第16話 なろう樹海の暗闘 -教えてオリ子さん! 禁断の初晒し体験に挑まんとする軍曹⑦-
続きっ!
<< 教えてオリ子さん! 『0の作品群』の傾向分析! >>
オリ子「作品分析を行っていく上で必須となるのが『なろう戦況分析のレポート』よ」
オリ子「作品分析では戦況レポートの数字と照らし合わせながら、その作品の立ち位置を把握していくのよ」
ネコ峰「なろう戦況分析レポート?」
確か以前、オリ子さんが「なろう分析」には「作品分析」と「戦況分析」があると言っていたような気がするが……。あまり覚えていないネコ峰であった。
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ネコ峰「申し訳ありません……、自分は『なろう戦況分析レポート』を持っていないのですが、一体どうすればよいのでしょうか?」
オリ子「いい質問ね。それはとても簡単なことよ」
オリ子「『なろう 分析』で検索すれば、在野のなろう戦況分析専門家たちが作って一般公開している戦況分析レポートが簡単に見つかるから、それを参考にすればいいのよ」
ネコ峰「知りませんでした!では戦況分析は自分でしなくてもいいんですね!」
オリ子「まあ、そうとも言えるわね」
実はそうなのである。戦況分析レポートの作成は闇の魔導器や上位召喚魔法を多用しなければならないため一般の戦士にはハードルが高い。
しかし、なろう樹海にはその様な戦況分析を得意とする、在野の戦況分析専門家たちが少なからず存在し、戦況分析レポートを己の作品として投稿してくださっているのである。
一般の戦士はなろう戦況分析官が投稿したレポートを参考にすることで大幅な時間短縮を図ることができるのだ。
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オリ子『なお戦況分析レポートを参考にしたなろう樹海戦士たちは必ず特大砲弾を打ち込むことで、レポートを作成してくださった戦況分析専門家の努力に報いる様にすること。いいわね』
戦士達『『『『 はい!!! 』』』』
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オリ子「数ある戦況分析レポートの中でも特に、とある『なろうデータ収集卿』閣下が作った戦況分析レポートは最高の作品よ」
オリ子「なろう樹海の現状を理解する上で『作者・読者の区別無しに全人類必見』の内容だから後で紹介してあげるわね」
ネコ峰「あ、ありがとうございます???」
なろうデータ収集卿? 一体どんな人物なのだろうか!?
一応説明すると、『卿』といえば物凄く高位の官職を持っている人に対してつけられる尊称である。要するに大臣とか公爵とかそんなレベルで偉いお方である。
陰に潜む魔物が跋扈するなろう樹海で、そんな高貴なお方がデータ収集を行っていて、さらにそれをまとめた戦況分析レポートまで公開してくださっているというのだから驚きだ。
やはりなろう樹海は様々な魔物や怪物、さらには高貴なお方までをも惹きつけて離さない、魔界でも有数の魔境中の魔境といえる場所なのだろう……。
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オリ子「今回は私が作った戦況レポートを元に検討を進めていくわね」
ネコ峰「はい!」
オリ子「では小説情報から見れる『短編・連載の種別』『文字数』『部分数』『ジャンル』の観点から、この作品が持つデータを『0の作品群データ』と比較しながら分析を進めていくわ」
ネコ峰「はい! よろしくお願いします!」
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<< 短編・連載の種別 >>
オリ子「まずなろう樹海における『短編・連載の種別』についてはこの様になっているわ」
*画像:なろう樹海の全作品における短編・連載作品の割合を示した円グラフ
オリ子「なろう樹海において短編作品と連載作品の比率は半々ぐらいで、連載作品がやや多いぐらいということが分かるでしょう」
ネコ峰「なるほど、連載の方が圧倒的に多い印象でしたけど、実は半々ぐらいだったのですね」
ネコ峰「ところで『夢のカオリ』は連載作品ですね。ということは、多数派に含まれていることからも、これは別に普通であるという解釈で良いでしょうか?」
オリ子「そうよ、その考え方であってるわ」
オリ子「そういう風に『ある作品の持つデータ』をなろう樹海の「戦況レポート」に当てはめて考えていくのよ」」
ネコ峰「はい! なんか分かってきました!」
