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70 北へ、もっと北へ、ストレンジャーズ。

 キャンプ・キーロウから求められた仕事を終えて、また食堂でレンジャーたちと同じ飯を食うことになった。

 『ビタミンは必ず取れ』と注意書きに並んでいると、周囲のやつらが気さくに挨拶のやり取りを送ってきて。


「そういえばだがストレンジャー。スティングの戦いでは相当活躍したそうだな? その件についても南部の奴らから色々と面白い逸話を耳にしたぞ」


 背後からダネル少尉が興味深く尋ねてきた。

 後ろにぴったりくっつくニクの頭上を越えての質問には、耳に挟んだ北部レンジャーどもの関心を引いている。


「どれだ?」

「心当たりには事欠かさない話題らしいな。なんでもシエラ部隊が言うには、翌日にはお亡くなりになるレベルの負傷をしたのに肉を食ったら治ったとか冗談めいた話があるぞ」

「ああ、なんか肉食ったら治った」

『……それ本当です、ダネルさん』

「本当だとしたら一度病院で頭か腹を診てもらった方がいいぞ」

「クリューサに見せたら匙ぶん投げられた」

「医者がお手上げなら仕方がないな。他にもライヒランドにそそのかされたドッグマン・カルトに潜入して、内側から破壊し尽くした挙句に信者どものリーダーを105㎜砲で木端微塵にしたとか」

