 銃口で前を警戒しつつ進んだ。足取りにがちゃりと扉の音が重なる。


「やかましい音楽流しやがって……セキュリティルームのやつらがふざけてやが」


 ちょうど目の前の部屋からだ。グラスを煽りながら兵士が出てきた。

 すかさず撃って黙らせた。丁重に蹴って部屋まで返してやった。


*がちゃんっ*


 また扉が開く。音楽に紛れて奥からばたばた足音もする。


「……今銃声が聞こえなかったか!?」

「おい気にしすぎだって! つーかうるせえなこの音楽、ちょっと黙ら」


 踏み込むと二人にばったり遭遇だ、出会い頭に二発ずつ叩き込んだ。

 クセの強い飾りつけの扉はすぐそこだ。手にかけるとまた背後で扉が開く。

 「なっ!?」と恐る恐るに兵士が出てくるところだった。トリガを絞るがむなしい空打ち音だ――


「ニク!」


 俺は投擲武器と化した拳銃をそいつに投げた。

 得物を抜こうとするところに脳天直撃だ、よろめく格好にニクが飛びついた。

 強烈なキックが追撃になった。離れても分かるほどにごきごき嫌な音だ。


「て、敵だ!? し、死ねぇぇっ!」


 またかよ! そばで部屋の中から拳銃もろとも敵が現れる!


「くそっ! こういう時ぐらい大人しくサボってればいいものを!」


 しかし出迎えるのは意外なことにイワンだ。咄嗟の拳銃でぶち抜いた。

 念入りにもう一発叩き込むと手が震えていた。人殺しは初めてか。


『そこの人達は揃いも揃ってサボってたのかい? その趣味の悪そうな部屋を開けとくよ。一応他の部屋も施錠して開かずの間にしてあげようか』


 一通り片づくと、ドミトリーの部屋と思しきキラキラした扉がかちりと鳴った。

 中は……カジノ一階みたいに賑やかだ、ごちゃごちゃしてるという意味で。


「ドミトリーの部屋についた。サベージ・ゾーンの道路の一歩手前みたいな汚さだな」

『うわあ……だらしなさすぎるよ、服とか転がってるしゲームばっかりだし……』

「ゴミだらけだぞ! まったくみっともない、お前はこんな風になるんじゃないぞイチ!」

「あの馬鹿、俺が片づけに来ないとこうなんだ……寝室に隠し金庫がある、そこにしまってあるはずだ」


 そのくせ、壁にはロボットのフィギュアが雑に飾られたりゲームが積んであったりと子供っぽい。

 こんな汚部屋ならラーベに不都合な情報が隠されてるなんて思わないだろう。

 そもそもこんな場所にそんなもの隠すなって話だが、イワンはまさにそんな顔だ。積年の恨みが籠ってる。


「どこが隠し金庫だって? あいつかくれんぼとか下手だろ、設置場所がそういうセンスだ」

『……隠してないじゃん』


 というか、隠れてすらいなかった。

 ベッドのそばで一目でわかる床下金庫が企業機密を大事にため込んでいた。

 「はぁ」と幼馴染は深いため息だ。ヌイスの悪戯でカチっと開いた。


「あいつは死ぬほど子供っぽいんだ。だから毎日声デカくして騒ぐし、変に自信持ってるせいで空回りだらけなんだぞ。あいつの言葉に何十年振り回されたと思う?」

「SNSとかやらない方がいいタイプだな。毎日ヒスって自分のお気持ちを逐次語ったり、世の中とか身の上の不満をポエムで表現しまくって周りから呆れられてそうだ」

「そんなんだから離反してくやつもちらほらだ。あいつの周りには馬鹿が濃縮されてやがる」


 中には金庫より厳重にまとまった書類やメモリスティックがある。

 これがそうなんだろう。馬鹿に感謝して頂いた。


「それも今日で終わりだ――こちらシュウコです、大事な情報は頂きました♡」

『こちらボレアス。仕込みが終わった、地下にも地上にも爆薬がたんまりだ。楽しくなってきたぜ』

『サムだ、チップも確保した。このまま独り占めしたらウェイストランドの経済が傾きそうなだな』

『そろそろフィナーレだな諸君、ここまで来ちまったらどんだけ派手にやっても構わねえからな!』


 無線が言うにはそろそろ仕上げだ。出遅れないように急いでその場を去った。


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