#13
視界が反転する。
気付けばソファに倒れ、自分に覆い被さる宗一の顔を見上げていた。
何が起きたのか分からず、間抜け面で彼を見つめる。
「東京へ来て良かったと思ってるけど、君を村に残してきたことはずっと後悔していた。とにかく一度触れたかったんだよ。……こんな風に」
彼はスマホを取り上げると、近くのローテーブルに置いてしまった。そして、白希の小さく開いた口に親指を入れる。
「小さな舌だね」
「んむ……っ」
舌の先端を優しくつままれ、思わず口を開く。その隙に、今度は人差し指が滑り込んだ。噛まないように必死になると、だらしなく唾液が零れてしまう。
喋ることもできず、ただ彼の指をしゃぶる時間が続いた。
子ども……いや、赤ん坊みたい。
無心で指を舐めていると、太腿の間に彼の膝が割り込み、強引に押し上げてきた。
「んうう!」
驚いた拍子に、人差し指を噛んでしまう。しかし宗一は気にせず、白希の頬を撫でた。
「もう覚えたかな。私以外に触らせたら駄目だよ?」
「……っ」
自身を囚える手も、今にも襲いかかりそうな獰猛な眼差しも……嫌、ではなかった。
“こうなる”ことを望んだ夜もあったからだ。思い出した瞬間全身に火がつき、息が苦しくなった。
あの宗一さんに触られている。誰にも触られたことのない、内側まで。
部屋の白昼色の照明はとても眩しくて、今この瞬間すら猛烈に批判してるように感じた。
「脅かしてごめんね。大丈夫?」
「だ……大丈夫です」
焦りやら混乱やらで、生理的に涙がたまっていた。乱暴に目元をぬぐい、首を横に振る。
「むしろ、これぐらいで泣いてごめんなさい」
「何言ってんの。白希は何も悪くないし……世界で一番可愛いよ」
宗一は苦笑すると、白希の唇を焦らすように舐めた。
「でもあまりに可愛いから……君を食べたいと思ってしまう」




