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箱庭のエリシオン ~ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?~  作者: ゆさま
謎の異空間に飛ばされたら金髪美少女が迫ってくるんだが?

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恋人になれ

「何で……、ルイさんが……、ここに……?」


 俺は無意識に刀を握る手に力を入れ構えた。ルイさんは俺の様子を見ると、鼻で笑い指摘する。

 

「フッ、何でと言いつつ既に私を敵とみなしているじゃないか」


 確かに俺はルイさんが現れた瞬間に、敵だと確信してしまった。


「セフィリアの額に取り付けられていた魔導器……。あれは以前、結月と体を入れ替える体験をしたときに使った魔導器に似ていた。脳への入出力信号を操作する技術を流用したんですよね?」


「今まで誰も攻略できなかったはずの、ルエガート遺跡で見つかった魔導器の技術を流用した物を、ピルロークが持っているのは妙だなと思っていた。でも、ルイさんとピルロークが繋がっていたのなら納得できる」


「ご明察だ。君は本当に聡いな」


「何でルイさんが、こんなことをするんですか!? わざわざセフィリアを誘拐させて、俺達が助けに行くように仕向けて、あの三人を攫ってまで……」


「君は強くなりすぎたんだ。いや、君がと言うより、君を慕うあの三人が、と言うべきか。君達四人がその気になれば地球もレジーナも壊滅させられる」


「俺はそんなことはしない!」


「だが、君も一人の人間だ。気分次第で世界のあり方を、変えることが出来る程の力を有する個人は、脅威以外の何物でもない。あの三人は君に心酔している。どんなことでも君に従うだろうし、君のためなら何でもするだろうからな」


「だから俺を殺すとでも言うんですか?」


「いたし方あるまい」


「クッ……!」


 ルイさんは俺を睨みつけているわけでは無い。だが凍てつくほどの冷たい視線を俺に向けて淡々と口を動かしている。


「あの三人は記憶を改ざんして、私が大切に使うから心配しなくていいよ。君よりも素敵な男性と結ばれるようにもしてやろう」


「ふざけるな! そんなこと、絶対にさせない!」


「絶対にさせない、か……。君なら彼女達を幸せにできるとでも?」


「君は元々陽那のことが好きだったんだろう? にもかかわらず次から次へと別の女の子に手を出して、陽那からすればたまったものではないよな? 君は陽那を何だと思っている?」


「陽那は俺の大事な人だ! 俺は、陽那を心の底から愛している!」


「なら結月はどうだ。彼女は美しく、剣術の才能に恵まれ、努力家だ。君よりもふさわしい男性が他にいるとは思わないか? 」


「そんなこと知るか! 結月は誰にも渡さない! 俺とずっと一緒にいるんだ!」


「……アサカはそもそも私の部下であり、家族のようなものだ。そろそろ返してもらおうか?」


「今のアサカは俺のものだ! 俺が家族になるんだ!」


「ふん、我儘なガキだな。まあいい、君を消せばすべてが丸く収まる」


 そのとき、俺とルイさんとのやり取りを、黙って聞いていたセフィリアが口を開いた。


「社長! なぜイツキを殺す必要があるのですか? イツキが世界を脅かすような人物には到底見えません! むしろ私には……」


「セフィリアも、樹の固有スキルに当てられてしまったんだな……」


 俺の固有スキルに当てられる? ルイさんが妙なことを口にするので、俺は思わず問いかける。


「何のことを言っているんですか?」


「君の固有スキルの能力の一つに、女性を魅了する能力がある、という意味だ。考えてもみろ、君の恋人はいずれも極めて優秀で、その上美しい。そんな女性達が三人も君のことを心から愛すなど、おかしいとは思わないのか?」


「あの三人が俺を好きになったのは、俺の固有スキルのせいだって言いたいんですか? そんなバカな!」


「信じたくないか? そうだろうな。セフィリアも樹を処理した後に正気に戻してあげるよ」


 凍えるような目つきのまま言い放つルイさんに、セフィリアはアイテムストレージから大剣を取り出し突き付ける。


「社長……、私はイツキに付きます」


 あまりに意外なセフィリアの発言に、俺は「セフィリア……?」と呼びかけた。


「今までは社長が私の全てでした。尊敬していたし、憧れていました。でも、こんなやり方でイツキを殺すのは納得できません!」


 まさかあのセフィリアがルイさんと敵対してまで、俺に付いてくれるとは思わなかった。


「セフィリア、ありがとう。でもルイさんとは俺が戦う。ピルロークを押さえていてくれ」


「分かった。……でも、あまり長くは持たないかも」


「なら俺の恋人になれ」


「はぁぁぁ!? こんな時に何言ってるの!?」


 セフィリアは顔を赤くして、うろたえている。


「俺の恋人になれば、俺の固有スキルの能力でバフが掛かる。この場を切り抜けたら解除する」


「あっ、ああ、そうなのね。分かったわ」


 セフィリアを恋人に設定すると念じた。アシストを通さなくても意志だけで可能なはずだ。


「セフィリア、どうだ?」


「温かくて力強い魔力が私の中に流れてくる……。これなら、やれるかもしれない」


「よし! ピルロークは任せた!」


 ピルロークはセフィリアに丸投げして、俺はルイさんに集中した。


 わけの分からない理由で、大人しく殺されてやるつもりは無い。俺は刀を構え、ルイさんと対峙した。


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