第3話 事故?
投稿不定期
「ふぅ、いい汗かいたぜっ!」
この世界に来て1ヵ月が経った。
仕事を真面目にしていたのが評価されてシャラさんのところで正社員といっていいのかわからないが正式に雇ってもらえることになった。
仕事も見つかったし部屋の間借りもできた、給料は今まで通り出来高制だけど頑張れば稼げるってのは悪くないので満足している。
1つだけ不満があるとするならばそれは………
「おいラキア!水持ってきてくれ。」
「あっ!僕の分もよろしく!」
「は、はい……。」
パシリのような扱いを受けている事ぐらいだ。
みんな悪気がないのは分かっているんだが、日本の常識で物事を考えてしまい悪い方に意識が向いてしまう。
日本人の顔は幼いと海外の人が良く言うけど、恐らくそういう要素も多分に含まれていると思う
なにせ俺は元々童顔だから…。日本でも30代前半ぐらいに間違えられた時もあったし多分勘違いではないはずだ。
それでなにか虐め的な問題が発生したのかと言われれば何もない。仕事終わりに夕飯を御馳走してくれたり、家の間借りができたのも同僚の紹介があったからできた。感謝こそすれ怒ったり恨んだりはしていない。
でも、平穏な日々も長くは続かないとは物語にありがちな事だが俺にも事件が起きる。
「あっ! ら、ラキア危ないっ!!」
「えっ?」
ゴシャァ!!
「ら、ラキアっ!!」
「きゃぁぁぁぁああぁああぁぁぁぁ!」
同僚が城壁補修で使っていた岩を落としてしまい俺の脳天に直撃、同僚や通行人の悲鳴を聞きながら横たわる俺にシャラさんや同僚が駆けつける。
ああ、俺の第二の人生もここまでか……。とはならず
怪我や痛みは全くといっていいほどない、だがそれが1番の問題でもある。
だって普通の人なら死ぬか大怪我してるはずだし無傷は非常にまずい!
肩に当たったことにして打撲程度で済んだことにしようかな?
「頭にあんなの当たったらひとたまりもねぇよ!」
「たぶん生きてはいないだろうね、可哀そうに……。」
おい!通行人達少し黙っててくれないか?いい感じで起き上がりたいのに起き上がりにくくなるだろ!
「おい!すぐに医者を呼べっ!!」
「は、はいっ!!」
シャラさんの一声に駆け出そうとする同僚
まずいっ!と思った俺は……。
「う、う~ん。あ、あれ?みんなどうしたんですか??」
「「「ラキアっ!?」」」
「お、おまえ大丈夫なのか? 頭に岩が落ちて……。」
「い、岩ですか!? 生きてるってことは運が良かったんですねぇ。あはは!」
「運が良かったって……おまえ、本当に大丈夫なのか? あんなの死んでても……」
「大丈夫ですよ!ほらこの通りっ!!」
ピョンピョン跳ねて見せるがみんなの視線は信じられないというような視線のままだ。
だが、医者だけは絶対にダメだ!ここで平気だと訴える方が医者に無傷だと診断されるよりは遥かにマシだ!!
「だが……。」
「あー。あとで自分で医者に診てもらいますよ。だからみんなは気にしないで仕事に戻りましょう!」
「あ、ああ。あとで必ず医者には行けよ!」
その後は岩を落とした同僚に謝罪されたり、同僚や通行人達に無事を喜んでもらったりと色々あったが無傷なのはおかしいという疑念を払う事はできなかった。
これからどうしようか? 住む街を変えるか? いやいや、冒険者でもないのに城壁補修員がホイホイ住む街を変えるとかおかしいだろ。
ん? 冒険者? っていうかこの世界に冒険者っているのか?
この世界で1ヵ月過ごしてきたが冒険者という単語は全く聞いた事がない。もしかして冒険者とかギルドとかない感じですか?
考え始めたら色々な疑問が浮かんできた。明日は大事をとって休みを貰ったので少し街の事とかこの世界の事を調べてみよう。
次の日。
冒険者ギルドとか魔法使いギルドとか商業ギルド。一切ありませんでした!
ないといってしまうと違うような気はするが、全ては国が運営しているのでギルドという概念はなかった。
冒険者や魔法使いになるには学校へ通う必要があり、卒業後は国に仕えるというのが基本の流れのようだ。
商業ギルドも同じで学校で読み書き計算を覚えて卒業後はどこかの商会か国に仕えるというのが常識になっていた。
恐らくだが国で扱う運営事項が多すぎて、国で働く人たちはかなり大変というかブラックな事になってそうだ。
本来なら商業会やギルドといった組織を作って、小さい案件はギルドで対応し大きい案件は国が対応といった流れが好ましい。
だが組織がない為、小さい案件も大きい案件も全て国が対応する形なので処理に手が回らない可能性99.99%です。残り0.01%はなにかって?スーパー有能な人が全て解決するパターンです!!
じゃあなんでスーパー有能な人がいるかもしれない可能性に辿り着いたかというと……
実はこの世界に勇者が存在します!勇者がいるんだから有能な人が居てもおかしくはないでしょ?
その勇者が異世界転移者だとか地球人だとかの確認はできてないけど、確かに勇者は存在する!
しかも俺が今いるこの国、イシュタルト王国に存在している!!
なんかこの先、嫌な予感しかしないけどチートや転移の事はなにがなんでも隠し通す!
じっちゃんの名に………。
と思考しながら路地を歩いていると前方に、金髪男とそれを囲む女達10人ほどの集団を発見した。
あー。アレだわ……。
最後までお読みいただきありがとうございました。
初心者なので温かい目で見守りながら、これからも応援よろしくお願いします!