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第17話 なろう樹海の暗闘  -教えてオリ子さん! 知られざる『ジャンル別0pt作品割合』の実態-


< ―side― セバ山・ソト原  >


軍曹やネコ峰と過ごした「()()()()」を出発し、新たな潜伏先を探すべく旅立ったセバ山とソト原の二人。


旅の途中、自我を失ってもなお評価ポイントを求めてなろう樹海を彷徨う「哀れ」かつ「迷惑」な存在であるポイント亡者(ぽいもう)に遭遇しつつも、それをやり過ごし、


セバ山は『エッセイ渓谷』へ、ソト原はかつて二人の戦友が()()()を散らした因縁の地でもある『その他ジャンルヶ原』へと向かっていた。



二人の新兵が歩むなろう樹海の獣道の様な道もそろそろ分岐点に差し掛かるだろう……。


刻々と近づく戦友(とも)との別れを予感し、お互いに口数が少なくなる二人であった……。


――

なお二人が出発してからだいぶ時間が経った気もするが、それは気のせいであることにご注意されたし

――



◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



ソト原「ん? おかしいな?」


セバ山「どうした?」


ふとなにかに気がついたらしいソト原。一体?



◇◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



ソト原「いや、俺たちはいま『エッセイ渓谷』や『その他ジャンルヶ原』がある『その他ジャンル地方』に向かってるわけだよなあ」


セバ山「ああ、そうだな」


ソト原「じゃあ、少なくともここは『その他ジャンル地方』では無いわけだ」


セバ山「……確かに」


ソト原「じゃあここは一体何処なんだ? というかあの洞窟は何処だったんだろうって?」



確かに。()()()()はさも当然の様に『誰も訪れることのないなろう樹海の最深部』とか『軍曹お気に入りの潜伏スポット』みたいな説明がされていたが、よくよく考えてみると曖昧で適当な説明であり、()()()()がなろう樹海の何処に位置しているのか、新兵の二人には見当が付かなかった。



◇◇◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



セバ山「……謎だな」


ソト原「……ああ、謎だ」


やはり琵琶湖の総面積に匹敵する広大さを誇るなろう樹海。「魔境」と呼ばれるこの場所は摩訶不思議な謎に満ちている場所なのだと再認識する二人であった。



◇◇◇◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇



――――――――――――――――――――――――


< ―side― ネコ峰 >



オリ子「ここは『ノンジャンル大洞窟』よ」


ネコ峰「えっ!?」



やや唐突に始まったかのように感じるオリ子さんの解説の続き。あまりにも久しぶり過ぎてネコ峰がびっくりするのも仕方ないだろう。


――

なお前回のオリ子さんの解説からだいぶ時間が経った気がするかもしれないが、それは気のせいであり、実際には数分しか経っていないことにご注意されたし

――



◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇◇◇◇



ネコ峰「ここがその『ノンジャンル大洞窟』という名前の場所だったとは知りませんでしたっ!」


ネコ峰「でも、なぜそれを急に?」


オリ子「軍曹さんの『夢のカオリ』がどんな意味で”特別な0pt作品”であるかの作品分析に入る前に『ジャンル別の0pt作品割合』の戦況分析についても少し解説しておこうと思ったのよ」


ネコ峰「そ、そうだったのでありますかっ! ではぜひよろしくお願いします!」



さすがネコ峰。あえて修羅の道(ポイント0)を極めんとする覚悟に満ちたこの新兵は、多少唐突で無理矢理感のある導入であったとしても全然気にせず、どこまでも貪欲に戦場の知識を吸収しようするのであった。



◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇◇◇



――【 オリ子さんに学ぶ『ジャンル別0pt割合』 】――



ネコ峰「しかし『ジャンル』は『0pt』とそんなに関係があるのですか?」


オリ子「大いにあるわ」


オリ子「とりあえずこれを見なさい」



挿絵(By みてみん)

※画像:ジャンル別0pt作品の割合(データ取得日時:2019.08.07)



ネコ峰「こ、これは……」


ネコ峰「す、すごく分かり……にくい……です……。」



ネコ峰は正直な新兵なのであった。



オリ子「仕方ないわね……、じゃあ0pt作品割合の多い順に並べ替えたものをみせてあげるわ」



挿絵(By みてみん)

※画像:ジャンル別0pt作品の割合 0pt割合の高い順



ネコ峰「おおお! なんか分かりやすくなりました! ありがとうございますっ!」



◇◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇◇



オリ子「この表を見ればジャンルによって0pt作品割合にかなりの差があることは一目瞭然よ」


ネコ峰「た、確かに……」



オリ子さんの示した表を見ると、一番0pt作品割合が高い『その他(その他ジャンルヶ原)〔その他〕』は投稿作品の52%、つまりは半数以上が0pt作品となっており、なろう樹海において最も安全な場所(ジャンル)であることが見て取れた。


