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箱庭のエリシオン ~ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?~  作者: ゆさま
謎の異空間に飛ばされたら金髪美少女が迫ってくるんだが?

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固有武器

 箱庭に転移すると、ログハウスの庭で三人が何か話をしている。


「二人に私とイツキの愛の結晶を見せてあげる!」


 アサカが声を張ったかと思うと、俺に駆け寄ってきた。


「イツキ、イシュタルを出して!」


「うん? えーっと……」


 俺がもたもたしていると、アサカは待ちきれないのか、声が少しづつ大きくなる。


「早く出してよー! イシュタルー!!」


 するとアサカの目の前に、浅葱色の槍が現れた。


「あれ? 呼んだら出てきた」


 アイテムストレージを使わなくても直接召喚できるのか、便利だな。


「ふふん、どう? この美しい槍。イツキと私の魔力で作った槍イシュタルだよ」


 槍を高く掲げてドヤ顔をしているアサカに、陽那はやれやれとかぶりを振った。


「アマテラス、おいで」


 陽那の呼びかけに応じて朱色の刀が現れた。陽那は朱色の刀を掴むとアサカに見せる。


「ホントだ、呼んだら出てきた。これが私と樹の魔力で作った刀アマテラスだよ。綺麗でしょ?」


 結月も「ツキカゲ、来て」と呟くと瑠璃色の刀が現れた。結月はその刀を手にする。


「多分、私と作ったこのツキカゲが初めてだよね?」


 俺は「うん」と頷いた。


 アサカは二人が呼び出した刀を見て、涙目になりプルプルと震えている。


「じゃあ、二人ともイツキと魔力を混ぜてする超気持ちいいことも……?」


「もちろん」「当然」


 陽那と結月は口々に答えた。


「そんな……。私以外とも作っていたなんて。イツキの浮気者ー!」


 陽那はアサカに首を振りながら言う。


「浮気者じゃないよ三股男だよ」


 結月も二人に便乗してわざとらしく悲しそうな顔を作る。


「樹は私達三人を弄んでいるのね」


 陽那と結月とアサカが俺を囲むように詰め寄ってくるが、大体事実なだけに言い返せないのが辛いところだ。


 何とも気まずいが、どうやって切り抜けるか……と考えていると、転移ゲートが出現しルイさんが現れた。ふぅ、助かった。


「凄まじい光景だな。魂力10万相当の魔力密度の物体が三つもか。今からレジーナを征服しに行くつもりなのか?」


「そんなことするわけないですよ。そもそもたった四人で星一つを征服するなんて、できるわけ無いじゃないですか」


「できるわけ無いと一概に言い切れないよ、君達が本気になったら、止められる者はいないだろうからな」


「はは……またそんなこと言って。で、今日はどうしたんですか?」


「ああ、菓子を持ってきたから、茶でも飲みながら話そうか」


 俺達はログハウスに入って行った。




 お菓子を摘まみながら、お茶を飲みつつルイさんの話に耳を傾けている。


「せっかくの夏休みなんだし、バカンスでもどうかなと思ってね。私がシエラスの古代遺跡ツアーにつれて行ってあげようか?」


「なんか、マチュピチュ観光ツアーみたいな感じで言ってるけど、シエラスの古代遺跡ってヤバいガーディアンやらモンスターなんかが沢山いるんじゃ……?」


「フッ、樹は聡いな。以前、私と当時の戦力一位と二位で探索を試みたが、あまりに強力なモンスターが大量に巣食っていたために諦めたところがある。しかしここには、支配者クラスの固有スキル持ちが四人もいる」


「あれ? 支配者クラス四人って陽那、結月、アサカとあと一人はルイさんですか?」


「いや、樹だよ。支配者クラスの固有スキルを使いこなせるのだから、実質支配者クラスの強さの固有スキルだ」


「でも、俺はみんなよりも弱いですよ」


「それは樹が、固有スキルを完全に使いこなしていないからだろうな」


「そう……なのかな」


「とにかく、これだけの戦力があれば、その遺跡を隅々まで探索できるはず。モンスターも沢山いるから実戦経験にもなるし魂力も上げられるよ」


「私は行くよ。イツキは強制参加ね。ヒナとユズキは無理しなくていいよ」


 アサカ……なんで俺は強制参加なんだよ? 


