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箱庭のエリシオン ~ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?~  作者: ゆさま
謎の異空間に飛ばされたら金髪美少女が迫ってくるんだが?

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遺跡探索(前編)

 今日は遺跡探索するというので、ログハウスの前にみんなで集合してルイさんを待っている。


 少しの間雑談をして待っていると、転移ゲートからルイさんが現れた。


「待たせてしまったようだな。早速出発しようか」


 俺たちはルイさんに続いて、転移ゲートに入っていった。




 俺達が今日探索するのは、シエラス東部の山岳地帯の奥地にある、ルエガート遺跡という所らしい。


 転移ゲートを抜けた先は深い森の中……ではなく、大きな転移ゲートが複数ある建物の内部だった。


 俺は振り返って自分が出てきた転移ゲートを確認すると、やはり大きかった。人が次々と出てきている。


「ここは転移ゲートのターミナル的なところですか?」


「そうだよ。街中では決められた場所以外の転移ゲートから出てきてはいけないんだ。そうでなければ、女の子が入っている風呂に突然現れて、ノビたさんのエッチー! となってしまうからな」


 ルイさんが真顔でボケるので、俺はスルーしておいた。


「……そうですね。ところで、ここが目的の遺跡なんですか?」


「いや、ここはルエガート遺跡群の観光地だ。目的の遺跡は少し離れたところにある」


 建物から出て辺りを見渡すと、大勢の人が歩いており露店や屋台があり賑わっていた。


「せっかくなので、君達に旅行気分を味わってもらうために、ここに来たんだ」


 何という心遣い……痛み入ります。俺が感激していると、ルイさんは何故か鋭い視線を俺に向けた。


「ところで樹は私の渾身のボケをスルーしたな。ツッコんでくれなければ恥ずかしいし、寂しいだろう」


 ルイさんが真顔で俺を見ている。なんか怖い……。俺は後頭部を搔きながら「すいません」と言いつつ笑って誤魔化そうとした。


「ちょっとルイ姐! えっちとか、突っ込むとか、恥ずかしいとか、なんの話してるの? こんなに人が多いところでする話なの?」


 アサカが横やりを入れてくるが、ちょっとそっち系の話とは違うんだよな。陽那と結月は苦笑いをしていた。


 俺はアサカに、日本の文化である漫画と漫才の解説して、納得してもらった。


 そんなどうでもいい話をしながら、賑やかな通りを歩いていると大きな建物に着いた。


「ここは、この遺跡群で発掘された遺物などを展示してある博物館だ。せっかくなので今から探索する遺跡のことを軽く予習しようか」


 俺達は博物館に入って行った。発見された遺物が多数展示してある他、この地方の歴史なんかも解説してある。


 この遺跡で発見される遺物は重要な文化財であるのと同時に、技術的にも極めて重要なんだそうだ。これらの古代の文明の利器の方が、現在の魔導器よりも高性能だという。


 遺跡から発掘された遺物は、ルイさんの会社であるエルピスの開発部で解析されて製品に応用されるようだ。なるほど、ルイさんが遺跡を探索したいわけだ。


 午前中は博物館の見学や、遺跡の見物、露店での買い物としっかり観光を楽しんだ。


 昼食をとってから、本命の遺跡探索に向かうことになった。


 賑やかな観光地から離れるように歩いて行くと、立ち入り禁止の区域があった。


 大きな塀で囲まれて入り口のゲートには武装した警備員が立っており、厳重な警備態勢であることが窺える。


 ルイさんは、何食わぬ顔でスタスタと警備員の前を通過して入り口に入っていく。俺達も恐る恐る付いて行った。しばらく進むと、昔は立派であっただろうと思われる風化した大きな建物があった。


 いかにも神殿って感じだな……。


 ルイさんに続いて建物内部の通路を進んでいくと、地下に下りていく階段が現れた。


「ここから先はモンスターが出現する。準備はいいか?」


 俺達は頷き、階段を下りていく。すると転移ゲートをくぐった時のような感じがした。


「あれ、この感じは……?」


「そうだ、この先は別の空間につながっている」


「この階段の先は、一つの部屋につながっていることが、機器を使った調査で分かっている。何らかのキーを解除せずに侵入したため、セキュリティが発動して転移させられたんだ」


