シーン1 「表?裏?どっちも表やろが」
色々なサイトで「ばんきう」と名乗っている者です。 元々イラストを描くのが好きでして、当然漫画も描いてみたいと思って話を考えたりしているのですが、画力が全然追いつかずに断念致しました。 それなら話は小説という形でと考えまして、この度こちらのサイトで投稿しようという運びとなりました。
不慣れな者ですので読みにくい所が多々あるかもしれませんが、お付き合い頂けると幸いです。
シリアスは苦手で、ほのぼのしたものが好きです。そういった作風をメインにしたいと思っておりますが、時にはシリアスさんも顔を出さないとメリハリが付きませんので頑張ります。
エピローグ0
世の中には科学や自然現象で説明できない事が沢山ある。 神様は存在するのか?心霊現象は実在するのか?未だ明確には結論が出ていないのがいい証拠だ。 もちろん神様を否定するわけじゃないし、実際には目撃した訳ではないが霊的な何かが居ないとも思っていない。
自分達が住む世界の裏側にもう一つの世界が実在していたなら。 そして、こちらの世界へと干渉しているとしたらどうだろう? 自分たちが気づかない所でテコ入れをしているとしたら、色々な不可解な事も説明がつくかもしれない……。 並行世界、俗に言う「パラレルワールド」というやつだが、オレはそんな世界が存在するなんて思っていない。 いや、いなかったというのが正しいのだろうか。
シーン1 「表?裏?どっちも表やろが」
きっかけなんてものは実際に起きてしまえば本当に些細なものだ。 オレの場合もちょっとした違和感がそれだった。 何もないはずの場所に何かがある気がしたのだ。 何の変哲もない川沿いのあぜ道。 何も見えないが何かがあるような、奇妙な感覚。 目を凝らすがやっぱり何もない。 オレは気になってその何もない道端にしゃがみ込み手を伸ばす。 すると、確かに何かを触るのだ。 低反発まくらより少し柔らかいお椀を伏せたような形のモノ。 そしてちょっと温もりのある何か。 何だろう?まるで女性の……
「……?」
「へ?」
「ひゃぁっ!?」
「うわぁ!?」
唐突に見えない何かが見えてしまったのだが、オレはとんでもないモノを触っていた事に気づく。
「な、な、何してるんですか!?」
「いや、何かがあるような気がしたんで触ってみたら―」
「それが私の胸だった……と?」
「イヤホントサーセン。」
「というか、触るどころか凄く揉んでましたよね!?」
「いや、触り心地が良かったんでつい、ね?」
突然目の前に現れた女の子の、よりによって本当に胸をオレはピンポイントで揉んでいた……。 公衆の面前で完全に不審者、ポリス案件である……。
「もうちょっとマシな言い訳はないのですか!? しかし……あなた、見たところ裏側の方ですよね?」
え?裏側ってナニ? オレそんなにヤバい奴に見えるのか? まぁ、確かに初対面で胸揉むとかヤバいかもしれんがこれはアクシデントだ。 てか、この子変わった格好してるな。 もしかしてコスプレ衣装? 裏側ってのは異世界系の設定か何かだろうか? よし、だったらここは話に乗ってやるぜ!
「そうだ、異世界から召喚されし者よ!」
「は?異世界?ちょっと何言ってるか分かりません」
っく、世界観が違ったか!
