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間違えた旦那さま  作者: 兼田深瑜
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政略

政略結婚なんて、そんなのはわたしの人生に関係ないと思っていた。

自分の父親がアパレル会社の社長になることも何か遠い話で、現実的に考えてなかったのかもしれない。

いつかまた普通のOLとして働く未来を考えていたし、更に遠い未来には、乃莉ちゃんと同じように恋愛結婚をするんだと思っていた。

寿退社するのが夢だったけど、田舎とは違ってこの辺りは家賃もきっと高い。

旦那様が望むなら共働きでもいいし…なんて漠然と空想していた。


『結婚を前提にお付き合いしたいと思っています』

そういうのって、本人の了解なしで家族の見てる前で発表することある?

大体、あっちはわたしを見かけたとか言ってるけど、わたしは今日が初めての認識なのよ?

そんなの了承するわけないじゃない。


…それに。

たぶんわたしじゃない。

姫島社長、確かにわたしと話してたし、わたしにお付き合いしたいって言ってたけど。

本当は乃莉ちゃんが独身だったら、乃莉ちゃんを選んでる。

乃莉ちゃんに時々向ける目線で、わたしより乃莉ちゃんに興味があるのがわかった。

きっと、乃莉ちゃんが既婚なのは調べがついていて、わたしに申し込むしかなかっただけ。

完全なる政略結婚を目論んでいる。

…わたしは、乃莉ちゃんと比較しても、わたしを選ぶ人じゃないと無理だ。

今まで痛い目に合ってきた。

乃莉ちゃんが既婚者だからわたしで手を打つような人、きっといつか自分の気持ちに嘘がつけなくなって、わたしを裏切る。

だから、絶対無理だ。


わたしの部屋のベッドの上に仰向けになり、天井を見上げながらぼんやりと考えていた。

20代後半で、彼氏なし。

政略結婚希望者が約1名。

なんだそれ。笑えてくる。

よく考えたら、湊家に嫁いだ乃莉ちゃんは、もううちの子じゃないんだ。

ということは、祖父の跡継ぎが父さんで、父さんの跡継ぎは?………わたし?

ちょっと待って。

わたしにそんな大役務まらないよ。

だとしたら、社長になってくれる旦那さんを見つけて結婚するしかないのか?

そんな人いるかな。

1、わたしのこと乃莉ちゃんより好きで。

2、わたしと結婚したいって言う人。

その条件でさえ、叶ってる人にはまだ出会ったことないのに。

3、うちの婿に入って、跡を継ぐって言ってくれる人?

…………………………。

……いや、いないでしょ。

少なくともこれから数年で出会える気がしない。


どれかの条件を諦めるとしたら?

…乃莉ちゃんよりわたしを好きっていう、その条件なのか。

だとしたら、もしかして。

姫島社長をバッサリ斬ったのって、すごくもったいなかったのかもしれない。


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