放課後の過ごし方③
ほどなくして、晃輝が人込みを避けながら戻ってきた。
「はいよー。お待たせ」
「ありがと。後で代金払うよ」
「いいや、今日は俺のおごり。久しぶりに遊ぶからさ」
「でも悪いって!ちゃんと払うから・・・・」
「いいの。俺がおごりって言ったらおごり。これ絶対!」
そう言って、晃輝はアイスにかぶりついた。
「早く食わないと溶けるよ」
これ以上何を言っても無駄だと判断し、ボクも食べ始める。
「ん~~、おいしいっ!」
晃輝のお勧めの店だけあって、とてもおいしい。
味も濃厚で、ボリュームもたっぷり。
ベリー系も程よく凍らせてあって、舌触りもグッド。
「だろだろっ!さすが俺だよな!」
なぜか自慢げに胸を張る。
「凄いのはお前じゃなくて。このお店だ」
「少しは褒めてくれてもいいんじゃねぇの?誰のおかげでここのアイス食べれるんだっけ」
にやにや笑って、ボクの言葉を待っている。
っち。その手で来たか。
確かに晃輝のおかげでここのアイスにありつけている。
ボク一人だったら、コンビニのアイスで終わっているだろう。
だからといって、素直に「ありがとう。さすが晃輝だな」と言うのは嫌だ。
なぜかって?そりゃあ、癪にさわるからだ。
「・・・・・・」
ボクは、何も気かなったことにしてアイスを食べることに専念する。
「なぁなぁ。早く言えって」
ボクの様子を見て、照れくさがってると判断したのか顔全体が緩くなっている。
「・・・・・・・」
無言を貫ぬきアイスを食べるボクとにやにや笑いのイケメン。
他者から見れば奇妙な光景だろう。