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魔法の姫と世紀末世界のストレンジャー  作者: ウィル・テネブリス
世紀末世界のストレンジャー
155/580

66 首狩りメイドさんの冥土送り

区切るところが不自然だったと報告があったので調整しましたごめん


 もう朝日がやってきたというのに眠れなかった。

 いや眠らなかったというべきか。

 まあ、いろいろ、本当に『いろいろ』すぎて端折るが、俺は"掃除"していた。

 ベッドでお行儀よく座っているメイドの姿をよそに、なぜかストレンジャーは汚れたテーブルを黙々と"掃除"していた。

 足の筋肉がバグってぷるぷるしているが、力の抜けた身体で必死に"掃除"していた。

 三度も言ったんだ、頼む、こいつらに必死さが伝わってほしい。


『……へんたい』


 綺麗になったテーブルの上で、きれいに置かれた短剣からぼそりと伝わる。

 蔑むようなものが混じりつつも、どこか嬉しさが混じっちゃったような――


「……ごめん」

『……へんたい♡』

「……責任取ります」


 一応言っておこう、何があったのかは俺は語るまい。

 ただ、ミコがこれだけ言うほどの過ちを犯しただけだ。


「良かったっすねえ、ちゃんと正常に」

「もうやめてくれ」

「機能してるんすから問題ないっすよ~? にしてもイチ様いつもあんな顔なのにこういう時きれいな」

「やめてください」

「顔でとろけちゃうんすねーしかも綺麗な声で、ちゃんと整えたらぜーったいかわいいっすよフヒヒ……♡」

「俺が何をしたんだノルテレイヤ……!」


 綺麗になった生首もクスクスしながら、大体共通していることを言っている。

 二度目だ、何があったのか、俺は決して語るまい。

 とりあえずこれで全部綺麗になった、証拠も『解体』した、あとは人の過ちがここに残されるだけだ。


 とんとん。

 人が目をぐるぐるさせながら、しかも恥ずかしさで素が出てしまってるというのに、更に言えば深夜なのにお構いなしに扉にノックが走った。

 控えめでありながら強さのある呼び出し音に慌てて扉を開くと。


「……俺様、結婚もしていないのにそういうのは良くないと思うぞ」


 ノルベルトがいた。あの巨体をもじもじしながら、大事なことを伝えに来たようだ。

 ……それから、気まずそうに扉を閉めてしまった。

 

