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1 喫茶店相談所

初めまして、川上義夫です。

喫茶店相談所のシリーズの第一弾の一話目です。

楽しんで読んで頂ければ幸いです。

喫茶店相談所 絵画は語る


潮風の生暖かい風と夏の日差しを受け、背中には汗で張り付くワンピースに不快感を感じつつ目的地へと急いでいた。

長谷観音前の交差点を渡り鎌倉四葩の路地に入ると住宅街が広がる。

手前の横道を左折し道程に歩くこと数分後にモダンな雰囲気の建物が目に入る。

『喫茶 穂花』と薄汚れた看板に書かれているのを確認し店の木製のドアを開けるとカランとドアのベルがなるのを聞きながら入店する

店内は冷房が効いており日照りを受けていた身体に冷風が染み渡るのを感じた。

左手にあるカウンターとその奥に佇むマスターと目が合うと会釈をし窓側に並ぶテーブル席に目を向ける。

テーブル席は四つあり、奥にソファー席があるだけの小さな喫茶店である。

その四つ目のテーブル席に座る人物を見つけ真っ直ぐ向かっていく。

彼は、煙草を咥え読書に夢中のようだったが近づくと本から顔を上げ言う。

「久しぶりだな・・・ユキ」

ユキとは、私の名前です。

私、桜川優姫は彼に会うために穂花に来ました。

「コウスケさんにお話がありまして」と向かいの席に座り前のめりになり続ける「孝助さんに、ご相談があります」

私の相談内容に答えを持たらせるのは、家族や親戚でも友人でもなく、この人だけだと確信していました。

『この手』の相談は彼、寺岡孝助がいる

『喫茶店相談所』のみだと。



彼、寺岡孝助さんは大概を喫茶店・穂花で過ごしています。

職業は家庭教師で、私の姉達も高校に上がる前までは彼に家庭教師をして頂いていました。

今は女性のハルナさんが私達三姉妹の家庭教師をしています。

喫茶店相談所は、喫茶店が相談を受け付けているわけではなく、孝助さんがいる喫茶店で相談を持ちかけることが多く勝手に私達が相談所と言い、周りに宣伝しているだけでした。

私が、孝助さんにする相談は恋愛や受験、家庭内や人間関係などでなく謎解きです。

謎解きというと大袈裟ですが、私がするのは失くしたものの捜索の仕方や不思議と思うことでした。

そして、今回は学校で起きた事故です。

私が前のめりになり「相談があります」と言ったあとも孝助さんは文庫本から目を離さず、紫煙を吐くのみでした。

マスターからお冷やとおしぼりを配膳され会釈で応えました。

喫茶店相談所は、私達三姉妹が勝手にメンバーを集めて作ったもので孝助さんは偶々手助けをしてくれただけであり、本来は面倒臭がりで積極的に相談に乗る人ではありませんでした。

作る事になった理由も色々とあるのですが、今は必要ないでしょう。

また、喫茶店相談所というのを私達が宣伝しているのを知ると更に、相談ごとを警戒し今のように相談に対しては無視か「やらない」の一点張りです。

私達としても、やりすぎてしまったと罪悪感と後悔を抱きつつも今回に限っては乗ってもらわないと困る内容でした。

そのため私は構わず続ける事にします。

「私の通う付属学院の同級生なのですが、ご友人の方が怪我をして入院してしまいました」

孝助さんは、ちらりと此方に視線を向けるもすぐに文庫本に視線を落とします。

「同級生の名前はカナコさんというのですが、加奈子さんの話ですとご友人のユカリさんが先日の朝、空き教室で頭を打って倒れていたそうです」私はお冷やを口にして言う「どうして其処にいたのかは先生方が言うには写真撮影のためによく利用していたそうなのですが、加奈子さんがお見舞いに行った際に由香里さんは、幽霊にやられたと言ったそうです」

孝助さんは文庫本から顔を上げ私を見る。

「その教室で男子生徒の幽霊が出たらしく由香里さんはその幽霊にやられたと言っています」

孝助さんは、ふっと軽く笑う。

「幽霊なら霊媒師の出番だ。俺には関係ない」

今、絶対私を馬鹿だと思っているに違いありません。

「いえ」と否定し「それが違うのです。幽霊にやられたと私も本気で思っていません」

私は愛想笑いをしながら応えます。

「加奈子さんも同じでして、由香里さんが何かを隠しているように思えたそうです。」

「つまり、俺に隠し事を調査しろと?」

「それは、私達でやります」

「これが人の手によるものなら警察も動いているだろ」孝助さんは珈琲を一口飲む「事故の可能性もある」

「そこです」と私は間髪入れず言う「事故なら事故と言うはずです。それに誰かにやられたなら名前を言います」

「侵入者の可能性もある。夏休みの朝とはいえ危ない奴はどこにでもいる。人が少ない学校に侵入するのは簡単だろうしな」

「なら、どうして由香里さんは犯人の特徴を話さないのですか?」

「それは」と口にして孝助さんは黙ります。

「犯人が侵入者なら必ず特徴を言います。報復が怖いならそう言えば警察もそれに応じて動いてくれると思いますし『幽霊』という単語をだす理由はありません」

「優姫は、どう思っている?」

その質問に私は顔を曇らせる。あまり答えたくない質問でした。

「私は、由香里さんが犯人を庇っているからだと思います」

「そうか」と孝助さんは応え新しい煙草に火をつける

「孝助さん、お願いします相談に乗って頂けませんか?」

孝助さんは、文庫本に栞を挟みテーブルに置く。

「少し、興味が出た。受けてもいい」

私は安堵の息を吐き、まだ何も注文していないことに気付きマスターに振り向き「カフェオレをお願いします」と伝えた。


私は店を出てショルダーバックからスマートフォンを取り出し加奈子に連絡をすることにしました。善は急げて言いますし。

それに私の役目は孝助さんに相談に乗って貰えるかの可否を確認することで相談内容は依頼人が来て話すことになっています。

事前内容だけを孝助さんに伝え、依頼人が相談内容を言い孝助が推理し解決の手前まで推理した情報を依頼人に与える。

その後は依頼人次第というスタンスを取っている。

喫茶店相談所は相談のため解決はしない。

ただ、解決をするための情報を与えるだけである。

何度かのコール音の後に「はい…」と加奈子さんの声が電話口から聞こえた。

「加奈子さん、私です。」と一言添え「相談を受けて頂けるそうなので、明日私と一緒に孝助さんに会えますか?」と予定を伺う。

「・・・大丈夫」と数秒の沈黙のあとに加奈子さんは応える。

加奈子さんからの正式な相談内容が告白され、相談所ならびに孝助さんは行動を起こすことを想像し心が躍ります。

私は、暫く加奈子さんと会話をし電話を切るとショルダーバックにスマートフォンを仕舞い駅に向かって歩く。

夕刻が近いためか、風は少し柔らかく感じた。

家の前に到着し四脚門をくぐる。

錦鯉が遊泳している池を横目に通り歩くと二台の自転車が見えた。

姉達の自転車だった。

姉達が帰宅しているのを自転車から推測しする。

私は鼻唄を唄いながら玄関口に向かった。

次回は桜川三姉妹と相談者が登場致します。

副題は相談者です

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