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魔法の姫と世紀末世界のストレンジャー  作者: ウィル・テネブリス
世紀末世界のストレンジャー
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114 燃やしてしまえ

 品切れした死の商人がにこやかに去ったあと、俺たちはまた地図を囲む。

 この街の概要がそこに詰まってるが、今回の主目標は橋の向こうだ。

 クロラド川を下る先にある橋は敵の本軍が留まっているそうだが、今はどんな状況なのか?


「さて、報告だよ。あれから面白い情報が揃ってきた」


 その疑問はボスが答えてくれるらしい。


「まず白狼教団について話そうか? 誰かさんが教祖を転生させたせいで信者は散り散り、報復を企てる連中も当然現れたんだが……」

「目ざといフランメリアの方々が親切にも対処してくれた。降参する奴も当然いたがそれすら面白がって殺すもんだからスティングからお帰りになったそうだ」


 街を騒がせたカルト行方はどうかというと、オレクスの言葉が繋いでくれて。


「もちろん、それなりに熱心だった奴らを捕まえてお尋ねしたぞ。洗いざらい吐いてくれたから安心して橋の向こうにおられる奴らに備えられるようになったんだが……」

「あいつらはなんだったんだ? まさか勝手に世界の終わりを信じて勝手に絶望してただけの連中じゃないよな?」


 あの人騒がせな集団がどこまでスティングの侵略者たちと関わってるのか気になって、尋ねる。

 ハヴォックが撮影した写真には人の腹を刺したライヒランド人がいたはずだ。


「そのことだが、ライヒランドの工作の一環でけしかけてきたのは間違いないみたいだ。問題はあいつらに世の終わりを吹き込んで大慌てにさせた奴がいるんだが」

「つまりあんな大騒ぎさせた馬鹿がいるってか。どいつだ?」

「エゴール。ライヒランドの指揮官の一人だ」

「腹に一撃お見舞いしてくれたあのクソ野郎か」

「落ち着け。そいつはひょっとしたら都合のいい存在かもしれないんだ」

『……あの人が私たちにとって、ですか?』

「ああ、複雑な話なんだがな」


 そしてようやく分かったのが――そのエゴールが好ましいやつだって? 

 確かにあいつは妙な奴だったさ。自分たちの思想には興味がないとか言ってきたり、擲弾兵のすばらしさを語って、そして人の腹に相棒をブッ刺すクソ野郎だ。


「ストレンジャー、お前が嫌な思い出に腹を立てないように配慮して要点だけ言う。あいつは利敵行為を働いてる」


 そのクソ野郎がなんなのか、オレクスが口にしたのはたったそれだけ。

 どういうことなんだ? あいつは俺たちの敵じゃないってか?


「――オレクス。つまり君はライヒランドに内通者がいると言いたいのか?」


 その疑問を口にしたのは黙って話を聞いていたホームガードの軍曹だ。


「その通りだ」

「君の言葉をそのまま受け取るなら、その軍の指揮官とやらが国を裏切っているということにならないか?」

「軍曹、説明する前に捕虜たちから仕入れた情報を伝えるぞ。このスティングで離反した自警団や送り込まれた侵略者たちが動き始めた時に、現場を指揮する人間が二人いたんだ。一人はエゴール、もう一人が――」

「ヴァローナ。先の戦いの死にぞこないか」


 あの騒ぎの裏にいた人間のもう片方、その名前を告げたのはボスだった。

 片腕を吹き飛ばした張本人はあんまりよろしくない表情をしている。


「その通りだ。ボス、ヴァローナについては何か知ってるだろ?」

「知ってるも何も、私やシドのやつの宿敵さね。あいつはかつてスティングに攻め込んできたとき、しがない指揮官だった情けない奴だよ」

「そうか。あんた、あの戦いに参加したレンジャーの一人だったな」

「久々にあいつの顔を見たが、かつての名誉が捨てきれなかったみたいだね。まさかまだしぶとく軍のトップにしがみついてるなんて笑っちまうよ」


 ボスの言葉からして因縁のある相手がまた現れたってことらしい。

 この騒ぎの裏にはそんなかつての戦いにいた指揮官と、ライヒランドを裏切ってるという指揮官の二人がいることになるが。


「あんたの思い出の人は今回の作戦――内通者まみれにしたスティングで行動を起こそうと躍起になっていたそうだ。忍ばせておいた同志どもを指揮して後は街を奪うだけってところで……」