「ごめんノルベルト! ごめんって!! おい! どうしてくれんだ!?」


 その大きな後ろ姿を呼び止めようとしたら、今度は廊下の方からどたどた聞こえてきて。


「やかましいぞ! いい加減にしろ!」


 おそらく第二の被害者であろうクリューサがイラつきながら突入してきた。


「ごめんなさい」

「お前が真夜中にどんなプレイをしようが俺の知ったことではないが何時間も何時間も騒がしくして迷惑だと思わないのか! ボスからどういう教育をされたんだお前は!」 

「生きててすみません」

「…………いや、うん、もうわかった、そんな顔するな。……はぁ、一体俺の人生はどこで間違いを犯したのか……」


 すげえ同情するような顔をされて帰ってしまった。

 閉じた扉の向こうから『せくしーな声だったな!』とダークエルフの声が聞こえた気がする。


『……いちクンって、あんな声出すんだね?♡ かわいいなー♡ ふふっ♡』

「…………」


 とどめのミコの言葉がやってきて、身体がふらりと窓の方へ向かう。

 別に何もかも嫌になって「飛び降りよう」と思い立ったわけじゃない、ただ、顔を冷やしたいだけなんだ。

 ものすごーく気まずそうにするニクを踏まないようにして窓を開けに行くと。


 ――がらっ。


 気のせいでもないが、そこ(・・)がひとりでに開いてしまう。

 すぐ先から冷たい風が流れ込んできて、それと同じくして暗闇の中から両手が生えてくる。

 それから、誰かの頭部が少しずつ登りあがってきて。


「よし、今の内に――――あっ」


 知らないおじさんの姿が目に入る。

 とても残念だが格好はいかにも『レイダー』だ、やってる事も然り。

 手には取り回しの良い自動拳銃を握り、今まさにこの部屋へ入り込もうと意気込んでたところだ。

 しばらく目が合った。

 なんとなくその後ろを覗いてみると、梯子(はしご)があって。


『おい、どうした! 何止まってんだ!』

『早く行け遅いぞ! 気づかれる前に部屋ごと吹き飛ばせ!』

『待て、気づかれてないか……!?』


 ……後ろからも続々と似たような奴が登ってきているようだ。

 視線を再び持ち上げると、目論見が外れて気まずそうに笑う男がいた。


「あ、ど、どうも……はは、おはよう?」

「おじさん誰?…………じゃねえ、敵襲だッ! クソッ!! 全員おきろ!!」

『えっ!?』

「お~? どうしたんすかー?」


 ようやく戻れた。まだ震える片足を持ち上げて体をひねり、登ってきたであろう侵入者に靴底を叩き込んだ。

 顔を潰された男が梯子ごとぐらぐら倒れていく――なんてこった、状況開始だ!


「こんな時間にお客さんだ! 武器持ってる方のな!」

「敵っすか~?」

「いきなり拳銃片手に登ってくる奴が友達に見えんのか!?」


 こんな深夜だというのにストレンジャーの時間が来てしまったようだ。

 武器を取りに窓から離れた――すると、宿のあちらこちらが騒がしくなる。


『くそっ、あいつ起きてるぞ!』

『なんでこんな時間に――くそっ、どこで情報が漏れた!?』

『ここまで来て引き下がれるかよ! 攻撃続行だ!』


 窓の外からはもはや隠す気もなくなった男たちの声と足音が、部屋の外からはどたどたと駆け込む音が、なんだったら宿の外から無数の気配すらする。

 嫌でもわかるさ、つまり今俺たちは包囲されてるってことだ!

 ミコを取って荷物から三連散弾銃をもぎ取ると、俺は窓に向かった。


『どっどうしよう……とりあえずみんな起こさな……ってもう起きてるよね!?』

「やかましくすりゃみんな気づくだろうな!」


 開きっぱなしのそこから下を覗くと……わ~お、滅茶苦茶いる。

 倒れた梯子の周りで十人かそれ以下の人間が「どう攻めようか」あぐねいているところだ。

 既に梯子で別の部屋に登ってる奴すらいる――隣の部屋にお邪魔しようとしているレイダーに銃口を向ける。


「おはよう」

「……はっ!? や、やべえ畜生――!」」


 肩で銃床を受け止め、照準を雑にあわせ、二つの引き金を同時に引く。


*zZbaaaaaaam!!*


 飛び跳ねる銃をどうにか抑え込んで、二発同時発射で男がはじけとんだ。

 こんだけやかましくすればみんな気づいてくれるだろうさ。

 銃身を折って振り、熱々の空薬莢を落してベルトから散弾を抜いて――


「いたぞォォッ! ストレンジャーだァァッ!」


 その直後、ばたんとドアが蹴り破られる。ポンプアクション式の散弾銃と共に。

 クソッ、もうここまで来てるのか!

 リロードを諦めて45-70弾に切り替えようとするが、


「ヴァァゥ!!」


 いつの間にかドアの側に待ち構えていたニクが首に噛みついたようだ。


「あああああああああっ! な、なんだこの犬ゥゥゥ……ッ!!」


 今まさに得物を向けようとしていた薄汚いレイダーが崩れていく。

 黒い犬に押し倒された男はせめてもと天井に向かって射撃、更なる銃声を響かせておとなしくなったようだ。


「お~、わんこつよいっす」

「感心してる場合か! お前もなんかやれ!」

「え~」


 一方でロアベアは――何のんきにしてやがる!