「このパターンのセキュリティは、最奥まで行ってボスを倒せば解除できるのがお約束だ。ダンジョン攻略だと思えばいい。楽しそうだろ?」


 ルイさんが攻略できないような難度のダンジョンが、楽しいとは思えない。俺の口から「はは……」と、乾いた笑い声が漏れた。


 階段を下りた先は迷宮になっていた。いくつかのモンスターの気配もする。


「以前到達したところまで走るからついて来て」


 ルイさんが走り出したので、俺達も走って付いて行く。


 途中で何体かモンスターに遭遇するものの秒殺して足を止めることは無かった。しばらく行くとルイさんは立ち止まる。


 ドーム状の天井の高い部屋に出た。部屋は広いが遮蔽物は無く一番奥まで見渡せた。


 部屋の一番奥には、頭部が獣の人型モンスターが一体立っていた。そのモンスターの左右の壁際には三個ずつ、合計六個の転移ゲートが設置してあった。


「ここから先に進むとあのモンスターが動き出して襲ってくる。それと同時にあの転移ゲートからモンスターが大量に出現する。以前来たときは、あのボスモンスターを倒せなかった」


 俺達が部屋に侵入すると、ボスモンスターが動き出し咆哮を上げる。放たれるプレッシャーから推測すると魂力6~7万ほどだろうか?


 倒せない相手じゃないな。そんなことを考えていると、左右に設置されている転移ゲートから次々と四肢動物型モンスターが湧いてきた。みるみる部屋の中がモンスターで埋め尽くされていく。


 湧いてきたモンスターの魂力は4万前後だろう。


 今の俺達からすれば雑魚と言っていいが、数が多すぎる。


 結月の一振りごとに十体は消滅させているが、すぐに転移ゲートからモンスターが補充されて、ボスまで攻撃が届かない。陽那が火球を爆発させて一度に数十体を消滅させてもやはりすぐにモンスターがわいてくる。


 陽那は六個の転移ゲートを氷漬けにして、モンスターがわき出してこないようにした。しかしすぐにボスモンスターが氷は砕いて元通りになった。


「いっそ月影、天照、イシュタルを思いっきり振るって全部ぶっ壊しますか?」


「この空間も古代文明の遺物だといことを忘れるな。なるべく無傷でボスモンスターのみを撃破したい」


 そんなこと言ってもなぁ……。あっそうだ! 俺はアサカを大声で呼んだ。


 アサカは俺の方を見たので、意図を込めて視線を送る。アサカも支配者クラスの固有スキル持ちなんだから俺の思考を読むことが出来るはず。


 アサカはニッと笑って頷いた。よし、伝わったようなので、俺は大気の支配者を使いこの部屋の空気に魔力を放出した。


 アサカも同様に魔力を放出して俺の魔力と混ぜ合わせる。気持ち良くなってしまうがここは我慢だ!


 この部屋の全ての空気を俺とアサカの制御下にし、空気の粘性を極限まで上げた。空気が粘土のように固くなる。もはや空気抵抗とは言えないな。


 俺を含めて、この場にいるすべての者がほとんど身動きを取れなくなった。モンスターが湧き出す転移ゲートは、モンスターで詰まり出てこれないようだな。


 モンスター達は必死でもがこうとしているが、俺とアサカの魂力はバフ込みで実質約8万だ。しかも支配者クラスの固有スキルを使い全開で魔力を放出している。簡単に解除できないはずだ。


 俺は陽那に視線を送る。陽那も即座に俺の意図を理解してくれた。


 光の魔法を使い雑魚モンスターを薙ぎ払う。光なら空気がどんなに固くても透明であれば影響はない。モンスターが補充されなければ、あっという間に雑魚モンスターは全滅した。