一方、最も被弾(ポイントGET)率の高い『VRゲーム〔SF〕』ジャンルはなんと0pt作品は17%しか存在せず、あえて修羅の道(ポイント0)を極めんとする陰の者が絶対に近づいていけない危険な場所(ジャンル)であることも分かった。



◇◇◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇



ネコ峰「ところで自分は『()()()()()()』というジャンルが存在することを知りませんした!」


ネコ峰「というか『ノンジャンル』とは一体なんなのでしょうか?」



オリ子「良い質問ね。じゃあ解説してあげるわ」




――【 オリ子さんに学ぶ『ノンジャンル』 】――



オリ子「この『ノンジャンル大洞窟』は2016年5月末に起きた地殻変動(ジャンル再編成)の際に出来た、なろう樹海の(ひず)みよ」


オリ子「地殻変動(ジャンル再編成)の際、2016年5月末以前に投稿された作品は一旦『ノンジャンル』というジャンルに置き換わり、その後作者が手動で『新ジャンル』のいずれかを選択する形となったわ」


オリ子「未だに存在するノンジャンル作品は、作者がその新ジャンルの選択操作を行っていない作品というわけよ」


ネコ峰「なるほど」



◇◇◇◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇



オリ子「ノンジャンルは新ジャンルへの移行措置だったわけだけど、ジャンル再編後も新ジャンルを選択していない作品は数多く存在するわ。軍曹さんの『夢のカオリ』もその一つよ」


オリ子「そして、その様なノンジャンル作品が現在のなろう樹海全作品のうち約38%を占める最大ジャンルとなっているわ」


ネコ峰「えっ!? 最大ジャンル!? 全作品のうち38%!?」



ネコ峰が驚くのも無理はない。なろうにおける最大ジャンルはてっきり激戦地として知られる『ハイファンタジー高原』あるいは『現実恋愛オアシス』あたりだと思っていたからだ。



オリ子「これを見なさい」


挿絵(By みてみん)

※画像:ジャンル別 総作品数



ネコ峰「た、確かに……! 実はノンジャンルがなろうの1/3を占める最大ジャンルだったんですね」


オリ子「そうよ。よく覚えておきなさい」


ネコ峰「はい!」


オリ子「あと、作品数が多いからといって賑わっているわけではけっしてないから注意しなさい。大半のノンジャンルはただの放置作品というのが実態よ」


ネコ峰「わ、わかりました!」



こうして『ノンジャンル』という隠れマジョリティの存在を知った新兵のネコ峰。また一つなろう樹海における知られざる戦場の知識を身に着けたのであった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◆◇◇◇



ところで、ネコ峰は少し気になったことがあった。


それはオリ子さんが示してくれた最初のジャンル別0pt作品割合の表の中で『エッセイ』ジャンルが意外と0pt割合が低かったということについてだった。



挿絵(By みてみん)



ネコ峰「(たしか、セバ山はエッセイ渓谷に向かったはず……、大丈夫なのだろうか……)」


戦友(とも)の旅路の先に不安を抱かずにはいられないネコ峰だった……。



――――――――――――――――――――――――


< ―side― セバ山・ソト原  >



 樹森樹

\ 岩 /

樹 Y 森

森 | 樹

樹 .. 森 ←セバ山・ソト原



やがてジャンルの分かれ道へと差し掛かった新兵の二人。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◆◇◇



ソト原「ここが……、ジャンルの境界、らしいな……」


セバ山「ああ……」



戦友(とも)との別れは……切ない……。


だが、あえて修羅の道(ポイント0)を極めんとする陰の者たちにとって、別れは宿命なのだ……。


なぜなら修羅の道(ポイント0)は辛く厳しく、孤独な道のり……。この道は「みんなで一緒に楽しく目指しましょう♪」という訳には……いかないのだから……。



そして分かれ道でしばらく立ち止まり無言となる二人の新兵……。



……やがてセバ山が先に口を開いた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◆◇



セバ山「いままで世話になったな……、感謝してるぜ」


ソト原「ああ、こっちこそ。……ありがとな」


セバ山「……じゃあな」


ソト原「ああ……」



そして、ソト原に背を向け己が道を歩み始めたセバ山。


この世の魔境、なろう樹海の戦場において、あえて修羅の道(ポイント0)を極めんとする新兵たちの本当の闘いが、いま始まったのだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◆



分かれ道でセバ山の後ろ姿が樹海の木々に隠れて見えなくなるまで見送ったソト原。寂しい……。


だがここは戦場……。いつまでも感傷に浸っては……いられないっ。


やがて自分も次の潜伏先である『その他ジャンルヶ原』に向け、歩み始めたのであった。



――――――――――――――――――――――――



そんなソト原に、急に背後から話しかける何者かが――いた。



――


???「そこに『10連装対戦車ライフル(ポイント評価)』って()があるじゃろう?そこをこう……ポチポチっとしてほしいのじゃ」



<< 続くっ! >>



連載再開!


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[一言] セバ山とソト原まだ生きてて良かった...... もう死んじゃったのかと思ってた。
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