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始まり
ボクの町には、マホ―ツカイがいる。というと、たいていの場合勘違いされる。
「そんなのがいるわけない」「頭イカれてるんじゃないの」と、罵倒される。
もちろんボクだってそんなのがいるとは思ってない。
某長編魔法使いシリーズみたいに杖を持って呪文を唱える魔法使いが現実にいたら世界は混乱と恐怖の渦中に陥ってるだろう。
ボク、五十嵐凌はそう思う。
ボクが知ってるマホ―ツカイはそんなファンタジーものではない。
ボクの幼馴染である伊十院槇。
彼女がマホ―ツカイだ。彼女のマホーは、種も仕掛けもあるなんてことない手品。
そういうことをいうと彼女が烈火のごとく怒るので、いわないようにしている。