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シーン2 「衣食住を確保せよ」

 ジェミニ・バランサーその2です。 とりあえずマモルの家へ行く事となったミナモ。 報告をするため一度表側へ戻るのですが、ミナモにある指示がだされます。 と、あらすじはこんな感じです。

 些細な違和感がきっかけで表側の世界の存在を知ってしまったオレ。 河原で不審者みたいな恰好をした表側の世界の少女を拾って家にお持ち帰りした。 って、説明するとかなり誤解を招きそうであるが、成り行きでそうなったのは事実である。



「っく、近所のオバサンに目撃された。 とっさに変な言い訳しちまったぞ」

「とても優しい方でしたね。 私の事も全然疑っていませんでしたし」

「まぁ、この辺の人はみんなあんな感じだよ。 田舎でなんつーか細かいことは気にしないって言うか」

「そうですか。 ここは良い所なんでしょうね」

 オレが住むこの町は、本州の真ん中辺りにある海のない県の田舎町である。 オレの地元でもあるので近所の人は皆顔馴染みだ。 当然オバサンもオレが小さい頃から知っている。 ミナモの事は海外に住む遠縁のイトコだと話してある。

「で、とりあえず落ち着いたか?」

「はい。 すみません……」

「よし、ここなら心置きなく消えてもいいぞ。 サヨナラ」

「ちょっと! 冷たい言い方しないで下さいよぉ……」

「表側に帰るんだろ? じゃぁな」

「一旦帰るだけです!また戻ってきます」

「え?何でよ?」

「ですから、これからはマモルさんを危ない目に巻き込まないようにしなくちゃいけないんですって」

「いいよ別に。 なんかめんどくせーし」

「そういう訳にはいかないんです!」

「また決まりがどうこうってやつか?」

「そうですけど何か悪いですか?」

 はぁ、何気にコイツはクソ真面目なタイプだな? 決まりを守ろうとするのは良いことかもしれないが、少々頭が硬い。 むむぅ、残念美人キャラか。

「分かったよ。 とりあえず表側に戻ったらどうだ?」

「はい。 報告したら直ぐに戻って来るので下手に出歩いたりしないで下さいね」

「へいへーい」

 これ以上は時間の無駄なのでオレは諦めることにした。 何よりも面倒だ。


 小一時間してミナモは戻ってきた。 ぼんやり光ったと思うとスーっと浮き上がるように現れた。 ちょっと幽霊みたいだったな。 ひょっとしてこっちの人が幽霊を見たって思ってるのはコイツらの事じゃないか? この世の謎が一つ解明したような気がする。 いや、知らんけど。

「ちょっと大変な事になりました」

「帰って来て早々に何だ? 面倒だから聞きたくない」

 何か嫌な予感しかしないが……。

「しばらくこちらの世界、裏側の世界で生活するようにと指示が出ました」

 うわぁ、予想通りで笑えんな。

「聞きたくないって言っただろうが。 生活ったって、この世界はお金が無いと生きていけないぞ?」

「その点は大丈夫です。 ちゃんと裏側での活動資金というか、生活費は支給されますので」

 表の世界の人よ、どうやって裏側の金を確保してるんだ? ちょっと財源が気になるわ。 宗教団体とか設立してお布施で集めてたりして? いや、神様みたいな能力持ってるしそのくらいは出来そうだよな。

「とはいえ流石に無尽蔵にお金が使える訳じゃないだろ」

「そうですね。 衣食住を賄おうとすれば結構節約しないと厳しいかもしれません……」

「どっちにしても住むところなんて身元が不明の人間に借りれる物件なんてないと思うが。 知ってるか、裏側の世界の住人は皆一人づつ番号で管理されてるんだぞ。 そこへきて番号はおろか、住民票も戸籍も無いヤツが部屋を借りたいなんて言っても借りられる訳がない」

 ちょっと話を盛ったが、そこまで間違ってはいないよな。 さぁ、諦めて表側へお帰り下さい。

「そうですか。 では仕方がないのでそこの川の橋の下で野宿をすることにしましょう」

 は?何言ってんだこの子。 全然困った感じも無いし、あっちの世界じゃ普通なのか? どっちにしても、年頃の女の子が橋の下でホームレスしてちゃ家出娘と思われて直ぐに補導されるに違いない。 そうなれば真先にオレの所に面倒事がやってくるじゃないか!

