カタカナ語って難しぃ
「こんにちは~」
放課後、ぼくは大抵部室にこもる。っていうか、うちの部活は大抵そうだ。うちは、「理論科学部」なぜ科学部ではなくこんな近づきにくい名前にしたかというと答えは簡単!科学部がすでにあるから。なぜ科学部に入らなかったかというと活動内容が全然違う。科学部は地元で科学教室をしたり、ロボコンにロボットを出場させたりしている。しかし、理論科学部はパソコンをいじったり、黙々と計算をしたり、ごく稀に機械をいじって遊んでいる。「流し台に働くコリオリの力の大きさ」「釘踏み大道芸釘は何本以上必要か」こんなただ気になった事を計算して年15本以上もの内容を計算して結果をまとめた物を本みたいな形にして文化祭で配る。僕は数学が好きなのでこの部活に入った。
「こんにちは~!」
一人しか返事がない。全員いるのに返事がない。
この部活の部員は、5人。女子が3人男子が僕含めて2人。一人ずつ紹介すると、
星野泰也2年男子部長。2年が部長なのは、僕達の代で創部したからだ。パソコンは得意で機械系が好き。
五十嵐いろは1年女子。パソコンが得意で天文が大好きらしい。しかし、無口。
金田日向1年女子。パソコンは得意ではないが物理がとても得意だ。
小松ひかる2年女子。パソコンがこいつも好きだ。たしか、化学も好きだったはずだ。
「せっかく小説になったんだからみんなしゃべろう!」
すると、ぐるぐる回る椅子に座っているみんなはぐるっとこっちを向いて、
「あ~」
「おまえら小学生か!」
「小説になったからってしゃべるっていうのは違うと思うぜ。」
「そうだぞ。」
「そういえば、最近しゃべってないですね。」
「もしかして私たち引き込もり。」
せっかくだから改めてキャラ紹介をしよう。うちの部員は僕を含めて5人いる。男子2人女子3人だ。「小説に・・・」は星野。「そうだぞ。」は五十嵐。「そういえば・・・」は金田。「もしかして・・・」は小松。
「じゃぁ何かゲームするか?」
なんでここでゲームなんだろう。すると、
「古今東西がいい!」
小松が急に大きな声を出した。
古今東西とは、大きなテーマ例として「動物」とすると、
「犬」ぱんぱん「馬」ぱんぱん「豚」ぱんぱん
とリズムよくそのテーマに属する物を言っていくゲームだ。
「じゃあコンピューター関連の片仮名語で」
「じゃあ私は見るだけにしときます。」
PCが苦手な金田は見るだけのようだ。じゃんけんの結果順番は、五十嵐→僕→泰也→小松 だ。
「それじゃはじめよう」
ぱんぱん
「マウス」
ぱんぱん
「キーボード」
ぱんぱん
(十分後)
ぱんぱん
「マザボ」
ぱんぱん
「グラボ」
ぱんぱん
「VB」
「待った!」
「何だ?」
「VBは片仮名語じゃない。」
めんどくさいこといいやがって。
「訂正する。ビジュアルベーシック。」
「OK」
ぱんぱん
「ビジュアルベーシックスクリプト」
(さらに五分後)
「アプリケーションプログラミングインターフェイス」
ぱんぱん
「グイ」
ぱんぱん
「クイ」
「ちょっと待て!星野。グイは言うけどクイはないだろ。」
さっきの仕返しだ。
「確かに、GUIはグイだけどCUIはクイって言わないね。」
「でもよ、UIが使いやすいからってだけで差別されてかわいそうだぜ!」
「いやっそれだけでCUIって呼ばれるかクイって呼ばれるか決ってる訳じゃないと思うよ。」
「そもそも、CUIを無理に読めばクイになるわけじゃないと思う...ほら、」
すると、五十嵐は読上げソフトを使ってCUIを読ませた。
「シーユーアイ」
すると、星野は五十嵐のキーボードを奪い、何か打ちこんだ。
「これはどうだ。」
「ジーユーアイ」
「ほらGUIもグイって読まないじゃないか。」
「ってか、そもそもなんの略なの。」
「GUIはグラフィカルユーザーインターフェイスだったよ確か」
