放課後の過ごし方④
ピリリリリ。ピリリリリ。
ボクと晃輝の間にある微妙な空気の中、携帯が鳴る。
「ゴメン。ボクのだ」
一応謝っといて、電話の出る。
「はい、もしもい」
『あ、凌君かい?私だ』
聞こえてきたのは、園長の声だった。
「園長!?」
驚きのあまり大声が出てしまった。
『突然でごめんね。せっかくの休みだったのに・・・・』
「そのことは別にいいんですか・・・・。どうしたんですか?」
園長はよほどの事がない限り、携帯の方にはかけてこない。
『うん。実は世斗の様子を見に行ってほしくて・・・・』
「世斗に何かあったのですか?!」
明るくて人一倍甘えん坊な少年の姿を思い描く。
『実は・・・・・・』
園長の話によると、ピクニック広場で遊んでいた世斗達。
だが、めずらしい蝶を見つけた世斗は皆の目を盗んで林の中へ。
無我夢中で蝶を追っていた世斗だが、気がつくと迷子になっていた。
「どうしよう・・・。えんちょーせんせーのところまでもどれないよ~」
今にも泣き出しそうな顔で、自分がいる場所を確認する。が、あたり一面緑に覆われてるので、今どこにいるのかさえもわからない。
そのころ園長たちは、世斗がいなくなったと子供たちが駆けつけて来たところだった。
「きづいたらせとくんがいなくなってたの!!」
「ああ!後ろ見たらせとのやつどこかに消えちまってやんの」
「だから、ちゃんとお手てつないだ方がいいっていったのに~」
上から、由美、崇、絵美の順で口々に言う。