「あのクソババァか、ヒドラとコルダイトのおっさんの悪ふざけでいい祝砲になった」

「派手なこともしたもんだ。で、カルトどもに酷い目にあわされてた子供たちを助けたらしいな? イェーガーのやつが嬉しそうに話してたぞ」

「どうもああいうのには変な縁があってな。今度は俺が助ける番になっただけだ」

「色々とあったようだな、お前も。あとはライヒランドの奴らに単身姿を現して、あのヴァローナを引きずり出した挙句にボスと共に頭を吹っ飛ばしたそうだな」

「ああ、三人で確かに仕留めたさ」

「三人?」

「想像に任せるよ。ただ一人でやるにはちょっとデカい獲物だっただけだ」


 あれやこれやとスティングであったことを思い出してやると、ダネル少尉は驚き交じりで納得していた。


「本当に大した男だお前は。俺たちの息子と同じぐらいのやつがこうも活躍してるなんて信じがたいぞ」

「あんたには息子さんがいるのか」

「そう、あいつもレンジャーでな。南のアヴィ・ベースでお勤めだ」

「親子そろってか、すごい家系になりそうだな」

『ダネルさんのご家族って、みんなレンジャーなんですね……』

「その方が安全だからな、こんな世界じゃ。だが俺の息子はすごいぞ? 俺ほどじゃないが射撃能力の高さもあってマークスマンに選抜されてるんだ」

「てことは俺よりも銃の腕は確かだな」

「今朝の勝負の結果からみるにあいつの方が上だな、お前も精進するんだぞ」

「分かった、ボスぐらい上手になればいいか?」

「できるものならな、あの人は別格だぞ?」


 話を聞くに、この少尉殿は俺より銃の腕前がある息子さんがいらっしゃるのか。

 ここに来てからずっと目にしてる楽し気な表情は、自分の家族をよっぽど誇らしく思ってるらしい。

 生憎俺は愛情もクソもない毒親育ちだが、この人の愛嬌を注がれた息子さんはきっと良くできた人間なんだろう。


「ごめんなさいね、その人は隙あらば息子の自慢をしちゃう人なの」


 いよいよ料理が目に見えてくると、カウンター越しに赤毛の美人な奥様がくすっと笑ってきた。

 『クリムゾン』だったか。その隣では逞しい姿のおばちゃんが職務中で。


「あんたの息子は誰かさんに似たのか向こうでくだらない悪戯をするような悪ガキへと順当に育ってるようじゃないか、カーペンターのクソナードを怒らせたらしいね?」

「トヴィンキーを自腹で一箱ココナッツ味にすり替えた事件のことか? いや流石俺の息子だ、銃の腕前じゃなく悪戯のセンスも向こうでしっかり磨いてるぞ」

「よくやってくれたね、あの口悪い金髪坊主によくぞ一泡吹かせてくれた」


 どうも合間から出てくる言葉から、息子さんはいい感じに父親譲りのスキルを受け継いでるそうだ。 

 カーペンター伍長と何があったかは知らないが、向こうで楽しくやってるらしい。


「いい息子さんだな、二人で大事にしてやれよ」

「もちろん、でも自分の子供とさほど変わらない人にそう言われるなんて思わなかったわ」

「俺の背景聞いたらすげえ納得すると思うよ」

「何かいろいろあったみたいね、大丈夫?」

「もうストレンジャーとして吹っ切れてる」

「なら心配はいらないわね。昇格おめでとうストレンジャー、いっぱい食べるのよ?」


 そして赤毛の奥さんは俺たちにトレイを渡してきた。

 朝食の時よりも一回り大きなものだ。列の先を見ると、屈強なおばちゃんが一人一人に向けて丁重に料理を配ってた。

 本日は向こうの容赦のないセンスのもと料理を取り分けてくれるらしいが、厨房の奥からはものすごくうまそうな香りが漂ってる。


「魔女の嬢ちゃん! ストレンジャーが来たよ!」


 食堂のボスみたいな『サプライヤー』の前に立つと、ホルスター付きの強気な格好は楽しそうに迎えてくれた。


「皆さま~! 本日はスペシャルメニューですわ~! いっぱい食べてね!」


 その後ろでリム様がちょこちょこ忙しく行ったり来たりの姿をしてるのを見て、俺はさっそくトレイを構える。

 金属容器にいろいろなものが詰め込まれてた。マカロニアンドチーズに米料理みたいなもの、美味しそうに焼かれたバーベキューリブや煮込み料理まである。


『……ラザニア……!』


 それとミコの好物も。今日だけはじゃがいもの地獄は遠く離れている。


「サプライヤー、今日のおすすめは?」

「おすすめかい? 全部さ」

「そうか、じゃあ旅立ち前にしっかり食っとこう」

「野菜もちゃんと食べるんだよ、強いレンジャーの条件だ」


 先輩のアドバイスもあって、サプライヤーは次々と皿へと盛り付けていく。

 ご丁重にも料理には名前も札で示されていた。牛肉のフランメリア風煮込み、ジャンバラヤ、スパイシーリブ、マカロニアンドチーズなどなどだ。

 まあおばちゃんは片っ端からぶち込むわけだが。トレイに山盛りの料理が揃ってしまった。


「サービスどうもおばちゃん」

