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熱しやすく冷めやすく、軽くて重い夫婦です。  作者: 七賀ごふん
守りたいひと

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#5



「人間ってめんどくさいよなー」


大我は豪快に仰け反り、ため息をつく。しかし白希に見つめられていることに気が付き、首を傾げた。


「ん? 何?」

「いえ。……それって、誰もが思うことですか?」


冗談は感じられない、妙に真剣な声と表情だった。

深い意味を込めて言ったわけじゃない。言わば軽い愚痴だ。でも、それを説明するのも何か違うような……。

色々考えた末、大我は吹き出した。


「さあね。皆思ってんじゃないの?」


口をつけてないコーヒーを白希に手渡し、踵を返す。白希が財布を取り出そうとした為、大我は力ずくで制止した。

「……お前と宗一さんは、やっと安心してやってけそうだよな」

道源がこの間の暴行の証拠をおさえている為、もう村の追手が白希に手を出すことはないだろう。

東京に残ったとしても、他の地に移り住んだとしても……これからは神経質に逃げ隠れする必要はなくなる。


「俺は文樹と揉めたからな~。今はあいつの機嫌とるので頭いっぱいなんだ」

「そうなんですか? もしかして、それも俺のせい……」

「いやいや、そうじゃなくて……俺が悪い。村や力のことも、中途半端に教えちまってたから」


大我の言葉を聞き、白希は思料する。文樹が最後まで警察に頼らず、自分や宗一の意思を尊重してくれたのは、大我の影響が大きかったようだ。

するとやっぱり、この二人は……。


「とにかく怪我治るまでのんびりしてろよ。じゃあな」

「あ……大我さん。ありがとうございます!」


大我は最後に白希の頭に手を乗せ、店内へ戻っていった。

テラスに取り残された白希は、コーヒーをひと口飲み、頬に貼っていた湿布を剥がした。


ほんの少しの間に、たくさんのことが起きた。

環境も関係も、目まぐるしい速さで変わっていく。その変化についていけるか不安になるけど、無理に急ぐ必要はないのかもしれない。


歩みを遅めるからこそ気付けることも、きっとあるから。


数ヶ月ぶりに飲んだブラックは、以前ほど苦く感じなかった。




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