表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
箱庭のエリシオン ~ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?~  作者: ゆさま
謎の異空間に飛ばされたら金髪美少女が迫ってくるんだが?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/122

支配者だって?

 四人で昼食を食べている。俺は昼からやりたいことがあるので三人に聞いてみた。


「ちょっと昼から試したいことがあるから、一人で訓練フィールドに行くけどいいかな?」


 アサカが不満そうに抗議する。


「こんなに可愛い恋人が三人もいるのに一人でするの?」


 陽那も不満そうにそれに続く。


「樹、もったいないから、無駄撃ちはダメだよ。ただでさえ三日に一度しか回ってこないんだからね!」


「俺だって一人でするより、ここにいるとびきり可愛い恋人とする方が良いに決まってるよ。そうじゃなくて、今回の遺跡探索で魂力がだいぶ上がったと思うから、リソースも増えて固有スキルを改良できないかなって思ったんだ」


 アサカはきょとんとした顔で問う。


「リソース? それに固有スキルの改良って……? イツキ、そんなことできるの?」


「俺もよく分かってないけど、ピルロークがそんなことを言っていて、あいつの言う通りにしてみたら、結月と同じように刀を具現化できるようになったんだ。魂力が増えた今なら三人の固有スキルを同時に使いこなすこともできるかもしれない」

 

 結月は何かを思案しながら、口を開いた。


「固有スキルは今までにも何度か変化してきている。樹が出来そうだと思うならできるのかもね。いいよ、私達は邪魔しないでおくね」


「ありがと」


 というわけで、俺は一人で訓練用フィールドに転移した。




 見渡す限り草原の続いているフィールドで、俺は一人座り込んでいる。今の俺の魂力っていくつなの? と頭の中で聞くと、音声アシストは「92185です」と答えた。


 9万を超えているのか。これだけ高ければきっと……。


「ちょっと俺一人で考えて試したいことがあるから、システムアシストを一旦OFFにしたいんだけどできる?」


「承知しました。システムによるすべてのアシストを解除します。再度アシストをONにするときは端末を操作して設定して下さい」


 まずは、魔導器を使わなくても魂力をブーストできるようになりたい。


 魔導器を使って魂力をブーストしたとき、魔力の器を強制的に広げている感じがした。


 器が広がることにより、周囲の魔力が身体に流れ込む量が増えて、力が溢れてくるみたいだった。あくまでも俺の主観だが……。


 おそらく魔導器が使用者のリソースとか、魂のエネルギーを強制的に占有して、魂力という器を強制的に拡張しているのだろう。


 そのせいで、魂に過度な負担が掛かって副作用が現れるということなんだと思う。


 ならば魂力のリソースの一部を割いてに、常に魔力を溜めておき、いざという時にそれを使って自力で魂力を拡張すればいい……はずだ。


 取り合えず自力で魂力をブーストできるか試してみるか。


 俺の願いを再確認するために、陽那、結月、アサカの顔を思い浮かべた。


 この三人は俺が命を懸けてでも絶対に守る。どんなに強い敵が相手でもだ。


 次に魂力をブーストさせる魔導器を使ったときの感覚を思い出して、再現しようとすると――。


 できた! この感じ、この全能感はまさしく魔導器で魂力をブーストしたときのものだ!


 しかし、すぐにその状態は解除されてしまった。魔力不足だろうな。


 よし、魂力のリソースの20%くらいを使って、魔力を圧縮して蓄えておく領域を確保しよう。これも出来る気がするから出来ているだろう。


 自力での魂力ブーストは出来ることが分かったので、あとはこっそり練習しておけば、俺の切り札にできる!


