表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

シーン6 「我が家はシェアハウス?」

 ジェミニ・バランサー エピソード6です。 連休も最終日になり明日から仕事が再開するマモル。 ミナモには留守を頼む事になるのですが、マモルは重要な問題に気づきます。 ミナモが同居している事を両親に伝え忘れていたマモルですが、どう説明すれば良いか悩みます。 さて、マモルはミナモの事を両親にどう説明するのでしょうか。 以上、あらすじでした。

「ジーザス・ロブスターが退治されたそうだな」

「はい。 例の水神の娘に討たれました」

「そうか、あの娘か……少し厄介だな」

「それもそうですが、どうやら一緒に居た裏側の青年が協力したようで。 何でも車を使って引き揚げたとの事で」

「ハハハハ! 丘に揚げられたのではいくらジーザス・ロブスターでも敵うまいよ。 面白い事をするヤツが居るようだな。 一度会ってみたいものだ」

「川を浄化してみせる為の準備だったのですが、この際教祖様の力ですでに浄化したという事で信者には説明させて頂きます」

「そうだな。 目の前で討伐してみせる手筈であったが、やむを得んか。 水神の娘は引き続き監視しろ。 いいな」

「はい。 分りました」

……


 さて、今日で連休も終わりだ。 明日からはまた仕事が始まるので気持ちを切り替えねば。 それにしても今年の連休はとても濃い内容であった。 表の世界から来たという少女、そしてその少女がオレの家に住むことになった。 川では表の世界のデカいザリガニを討伐したり、ヒカリさんも表の世界の事を知ってたりと、何かもう色々あって休んだ気がしなかった。


「とりあえず、明日からオレは仕事だが、流石に仕事にまでお前を連れて行く事はできない」

「そうですよね。せめて会社に行く道は同行します」

「んー、家から会社まで結構距離あるからな。 それに車で行くし大丈夫だ」

「そうですか……。 では、十分気をつけてください」

「まぁ、会社ではヒカリさんも居ることだし、危険な事はそうそうないとは思う」

「確かにヒカリさんにお任せすれば大丈夫な気がします」

 本来なら男であるオレがヒカリさんを守る側になるのだが、あの人は守る必要がないくらいにたくましいからな。 ここはヒカリさんの名前を借りてミナモにも安心してもらおう。 そして何かあればヒカリさんに守ってもらおう……。

「まぁ、そういう訳で、昼のうちは留守を頼むぞ」

「分かりました。 私の方も引き続き川を守らなければならないですし」

「お前も無茶はするな。 自分が見えてるって事忘れるなよ」

「はい。 幸いにも汚染の原因は解決しましたので、あとは川が回復するのを見守るだけです」

「そうか、それならいいんだがな」

 

 先日のデパートへ行ってから、ミナモの様子が少し変である。 オレに何かを隠しているような、何というか、この子はとても分かりやすいのだ。

「あのジーザス・ロブスターもいったい誰が何の目的で連れて来たんだろうな?」

「そ、そうですねー。 何だったんでしょうねぇ……」

 明らかに挙動不審である。 やはり何か隠してるな?

「別に言いたくなかったら言わなくていいが、ミナモさ、ヒカリさんに何か言われたのか?」

「いえ……。 んー、はい。 マモルさんってやっぱり勘が鋭いですね。 本当はこの事はヒカリさんに口止めされていたのですが、実はジーザス・ロブスターの件の首謀者に心当たりがありまして」

「やっぱりそうか。 で、詳細は話せるのか?」

「マモルさんに話したという事をヒカリさんに内緒にしてもらえるのなら説明します」

「分かった。 約束する」

「先日の川での一件なのですが、どうやら『神話の友』という組織が関わっているようでして……」 

 神話の友。 表側の世界のいわゆる反抗勢力らしい。 そして、裏側の世界では宗教団体を設立している、と。 うーん、少なくともオレは神話の友とか聞いたことないな。 表側の人間が認識できない裏側の人間からすれば、認識されてない表側の人間が能力を使ったらそりゃ奇跡が起きているように見えるだろうな。 奇跡の力を使える教祖様の出来上がりか。 とんだペテンだな。

「なるほど。 だいたいの理由は分かったよ」

「あの……くれぐれも神話の友には関わらないようにして下さい」

「そうだな。 危なそうな連中にはオレも関わりたくはない」

「え、あ、そうですよね?」

「ん?なんだ? この事をオレが聞いたら神話の友に殴り込みにでも行くとでも思ったのか?しねぇよ、めんどくせぇ。 どうせヒカリさんがまた何か言ってたんだろ?アイツは無茶するからーとかナントカ」

「はい……正解です」

 やれやれ、ヒカリさんもオレの事を過大評価してるわ。 だいたい規模が大きすぎてオレ一人でどうこうできる事じゃないし。 しかし、オレも想像はしてたがまさか本当に表側の人間が宗教団体をやってお布施を集めてるとはな……。