「異世界設定じゃないの?」
「設定って何のですか?」
いや、マジで話がかみ合わないな。 ここは一旦、
「とりあえず落ち着こう」
「あなたは一体何を言って、え?落ち着く?……ああっ!もぅ。 設定というかまずは説明が必要でした……」
何とか冷静さを取り戻したと思えば、彼女は何やらよく分からない事を説明し始めた。 分からないというか、信じがたいと言った方がいいのだろうか。 彼女曰くこの世界には表と裏があって、彼女達が生きている世界が表、自分達が生きているこの世界は裏だそうだ。 パラレルワールドってやつか。 まぁ、彼女達からすればこちらは裏なんだろうが、自分達からするとむしろこっちが表なんじゃないか?って、面倒だからどっちでもいいか。 ここは便宜上こちらが裏側で統一する。 本来であればこんな話を信じる訳がないのだが、なんせ奇妙な出来事があったばかりなんで信じざるをえない……。 何もないはずの所からいきなり女の子(しかも結構な美少女)が現れるとかなんというファンタジー。
彼女が言うには表側の世界と裏側の世界は文字通りの表裏一体で、基本的にはどちらも同じらしい。 一卵性の双子のようなイメージだろうか。 裏側の人間は基本表側の存在を感知する事はできないらしい。 表側の人達はどうやってか知らんがそのバランスを保っているらしいが、そのバランスが崩れた時起こるのが何かしらの災害だそうで、要は天候災害、地震や火山の噴火みたいな自然災害、更には人為的な大事件を未然に防いだりと、何かそういう事らしい。 まるで神様だな。 てか、地質学やらの偉い学者達が聞いたらブチギレそうな話だ。
「……で、って、話聞いてます?」
「ああ、オーケーオーケー。 つまりはパラレルワールドで表裏ってやつね」
「……何か適当ですが大体そんな感じです。 一応聞いてたんですね」
「それはそうとして、なんであんなとこで横になってんだ?」
「不覚にも精神力を使い切ってしまって……気を失っていたんです」
精神力!? ファンタジーなワードキタコレ! 使い切って気を失うとか要するにゲームとかでいうMPみたいなモンなのか?
「精神力って何?使い切るってスキルとか魔法とか使えるとか?いや、話が進まんな……」
「??」
ナニソレ?って感じでこっちを見ている。 とりあえずこの状況は何なのかだけハッキリせねば。
「色々と聞きたいことはあるんだが、まずひとつ。 裏側の人間、つまり自分からは表の世界の存在は感知できないんじゃないのか?」
さっきの説明の中でそう話していたんだよな。
「それについては私にもよく分からないのですが、時々裏側の方の中にも表の世界に干渉できる方が現れているそうです」
「具体的な理由は?」
「分かりません。 そして、裏側の方と万が一接触してしまったなら説明をするのが義務だと決められています。 実際に裏側の方にこうして接触するのは私は初めてですが。 ところで、どうして行き倒れていた私の胸を揉んでいたのですか?」
おっと覚えてたか。 話を逸らして誤魔化そうとしたが、流石に無理だったか。
「どうしてと言われてもそこに山があったから、みたいな?」
「なんですかそれ!理由になってません!!山ってなんですか!!!」
ほっぺたをリスみたいに膨らませて抗議をしている。 何か怒ってるけどカワイイから怖くないな。
「いや、本当によく分からないんだよなぁ。 さっきも話したんだが何も見えない場所に何かがあるような気がして触ってみたら」
「それが私の胸だったと??」
そのやりとりさっきもやりましたよ? しかも喰い気味にキマシタ。
「不本意ではありますが、不可抗力なのは分かりました」
相当根に持ってるが、とりあえずはポリス案件は回避できそうだ。 やれやれ、とんだラッキースケベだったな。
「まぁ、ちょっと非現実すぎてすんなりとは受け入れられないんだが、実際に経験しちゃ信じるしかないよな」
「いきなり信じてと言われても無理かもしれませんが。 こちら側、表側の存在を感知してしまった以上は今後も色々な事に巻き込まれてしまうかもしれませんので、これからは危険な目に遭わないよう私達が対処します」
ナニソレ怖い。 危険な事があるのか……。
「お手柔らかに頼むよ。 で、今更だけど、オレは神尾マモル21歳、現在フリーの彼女募集中」
「彼女がどうとかは必要のない情報ですが、私はミナモと言います」
と、こんな感じでオレは意図せずにパラレルワールドとのファーストコンタクトをしてしまった。 めんどくせぇ、こっちこそ不本意だっての。
「で、これからオレはどうすりゃいいんだ?」
「別に普通にしていれば大丈夫です」
「そうなのか。 てっきり存在を知ったからには表側に連れて行かれる、とかそんなんかと思ったが」
「別に表側の存在を隠している訳ではないのでそういう事もないですよ」
うむ。 表側の人はそういうスタンスか。 隠すも何も認知出来ん物は信用しないだろうしそんなモンか?