「腕を一本不満足にしてやったわけだね」

「そう、この大きな作戦の指揮官として腕を振るうつもりが吹っ飛ばされたわけだ。けっきょくやつはすぐに街を出て本軍のいるところまで逃げたらしい」

「はっ、残される部下より吹っ飛んだ片腕の方が大事ってわけかい。あいつらしいね」


 あの時のクソジジイは部下より自分の身体を労わったらしい、そうして街に大量の侵略者が残されて――


「そして利敵行為を働いているという指揮官、エゴールが残ったわけだな」


 地図を見ていたオチキス隊長が答えを繋ぐ。


「そう、あいつだけは残ったんだ。スティングにとどまって兵どもの指揮を執り続けていたらしいんだが」

「私も気になっていたんだ。もし指揮官がいなければもっと早く瓦解して組織的な行動はとれないはずなのに、首の皮一枚繋がったまま活動していた。まだ指揮系統は残っていたわけか」

「エンフォーサーの隊長殿の言う通りだ。だが何か気づかなかったか?」

「もし気になるところがあるかないかと言われたら、私の答えはYESだ」

「そこまで言えるならあんたの考え通りだと思うな。言ってみてくれ」


 ぐだぐだとスティングに侵略者たちが残されたままな理由も、エゴールが留まっていたからだろう。

 エンフォーサーらしい答えを出そうと指が地図に向けられる。


「敵は作戦に基づいて行動できていなかった――いや、していなかったからな。その気になればこの街にサボタージュなんていくらでもできたはずだが、さて我々がずっと目にしてきたのは何だと思う?」

「ただの略奪と無秩序な破壊であるな。奴らは目に入った敵をとにかく攻撃するだけで主体性など全くなかった」

「大量の武器弾薬を備えてたってのに生かしきれてなかったよなぁ」

「それ言っちゃったら物資の保管もずさんすぎるよね! 好きにしてくださいって感じで放置されてたし!」


 オチキス隊長の指が「目立った」ところをなぞると、チャールトン少佐やコルダイト、ハヴォックはそれぞれの意見を言っていた。

 モンスターどもが潰した細々な拠点。ダイナミックにお邪魔したついでに爆破した場所。物資を奪われデカい花火になった事務所。

 こんな結果を出さないように現場の人間をこき使ってどうにかするのが指揮官なんだろうが、それができてない。

 なぜだ? エゴールが無能だから? それとも――


「皆の言う通り妙なんだ。兵なら兵で数を生かして我々の邪魔をできたはずだ。物資は物資で攻撃のリスクのある前線に置くならまだしも、分散もせず一か所にまとめて輸送の目途も立たぬまま放置……こんなことがあり得ると思うか?」

