琥珀園⑯
夕食をとり、なんだかんだで子供たちの相手をしていたら、帰りにつくのが九時ぐらいになっていた。
「そろそろ帰らなくちゃな。明日も学校あるし」
「えー、絵梨まだりょーにいと遊びたいーー」
「駄目だよ。子供はそろそろ寝る時間だ」
「むーーー」
むくれる絵梨。毎日来て遊び相手をしてやってもまだまだ遊びたい盛り。
遊んでも遊んでも物足りないのだ。
「そうよ。お兄ちゃんの言う通りよ。早く寝なくちゃ大きくなれないわよ」
「それはやだっ!早く大人になりたい!」
「それならもう寝なくちゃな」
促されて布団が敷いてある部屋に向かわせる。
「お休み。いい夢を」
「おやすみなさい」
全員が寝静まったころ、槇と凌は帰る支度を始める。
「家に連絡は入れた?」
「大丈夫よ。帰りが遅くなるって言っといたわ」
「そうか」
自分たちの支度が終わったので、使っていた部屋を片付ける。
「凌君、槇ちゃん」
不意に後ろから声をかけられる。
「あ、園長さん」
『園長』という言葉に振り返る。
「どうも」
「こんばんは。今日は遅くまで遊んでもらって悪いわね」
「いいえ。こちらも夕御飯頂きましたから」
「部屋も片づけておきました。また明日きます」
そう言ってボクは、荷物を持ち玄関の方へ行く。
「本当にいつもいつも毎日来てくれてありがとう。皆喜んでるわ」
「こちらも好きでやってることですから」
そう。槇の言うう通り。ここに来るのが楽しくて気が付いたら毎日通いつめるようになっていた。
「「おやすみなさい」」
「おやすみなさい」
園長は、ボク達の姿が見えなくなるまで見送ってくれた。