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14/緊張と心臓とおえ…。

ついに球技大会が始まりました。

いやー時間がかかりました、すいません。

これからもマイペースに更新していきます。

球技大会、それは学生の学生による学生のための行事。


この日のためにずっと練習をつみ、優勝を狙って燃えているもの。


恥だけは欠きたくないと、隅っこで傍観者を気取っているもの。


特に興味はなく、さっさと負けて早く遊びたいと願うもの。


学生の中でも思考は様々だが、大半はこの日を楽しみにしていた者だろう。


俺は、どれに当てはまるんだろうか。

………きっとどれにも当てはまらない。

そんな気がした。




***




「こんにちはっ!」

「よ!」


このテンションが高い、そして若干うざい二人は、彼方と桜ちゃん。

桜ちゃんはまぁわかるけどどうして彼方も高いんだろう。

しかも朝から。


俺なんて昨日は結衣が俺のベッドで寝てるもんだから寝れなかったよ。

しかもやっと起きたと思ったらなんかどっかの星の言葉を発してまた寝始めたから大問題。

結局無理矢理自分の部屋で寝かせた。


その時…発見しました。


結衣は………意外に胸が大きかったです。



………………………。



俺、もしかしたら病気かも。

妹の…妹の胸って…泣きたくなった。

その後、精神科の病院のお世話になるかどうかで本気で悩んだ。

まぁ、精神面を鍛えればこの気持ち悪い兄から清楚感溢れる兄に生まれ変われるという結論に終わったが。


あ、言っとくけど自分から触った訳じゃないよ?腕がかるーく当たっちゃっただけで。

単なる事故。

や、本当に。

それはそうとこいつらは眠くないんだろうか。

俺が昨日のことを思い出していた間にも、なにか喋っている。

もう止めてほしい。

人の目も集まってきた。


「今日は絶対に負けないからな!ハッハー!」


…彼方、こんなキャラだっけ?

いつの間にキャラ変したんだろう。

俺の彼方への価値観というか、その辺を一度見直す必要だありそうだ。


「…とりあえず俺、対戦表見てくるから」


適当な言い訳で二人をかわそうとする俺。


「あ、俺も見に行くよ」


「なら私も!」


甘かった!こんなんで引き下がってくれるような相手じゃなかった。

なんでそんなことにも気付かない俺!

もし自分を殴れるものならたこ殴りにしてやりたい。


や、実際そんなの痛すぎてやらないけど。

対戦表の前には、小さいけど人だかりができていた。

俺と彼方で、桜ちゃんをかばうように道を開いていく。

まぁ、一応彼方の妹だしね。

それを差し引きしても言ってやりたいことは山ほどあるが、そこはあえて言うまい。

将来自分で苦労するがいい!


「うっわー、こりゃ大変だ………聞いてるの?」


………。


「蓮兄?」


「ん?何?」


はっとした感じで振り返る俺。

別に無視していたわけじゃない。

対戦表に問題があったため、そこを凝視してしまっていただけだ。


「蓮、気付いたか?」


「…あぁ」


俺の名字……字違くね?

『藤宮』が何を血迷ったのか『不死身屋』になってる!

どうしたの?どこで何を間違えたらこうなるの!?

俺は確かに藤宮でエントリーしたはずだ。

普通、こんな間違いしないでしょ。

っていうか不死身屋ってなんだよ。不死身を売ってる店か?そんな店この世の中にあるわけないだろう。

もしあったら店長の趣味どころかネーミングセンスまで疑うね。そして俺はきっと不死身屋なんて呼ばれてからかわれるに違いない。


「不死身屋兄?」


言葉なので実際どうか分からないが、恐らくは俺の名字が『不死身屋』になっているに違いない。俺には分かるんだ。

っていうか早速からかわれた。


「彼方兄とは決勝でしか対戦できないよ?大丈夫?」


名前に気を取られすぎて、対戦表を見るのを忘れていた。


…み、見事に間逆にいやがる。

これ、俺彼方と対戦出来ないんじゃね?