「誰かさんが「棒立ちで突っ立って物資は欲しい奴にくれてやれ」って命令でもしたんじゃないのか?」

「そうだとしてもおかしくないんだ。エゴールという男がよっぽど無能なのか、それともわざとそうさせてるのか、そうとしか考えが浮かばない」


 ツーショットが茶化すが、それすら否定しきれないみたいだ。


『……いちクン、エゴールって人の言ってた事は覚えてるよね?』


 地図で俺たちがやらかしてきた所業を確認してると、ミコが言う。

 あの車内で腹をぐっさりやられたことがまず蘇るが、どんな口ぶりだったのかも忘れるはずもない。


「ライヒランドの思想になんて興味がないって楽しそうに話してたな。しかも擲弾兵トークで勝手に盛り上がってたぞあいつ」

『もしかして、だけど』

「もしかして、どうした?」

『あの人、わざとわたしたちが有利になるようにしてるんじゃないかな?』


 その話から出てきた物言う短剣の意見が「エゴールの工作」かよ。

 一瞬あのイカれた笑顔が浮かぶが、あの様子だとやりかねない気もしてきた。


「そこなんだ、お二人さん」


 ところがそこに「その通り」とでも言いかけそうなオレクスの言葉が向かう。


「おい、まさかまた俺がなんか絡んでるとか言わない?」

「そうだといったらどうするんだ、擲弾兵(グレネーダー)

「感謝してくれ。ジンジャーエールでいいぞ」

「後でおごってやるよ。その通りなんだ、そいつの部下から聞き出した話によるとあいつは確かに指揮官として動いてはいたが、兵を消極的に動かしてたようだ」

「どういうことだよ。積極的に敵に殺されて来いとか命令したのか?」

「そう受け取ってもいいかもしれないな。例えば「ここを占拠してこい」「ここに攻撃を加えてこい」といった攻撃命令はほとんど向けられていなかったと聞いた」

「じゃあエゴールは何させてたんだ?」

「シンプルに言えば「自分の身を守れ」「自由にしろ」ぐらいだ」

「なあ、そいつ俺たちを困らせようと嘘とかおっしゃってない?」

「何人も口を揃えていたし、しかもわざと俺の元職場に物資を溜めさせていたことを聞かされたら信じたくならないか?」


 オレクスが言ってた利敵行為云々はマジだったのか?

 全部本当なら指揮下にいるやつらがとことん気の毒になるけれど、しかしそこにどう俺が絡んでくるかが問題だ。


「そんな素晴らしい指揮官様と俺がどう絡んでるかって話はどうだ」

「お前の気分を損ねそうだからあまり言いたくないが話そうか?」

「もう十分損ねてる」

「よし聞け。捕虜たちの証言によるとだな、エゴールはよく自分の部下にくだらないお伽噺をしていた」

「寝付けない兵士にお話でもしてやってるのかあの変態」

「擲弾兵さ。かつてライヒランドを追い詰めたやつらのすごさを語って寝つきを悪くしてやってるらしい」


 ここまで話が進んで現れた答えは、確かに気分を損ねるにはうってつけかもしれない。

 車内で聞かされたあの擲弾兵へのただならぬ情熱はマジだったのか。


「思い当たるものがいっぱい浮かんできた」

『わたしも浮かんできました……』

「そりゃお前にキスするほどだからな。祖国をないがしろにするような発言を繰り返しては擲弾兵を賞賛する変人だ、そんな奴がどうして指揮官に抜粋されたのかは俺も気になるところだ」

