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40.バ可愛い

そうハラハラする間もなく、少女は客人を連れ立ち

出ていった時の様に犬に乗って帰ってきた。

もはや完璧に頼み事を達成して帰還した自らの助手の

頼もしさとその無事に目を細めるリッチに新たな賓客が声をかけた。


『あんたがこの子のご主人様かい?』

『道すがらに聞いたよ』

『うちの子を助けてくれて本当にありがとうねぇ・・・』


「(えっと・・・)」

「(この子の面倒を見てくれてホントにありがとうございます)」


まずはその自らの魔力に託けることなく礼を言う新たな来訪者には

こちらも礼を以て答えなければなるまい。


『礼には及びませぬ』

『むしろこの子はわしら不死者しかおらぬこの研究室に

 彩りを齎してくれたものじゃ・・・』


少女の自己紹介は聞いていたのかもしれないが

改めてリッチは自らとその騎士とその助手を紹介した。




猫という動物であるらしい小さな獣と広義で言えば

同族であるセイレーン、歌の話にの話にアンデッドたちは

驚天動地の衝撃を受けた。


いや、違う世界から来たて・・・

そりゃ、こんな生き物見たことないですけど・・・

そして魔物でも魔力を抑えれば地上を旅することができるて・・・

地上の旅はあまりにもの万物の美しさで全ての瞬間が愛おしい?

そりゃそうでしょうとも・・・


決して情報量が多い訳では無いんですけど

その内容の濃さの方が問題なんです。


3人のアンデッド達は混乱し、情報を噛み砕くまでに時間を要した。




『え―っと・・・』

『要するに主人を探してあなた方は旅していると?』

『つまり、あなた方の様な魔力を持つ従者を従える主がいると・・・?』


それ、一体どんな化け物なの・・・?


その傍らでは光の旅を始めて、初めて言葉が通じた同族に出会って歓喜した

歌は体験した地上の美しさを、地上に出てその芸術を自らの目で

見て味わうべきだと熱弁していた。

その首にはかつてこのダンジョンの覇者であった飛竜の魔力と

それに匹敵する者の魔力が込められたモノが揺れていた。






『あぁ・・・』

『本当に良かった・・・』


大きい方の獣が一行から離れた時には本当に焦燥に暮れた。

この大きい方の獣はその知能は・・・

うん、認めざる得ないけど思っているほどあまり高くは無い。

やっぱり全くの明後日の方向に向かって駆けだして仲間を必死に探す犬の姿に

違う違う、逆よ逆。こっちこっちと伝わるはずも無いのに思わず顕現させた

モニターを指で叩き指していた【女神】はズルズルと座していた椅子から滑り落ちた。


もうこんなにも頼りがいのある存在になったのに

なんでこんなにも頼りないのか・・・

そして、その様故に何とこの子の存在が何と愛おしいことか・・・

少年がこの子を常に気にかけていた理由がわかってしまう。


新たに出会ったこの【魔物】たち、【アンデッド】たちに

女神は思わず呟いた。


『この子を保護してくれて、ありがとうございます』


彼らは新しく得た見識に混乱している様だ。

もしかしたらお礼にもならないかもしれない。

でも、ほんの少しでも私の謝意を伝えたくて・・・


【女神】は自らの魔力を【アンデッド】たちに分け与えた。

何時になるかはわからないけど信仰が増して力を得た暁には

きっとこの恩を返しますからと。





自らの【魔力】がそれと混ざり合って変化していたことを

【アンデッド】たちは感じられる程の心の余裕は無くて

全くおくびにも出さなかったせいで・・・

またも【女神】はその自らの力を見誤った。



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