「CUIは?」
「コマンドユーザーインターフェイスじゃないの。」
「対話型っていうだろ、コミュニケーションユーザーインターフェイスだぜきっと。」
「ってか、何で対話型?喋らないし、使いにくいし」
「何か打てば、エラーなり何なり返してくれるからだろ。」
「言葉のキャッチボールですね。」
「いや本当にそうなのか?星野、金田」
「いっ今更何言うんだ中田!俺達は、話し相手がPCしかいないやつらの集りだろ。そんな俺らの唯一の友達も俺らを裏切るのか!」
「いやっそれお前だけだから。」
そ~だ、そ~だと野次が入る。
「・・・」
星野がいじける。
「まぁ、やればわかるんじゃない?ほらコマンドプロント起動してこのコマンドを打込む。」
「・・・わかった。」
よたよたと立ち上がり星野はコマンドを入力そして、Enter
しかし、画面に変化は無い。意味のない文字列でもエラーはでる。
「っえ、▽☆§£」
言葉にもなってない物をつぶやきながら、顔が真っ白になっていく。
「あ~あ友達がいなくなった。」
すると、五十嵐が僕が入力させたコマンドを見て、
「これって画面消去のコマンドだぞ。」
それを聞くとみるみると、星野の顔に生気がもどる。そして、急に、
「やっぱり俺の友は裏切らなかった!」
「キャラクターベースユーザーインターフェエイス...です。」
「えっ?」
「はっ?」
「あっ...すいません。さっき、CUIをウィキペディアで調べたら出てきました。」
「へぇ~そうなんだ」
「CUIなんていまじゃぁLinuxでたまに使うくらいのもんだろ。」
「まぁねぁ、普通に生活してればLinuxすら使わないかもしれないのに。」
「カタカナで思い出したけどベテルギウスって言う星って確か”巨人の肩”とかいう意味なんでしょ、いろはちゃん」
「ものすごい急だな。」
「確かそうだったきがする・・・」
「ビミョーすぎるっていうか単純すぎるぜ、命名方法。」
そういえば、リゲルは巨人の右足だった気がする。
「オリオン座は、サソリ座から逃げるように冬の星座になったっていうのもよく聞きますね。」
「えっ、サソリ座って冬の星座じゃないの?」
「小松、それは誕生日のやつの話しだろ。自分の星座は誕生日の日には見れないんだよ。」
こんなのは常識だ。昔の人は、その日に日食が起こった時だけ見ることの出来る星を特別な星として考えた。これが、黄道十二星座だ。だから、自分の星座を誕生日に見ることはできない。
「え~そうなの!」
「俺でも知ってるぜ。」
「私、専門外。」
「常識だから。」
「そういえば、みずがめ座って英語でアクエリアスだよ。」
「某スポーツドリンクの商品名で聞いたことあるぞ。」
「いて座はケンタウロス・・・」
「あっ私ケンタウロスは知ってるよ。頭が馬で、体が人間でしょ」
・・・何かがおかしい。それじゃあ馬のかぶりものをかぶった変人だろ。
「あっ訂正、馬の頭の所に人間の上半身がついたようなやつでしょ。」
「馬の頭に人の体・・・っぷ、ぶふぁははは。」
「・・・っくふ。」
「そんなに笑わなくてもいいでしょ。訂正したんだし。」
「いやっ・・・だって・・・っぷ。」
「日向ちゃんもさっき笑ったでしょ。」
「いやっ先輩、それは。いたっ先輩痛いです。」
「グリグリのけい~」
「ケンタウロス座α星は0.3等星と1.7等星の連星で地球に最も近い恒星・・・」
「五十嵐、博識だなぁ。」
「お前今、何語でしゃべった」
「連星ってくっついてんの?」
「食連星ではない、がもうひとつの星とで3重連星をなしいていると思われている・・・」
「ようするに、くっついてないってことでいいのかな。あっもう時間だ。」
「よし、あいさつをしよう。」
「せ~の」
『読者の皆様今後もグダグダ会話につきあってください。』