そんな日常③
「実は、明日ピクニックに行くことになったんだよ」
「先にそれを言って下さい、園長」
無駄な衝撃を心に蓄積してしまったじゃないか。
「うん。ごめんねー」
コテリと首をかしげ、謝る。
時々ボクは、この人の年齢が分からなくなる。
実年齢は知らないが、顔が童顔なので幼く見える。
身長は目ばかりで百五十三センチ。一般女性よりも低い。
つねにおっとりした空気を醸し抱いている。そのおかげ?かしらないけど子供達には懐かれている。
「それじゃあ、明日は来なくていいんですね?}
凌は再確認する。
「うん。久しぶりの休み楽しんでね」
「ありがとうございます」
「ううん。いつもお世話になってるからね」
「じゃあ、皆の相手をしてきます」
これで話は終わりだろうと判断し、凌と槇はドアへと向かう。
「「失礼しました」」
二人がいなくなった部屋に園長の声が響く。
「ごめんね。いつも無理させちゃって・・・・」
凌君達には感謝してもしきれないと思っている。
忙しいはずなのに、毎日欠かさず来てくれる。休みの日もだ。
子供たちが喜ぶ姿を見るのは好きだが、凌君達が無理する姿は見たくない。
彼等はまだ高校生で青春真っ盛りの最中だ。園長は、その事実を思い出しては胸が痛くなる。
思い浮かべる限り、学校から直でこちらに来てるからだ。
交友関係は?ちゃんと勉強は出来てるのだろうか?
二人の邪魔はしてないか気になってしまう。
二人は気にするなと言うが・・・・。
人生で一時きりの青春時代だから琥珀園ばかりに来ないでもっと自由に過ごしてほしい。
その為にピクニック企画を立てたのだ。
明日ぐらいは、ゆっくりと休んでほしい。