「樹が行くなら私も行くに決まってるでしょ! 樹を放っておくとすぐに他の女の子と仲良くなってくるし」


 陽那も行く気満々の様子だ。さすがにこれ以上、他の女の子と仲良くはならないよ。


「樹が危険かもしれない所に行くなら当然私も付いて行く。どんな凶悪なモンスターが出ても私が必ず樹を守る」


 結月も行く気だね。結月に守ってもらえるなら心強い、ではなくて俺がしっかり守るからね。


「決まりだな、明日の朝出発しよう。遺跡までは転移ゲートで行けるからここに集合だ」


 明日ってまたかなり急だな。


「ルイさんって、社長なのにずいぶん自由ですよね」


「私がいつも暇でブラブラしているように見えているのか? 心外だな。ただ会社の運営は、ほぼ全て副社長に任せているので、多少は自分の好きなように行動が出来るのも事実だが」


 ……好きなように行動が出来るのは事実なんだ。


 要件が済むとルイさんは転移して帰って行った。




 さて月影、天照、イシュタルの威力でも試すか。


 訓練用フィールドに転移した。


 俺は月影を呼び出して握り、魔力を込めて振るってみた。


 月影から魔刃のオーラが大量に噴き出して、その方向の見渡す限りが吹き飛んでしまうほどの威力だった。


 威力を押さえようとしても、全く加減できない。


 天照とイシュタルも同様で、武器に振り回されているような感じだった。


 こんなの危なくて気軽に振り回せないな……。いざという時の切り札に……、とも思ったが、制御できない武器なんて、切り札にできないか。


 それともう一つ検証してみた。  


 月影、天照、イシュタルは、いずれも俺が呼べば目の前に現れるし、手にもって振るうことが出来た。


 しかし結月は月影しか呼び出せず、天照、イシュタルには触れようとしても見えない壁に阻まれて手に持つことさえできない。


 陽那とアサカも同様に、自身の魔力で作った物しか扱えなかった。


 誰でも使えるわけじゃない……つまり専用武器か! 日本の創作物で専用武器と言えば、大体最強の武器だ。何とも心が躍るっ!


 俺が興奮していると、結月が月影を両手で持って俺に差し出した。


「やはり樹は青系の色が良く似合うね。だから主に使うのは月影がいいよね」


 ……結月、そういうことを言うと、大変なことになるよ、俺が。


 アサカは眉を寄せて、浅葱色の槍を俺に差し出した。


「そんなことないでしょ? イツキは槍も上手なんだから、このイシュタルこそ似合うよね!」


 ほらね、やっぱり。すると当然のように、陽那も参戦してきた。


「二人とも分かってないなぁ。樹はなんだかんだ言ってもこの天照を使いたいに決まってるでしょ!」


 こんなに可愛い女の子三人が、俺をめぐって言い合ってる。俺って幸せ者だよなぁ。微笑みを浮かべつつ遠くを見つめる。


「イツキ! 黙ってニヤニヤしてないで何とか言ってよ!」


 膨れっ面で迫ってくるアサカに「アサカ大好きだよ」と抱きしめると、頬がしぼんで大人しくなった。


 すると今度は陽那の頬が膨れる。


「あーまたそうやって抱きしめて誤魔化す!」


 俺は陽那を抱き寄せて「陽那、今日もすごく可愛いよ」と耳元で囁くと「えへへ、そうかな?」と表情を緩ませた。


 結月の方をチラリと見ると、物欲しげにこっちを見ている。


「樹、誤魔化されてあげるから、私にもギュってして」


 俺はそれに応え、結月をギュっと抱きしめた。


 陽那がボソッと呟く。


「なんかさ……樹って私達の扱いに慣れてきてるよね?」


「それだけ深い仲になってるってことだと思うよ」


 陽那はジト目、結月は苦笑い、アサカは嬉しそうな笑顔で俺を見ている。


 何とか切り抜けられたかな?


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