「イチ様もてもてっすねぇ……アヒヒヒ」


 日がたつにつれて増える嫌な思い出にマジで気分を損ねてると、ロアベアが横からニヤつく首を差し出してきた。

 ぶんどってそこらの義勇兵にパス。うわっとかいって慌てふためいた。


「ライヒランドは人選センスの訓練はしてないのか?」

「一応、ああならなければ優秀だとはいわれていたぞ。元々おかしかったがスティングに来てからこじらせたとのことだ」

「何をこじらせたんだ、頭の病気か?」

「それか性癖か恋煩いじゃねえの?」


 ひどい事実を聞かされ続けてるとヒドラが茶化しに来た。ボスに叩かれたが。


「聞けば俺の元職場が爆発した時も、双眼鏡を覗いたままガッツポーズを取ってたそうだぞ」

「なるほど、俺がやらかしたと思ってたんだろうな」

「だとしたら当たってるな。お前のことがよっぽど好きみたいだ」

「だとしても俺は好きになれないな。あいつら約束破って宿に攻撃しただろ?」

「それがな、あの変態は律儀に攻撃させてなかったんだ」

「あいつが?」

「ヴァローナの命令に上書きされるまではな。その場にいたからはっきり見たぞ、確かにあいつらは撃たなかった」

『……ちゃんと守ってたんだ、あの人……』

「そういう事実も分かって利敵行為を働いていると踏んだわけだ。きっと白狼教団に何かを吹き込んだのもあいつの身勝手だな」

「つまり今まであいつがずっと裏でこそこそやってたのか」

「そう、俺たちが有利になるように。ご本人はもうお帰りになったようだけどな」


 こんなろくでもない事実でも、あのによによ女に聞かされた話よりずっとマシに感じるのが不思議だ。

 まあいいさ、お前が俺への愛をこじらせる一方でこっちはクソみたいな創造主説に苛まされてるんだ、勝手に好感度カンストさせてろ。


「ということで背景は分かったね? どうであれあんたらが今知った情報はたった一つ、奴らはもうスティングに真っ向から攻め込むしかなくなったのさ」


 そこから導かれる「これから」への道のりはボスが答えてくれるそうだ。


「現在、街の状況は奪還まで残るところ僅かだ。西の末端に雑多な敵が立てこもってるのみ、先ほど最南部からは敵が荒野に向かって逃げ出したと報告があったんだが――」


 地図の様子は間もなくここが完全に取り返せるところまで来てるみたいだ。

 代わりに侵攻にどう備えるかという計画が書き込まれてる。いよいよか。

 その指がしぶとく敵が残る、ずっと西側の住宅街に向かおうとすると。


「ボス、我らが敵の残党を荒野に追い払って来た! すごいだろう!」

「やつらとうとう心が折れたな。尻尾を巻いて逃げ始めたぞ」

「いま義勇兵やらを進ませて占領中だ。これで南側は制圧したな」


 昼でも元気な吸血鬼と、重機関銃を担いだ灰色のオークたちが報告しにきた。

 たった今南は制圧完了したってことだ。ボスは地図の情報を書き換えて。


「みんな聞いたね? 後はもう西側をどうにかするだけだ。ここからはライヒランドの侵攻に関して話をする」


 スティングの南東側の道の先にある橋へと向かった。

 クロラド川を越える先では敵が集結していて、それでもなお橋を渡らず留まってるように見える。


「現在敵は橋の向こうで更に集結してるようだ。北部に駐在していたレンジャーたちや、グレイブランドの妨害もあって行動を遅延させているそうだが、ここ最近になって更に戦力をかき集めてるらしい」

