琥珀園③
「予定より早く着いたじゃないか」
「いいじゃないの。早めに着いた方が色々と楽しいしねっ」
よほどこの場所に来ることが楽しみだったのだろう。
鼻唄をいまにも歌いそうだ。
「本当に毎日よくやるなぁ」
呆れを含ませて言う。
「アンタだって人のこと言えないでしょ?」
確かに。あのキラキラと輝く子供達の無邪気な笑顔が嫌いではないから、毎日こうして通っているんだろう。
「ほら、もうそろそろ時間だよ」
地べたから立ち上がり、看板に視線を送って建物の中に入って行った。
『琥珀園』
そう看板に書いてあった。
________________________________________________________________________________
入ると、アッという間に子供達に囲まれた。
「マホ―のおねーちゃんだ!」
毎日のように来ているので、すっかり子供たちと顔馴染だ。
ここの子供たちは親に捨てられた子供たちばかりだ。
中には逃げ出してきた子供たちもいる。
年齢層は、さまざまだ。細かく言えば、四歳から高校一年生ぐらいまでいる。
『琥珀園』は、そんな子供たちを見つけ、保護する場所である。
いわゆる、孤児院だ。
「うん。そうだよ」
女の子と視線が合うようにしゃがみこむ。
離れた場所で槇を見ていた凌は、袖を引っ張られる感覚に気づく。
足元に七歳ぐらいの男の子がいた。
「ん?どうした」
「にんぎょうげきやってくれるの?」
こてんと首を傾げる。