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琥珀園⑩
ロビーについたとき、ちょうど槇のマホーが終わっていた。
「おつかれさん」
ゆっくりと槇に近づく。
「随分ゆっくりしてたのね」
「うん。ちょっとな」
腕に抱えてる猫を抱きなおす。
「どうしたの、その猫?」
「中庭に迷い込んでいたんだよ」
「だから、連れて来たのね」
「察しが早くて助かるよ」
にゃー。
同意するように三毛が鳴く。
さっきの猫の鳴き声で、子供たちの視線がこっちを見る。
「そのねこさんどうしたの?」
絵梨が言う。
「庭にいたんだ」
「さわっていい?」
「いいよ」
威嚇されないようにゆっくりと猫を絵梨の手にゆだねる。
「ふわふわしてるー」
にこにこと笑い、毛並みを堪能する。
「このこ男の子?女の子?」
頭を撫でていた健太がきく。
「どっちなんだろうな?」
「「わかんないの?」」
絵梨と健太は槇に聞いてみる。
「あたしもわかんないわ」
「なんだー」
ガクリと肩をおとす健太。
「園長に聞いてみればわかるんじゃないのか」
「そうしてみるーー!」
そういって園長室に走って行った。