悪いが桜ちゃんには諦めてもらうしかない。


「桜ちゃん、ごめん」


「な、なに急に」


「や、先に謝っとこうかと思って」


後から文句を言われても困る。

恨むなら俺にこんなにも高い壁を用意した理不尽な神様を恨んでくれ。


っていうかなんで逆のブロックにいるかな!俺なんて一回戦から不安だってのに。


「もしかして、勝ち上がってこれないなんてことないよね?」


トゲのある言い方で俺に言う桜ちゃん。

もっとこう…優しく言ってほしい。

あ、分かってるよ。それが叶わない願望だってことくらい。


「あれだけ啖呵切ったんだからもちろん決勝までこれるよね?」


更にトゲの言い方に拍車を掛けてケンカを売ってくる一ノ瀬妹。


こ、こいつ……やばい、落ち着け俺。

相手はただの中学生じゃないか。

ここは大人の包容力で暖かく包んで、長い目で見てやるべきじゃないのか。


「あ、もしかして運動音痴とか?もしそうなら幻滅」


なんだか深い溜息を尽きながら言う桜ちゃん。

これにはもう耐えられません。


「…お、落ち着け蓮。あ、相手は中学生じゃないか……」


しどろもどろになりながら言う彼方。

ってか何?彼方も桜ちゃんの口の悪さに驚いてるわけ?

っていうか俺に落ち着けって呼びかける前にこの桜って名前の暴れ馬をどうにかしてほしい。

気を抜いたら俺の正拳突きが飛び出してしまいそうだ。


そして君も落ち着け。目が泳いでいるぞ。


「彼方、やばい、俺もうダメかも」


「待ってくれ蓮!とりあえず桜、少し黙って。そしてどっか行って!」


必死に何かを桜ちゃんに訴える彼方。

それはもう必死。レベルで言うと…まぁその話はいいや。


「それじゃ私は行くけど、一応彼方兄のライバルなんだから恥ずかしい試合しないでね」


カッチーン!もう、カッチーンってきたよ!!!

なんなんだよこの小娘!?

なに?俺に個人的な恨みでもあるわけ?

っていうか初対面からこんなんだもんな!

最初くらい猫かぶれよこの小娘!

いやーもう………ほんっと腹立つはぁ!


見るからに切れ気味な俺と相変わらず必死な目をしてる彼方を目で一蹴してから桜ちゃんはどこかに消えていった。

もちろん俺に悪びれる様子は欠片もない。


「悪いな蓮。いつもはあんなんじゃねーんだけど」


どっかに消えていった桜ちゃんの変わりに彼方が謝ってくれた。


なんて優しい兄なんでしょう。

でもいつもはあんなんじゃないってことは俺に対してだけあんなに好戦的ってことだよね。


俺…なんかしたかな?


いや、してない。してたとしてもあんな扱いを受けるほどじゃない。


まぁその置いといて、なんだか緊張してきました。


「まぁ、お前なら決勝までこれるって信じてるぜ」


信じられても困る。


「…やるだけやってみるよ。期待はしないでくれ」


「とかなんとか言っちゃってー、やる気満々のくせして」


なんでそう聞こえるんだ。

って言うかこいつは今日中はこんなんなんだろうか?


彼方が手を差し出してきた。


「まぁ、俺との対戦とかはあんまり気にしなくていいから、楽しもうぜ。妹たちも見てることだしな」


彼方は、やっぱりいつもの彼方だった。なんだかんだ言って優しいやつなんだ。


「…そうだな」


俺は、彼方の手を強く握り返した。


「いだだだだ!蓮…手……!!!」


おっと、力を入れすぎてしまった。どんまいどんまい。




その後、球技大会の開会式が行われ、とどこうりなく試合が開始された。

今日は高等部で、明日は中等部。

二日間かけて行われ、授業はなく、学園が一体となって球技大会を楽しむのだ。


高等部はみんな気合の入った試合をしていて、見ているこっちも白熱してくるような試合をするものまでいた。

自然と俺にもやる気が沸いてくる。


「お兄ちゃん、緊張してる?」


「…んぬあ!?」


俺は、奇声とともに。3メートルほどずり下がった。

いつから?結衣、いつからいたの?


「緊張してるみたいだね」


「そ、そんなことないよ」


「それじゃしてますって言ってるのと同じだよ」


言い返す言葉がない。

俺は未だかつてこんなに緊張したことがあっただろうか?

心臓がやばい。

心臓が口から飛び出しそうってのはあながち間違いじゃなさそうだ。

現に俺の喉元まで心臓が上がってきている気がする。


「おえ……」


「お兄ちゃん大丈夫!?」


その気になったらまじで気持ち悪くなった。


俺の背中を結衣がさすってくれている時、試合のコールがかかった。


『不死身屋選手、阿曽選手、第4コートで試合です』




き……きた!




読んでいただいてありがとうございました。


次回は、ついに試合が始まります。


蓮と彼方の実力差は・・・?

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