1/1
タイトル未定
落ちてきそうなほど明るい満月だった。
満月の日、誰の目にも止まらずくぐる事が出来れば、必ず1つ願いが叶うという
大木の前に立ち、大きく息を吸った。
そこだけぽっかりと、まるで木が大きな口を開けているかのような。
「サァー・・・」
こんな遠い所まで、深夜に1人で来て真剣にくぐろうとしている自分に
あきれながらも、私は懐中電灯のスイッチをオフにした。
「スー・・」
深く息を吸い込んだ。
「私が本当にいるべき場所があるなら、連れてって」
「・・・・・・」
「フ・・・」
思考が現実になると途端に馬鹿らしくなる。
呆れながら、それでも四つん這いになって私は穴の中へ入っていった。
「真っ暗・・・」
「グッ・・・・もうっ・・」
足早に抜けようとすると、服が何かに引っかかった。
「キャッ・・・・」