「世の中には知らない方が良い事ってあるよなー」

「?」

「まぁ、こちらからは特に何もしないが、ジーザス退治しちまってるからな。 俺達は間違いなく目を付けられてるだろう。 ミナモも監視されてると思った方がいいな」

「そうでしょうね……」


 とにかく、明日からミナモには留守を頼む訳なんだが、一つ重要案件が残っていた事を思い出した。 今ミナモが家に居候していることをオレの両親は知らないのだ。 もし、オレが居ないタイミングでうちの両親が家に来でもしたらミナモの事が見つかってしまう。 それ以前に、近所に遠縁のイトコとか何とか話している事が耳にでも届いたらそれこそ面倒な事に……。 うーむ、どうしたもんか。

「ミナモ、今からオレの実家に行くぞ。 とりあえずオレの両親にお前を紹介しないとならない」

「え!?ご両親に挨拶ですか!? 私達そういう関係じゃ―」

「違ぇよ! お前がうちに居ること説明しに行くんだよっ!」

 わざとだが、ちょっと言い方が紛らわしかったか? ミナモの慌てっぷりが面白い。 それはそうと、うちの両親に遠縁のイトコ設定は当然通用しない。 なら、どうするか? んー……。

「ここは状況を知るヒカリさんに電話してみるか……」


『おーマモちゃん、どしたの?』

「実はミナモがオレの家に住んでる事を両親に何て説明しようか悩んでて」

『なるほどぉ。 じゃあ、ナモちゃんを私の友人って事にして、私も一緒に住んだらどうよ?』

「は? え?」

『マモちゃんのおかーさん達って、私達が別れたの知ってる?』

「いや、話してないから……知らない、な」

『じゃ、同棲してる事にしとけばー? そんで、私の友人が転がり込んでるとか適当にさ』

「いやいや、先輩! オレ達今は付き合ってないんじゃ―」

『なんならもっかい付き合う?』

「!?」

『なーんてね! 本気にしたか?青年!アッハハ! まぁ、あれだよ。 家が広くて部屋も余ってるからシェアハウスみたいにしてるとか言えばいいんじゃない? 別に二人で住むんじゃない訳だし』

「まぁ、それを考えるとミナモと二人暮らしっていう方が異常に思えてきた……」

『ヨシ!決まり! じゃぁ、今からそっち行くから』

「早っ!」

 むむぅ、何か上手く丸め込まれたような……。 もしかして、ヒカリさんが荷物置きっぱなしだったのはこれを狙ってたのか? いや、考えすぎか。


 

 結果的に、両親にはヒカリさんの提案通りシェアハウスにしていると説明した。 というか、うちの両親も全く気にもせずむしろミナモの事をとても気に入ったようだ。 まぁ、ミナモはどこからみても全く悪い子には見えないからな。あと、両親も基本的に細かい事は気にしないタイプなのが良かったかもしれない。

「ミナモちゃん、お菓子食べるー?」

「あ、はい。 いただきます」

「まぁまぁリスみたい♪ 可愛いわねー♪」

 ミナモが頬袋を膨らませてせんべいをかじっている。 オレも前から思ってはいたが、まるでリスみたいな子だ。

「おっ、ヒカリちゃんも久しぶりやな。 元気しとったか?」

「はい! 元気百倍ですおじさん! おじさんもお元気そうで!」

 まぁ、こんな感じで皆でオレの実家に押し掛けたわけだが。二人とも我が家に馴染み過ぎ。 二人とも人懐っこいので本当の親戚の子みたいになっている。

「ミナモの事は近所の人にはイトコって言ってるからさ。 適当に口裏合わせてくれないか?」

「そうねー。 ウソは良くないけど、ミナモちゃんリスみたいで可愛いから良いわよ♪」

 理由! 可愛いからオッケーなんか?それともリス? どっちだ!?