「質問だボス、これ以上戦力が集まるだって? どこから兵士を集めてんだ?」


 ツーショットの疑問にははるか南のライヒランドの本拠地、レイクフバスシティ周辺にマークがつけられ。


「あそこはこっちより荒んでるらしいからね、周辺にある小さなコミュニティからお借りしたんだろうさ」

「無秩序に増やしてるってわけか。だったらなおさら侵攻が遅くなりそうだな」

「それもあるかもしれないね。でも数は確かにあるんだ、橋を越えたら一気にぶち込んでくるだろうね」

「やっぱり橋を爆破するってのはなしかい、ボス?」

「そのあとあんたの故郷と北部レンジャーとグレイブランドがどうなってもいいなら今すぐ一人でやってきな」


 どの道向こうもそれしかないようだ。次は「だよなあ」という声に続いて、アーバクルが手を上げる。


「あいつらが方向転換してレンジャーや擲弾兵のご先祖様に向かう可能性はあるんですかね、ボス?」

「あったらとっくにそうしてるさ。こうなった以上まっすぐ突っ込む以外選択肢はないんだよ、敵に背を向けることになるんだからね」

「敵が砲撃やらなにやら使ってくる可能性もあるんすよねボス、そういうのは何か確認できてるんで?」


 便乗してヒドラが尋ねたようだが、ボスの表情は悩ましくなってる。


「レンジャーたちの偵察によれば当然あるそうだよ。自走式の多連装ロケット、それもあの時見た"カチューシャ"なんかよりもずっといいやつがね」

「そいつは戦前のやつですか?」

「ああ、数は三つぐらいだ。報告結果とハヴォックの坊やの見解によれば――」

「発射機は12、ロケットの口径は300㎜、射程範囲は最大70㎞、まともな電子機器が向こうにあるかないかは置いといて……僕たちのいる場所は余裕で射程内だね!」

「300mm……えーとここから橋までの距離は20マイルだから……あーだめだ余裕で当たっちまうな」


 ハヴォックの言葉を挟めば、その兵器とやらはここまで余裕で届くものらしい。


「ついでにいえば、もしかしたらここを狙うための照準はもう定まってるかもね!」

「ってことはよ、その条件を当てはめたうえで進めればその気になればここが今すぐにでも吹っ飛ぶ可能性があるよな?」

「そういうことさ坊主ども。だから我々がやることは一つなのさ」


 ボスは指をスティングに戻した。敵は橋の向こうでずっと俺たちを狙っている。


「確認したところ敵は他にも装甲車両を多数用意しているが、何より兵の数が異常だ。もうお行儀のよいセオリー通りのまともな戦いが始まると思うな」


 次にやるべきことを示してくれた。それはこの街の大部分、もし敵が攻め込めば真っ先に攻撃されるであろう地区を囲って。


「敵が来る南東に向けて防御陣地を組み立てるよ。あいつらが忘れた武器兵器、工場から鹵獲した野戦砲、義勇兵のマンパワー、全て使って強固な陣地を作る」

「そこでわしらの出番ってわけじゃな!」

「今南の方で拠点を組み立てとるが、誰か手伝ってくれんか? できればあいつらが通りそうな場所に罠もしかけてやりたいんじゃが」

「他にもあいつらが忘れた"戦車"とやらも整備しとるぞ! もう五両ぐらい治しちゃったもんね、あいつら悔しがっておるだろうな!」


 ドワーフの爺さんたちがぞろぞろやってきた。世紀末風の身なりを整えた姿は汗と油で気持ちよく汚れている。


「ドワーフの連中に敵を迎え撃てるような下準備をしてもらってるところだ。他にも市内の防御の増強、避難所の確保、物資の移動、人員の配置……そういったことが今後の主目標だ、あと可能ならこちらから偵察や工作も行いたいね」

「偵察なら俺たちやエルフを使えよ婆さん」

「え? 俺たちがいくのか?」

「フランメリアじゃ偵察兵だったろ俺たち」

「そういえばそうだったな、忘れてたわ」

「そりゃ助かるね、後で説明するから足を用意しときな」


 二人の灰色オークは宿の外へ行ってしまった。

 デカい図体してるけど大丈夫なんだろうか……そう不安が募るが。


「さしあたって、そういった業務は他の連中に丸投げするとして、今この場にいる実務経験豊富なメンバーどもには最重要でやるべきことがある。それは何だと思う?」


 ボスは立ち上がった。

 立てかけた小銃を手にしたことから、全員なんとなく理解したと思う。


「西に残ってる鬱陶しい連中をさっさと片づけるってことだな?」


 ツーショットが代わりに答えてくれた。正解だったみたいだ。


「その通り。戦いに備える合間にお片付けだ、ただし厄介な場所に立てこもってる連中がいてね。そこで活躍してもらいたい奴が3人いるんだが」


 さて、ボスはなぜか俺を見た。

 それからヒドラも、そばのブロンド髪の女性――ファイアスターターも見て。


「他はうちらでやるとして、ここにいい感じに敵が隠れてる場所があるわけだ。ストレンジャー、ヒドラ、ファイアスターター、あんたらはそこに恐怖を植え付けてこい」


 ボスはなんとも奇妙な組み合わせをご指名してきた。

 向かう先は西側にある住宅街、その中心にある『州警察署』という場所だ。


「俺たちが必要ってことは……」

「派手に示してほしいみたいね、兄貴」

「……えっ、俺も?」


 放火魔とその妹がいる時点でだいぶあれだが、なんで俺も必要なんだろう。


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