「こちらこそお礼を言わせてもらうよ。あんたのおかげでブラックガンズと繋がって、食堂にこんなにも余裕ができたんだからね?」

「そうだったか。あいつらと仲良くしてやってくれよ」

「もちろんさ。召し上がれ」

『……これ、食べきれるの……?』


 人を窒息死させるんじゃないかというぐらいに料理がいっぱいだが、まあPERKもある今ならいけるだろう。

 周りが「そんなに食えるのか?」と笑ってきたが「困ったら手伝ってくれ」と頼みつつ、カウンターを通り過ぎていくが。


「――じゃがいものサービスですわオラッ食えッ!」


 急遽やってきたリム様によりフライドポテトも添えられた。トレイが崩壊寸前だ。


「なあ、俺最近ずっとじゃがいも食ってる気がするんだけど」

『わたしもそんな気がするよ……でも、おいしいからいけちゃうんだよね』

「ああ、よくもまあ飽きないように料理してくれるもんだよな」


 後ろを見ると他の奴らもけっこう盛られてるが、それでもやっぱり俺の食事量だけは常識が外れてる。

 でもクラウディアが言ってたな、食べることは生きることだ。

 全部食らいつくして今後くたばらないように努めよう。料理を手に席に着いた。


「……ご馳走がいっぱい、おいしそう……」


 ニクも隣にちょこんと座った。相変わらず「食べていい?」とこっちを見てる。

 肉料理と野菜がいっぱいだ。それでも俺のトレイに比べればまだ遠慮はしてあるが。

 ともあれ三人で仲良く食べ始めた。だいぶ食器の扱いに慣れたわん娘の隣で、良く煮込まれた肉を運んでみると。


「……うまい」

『あっ、おいしい……! このお肉、濃い目に柔らかく煮込まれてるね……!』


 甘辛いような、でもコショウがとても効いた柔らかい牛肉の味がした。

 舌で潰せるほどに時間をかけてるようだ。俺好みの味だ。

 少し味わって他に手をつけると、一目で米料理と分かるものがどんと乗っていて。


「リム様、ちゃんと俺たちに配慮してくれてるんだな」


 それはいろいろな具材が混ざった赤色のあるライスだった。

 二口分ほどまとめて口にすれば、元の世界ほどじゃないが確かの米の味がした。

 ソーセージの味と香味野菜と辛さが効いたピリっとしたご飯だ。食感こそ違えど間違いなく米を食ってる。


『うん、わたしの好物も入れてくれてるし……ふふっ、嬉しいなぁ?』


 トレイの隅を陣取るラザニアもそうだろう、ミコの好きな物をわざわざ作ってくれたに違いない。

 チーズたっぷりなそれに物言う短剣を捻じり込めば『すごく美味しいよ、これ……!』と料理の中から声がした。


「お前なにしてんだストレンジャー、イージスに拷問でもしてんの?」


 ミコと一緒に熱々のラザニアを食ってると、後ろにいたタロン上等兵が気にかけてくるが。


『あっ……お気になさらず! わたし、こうすると料理の味が分かるんです……!』

「いつもこうして食器代わりにして一緒に味わってるんだ、いじめとかじゃないから心配しないでくれ」

「お、おう……それにしてもンまいなこれ、生まれて初めてだぜこんなん食うの。まさかお前らいつもこんなの食ってんのか?」

「流石にここまでとはいかないけど、少なくともいい気持ちで食事ができるぐらいには困っちゃいない」

「へえ、すげえなぁあのチビ。ガキのくせによくもまあいい仕事ができるもんだぜ」

「数百歳らしいぞあいつ」

「は? 数百歳? まあマジモンの魔女ならあり得る話か?」


 角刈りの黒人兵士もリム様の正体に謎を感じつつ、とても料理を味わってるようだ。

 気づけば周りには見知った顔がぞろぞろ座っていた。ノルベルトもいればロアベアもいるし、医者とダークエルフも落ち着いている。


「やはり魔女の作る料理は美味なものだな。こちらの世界で食べるとなると尚のことだ」

「今日もおいしいっすねえ、リム様のごはん。あの人のおかげでうちら食事で一度も困ったことがないっすよね」

「確かにな。時々あの大量のじゃがいもをどこに隠し持ってるか気になることはあったが、俺はもう考えるのも面倒になってきたところだ」

「今日は一段とうまいぞ! イチのおかげでご馳走にありつけたぞ、でかした!」


 みんなもぐもぐしてた。確かに旅を再開して以来、飯の事情で困り果てたケースがないんだからやっぱりリム様はすごい。

 マカロニアンドチーズに手をかけると、戦前のやつとは違う濃いチーズの味がした。

 そうして俺も黙々と食らうものの、ふとこんなことが思いつく。


 もし向こうの世界についたらどうなるんだろう?

 ラーベ社の邪魔が目の前にあるが、ゴールは近づいてる。

 向こうにたどり着いたら俺たちはそれからどうするんだ?

 ミコも送り届けて、ノルベルトも故郷に帰してやって、クリューサたちも別れて、それからは?

 それにもし事を成したとして、このうまい料理はまたみんなで食えるんだろうか?