 首ありのメイド姿はふらふらと悠長に杖のようなものを手にしているところだ。

 こいつに一体何ができるのか、ましてこんなこと(・・・・・)ができるかも怪しいが……、


『フーッハッハッハ! イチよ、にぎやかになってきたな!』

『う、わ、わあああああああああああああああああああっ!?』


 今度は部屋の外、向こうの部屋の方からあいつの愉快な声も聞こえた。

 ついでに悲鳴が遠ざかりながら響いた。たぶんお客さんをぶん投げたんだろう。


「ノルベルト、敵だぞ! あと今の声はなんだ!?」

『お帰りになっただけだ! 案ずるな!』

「よし! 山ほどいるぞ、気をつけろよ!」


 銃身を折って素早く装填、それと同時にまた部屋の外から誰かがやってくる。


「ヒャッハァー! 標的を発見だァ!」

「他のは無視しろ! 死ね、ストレンジャー!」


 男が二人侵入してきた、白兵戦する気満々だ。

 工事現場で使われそうなデカいハンマーと山刀(マチェテ)のコンビか、リーチが短い方が先に飛び込んでくる。

 刀身を振り上げる男に銃口を向けて備えるが、外からぱぱぱぱっ、と銃声が届いてきた。


 ――びすっ。


 背後から壁を裂くような音がする。それも一度や二度ではなく次々とだ。


「っておおぉぉぃ! あいつら何考えてやがる俺たちも」


 仲間がいようがお構いなしかよ! 「うおう」と驚くロアベアを無視してそいつの胸元をポイント、撃つ。

 肩に来る反動の先で一人転がった、もう一人がすさまじい勢いでハンマーを振り下ろしに来るものの。


「ガァゥッ!」

「うお、おおおおおおぅ!? 畜生邪魔すんなっ! クソ犬がぁ!」


 またニクがやってくれた。足に噛みついてハンマーごとそいつを転ばせたようだ。

 俺は倒れたレイダーの頭にごりっと銃口を叩きつけて。


「アドバイスだ、次からちゃんとノックしろよ」


 「あっ」と何か言いかけた男にトリガを引き絞る。セリフごと吹き飛んだ。

 するとまた部屋の外からどたばたと足音が。一体何人いやがる。


『クリューサ! 敵襲だぞ!』

『言われなくても分かる! あいつらが騒がしくしてくれて助かったな、まったく!』 


 隣の部屋も騒がしくなってるようだ、悲鳴やら取っ組み合う音が聞こえる。

 特に俺に言い聞かせるような言葉からして割と余裕そうだが。


「アヒヒー♡ いやあ、にぎやかっすねえ」


 ロアベアお前は一体なんなんだ!?