 次に、恋人の固有スキルの共通部分の統合をすれば、リソースが開放されて複数の固有スキルを使いこなせるようになるはずだ。


 これはアシストさんに手伝ってもらった方が効率が良さそうなので、端末を操作してアシストを有効にした。 


 戦闘中に一瞬先の未来が見えたり、周囲の状況を目に頼ることなく把握できる能力は支配者クラスなら備わっているし、大気の支配者の風と水魔法を強化する部分は、魔法の支配者と重複する部分だ。


 三人の固有スキルを俺の固有スキルに取り込み、重複する部分を統合して、俺の能力として使うことは出来るんじゃないかと前々から思っていた。


 これまでにも願望や意思の力で固有スキルは変化していた。きっと出来るはずだ。


「アシストさん出来そう?」


「固有スキルに割り当てる魂力のリソースを確認します。…………可能です」


「使用可能領域を精査します……。使用可能な領域に20%程度、使用目的が分からない部分があります。解析して使用可能にしますか?」


「いや、そこはそのままにしておいて」


「現状では単純にリソースが20%少なくなりますが、よろしいですか?」


「よろしいんです!」


「……承知しました。恋人の固有スキルの統合を開始します」


 よろしくお願いします、アシストさん。


「完了しました」


 え、もうできたの?


「膨大な魂力と、強力な願望のおかげで、元からほぼ出来ていました。システムはそれをわずかに整えただけです」


 俺の視界に新しい固有スキルの詳細が表示された。



 固有スキル『恋の支配者』 


・恋人に指定することで様々な恩恵を与えることが出来る。恋人の指定数には上限は無い。

 

・恋人は常時30%のステータスアップのバフがかかる。


・恋人である対象にキスすることでMPを全回復させられる。ただし一日一回のみ。複数の対象にすることは可能。


・恋人の固有スキルを自分の固有スキルに統合して使うことが出来る。


 以下、現在の統合されている能力。


・魔法の威力、精度、発動速度が大幅に上がる。


・身体の怪我を治癒する魔法を使用可能。

 

・武器に魔力を直接込めることが出来る。MPを消費するが威力と貫通力を強化できる。


・魔力を収束させることで武器を具現化させることが出来る。


・大気に自身の魔力を放出し混ぜることで自在に操ることが出来る。


 ふーむ、なになに……、ふぁっ!?


「嫌あぁぁ! スキル名、恋の支配者だって!? こんなのあの三人に見られたら何を言われるか分かったもんじゃない! 変更を要求する!」


「フゥ……。では変更したい名称をどうぞ」


 アレ? アシストさんため息ついた? ここは普通に『恋する者』とかでお願いします。


「却下します。『恋の支配者』で確定しました。変更には恋人三人の了解が必要です」


 はぁぁぁ? どちらにせよ茨の道じゃないか! ……まぁ、ステータスとか今更見せ合うなんてないだろうし、これでもいいか。


 その後、しばらく自分の能力を試すために、魔法や魔刃を使ってみたり、天候を操作してみたりした。


 気のせいかもしれないが、借り物の力ではなく自分の能力を使っていると感じた。


 時刻を確認するともう17時頃だ、そろそろログハウスに戻るとするか……。




 ログハウスに入って「ただいまー」と言いながらリビングに行くと、陽那と結月とアサカが声を揃えて「おかえりー」と返事をしてくれた。


「長い時間頑張っていたみたいだけど、上手くいったの?」


「うん、思った通りにできたよ」


 結月の問いに俺は胸を張って答えると、陽那も俺に声を掛けた。


「へー、良かったね! 久しぶりにステータス見せてよ」


「な、なんでいきなりステータスを?」


「なんかダメだった?」


「いや、ダメじゃないけど……」


 アサカも陽那と一緒になって俺にせがむ。


「なら見せてよ! 樹の固有スキルがどんなふうになったか見てみたいな」


 三人にせがまれて、俺は渋々ステータスを見せることにした。すると陽那は口元を押さえて笑い出す。


「ププッ、恋の支配者だってー! 樹にぴったりだねー」


 結月もニコニコと笑みを浮かべながら言う。


「確かに樹は私達を支配してるよね」


 アサカも二人の言葉に乗っかり楽し気に笑っている。


「三人の可愛い女の子を支配しているイツキはいいなぁ」


 話の内容がズレてきてないか? と思いつつしばらくの間、美少女三人にいじられるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