「……うまいなこれ」


 そう思うと、なんだか妙な気持ちだ。

 それは物言う短剣の帰る場所であり、俺が目指すべきところが近づいてる証拠だろう。

 いや、今は考えるな。せっかくの料理をおいしく食べるのが先決だ。


「こんな場所でこれほどの料理を食べれるなんて信じがたいが、ともかく昇格おめでとう。ストレンジャー」


 少し手が緩んだ矢先、近くにマガフ中佐が座ってきた。

 やる気のない格好だが表情は少しにこっとしてる。席に着くなり飯をかき込み始めるが。


「ここを出ればまた一騒動あるだろうが、君なら大丈夫さ。何かあったら我々が駆けつけるからね」


 とてもいい笑顔のフォボス中尉もやってきた。ただし声には仕事が始まれば「マジで殺しに行く」という調子も籠ってる。


「一応聞いとくけど、あいつらに何かけしかけられたら一切容赦しなくていいんだな?」

「流石にサイコパスのふるまいをしろとまでは言わんが、大胆にやってくれ。ただし、くれぐれもくたばらないようにしてほしいものだな」

「情けは君たちにゆだねるが、容赦は捨ててしまいなさい。ストレンジャーの猛威を見せつけてやれ」

「了解、上官殿」

「そうだ、良ければだが今まで何があったのか話してくれないか? 少しお前の旅に興味があるんだが」

「確かにそうだな、中尉。私も君がどんな道を進んできたのか後生の為に知りたかったところだ」

「話せば少し長くなるぞ」

「構わんさ。ところでお前、なんでラザニアにイージスを突っ込んでるんだ?」

『あ、ごはん食べてるだけですから気にしないでください……』


 食事を続けてると、中佐やその部下たちがこっちに興味をもってきたようだ。

 俺は一緒に席を共にする仲間の方を見てから、「飯のついででよければ」と適当に今までのことを話した。



 昼食が終わって、休憩がてら俺たちは旅立つ準備をした。

 届けられた荷物をそれぞれが持って、ついでにプレッパーズから送られてきた使い捨ての対戦車兵器を俺とノルベルトが二本ずつ携帯することに。

 フォート・モハヴィで物資を集めたのもあってそれほど時間はかからなかった。せいぜい軽く装備を点検するだけだ。


「ということで現状はこうだ。白いクソどものせいでラーベ社が俺たちに喧嘩を売ってきた、企業同士のいざこざがあったようだけどそいつに巻き込まれたわけだ。ニシズミ社への嫌がらせが失敗した腹いせがこっちに向かってくるってさ」

