琥珀園⑧
「ふーーーっ」
深く溜息を吐く。
無事に終わってよかった。
毎日のことだけど、緊張感にはなれないな。
「凌兄」
片づけてると後ろから声がかかった。
「ん?どうしたの、世斗」
そこには、眼を輝かせてる世斗がいた。
「おはなしおもしろかったよ」
「それはよかった」
柔らかい髪の毛をかき混ぜる。
「あのおはなし続きするの?」
「う~ん、どうだろうな?気が向いたらしようかな」
「え~ぇ。ぼく続きがきになるよぉ」
ボクのTシャツを引っ張り駄々をこえる。
「考えとくよ」
ここには、この子達が甘えられる相手が少ないので、できる限りの事を叶えたいと思ってしまう。
いくらこの場所が我が家のように思えても、血の繋がってない人たちに甘えることは難しい。
皆極力迷惑をかけないように過ごしている。
そのため、ボク達みたいな外部の人が必要になる。
理由はとても簡単だ。四六時中過ごさないからだ。
「ほら、次はマホ―ツカイのお姉ちゃんの番だ。見てきな」
「うん。また後でね」
「うん」
バイバイと手を振り、槇の方へと行く世斗を見送る。
「さてと、見回りでもしてこようかな」
槇のマホーは、見なくてもわかる。
練習に付き合わされてるからね・・・。