 たくさんの雑魚に守られていたボスモンスターも、今ならがら空きだ。陽那は遠慮なく極太の光線をお見舞いしてボスモンスターを消滅させた。


 俺とアサカは空気の大気の支配者を解除した。アサカは両手を地に着き息を上げている。俺ももうフラフラだ。


 この広い空間全てに魔力を放出し、満たした上でアサカと魔力を混ぜ合わせたんだ、感じる快感は想像を絶する。


 正直、ちょっとイッて……。いやそんなことどうでもいいか。


 ルイさんは、キーボードを操作するように手を動かしている。視界に映るインターフェースを操作しているんだろうな。しばらくすると口を開いた。


「この場所に転移ゲートを開通した。今後はここに直接転移できる」


 続いてルイさんは誰かに電話を掛けた。


「クラウス、例の遺跡の一階層のボスを撃破した。動ける者を連れて調査に来てくれ」


 電話を切ると、俺達に声を掛ける。


「樹達のおかげでボスを倒せたよ。ありがとう。今日は一旦帰ろうか」


 俺達はログハウスに転移して戻った。


 ログハウスにて話し合い、明日はボス部屋に九時に集合して次の階層を探索をすると決まり、今日の所は解散となった。




 一人自宅のベッドで横になっている。アサカと魔力を思い切り混ぜた快感が、身体にたっぷり残っている。


 今夜はアサカと過ごすけど、我慢できない。少しヌいておこうかな……。


 アサカからメッセージだ。


「今日はいつもと違う所でイチャイチャしよ♡ ここをタップすると転移できるから準備出来たら来てね! 夜まで我慢できないからって一人でしたらダメだよ!!」


 うっ、釘を刺されてしまった。はぁ、早く夜にならないかなぁ……。




 そして夜になり、アサカのメッセージをタップして転移した。


 転移先は……。ホテルの一室だろうか。広々とした室内、豪華な装飾、大きな窓からは街の夜景が一望できる。スイートルームとかかな?


 アサカはその抜群なスタイルを強調するかのような、セクシーなワンピース姿だ。


「社長に頼んで、ちょっといい部屋を借りて貰ったんだよ。気に入った?」


「……うん」


 部屋がどうこうとかよりも、早くアサカに襲い掛かりたかった。遺跡でのボス戦からずっと我慢していたし、今夜のアサカはとても綺麗だ。


「イツキ、なんか上の空って感じだね。……実は私もなんだよ」


 アサカはベッドに腰掛け俺に手招きをする。俺はたまらずアサカに飛び付いた。


 アサカも俺と同じだったようで、二人は夢中になって求め合った。




 お互いの熱を何度も交差させ、何度も名前を呼び合った。


 俺とアサカは息を落ち着かせながら、手を絡ませて座っている。


 アサカは俺の肩に頭を乗せて微笑んだ。


「でも不思議だよね。レジーナと地球、本来だったら絶対に巡り合わないはずなのに、イツキは私の最愛の人になってしまったんだから」


「そうだね、俺が記憶喪失にならなかったら、アサカと恋人にならなかっただろうし」


「むー、そんなことないでしょ? イツキなら記憶喪失になってなくてもダロスに大怪我させられた私を治すために恋人にしてたよ。そこからズルズルと私を好きになってたもん!」


「あの時、俺は孤島の施設の中に、魂力の高い奴が潜んでいることに気が付いていた。俺にとっては魔導機兵に囲まれていたとしても、三人を守りながらダロスを倒し、魔導機兵を全滅させることは簡単だった」


「でも三人から離れて、わざわざ魔導機兵を倒しに行ったのは、素早く魔導機兵を全滅させて、アサカに凄いって褒めて欲しかったからなんだ。陽那と結月のことを忘れていなかったら、冷静に判断して三人から離れたりしなかった」


「そうすればアサカはダロスに大怪我をさせられることも無かったんだよ」


 アサカは表情を曇らせて、俺の手をギュっとにぎる。


「後悔してるの?」


「してないよ。いろんな偶然が重なって俺はアサカと仲良くなれた。このことは良かったと心から思ってる。俺にはアサカが必要だよ」


 アサカは少しの間、黙って考える。しばらくして口を開いた。


「たとえあの時、イツキが記憶喪失になっていなくても、私はイツキを好きになった。私はイツキに全力で想いをぶつけた。そしてイツキは私を好きになってた。絶対に!」


 アサカの瞳からは力強い意志を感じる。


「……そうだね。ありがとう、アサカ」


「なんでイツキがお礼を言うの?」


「俺は記憶喪失で寂しかったから、アサカに甘えて好きになったのかなって、心の奥で引っかかっていたんだ。あの時アサカじゃなくても好きになっていたのかもってね。でも違う、アサカだから好きになったんだって、今確信できた」


「今? 遅いよー!」


 俺に抱き付き押し倒すアサカ。俺の体の上に重なり、蠱惑的に微笑んだ。


「せっかく社長にいい部屋を取ってもらったんだから、たっぷり楽しもうよ」



 俺達は互いの鼓動を確かめるように、時を忘れて寄り添ったのだった。


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