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箱庭のエリシオン ~ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?~  作者: ゆさま
ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?

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中ボス5

 ――翌日。



 第四のエリアの広間に転移してきた。


「今日もはりきって、山岳地帯フィールドの攻略を進めるぞー」


「「おー!」」


 俺の掛け声に陽那と結月は元気よく応えてくれた。まぁ、俺がボスを倒すわけじゃないけどね。だって俺、MP回復アイテムだから……。


 それはさておき、北の山岳地帯フィールドの第五のエリアを進んでいく。


 出現するモンスターは蛇や、鷲、恐竜のような動物型の岩だ。


 今までとたいして変わらないと言えばそうなのだがサイズが大きい。5mはあるだろうか? 魔法を使ってくる個体もちらほらいる。結月が言うには、固有スキルが無かったら苦戦していただろうとのこと。


 ただ、『無かったら』なので、遠慮なく魔刃も魔法も使い、モンスターを薙ぎ倒してどんどん進んでいく。


 そうしてたどり着いた中ボスの広間には、昨日と同じ石像のドラゴンが二匹がいた。


「昨日と同じ奴か、強さは……昨日の奴と同じくらいだね」


もはや結月は見ただけで、相手の強さが分かるらしい。


「陽那と私で一匹ずつ倒すね」


 俺が戦わなくてもいいように、配慮してくれているんだね。複雑な胸中ではあるが俺は笑顔で頷いた。


 陽那もやる気は十分なようで「結月、どっちが早く倒せるか競争しよ?」と結月に声を掛けると、結月は口角を上げて頷き「オッケー」と答える。


 二人が俺の方を向いて、口をとがらせるような仕草をしている。……MP回復だね。俺は二人に軽くキスをする。


 MP回復が終わると、二人は石像のドラゴンの方を向いて構える。


「よーいドン!」


 陽那が言うのと同時に、結月は一瞬でドラコンの前に移動する。青いオーラを纏った刀で素早く華麗にドラゴンを切り刻む。


 陽那も炎の矢を連射してドラゴンを粉々に砕いた。二匹のドラゴンはほぼ同時に消滅した。


 今回は衝撃波が発生しないように、力を押さえて戦ってくれたようだ。ありがたい。それにしてもドラゴンが三匹じゃなくてよかった。多分俺じゃ一人で勝てないからな……。


「ゴーレムドラゴンを二体倒しました。2000000Cr獲得。魂力が2000増加しました」


 次はフィールドボスか、この分なら勝てそうだな。今日はキスのMP回復は使ったから帰るか。俺達は、大扉を開けて新たに出現した転移ゲートに入りセンターに戻った。




 * * *




 昨日は一日中戦っていたし、今日も中ボスを倒したからな……昼からは遊ぶか。


「今日は、もう遊ぼうか。何かしたいことある?」


 結月が少し考えた後、思い出したように言う。


「そういえば、家の庭にバーベキュー出来るところがあったよね? バーベキューしてみたい」


 それを聞いた陽那もやりたいことを思いついたようだ。


「じゃあ、花火もー」


「よーし、買い物して帰ろう」


 ショッピングモールに寄って、買い物をしてから家に帰った。


 家につくと、陽那と結月が食材の下ごしらえをしてくれた。俺はコンロと炭火の準備をした。準備が整ったところでバーベキューを楽しむ。


 日が落ちてからは花火を楽しんだ。俺はリア充を存分に満喫したのであった。




 * * *




 ――深夜。


 また目が覚めた。


 なんとなくバルコニーに出て空を見上げてみると、現実世界では中々見ることはできないような満天の星空だった。おそらくただのオブジェクトなんだろうけど、つい見とれてしまうほどの美しい星空だ。


 ふとバルコニーに先客がいるのに気が付く。バルコニーの手すり部分にもたれ掛かって、陽那が星空を眺めていた。


「陽那も起きてたんだね」


「あ……、樹」


 俺の方を向いた陽那の顔は、どことなく悲しそうな表情をしているように見える。


「どうかしたの?」


「ゲームをクリアすると現実の世界に帰れるよね。そしたら私だけ学校が違うから、寂しいなって思ってたんだ」


「別に現実に戻っても、連絡先を交換しておけば会えるのでは?」


「そうだけど……。樹と結月は学校でも絶対イチャイチャするでしょ」


「うぐっ、そんなことは……」


「そうしているうちに、二人は私を忘れちゃうのかなって思ったら、寂しくて……」


 陽那は少しの間、押し黙ってから口を開いた。


「ねえ樹、私のこと好き?」


「好きだよ」


「抱きしめて、名前を呼んで、好きって言ってほしい……」


 俯きながら消え入りそうな声でそう言う陽那のことが、たまらなく愛おしく感じてしまった。俺は陽那をそっと抱き寄せると、陽那は俺にしがみつくように力を入れて抱きしめてきた。


 俺は陽那の目をしっかり見据えて言った。


「陽那、大好きだよ」


 陽那の目から涙がこぼれる。俺は陽那の唇に引き寄せられるように唇を重ねた。


「ありがと、樹。これで眠れそうだよ。おやすみ」


 そう言い残すと、陽那は自分の部屋に戻って行った。


「現実世界に戻る。か……」


 今の夢のような暮らしも、ゲームをクリアすれば終わってしまうのか、そんなことを考えると俺も不安を感じてしまうのだった。


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