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空飛ぶ饅頭

作者: Aju
掲載日:2026/03/30


しいな ここみ様の『空飛ぶ◯◯企画』の参加作品です。



 囲炉益(いろます)くんは失敗にめげない男です。

 失敗は成功の母——といつも思っていて、転んでもタダでは起きない男です。

 そんな囲炉益(いろます)くんが、ガラにもなく観音様にお願い事をしました。


 もっともっと儲けさせてください。


 お寺の門から出たところで、囲炉益(いろます)くんはつまづいて転びました。

 お賽銭もあげずに欲深なお願いをしたのでバチが当たったのかもしれません。

 しかし、転んでもタダでは起きない囲炉益(いろます)くんです。

 鼻血を出しながらも、起き上がった時にはその手に1本のネコジャラシをつかんでいました。


 これも観音様のご利益かもしれない。


 物事を常にポジティブに考える囲炉益(いろます)くんはそう考えて、そのネコジャラシを持ったまま歩いてゆきます。

 もちろん、ある昔話のことが頭の片隅にあります。


 案の定、少し歩くと泣いている赤ちゃんを抱っこしたお母さんがいました。

 そこで囲炉益(いろます)くんはネコジャラシを振って赤ちゃんをあやしてあげます。

 赤ちゃんはネコジャラシに興味をひかれて泣き止みました。

 ふさふさの先っぽをつかもうと、かわいい紅葉(もみじ)のおててを伸ばしながら、そのうちきゃっきゃと笑い始めました。


「いい子だね。それじゃあ、これをあげようね」

 囲炉益(いろます)くんはネコジャラシを赤ちゃんの手に持たせてあげます。

 お母さんは喜んで、お礼に饅頭を1つくれました。


 いいぞ、いいぞ。最先いいぞ。ふっふっふ。。。

 このままいけば、オレは‥‥‥


 囲炉益(いろます)くんは内心ホクホクでまた歩き始めます。

 しかし、そういう欲がよくなかったのかもしれません。

 囲炉益(いろます)くんはまたつまづいてしまいました。

 その拍子に手に持っていた饅頭が、ぽおーん、とお空に飛んでしまいます。


「ああっ!」

という囲炉益(いろます)くんの叫び声に、パラソルを持ったお嬢さんが振り返りました。

 振り返った拍子にパラソルに当たった饅頭は、ぽおーん、とさらにお空に向かって高く飛んでしまいます。


 しかし、饅頭には羽根があるわけではありません。

 上昇のエネルギーが失われれば、饅頭は放物線を描いて下降へと転じます。


 その下降曲線が始まる先に‥‥‥

 カフェの2階のテラスにテント職人がテントの屋根を張ろうとしていました。

 紐をぐい! と引いて、テントの弛みをなくしたそのタイミングで——。饅頭がテントの上に落ちました。


 饅頭はテントにはじかれて、ぽおおーん、とさらに空高く飛び上がります。


 青空の中を飛んでゆく饅頭を囲炉益(いろます)くんが口を開けて下から眺めていると、トンビが飛んできてその饅頭を足でわっしとつかみました。

 トンビは饅頭をつかんだまま、空高く舞い上がって飛んでいきます。

 おーい。饅頭やーい。


 トンビは饅頭をネズミと勘違いしたのです。

 巣で待っているトンビの赤ちゃんに持って帰ろうとしましたが、飛んでいる途中でそれがネズミではなく饅頭なんだと気がつきました。

 トンビは肉食なので餡子の入った饅頭なんか食べません。


 なあんだ、ネズミじゃなかったのか‥‥。

 トンビはがっかりして、饅頭を放しました。


 トンビの水平移動速度と地球の重力による加速度が合わさって、饅頭は再び放物線を描いて下降を始めました。

 それでも下から見上げれば、饅頭はまだ空を飛んでいます。


 その放物線の先に撮影用のドローンが飛んでいました。

 饅頭はちょうどドローンの真ん中に、ぽてり、と落ちました。

 落ちた拍子に饅頭はドローンのアンテナを壊してしまいました。


「え? なに? 急にコントロールできなくなったんだけど?」

 操縦者は慌てましたが、まさか空中で饅頭とドローンがドッキングするとは想像すらできていません。


 コントロールを失ったドローンに乗った饅頭は、そのまま空高く飛んでいってしまいました——とさ。


 たぶんずっと空を飛んでいるのでしょう。

 ドローンの電池が尽きるまで‥‥‥




     m(_ _)m




ひたすらに饅頭に空を飛んでいただきました。。

キーワード間違えてました。(アンマンマン様、ありがとうございます)

意外とそそっかしいAjuです。。(^◇^;)



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― 新着の感想 ―
昔話のようにはいきませんでしたね。これはこれで、すごくレアな出来事の連続だった気もしますが…。
あー饅頭食いてぇー。
企画から参りました。 一本の藁から始まる昔話のような感じかなと考えていたら、饅頭の思いがけない旅、面白かったです。 ラストが現代っぽくて、意外でした。
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