 部屋が撃たれてびすばす音を立ててるのに、杖みたいなものを手にふらふらして楽しんでるようだ、そんな場合か。

 目と鼻の先を銃弾が本当に飛び交ってるがこいつは全く危機感がない。


「ロアベア! お前……いや、何もできないなら伏せてろ!」

「ところでイチ様ぁ、うちってどうしてガレット様に雇われたか分かるっすか?」

「あいつの変態趣味なんざ知るか!」

『ロアベアさん、危ないから隠れてて! 撃たれちゃうよ!』


 今度は外から濃い銃声も届いてくる、この破裂音からして小銃だ。

 壁がぶち抜かれてすぐ頭上をひゅっと何かがかすめる。あいつらマジだぞ。

 撃たれないように壁を意識したまま、部屋から離れようとすると、


「へっへっへ、お邪魔しま~す!」

「早く殺せ! さっさと店のもんとって帰ろうぜェ!」

「オラァッ! ようやく見つけたぜ20000チップ君!」


 また来た、いい加減にしろ、三人の男が殴り込んでくる。

 先頭の男が二連装散弾銃(ダブルバレル)をこっちに――転ぶように伏せて、こっちも得物を向けた。


*baaaam!*


『ひゃあぁッ……!?』


 いきなりぶっ放してきた。弾が頭上を煽って後ろのガラスをぶち破る。

 クソあぶねえ! ほぼ同じ頃合いでそいつの首上に応射、頭を欠け飛ばすが。


「こんばんはお客様。いかがなさいましたか?」


 ……ロアベアがちょこちょこと、そいつらの目の前に歩いていく。

 見れば口調もやけにはっきりとしていて、ひとりのメイドが杖を片手に行く手を阻んでいるという形になってしまった。

 何やってんだ馬鹿野郎と声が出かけるものの、


「なんだァ……? このメイドは?」

「おい綺麗な姉ちゃん、相手なら後でたっぷりしてやるからそこ退きな。今は仕事中なんだ」


 仲間がぶち抜かれ、それでもなお迫ろうとしていたはずの男二人が思考ごと止まる。

 手にしていた鈍器やら刃物やらの冷たい武器(コールドウェポン)はそのままに、さすがに唐突に割り込んできたメイドさんに戸惑ってるというか。

 その隙にそっと散弾を抜く、身体を起こして装填と緊急射撃を組み立てようとするが。


「申し訳ございません。そのお方には御恩がございますので、この度はそちらがお引き取り下さいませ。では良きあの世を」


 義務的な言葉をそう述べて、急にロアベアが動く。

 俺の眼前でふらついていた身体は急に精細さを思い出して、まるで刀を使う侍みたいに腰を落とす、そして――

 ずっと持っていた杖から何かを引き抜いた。


 びゅっ。

 

 ちょうどそれは、風を叩き切る音というのがぴったりだ。

 けっして鋭くとがったものじゃないが、何かが一閃したのは間違いなかった。


「……ほっ?」

「あっ……ああ?」


 見上げると、一体どうしてか、満足に声も上げられずに二人の男がふらついていやがった。

 武器すらも落としたみたいだ。二人仲良く首を抑えて苦し気にしたかと思えば。

 ……ぼとり、と二つ分の顔色が落ちてしまった。


「は?」

『え゛っ……?』

「――言ったじゃないっすか。腕が立つ(・・・・)って」


 一体何が起きたのか思考が追いつかなかった。

 だけどすぐ分かった、頭を失った体がぶしっと血を吐き出し、足元に生首がごろごろ転がったからだ。

 目をやれば、首ありメイドは何かを構えている――剣だ。一メートルほどの杖から出て来た刀身だ。

 つまり、こいつは二人の首をはねて冥土(メイド)送りにしたってわけだ。


「あそこってけっこう荒事に巻き込まれるんすよねえ、だからうちみたいな……」

「……見事なお手前どうも。その調子でお客様を歓迎してやってくれ」

「うぇーい」

『ろ、ロアベアさん……? 今、人……!?』


 ああうん、こいつは俺より頼れるみたいだな。

 とんでもない拾い物をしてくれたガレットに感謝しつつ、ロアベアと一緒に首無し仲間にされた死体を踏み越えた。


「もらったァァァッ!」


 部屋を出た直後また一人突っ込んできた。ホームガードの槍をもってやがる。

 三連散弾銃で迎え撃つ――間もなく、すぐ横をするっとメイドの身体が通り抜け。


「お客様~、いきなりの来客は困るっす~」


 そいつが身体ごと突き立てにきた槍をぎんっ、と上に払い弾いてしまった。

 勢いを乗せた体幹を崩して「うおぅっ!?」と隙を見せたところに、びゅっとまた横一閃。

 また首が跳ねられてしまった。


「ひっひいいいっ……!? 何だこのメイド……!?」


 そのまた後ろから拳銃を構えていた仲間が完全に狼狽えている。

 お構い無しにロアベアが首無しボディを押し退けて、そいつに向かって直進……また首が飛んだわけだ。


「おっ……おい!? く、首……!?」

「う、うわぁ……ッ!? どうなってやがる!?」

「あ、どうも~。アポなしのお客様は冥土にお帰りくださいっす」


 (向こうにとって)最悪なことに、そこへ階段を上ったばかりの一団がそんな光景を目の当たりしてしまう。

 そしてまたロアベアが――オーケー、あいつに丸投げしよう。


「ウォンッ!」


 恐ろしく強いメイドの姿から意識を外すとニクの声が。部屋の方からだ!

