~プロローグ~
なんで、僕はここに...だって僕は、天国に行くつもりだったのにいぃぃぃぃー!
~プロローグ~
事の八反は昨日の朝────
「はぁ......金井め。朝っぱらから手伝えってなんだよ」
文化委員長の加賀谷唯斗は担任に呼び出されていた。きっと今度の文化祭の手伝いだろう。
唯斗はめんどくさいなぁと呟きながら校舎に入ろうとした。
その時────
明らかにおかしい光景が唯斗の目に入った。屋上の柵を越えた部分から少女が立っていた。
「まさか、自殺!?」
唯斗は青ざめながら一目散に屋上に駆け上がった。
「何してるんだ!」
まだ騒ぎになっていないようで、教師は集まっていなかった。
「加賀谷くん。」
「か、会長!?」
そこに居たのは唯斗の憧れの人────神谷生徒会長だった。
「会長、なんでこんなこと!今すぐ戻ってきてください! 危ないですよ!」
加賀谷はオロオロしながら会長に言った。
「いくら加賀谷くんのお願いでも無理よ。ごめんなさい。」
「謝らないでください! 話しならどれだけでも聞きますから! 何でもしますから! お願いします! やめてください!」
僕は泣きそうになりながら叫んだ。
「ふふっ。加賀谷くん、貴方は本当に面白い人ね。貴方に会えて本当によかった。…...さようなら。」
そう微笑みながら言って会長は飛び降りた。
「会長!」
唯斗は力の限り会長の手を掴んだ。
そして僕は────
死んだんだ。
気がつくと唯斗は暗闇の中に立っていた。
(そうか。僕は会長を引き上げてその弾みで…...まぁ、会長が無事ならこの命も安いものだ。)
「あー! いました! 亡者さんですね!」
と子供の声が聞こえた。しかし、姿が見えなかった。
「え? どこから────」
「私がご案内いたします!」
と言いながら子供が目の前から現れた。
「うわあぁぁぁぁぁー!!!!!!」
唯斗は思いっきり尻もちをついた。
「うわぁ! え、な、なに事ですか!?」
唯斗の驚いた声に子供が驚いた。
「お、オバケっ!」
唯斗は涙目になりながら言った。
「オバケ? あぁ、申し遅れました。私は閻魔。ここのバイトをしております。」
え? こいつ、今なんて言った?
「......バイト? 閻魔が?」
唯斗は今までにないくらい情けない声を出した。
「はい、変ですか?」
子供、もとい自称閻魔はキョトンとしながら言った。
「あ、いや。へ、ヘンジャナイヨ。」
唯斗は苦笑いしながら言った。
その時、サイレンみたいな音が響き渡った。
「あっ! こちら閻魔です!」
と自称閻魔がマイクに向かって言った。
「こらぁ! 閻魔ぁ! もたもたせずにちゃっちゃと案内しやがれ! 今日忙しいの分かってねぇのか!」
と自称閻魔が言った直後にこっちにも聞こえるくらいの怒号が聞こえた。
「す、すみません! すぐに案内します!」
自称閻魔が少し焦ったように言うと唯斗の方を向いて笑顔で言った。
「では、私と一緒に向かいましょうか。」
「は、はい! あ、あのー僕はいったいどこに行くんですか? 天国? まさか地獄ってわけじゃありませんよね?」
唯斗は何故か敬語になりながら恐る恐る聞いた。
「安心してください。そのどちらでもありませんよ。」
「どちらでもない? じゃあ裁判とか転生とか?」
唯斗はキョトンとしながら言った。
「いいえ、貴方が行くのはここ!」
自称閻魔は両手を広げた。
それと同時に唯斗達は光に包まれた。
光が消えると今までの景色はなくなり、その代わりに目の前に大きな学園が現れた。
「────妖怪学校です!」
「妖怪、学校?」
その単語を理解した瞬間唯斗は青ざめて意識を手放した。