「……分かったよ。 とりあえずオレの家の部屋どれでも使えよ」

「え?でも、本当に良いんですか?」

「別に一軒家で一人暮らしだし、どうせ部屋余ってるから好きにしろよ」

「わぁ、ありがとうございます!」

 満面の笑みでお礼を言われてしまった。 ナニこの子純粋すぎて眩しい……。 オレ的には面倒事の種を早めに摘み取っただけなんだが。

「ふぅ。 とりあえず衣食住の食と住はこれで解決だろ」

「食と住ですか? 別に私はこの服で十分ですよ?」

「不・十・分!なんだよっ! そんな格好でふらふらされちゃ近所の人に変な子と思われて目立ちまくりだろぅが!」

「とはいえ、この服は裏側の世界で活動するためには必須ですし……」

「イヤイヤ絶対無理だ。 こっちの世界ではそういう服は泳ぐ時だけ着るモンなんだよ! そもそも能力ってその服ないと使えないのか?」

「いえ、能力はちゃんと使えますが」

「だったらこっちの世界に合わせた服をちゃんと着なさい! そうじゃなきゃ表側に帰りなさい!」

「もぅ、マモルさんはお母さんですか……。分りました。 ですけど、いざという時は着替えますからね?」

「ああ、その時はその時だ」

 その時が来ない事を願うが。 おっと、これはフラグ発言。 口に出してはいけないヤツだ。

「まぁ、その時が来ないのが一番良いんですけどね」

「何で言っちゃうかな!?」


「とは言ったものの、服を買いに行くにもその格好じゃな……ちょっと待ってろ」

 そう言えば女性物の服なら何着かあったな。 サイズは合うか分からんが、無いよりはいいだろう。

「この辺の服から着れそうなの適当に着てみろよ。 人のだけど」

「何で女の人の服なんて持ってるんですか?」

「おい、そんな目で見るな。 だから人の服だって言ってるだろ! いいからとりあえず借りとけよ」

「ふーん、誰の服かは詮索しないであげましょう」

 こいつ絶対に気づいて言ってるだろ。 まぁ、実際この前別れた彼女の服なんだが。 別に喧嘩して別れたとかそういうんじゃないんで、元カノは今でも時々家に出入りしている。 ついでに言えばその元カノは会社の仕事の師匠でもある。 会社では今も普通に接している。

「とりあえず着てみましたが、どうでしょうか?」

 おぉ、それなりに着こなしてるじゃないか。 少しサイズが大きいせいでちょっとダボダボな感じのTシャツが良いな。 あとは、その上に羽織ったパーカーなんかもちゃんと合っててグッド。 更には下はジーンズのショートパンツか。 ボーイッシュなファッションでミナモとのギャップ萌えだ。 生足がとても健康的……っておっと、そうじゃないな。

「どうですか?変でしたか?」

「いや、良いんじゃないか」

「それだけですか?」

「……似合ってるよ。」

「そうですか!良かった♪」

 コイツ、彼女の影がちらついた途端に挑発してきやがった……。 だが、残念だがミナモでは元カノには絶対勝てん。 いや、誰が見てもそう評価するだろう。


 元カノと出会ったのはオレがまだ高校生だった頃、正確にはオレが彼女を知ったのはその時だ。 オレの高校の授業の一環で職業紹介のようなものがあり、その時彼女は講師としてオレの学校へ呼ばれて来たのだ。 何というか、彼女の見た目やその授業での話の分かりやすさ、冗談で変な質問をした生徒に対しての神対応の全てが完璧だった。 工業高校で殆どが男子生徒だったため異性への上昇補正があったとしても、彼女の魅力は上限突破していた。 授業は一時間くらいのものだったが、オレが彼女を好きになるには十分だった。

 オレは高校を卒業し、彼女の勤める会社へと迷いなく就職した。 そして、そこで彼女と再開した。 驚く事に、彼女はあの時ただの一生徒であったオレの事を覚えていたのだ。 そして、「君ぃ、ウチに来てくれたんだ? お姉さんも講義した甲斐があったよ♪」とオレに話かけた。 君の事ちょっと気になってたんだよね、と。 どういう意味だったのか正直今でも分からないが、当然オレは勘違いし、いきなり告白してしまった。 彼女の返事は即答で「君のことちょっと興味あったし、面白そうだから付き合っちゃおう!」だった。 彼女は仕事では先輩で、プライベートでは彼女となった。 公私混同は絶対しないタイプであり、仕事では無茶苦茶厳しかったがそれを嫌と思う事は一度もなく、彼女は早々にしてオレの師匠のような立場になった。 ちなみに仕事はマシンエンジニアである。

 楽しく充実した日々は長くは続かず、半年前のある日、彼女から別れを告げられることとなった。 「ゴメン。 君のこと好きだけど、私、やらなくちゃいけない事が出来たんだ」と。


「マモルさん、何ボーっと私を見つめてるんですか? いくら私が美人でもちょっと見過ぎですよ? 流石に恥ずかしいです」

 コイツは自分が美人って自覚があるとか、かなり面倒な性格してやがるな。

「まぁ、あっちの露出狂な衣装に比べれば全然マシってだけだ」

「ひどいっ! さっき褒めてくれたじゃないですかっ」

「うるせぇ、オレは似合ってるって言っただけだろ」

 ヨシ、凹ませてやったぜ。

「他にも何着かあるし、当分は大丈夫だろ」

「うぅぅ……はい。 でも勝手に着ちゃっても良いんですか?」

「問題ないさ。 そんな事で怒るような相手じゃないからな」


 ひとまずはミナモの衣食住は確保完了。 服も別に今度買いに行けばいいだろう。 ふぅ、これでやっと落ち着けるな。 (続)

 ここまで読んで頂きありがとうございます。 マモルと共同生活をすることとなったミナモ、そして、マモルの別れた彼女の存在が明らかになりました。 どこにでも居そうなマモルの事が、気になったという会社の先輩ですが、どうしてマモルの事が気になったのでしょうか。 その理由はまたいずれ。 では。

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