琥珀園⑫
必死の訴えに凌は目を大きく見開く。
そして、最近の自分の行動を顧みる。
確かにここ二、三日は秋一の相手をしてない。
テスト期間に入っていたので忙しかったと言えば忙しかったが、これは言い訳にもならないししてはいけない。秋一のココロを傷付けることになる。
「ゴメンな」
そう言い、秋一の脇の間に手を入れ持ち上げる。そのまま、体制を変える。
そして、膝の上に座らせ抱きしめた。
「大丈夫。嫌いになったりしないし、嫌いになったことなんて一度もない」
「・・・ほっ・・ほんと?」
「本当さ」
よしよしと頭を撫でる。それでホッとしたのか本格的に泣き始める。
「うっ!・・うっ!・ぇえええええん!」
その様子に凌は安心した。
はぁ、よかった。
泣きだした様子を見て安心するのは可笑しいと思うけど、これでいい。
世間ではもう秋一のは十歳で、皆よりは落ち着いて明るいと大人たちは言うけどそれは違うと凌は思う。
まだ十歳で精神にむらがある。
おちゃらけた性格とは反対に冷静に物事を判断する部分はあるけど、軽い揺さぶりだけで脆く、崩れやすい。
今回の事もそうだ。ほんの数日だけの触れ合いがなかっただけで、これだ。
なついてくれるのは嬉しいが、これからは大人になってくので甘やかすのはいけないな、とは思うが
つい反射的に手を伸ばしてしまう。