 慌てて戻ると、そこには窓から乗り上げて来たであろうデカい男がいた。


「ハッハァァッ! "ジャガーノート"がお邪魔するぜェ!」


 いや、デカいんじゃない、こいつは防具でガチガチに身を固めてる。

 顔を隠すヘルメット、ケブラー製のスーツの上に鉄板やら張り付けた重アーマーセットだ。

 あの教会で見たやつをさらに補強したような――クソ忌々しいってことだ!

 当然ニクが狩ろうとしていたものの……歯が立っていない。噛みつけないのだ。


「オラオラァッ! どけクソ犬ゥ!」


 分厚いズボンに噛みついていた犬が「ギャンッ!」と蹴り飛ばされた――くそ、やってくれたな。

 続けてブーツの底が踏みつける寸前、ミコが「ショートコーリング!」と叫んで引っ張ってくれた。


「ニク! ここは俺がやる! 他の奴のカバーに回れ!」


 相手が悪い、あとは任せろと頼むとニクは「ワンッ!」と走っていった。


『いちクン!』


 その直後、急にミコの警告が入る。

 見ればその通り、重装男が急に腰から何かを抜き放とうと――投げナイフだ。

 反射的に体が動く。避けるか、いや防ぐ!

 『感覚』を頼りに飛んでくるそれに合わせて――手ではじいた! 叩き落されたナイフがからっと音を立てる。

 すかさず銃を構える、狙いは当然。


「人様の部屋に無断で入るな、出てきな!」


 さほど強固に守られていない膝に向かって射撃、あの時と同じように跪け。


「おっ――――っと!」


 ……嘘だろ、倒れねえ。

 確かに膝をぶち抜いたはずが、散弾を喰らってもビクともしていない。

 もう一発ぶっ放す、衝撃は伝わったがよろめくだけだ。

 それどころか手にした馬鹿デカい剣――いつぞやサーチタウンのエグゾアーマーが使ってたあの得物を引っ張り。


「無駄だ無駄だァ! 俺は人間ボディアーマーだ!ってなぁ!」


 その見た目からは想像できない勢いで踏み込み、ぶぉんと振り回してくる。

 慌てて引く、「人間真っ二つにできる」ぐらいの重たい刃がテーブルごと両断しながら空振りだ。

 なら、こいつはどうだ。45-70弾に切り替えて脳天めがけてポイント、ぶっ放す。


*Bam!*


 やった――いや、ダメだ。軽く仰け反ったが、動きは止まらない。

 丸みを帯びたヘルメットの表面はへこみ削られてるだけだ、どうする『ピアシングスロウ』は……ダメだ間合いが近すぎる!

 巨大な得物ごと敵が迫ってくる、どうする、何か……そうだ。


「だったらこいつはどうだ……!」


 ふと思い出して、俺は白いショットシェルを抜いた。

 銃身を折って緊急装填、巨剣を叩き込むに十分なところまで迫ってきたそいつへ感覚を頼りに銃を向け。


*zbaaaaaam!*


 アーマーに覆われた胴体へとぶっ放す。

 それと同時に後ろにステップ、部屋から抜けて続けざまにもう一発お見舞いしようとしたのだが。


「お゛……お゛……い、痛……てめえ……!」


 アーマー男はがらっと得物を落として、胸元を探りながら膝を崩す。

 おそらく命中したであろう箇所からは「特大の銃弾でぶち抜かれた」ような大穴が空いて、相応の血が遅れて溢れている。

 ……これが『ワックス・スラグ(スティンガー) 』か、確かにズタズタだ。

 派手にぶち抜かれた男を蹴り倒してから、俺は再装填しつつ廊下へ飛び込んだ。

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