「ところで、表側の人はみんなそういう服着てるのか?」
何というか、ビキニの上に半透明の布を着けただけの姿はこっちの世界ではほぼ水着姿であるが。
「この服は私が活動するための衣装なのです。水に関わる加護が与えられているので水の中でも呼吸ができるようになります」
加護とな? やっぱりファンタジーだ。 それにしても水の中で呼吸できるとかとんでもないエンチャントじゃないか。 こちらの人間が知ったら絶対に研究対象間違いなしだ。
「そんなとんでもないものの存在がこっちの世界で知れたら大変な事になるんじゃないか?」
「残念ですが、この衣装は適正がないと効果を発揮しないので、普通の人が着てもただの水着です」
こいつ自分で水着と言ったな。 自覚はあるのか。
「てか、その格好で寒くないのか?」
今は時期的にはまだ春である。 詳しく言えば4月の終わりの連休で、まだ川で泳ぐような時期ではない。 ついでに言えば、この川は遊泳できるほどキレイとは思えない。
「もちろんその辺りも加護の力が働いているので平気です」
寒くない上に水中で呼吸できるとか、チートアイテムか? というか、格好そのものに羞恥心はないらしい。
「どっちにしても季節外れにそんな格好でウロウロしたら不審者に間違われないか」
「ですから裏側の人からは私が見えないので平気ですよ」
「そうか? さっきからオレには通り過ぎる人の目がアンタを見ているように感じるのだが」
「え?ウソ?どうしてですか!?」
そうなのだ。 さっきから気にはしていたのだが、道行く人の目がどう考えてもミナモを見ているように感じるのだ。 初めは道端で独り言を言っているオレを痛い目で見ているのかとも思ったが、どちらかというと心配そうな様子でこちらをみているのである。 時々「あの子、こんな時期に川で泳ぐのかしら?」とか聞こえてくる。 これは間違いなく見えている。
「何だがよく分からんがお前見えてるみたいだぞ」
「えー!なんで!?」
ミナモさんご乱心。
「よく分からんがここにいたら通報されかねないな……」
「一旦表側に帰りますっ!!」
そういうとミナモの体が淡く光り透明になっていく。
「いやイヤ待てマテ!! 人が見てる前で消えたらそれこそヤバい事になる! 主に取り残されるオレが面倒なことになるからっ! 消えるならどこか人目の無いとこにしてくれ!」
こんな目立つところで人が消えたら、一緒に居たオレがそれを目撃した人に色々と尋問されるに決まっている。 オレは表側に消えようとするミナモを必死に阻止した。
「とりあえずどこかに移動するぞ! 流石にここじゃマズいだろ!」
とはいえ、川と野原しかないこの辺に人目の無い所は思いつかなかった。 あるとしたらすぐそこにあるオレの家くらいしか。
「ハァ、仕方ねぇ、オレん家にいくぞ」
何か面倒な事になりそうな予感がしたが、それよりも目先の面倒を何とかするためにミナモを家に連れて行く事にした。 面倒くせぇな。 (続)
並行世界という事で、双子の世界『ジェミニ・ワールド』というタイトルが真先に浮かんだのですが、検索した所同タイトルの楽曲が存在したため、ジェミニ・バランサーというタイトルにしました。 ジェミニは双子、バランサーは均衡をとるもの、と、直訳すると意味不明ですね。何となくのニュアンスで受け取ってもらえると嬉しいです。
さて、主人公であるマモルですが、口癖は「面倒くせぇ」です。彼は基本的に細かい事を気にしないタイプなのですが、それというのはきっと気にするのが面倒だからなのでしょう。 日常では常に面倒な事ばかりですが、気にしすぎると生き辛い世の中になるでしょう。 その点、マモルのように細かい事を気にしないで生きていければきっと楽でしょうね。 まぁ、世の中そんなに甘くないのですが。 そんな日々面倒な事に向き合うストレスフルな私が理想とする人物像にしていけたら良いな、と、思っています。