『……わたしたちが恨まれるには理不尽すぎるよね、それ』

「北はそういうところだって納得するしかないんじゃないかもう。それにこの手の絡まれ方は慣れたもんだろ」


 荷物をまとめた俺は背中の新型パイプ・ランチャーの重みを確認しつつ、兵舎の外に出た。

 全員忘れ物はなし。万全の状態で基地の中をぞろぞろと歩くも。


「まあそうだろうな、背景に北の企業が絡んでるとなれば、俺たちはホワイト・ウィークスのせいで巻き込まれるハメになったわけだ。くたばってもなお迷惑な奴らめ」


 現状を理解したクリューサはまたキレ気味だった。

 しかしもう慣れたのか、不機嫌なまま歩む足を止めようともしない。


「で、まあニシズミ社とレンジャーのバックアップがついたから遠慮はいらないってさ。むしろ大いに暴れてくれっていってたぞ」

「そうか、じゃあ向こうに着いたらラーベ社の奴らを毒殺しても構わんな?」

「できるもんならな」

「そういう時のための毒だとかは常に携帯してるからな、その気になれば俺はやるぞ。くそっ、迷惑な奴らがどうして何度も現れるのか」


 なんだったら毒でぶちのめしてくれるそうだ。

 頼もしいお医者様に続くように外へ続く道を辿れば、道中のレンジャーたちが「じゃあな」とか「いってこい」などと言葉を向けてくれた。


「案ずるな、私にはこれがあるぞ!」


 そのすぐ後ろを負うクラウディアが自慢げにクロスボウを見せてきた。

 ハンドサイズのものとは違う殺傷力強めのやつだ。今後は遠距離戦闘でも役立ってくれるはずだ。


「俺様もここまで手厚くされたのだからな、オーガの力を振りまくつもりだ」


 ノルベルトも新しい防具と専用のナイフをちらつかせた。

 北がどれほどやばいのかは未知数だが、俺たちの戦力はだいぶ強化されてる。


「そして俺もな。新しい顔も貰ったわけだし」

「おー……そのヘルメット、カッコいいっす」

「つけてみたいっすとかいってもダメだぞ、俺のだからな」

「そんな~」


 俺も送られてきたヘルメットをさっそく被った。メイドにはやらん。

 すっぽり頭を覆われるわけだが、意外と息苦しくない。

 それにバイザー越しに見える視界はやや狭まってはいるが、ほぼいつも通りの色と形が見えるのだから驚きだ。


「私は戦えませんので皆様にお任せしますわ! お料理ならまかせろー!」


 後ろにちょこちょこついてくるリム様もいつも通りだ。食堂のみんなに別れの挨拶をしてきたらしい。


「――お前たち、もう行くんだな?」


 そんな面々がぞろぞろ歩いてると、入り口の近くで見知った顔が待ち構えてた。

 迎えてくれた中佐に中尉に少尉に准尉、それからタロン上等兵だ。


「ああ、早速お仕事に取り掛かる」

「そうか、無理はするなよ。万が一の時に備えてシド・レンジャーズの無線を覚えておけ」

「その時が来たら頼むぞ」

「我々が出動するタイミングが訪れたらすぐに向かう。その命を捨てないように適当に生き延びてくれ」

「イチ上等兵、ラーベ社の方々によろしく頼むぞ。元気に挨拶をしておいで」

「お望み通り最高の第一印象を与えてきてやるからどうかご安心を」


 マガフ中佐はこっちに地図を手渡してくれた。

 現在のウェイストランドに合わせた正確なものだ。遠いブルヘッドまでの大体のものが書き込まれてる。

 それから握手も求められた。気だるそうな姿にあわせると、力強い返しで握られる。


「じゃあなストレンジャー、お前が来てくれて楽しかったぞ」

「エグゾアーマーの感覚忘れるんじゃねえぞ、頑張ってこい」

「良く戦いなさい、ストレンジャー、ブルートフォース」

「ああ、行ってくるよ」

「手合わせを感謝するぞ、アクイロ殿。また会おうではないか」


 タロン上等兵とアクイロ准尉の見送りにも答えた、二人は信頼してくれる目つきだ。

 気づけば他のレンジャーたちも少しずつ集まっていた。食堂の人たちもこっそりきてくれたようで、リム様に手を振ってる。


「それではストレンジャーズ、ラーベ社にぶち当たってきます。良い知らせをどうか待っててください先輩ども」

「おそらくはすぐにお出迎えがくるだろうが、お前ららしく振舞ってやれ。ご武運を」


 そして、レンジャーたちは敬礼してきた。

 ほんのわずかな付き合いだけど、先輩どもはこぞって俺たちの旅の行く末を見守ってくれてる。


「了解、中佐殿。んじゃ哨戒任務に戻ります」

「マガフ殿、貴方たちもどうか強くあれ。それではさらばだ」


 俺も右手でそれらしく返した。ノルベルトもちゃっかりびしっと決めたようだ。

 基地の外へ続く道路の先は二つに分かれている。左に曲がってフォート・モハヴィか、右へ向かって敵が待ち構えるまだ見ぬ土地か。

 進むべき道はもっともっと北、その先にあるブルヘッドを超えたダムだ。

 ストレンジャーズは背中を見送られながら進んだ。じゃあな、キャンプ・キーロウ。


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