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オリ子「次は『連載作品の中での立ち位置』について検討していくわ。このグラフをみなさい」
*画像:短編・連載別のポイント0率の積み上げ棒グラフ
ネコ峰「これは……?」
オリ子「連載作品の方が短編作品よりポイント0率がやや低く、連載作品の中は40%がポイント0作品となっているわね」
オリ子「この”連載かつポイント0”の中に『夢のカオリ』は含まれているということになるわね」
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ネコ峰「なるほど。ところでこれはどの様に解釈すればよいのでしょうか?」
オリ子「これだけでは解釈が難しいわね。というか解釈のしようがないわ」
ネコ峰「えっ!?」
ネコ峰が驚くのも当然であろう。小説情報のデータと戦況レポートを合わせて分析すればよいとオリ子さんは言っていたはず。
なのに『夢のカオリ』が”連載作品かつポイント0作品”であることについて解釈のしようがないと言われしまったのである。これは一体どういうことだろうか。
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オリ子「だから前に言ったでしょう。複数のデータを合わせて検討することで、データの持つの弱点を補完するのよ」
ネコ峰「あっ! 確かにそうおっしゃられていました」
オリ子「連載作品かつポイント0作品であることだけではなくて、合計話数である『部分数』についても合わせて検討すれば、よりこの作品の立ち位置がわかるはずよ」
ネコ峰「なるほど!」
オリ子「じゃあ合計話数を合わせて検討したグラフを見せるわね」
ネコ峰「はい!」
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<< 連載作品のおける話数とポイント0率 >>
*画像:連載作品における話数ごと作品数とポイント0率を示したグラフ
オリ子「縦軸が作品数で、青色で示した部分がポイント0作品よ」
ネコ峰「な、なるほど……。つまり話数自体は『〜5話』の作品が多く、話数が多くなれば多くなるほど、作品数もポイント0率も低下して行き、100話を超えたあたりになるとほぼ100%の作品が被弾歴ありになってしまうのですね……」
実に恐ろしい事実だった。戦歴を重ね、投稿話数が増えれば増えるほど被弾のリスクは増えていくのだ。実に恐ろしい事実だ。
ネコ峰「……えっ、でも、おかしくないですか!?『夢のカオリ』は現在156話ですよ!?」
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ネコ峰が驚くのも無理はないだろう。オリ子さんが示してくれた戦況レポートのグラフでは、左の方では青色のポイント0作品が優勢であることが一目で分かった。
つまりこれは「投稿話数が少ない場合は、ポイント0であるということがむしろ普通」であることを示している。
なので、仮にもし投稿話数が少ないのに「ポイントが〜」と思い悩んでいる普通の戦士がいるとしたら「ポイント得たければ、黙って投稿を続けろ」ということが単純かつ最適なアドバイスになることが分かった。
しかし、グラフの右の下の端の方では青色はもう見えなくなっている。……ということは?
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オリ子「ほぼ100%というのは、決して100%ではないわ」
オリ子「こっちのグラフをみなさい」
*画像:連載作品における話数ごとのポイント0率を示したグラフ
ネコ峰「これは……?」
オリ子「このグラフでは話数ごとの中で、どれぐらいの作品がポイント0かということを示しているわ」
オリ子「要するに『連作作品』かつ『話数が近い』という同じ特徴を持つ作品の中での立ち位置を示しているのよ」
ネコ峰「……なるほど、これが『戦場での立ち位置』というわけなのですね」
オリ子「そうよ。そしてこの事から『夢のカオリ』が極めてレアな立ち位置にいる作品であるということが分かるわ」
オリ子「つまり普通の0作品とは異なる何かを持った『特別な0作品』であるということが読み取れるのよ」
『夢のカオリ』が秘める何かとは……、一体!?
<< 続くっ! >>
なお最近、高い実力を持ちながらも敢えて底辺作家としてなろう樹海に潜み、日々活動を続ける『あえて己の道を極めんとする陰の者』について二万字ぐらいのエッセイを書きました!
よろしければそちらも合わせてご覧いただけましたらと思います!
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