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箱庭のエリシオン ~ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?~  作者: ゆさま
ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?
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お仕置

 ――翌朝。


 ルイさんからメッセージがきた。何だろう?


「ちょっとお願いがある。30分後に行く」


 お願い? また面倒ごとだろうな……。


 


 30分経ち、ルイさんが来た。インターホンが鳴ったので、出迎えてリビングに来てもらった。


 みんながリビングのソファーに座ったところで、ルイさんが口を開いた。


「とあるパーティーが力を伸ばしてきているのだが、そのパーティに問題行動が目についてね。スタッフに横柄な態度を取ったり、他のプレイヤーを威圧したりと迷惑しているんだ」


「スタッフってNPCじゃないんですか?」


「NPCではなくレジーナにある私の会社の社員だ。箱庭内でプレイヤーをサポートするために施設のスタッフをしてもらっている」


 あの綺麗な女性スタッフ全員、ルイさんの部下なのか? 素晴らしい会社なんだろうなぁ。俺が頭の中で脱線していると、ルイさんは話を続けた。


「私がプレイヤーに直接干渉するのは極力避けたい。君が軽く懲らしめて、上には上がいることを教えてやってほしい」


「どんな奴なんですか?」


「疾風のカズヤ、金剛のレン、業火のタクミと名乗っている三人組だ。三人とも強力な固有スキルが発現している。しかし魂力は君より大幅に低く、技量的にも大きく劣っている。PvPを仕掛けられても、君が負ける要素は全くない。少し懲らしめれば大人しくなると思うのだが」


「うわ……、疾風さんのパーティーか。面倒くさそうだな。今回は俺一人で行くよ。陽那と結月は待ってて。でないと二股野郎とか言われて余計に面倒くさそうだから」


 すると、表情を曇らせて陽那が呟く。


「樹を一人で行動させると女の子連れてくるからなぁ……」


「今回は大丈夫……。多分」




 * * *




 疾風さん達にお仕置をするために、俺は一人で家を出た。


 疾風さん達の現在地が分かるように、ルイさんにアシスト機能を調整してもらった。


 彼等は東の転移ゲートの広場に向かう通路にいたので俺もそこに行くと、どうやら男女の二人組が絡まれているようだ。


「俺様が疾風のカズヤと知って喧嘩を売ってるのか?」


「別に喧嘩なんて売ってない。そっちが因縁つけてきたんだろ」


 疾風さんは威圧を込めて男を睨みつける。


「あぁん?」


「……ぐっ」


 魂力に差があるようで、絡まれている方は委縮して黙ってしまう。仕方がないので俺が間に割って入る。


「まぁまぁ、その人は戦う気は無いだろ?」


 疾風さんは俺にも威圧してくるが、今の俺の魂力は26000以上。当然全く効かない。


「お前はあの時の二股男! あの時は油断して不覚を取ったが、今の俺はあの時の5倍強い! 今一度勝負だ!」


 5倍ってことは魂力は5000~6000くらいか。まあ余裕だな。そんなやり取りをしていると、二人の男が近寄ってきた。


「俺達に喧嘩売ろうってのか?」


「身の程知らずめ」


 大きな盾とメイスを装備した男と、杖を持った男がこちらに近づいてきた。俺は一応確認する。


「そちらは金剛さんと、業火さんで合ってる?」


 すると、杖を持った男がピクリと眉を動かした。


「俺達を知ってて喧嘩売ってるのか?」


「周りの人に迷惑をかけるのをやめてくれない?」


「迷惑なんか掛けてねぇよ!」


 盾の男が威圧を込めてすごんでくるが、俺にとってはうるさいだけだ。


「いろいろ事情があって、こっちに情報が来るんだよ。勝負して俺が勝ったら大人しくしてね? 三人同人に相手するから、パーティーでPvP申し込んできて」


「クソッ、舐めやがって」


 疾風さんは視界に映るインターフェースを操作すると、俺の視界にダイアログが表示された。


「決闘を申し込まれました。勝負をしますか? ……Yes/No」


 ……Yesっと。


 音声アシストが「はじめ!」と戦闘開始を合図する。


 俺がミスリル刀を構えて相手の出方をうかがっていると、大きな盾とメイスを装備した男が自信満々で語りだした。


「俺は金剛のレン、固有スキル『魔盾』で盾に魔力を込めることで如何なる攻撃も防ぐことが出来る!」


 金剛さんの持つ盾にオレンジ色のオーラが宿る。


 これって結月の魔刃と同じ? だとするとちょっとまずいかも……。


 とりあえず、金剛さんの盾を軽くミスリル刀で打ち込んでみる。金剛さんは足を地面にこすりながら5m程押し飛ばされたものの何とかこらえた。


 魂力に圧倒的な差があるのに堪えるとは、さすが結月の魔刃と同系統の固有スキルだ。


 感心していると、疾風さんが背後から袈裟切りをしてきたので軽く躱した。殺気丸出しな上に遅いので、奇襲になっていない。


「なっ、疾風の俺様よりも速いだと?」


 疾風さんの魂力は上がったようだけど、俺も魂力が上昇したことに加え結月に鍛えてもらっている。


 そのせいか、疾風さんは以前勝負した時より、むしろ弱くなったように思える。 


 とりあえず、疾風さんにミスリル刀を軽く当てて吹っ飛ばす。金剛さんは固そうなので、刀を鞘に戻し、ダッシュして近づきちょっと本気で居合切りを当てる。すると、金剛さんは派手に吹っ飛んでいった。


 しまったやりすぎた。


 二人を倒して最後の一人の方を見ると、杖を持った男が不敵な笑みを浮かべて言う。


「たしかに貴様の動きは速いが、この俺様には手に取るように分かっていたぜ」


「俺は業火のタクミだ! 俺の固有スキル『火炎魔法の境地』は火炎魔法が極限まで強化され、しかも相手の動きを見切ることが出来る!」


 マジか。業火さんの固有スキルは、陽那の固有スキルの炎限定版か。どいつもこいつも強力な固有スキルを手に入れやがって。


「くらえ、無限火球地獄!」


 無数の火球が俺に向かってそこそこのスピードで飛んでくるが、俺に命中する前に弾けるようにして逸れていく。


 俺も陽那に指導してもらって風魔法を体の周りに纏いガードすることが出来るようになったんだよね。


 魂力が大きく違うから防げているけど、業火さんの魂力がもう少し高かったら防げなかったかも。それほど固有スキルの効果はとてつもなく強力なのだ。


 業火さんのプライドをへし折るべく、陽那がよくやっている炎の矢の連射を真似してみた。


 いつも間近で見ているのでイメージはしやすい。業火さんの火球を相殺し、俺の炎の矢が火球を押し返していく。ついには業火さんに俺の炎の矢が複数命中し、彼のHPは0になった。


 俺の勝利で勝負が終わると、三人に近づき「施設のスタッフさんや、他のプレイヤーに迷惑を掛けないようにしてね」とお願いをした。


 三人とも納得がいかないのか「ぐうぅぅ」と唸っている。俺は威圧を込めて「分かった?」と強めの声で確認した。


 俺と疾風さん達との魂力の差は5倍ほどだ。これだけ離れていれば、感じるプレッシャーは相当きついだろう。


 疾風さん達は声も無くガタガタ震えながら頷いていた。よしこれで任務完了だな。やれやれ、他の面倒ごとに巻き込まれる前に早く帰らなければ。


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