「この子にも何かそうする事情があるんやろ? 変な理由ではなさそうやしまぁ、そう言っちまったモンはしゃーないわな。 分かった分かった」

「ハァ。 助かるよ、オヤジ」

「よろしくお願いします!」

「せっかくだから晩御飯食べていきなさいな」

「ヤッタ! おばちゃんのご飯久しぶりー!」

 考えていたより大分斜め上の着地点だったが、重要案件は何とか片付いた……。 まさかヒカリさんまで家に住む事になるとは。



「いやぁ、ゴハン美味しかったねぇ」

「はい♪ マモルさんのお母さんお料理とても上手ですね!」

「そうか。 そりゃ良かった」

 二人ともすっかりうちのかーちゃんに餌付けされちまったな。 まぁ、確かにかーちゃんの飯は美味いんだが。

「そんな訳だからミナモ、明日から留守は頼んだぞ」

「分かりました」

「何かあったら私に電話してねー」

「え? ちょっとマテ! ミナモ携帯持ってるのか??」

「え? 持ってますよ?」

「え? え? 表側にも携帯あるの?」

「スマホくらいありますよ?」

「スマホ!? マジで文明どーなってんだ! 馬に乗ってスマホで通話……。 ちょっとシュールだな!オイ! そもそも表側のスマホって裏側でも使えるのか??」

「普通に使えるよ? なんたって裏側の物をそのまま表側で使ってるからね。 しかも、表側と裏側の携帯同士で通話もできる」

「ちょ!それってもしかして―」

「まぁ、裏側の設備とか勝手に拝借してるんだけどね。 電波は表側も裏側も同じみたいだから。 ちなみに電話番号とかは裏側と全然違うから問題ないよ」

「いや、電話番号がカブるとかそういう問題じゃなくてプロバイダとかその他諸々はどうやってんだ!?」

「その辺は想像でしかないけど、裏側の企業の中に表側の人かもしくは表側の存在を知る人がこっそり混じって、表側で使えるように色々やってるとか?」

「企業スパイみたいだな……まぁ、でもそれなら説明がつくか。 なんせミナモのそのスマホどう見てもこっちの携帯ショップで普通に売ってるやつだしな」

 ミナモのスマホを見せてもらったが、本当にこっちで売ってるやつと同じモデルだった。 インターネットへもちゃんと繋がるようだが、これもちゃんと表側仕様になっている。 いったい裏側とどうやって住み分けているんだ? 謎過ぎる……。 思わぬ形で表側の謎が一つ増えてしまった。 都市伝説になっている裏側の世界に繋がるサイトってひょっとしたらこれの事じゃないか? まぁ、その場合こっちが裏だが。 何か不可解な都市伝説系は全部コイツらで説明がつきそうな気がしてきたぞ……。

「表側の人間は能力を使って裏側の世界を災害から守って、裏側の人間は文明の技術力で表側の世界の生活を豊かにしている、か。 実はちゃんと表と裏で共存できてるんじゃないか?」

「お、マモちゃんいい事に気づいたみたいだね! 実は裏側の人間も助けられてばっかりじゃないってことさ」

「なぁ、ヒカリさん。 裏側の人間で表側の存在に気付けるのって、もしかしてその事と関係あると思う?」

「私も確信はないけれど、ある一定の素質が必要じゃないかって思ってるよ。 そうだなー、例えば物事を疑う素質とか」

「疑う?」

「そう。 実際にマモちゃんも目で見て何も無いと分かってるのに調べた訳でしょ? 私もそうだよ。 目で見たものを疑った訳ね」

「疑ったというか、オレの場合はただの興味本位ではあったんだが。 どっちかというと探究心か? だけど、結果としては目で見える物を疑った訳か。 フム」

「その点ではマモちゃんはまだ疑いきれてないかもねー。 表側の世界が見えるってのはそれの発展形かもよ?」

「む? 表側の世界があると信じるんじゃなくて無いという事を疑う……ダメだ。 混乱する」

 ん?いやマテよ? そういえば……

「なぁ、ミナモさんよ」

「はい?」

「スマホがあるなら表側の世界の写真とか撮ってたりは?」

「ああー、ありますよ?」

「それ見れば表側の世界を想像しやすくなるんじゃないか??」

「「おおー!?」」


 早速ミナモのスマホに収まっている表側の景色を見せてもらう。

「うーむ、想像したよりも普通だが、所々で時代を逆行してるんだよな」

 車が無いのでアスファルトの舗装は当然無いが、道はしっかりと整備されている。 当然コンクリート等も使われていないので、きっと切り出した石を使っているのだろう。 家は基本が木造の日本家屋、所々に石造りの洋館もある。 電気のインフラが発達してるとあって各家々の屋根には必ず太陽光パネルのようなものが設置されている。 基本的には大正から昭和初期っぽいんだが、似ているというだけで同じではない。 ちなみに街灯は全てLEDである。

「イメージイメージ……」

 オレは、数々の写真から見た景色から表側の世界を想像する。

「表側……表……いや、無理!」

「そうですか……」

「まぁ、焦らなくてもいつか行けるさー」

 ますますアカリさんの器用な脳みその構造を知りたくなったぞ。 本当に想像するだけで行けるようになるのか? 何か他に条件がありそうな気がするんだが。

「明日から仕事だし、とりあえず今日はこれで解散だねぇ。 っても、一つ屋根の下だけどねぇ。 さて、ナモちゃんお風呂入ろう!……うぇへへへェ♪」

「ひぃッ! い、一緒にですか?? あ、ちょっと、待って!マモルさん、助けてぇ!」

 そういうとアカリさんはミナモを引きずって風呂場へ消えていった。 ご愁傷様。 さて、オレは部屋で休むとしよう。

「マモちゃん、覗くならコッソリ来るんだよ?」

「覗かねーよっ!」

 やれやれ。そんな感じでまた我が家に一人同居人が増えたのだった。 (続)

 ここまで読んで下さりありがとうございます。 ミナモの事を両親にはヒカリの友人と説明し、家をシェアハウスとして使っていると説明して、とりあえず乗り切ったマモルですが、結果としてヒカリも同居する事になりました。 元カノとの同居生活という通常なら気まずい展開ですが、そこは元々仲が良かった2人なので、大丈夫なようです。

 次回は、マモルの連休も終わり仕事が始まります。 そして、ここから先の方向性を固めるため、更新はしばらく後になりそうです。 では。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