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箱庭のエリシオン ~ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?~  作者: ゆさま
ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?

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守ってあげる

 ――翌朝。


「今日は、喫茶店にモーニング食べに行こうよ」


 陽那の一言に、俺と結月は頷いた。

 

 陽那は攻略アプリの情報をチェックしているときに、この宿泊施設の近くに喫茶店があることを知ったらしい。そんなわけで、陽那が先導し、宿泊施設から喫茶店まで三人で歩いて行く。


 カランと音を鳴らしながらドアを開け喫茶店に入と、店内はコーヒーのいい香りで満たされていた。三人並んでカウンター席に座って、ブレンドコーヒーとモーニングを注文した。


 しばらくするとコーヒーと分厚いトースト、ゆで卵、サラダが出てきた。多いな。


 結月がコーヒーカップに手を伸ばし、自分の口の前に持っていき、少し口をとがらせて、ふーふーと息を吹きかけるような仕草をして、コーヒーカップに口をつける。


 俺、あの唇とキスしたんだよな……。


「どうしたの樹、私の唇をじっと見つめて。朝から私とキスしたいの?」


 結月がニンマリと笑い、俺に顔を近づける。


「う……」


 俺は慌てて正面を向きうつむく。反対側では、陽那がトーストにマーガリンを塗っている。今度は陽那の方を見る。


 陽那は大きく口を開いて、トーストにかぶりついた。その唇にマーガリンが付いて、艶やかに光っている。あの唇ともキスしたんだ……。


「いっ、樹。見つめてくれるのはいいんだけど、そんなに唇をじっと見つめられると恥ずかしいよ」


 陽那は少し顔を赤くして、困ったように笑う。


「う……」


 再び、慌てて正面を向きうつむく。なんか気まずい、なにか話をして空気を変えなければ……と思っていたら陽那が興味深いことを話し出す。


「昨日の夜、寝つけなかったから攻略アプリ見てたんだけど、お金があったら家が買えるみたいだよ」


「マイホームが持てるの?」


「そう、家を買うと自分の拠点に出来るみたいだよ。すっごく素敵な家があるんだよ!」


 陽那は目を輝かせて語っている。


「あ、それ私も昨日の夜に見ていて、いいなって思っていたとこ」


 結月も家に興味があるみたいだ。


「面白そうだな、一度見に行ってみようか」


 朝食を食べ終えると、攻略アプリの情報にあった家を売っているところに向かった。




 * * *




 住宅展示場みたいなところかと思っていたが、お洒落な事務所といった外観の建物があった。


 中に入ると綺麗なお姉さんが「いらっしゃいませ!」と、営業スマイルで出迎えてくれた。


「あの、家を買いたいんですけど」


「ではこちらへどうぞ」


 スタッフさんに案内されたのは、転移ゲートがたくさんある部屋だった。


 ここの転移ゲートから、いろんな家に行けるらしい。家を購入すると箱庭内に設置され、普通に歩いて行けるようになるようだ。


 日本家屋のような立派な家や、現実世界の高級住宅のような家、お城みたいな家まであって、見学して回るだけでも楽しい。


 その中で、ログハウスのような外観の家を、陽那と結月は気に入ったようだ。いくらするんだろう?


 案内してくれているスタッフさんに聞いたところ、このログハウスの値段は150万Crだそうだ。フレンド同士で、お金を出し合って購入してもいいらしいので、それぞれ所持金を確認する。


「俺は18万Crくらいだな」


 陽那は16万Crくらいで、結月は17万Crくらいだそうだ。


 陽那が、ちょっと悔しそうに「うーん、全然足らないなー」と言うと、結月は少し考えてから言う。


「でも、昨日開放した扉の奥のエリアなら、何日かでたまりそうじゃない?」


 確かに奥に進むほど、モンスターを倒した時のお金の獲得量は増えるはず。陽那も乗り気のようだ。


「今日は日が暮れるまでモンスター狩りしよ! 前みたいに金色のやつが出るかもしれないし!」

 

 二人とも、よほどログハウスが気に入ったようだな。なら今日は一日、モンスター狩りをしてお金を稼ぐぞ。




 * * *




 俺達は、北の山岳地帯フィールドの新しく開放されたエリアへ来た。まずは、探索アシストを起動して周囲を見渡す。


 あった、赤く点滅する反応だ。おそらく次の中ボスだろうな。ボスに近づくほどモンスターが強力になるので、手に入るお金も増えるはずだ。無理しない程度に近づくことにする。


 「やや強い」から「同じ強さ」のモンスターばかりだが、特に苦戦することもなくどんどん進む。


 結月は積極的に自らモンスターを切ろうとせず、俺に動きを指示してモンスターを倒させている。おかげで体の動かし方が少しづつ分かってきたと思う。


 獲得できる魂力はパーティメンバーで等分でも、実戦経験を積んだり、技を磨くのは本人だからな。俺も強くなるために頑張ってモンスターを倒す。


 とはいえ、俺に攻撃を当てたモンスターは、結月が一瞬で細切れにしくれるのだが。


 もともと技量の高い結月は、魂力が上がることでさらに剣技が冴えている。岩のモンスターも豆腐を切っているかのようだ。


 陽那も魔法をたくさん習得してきたようで、いろんな魔法をバンバン使っている。


 氷塊を落としたり、岩の槍を地面から突き出したり、炎を矢のように放ったり。何かを確認しながら魔法を使っているようにも見える。MPは尽きないのかな?


 ある程度狩りをしたところで、大扉のあった広間に戻り昼食にする。回復スポットに触れHP/MPも全回復だ。


「陽那は魔法をたくさん使ってたけどMP無くならなかったの?」


「全然余裕だよ。MP900くらいあるし」


「「えっ?」」 


 俺と結月は思わず声をあげて驚く。


「ちょっと、ステータス見せて?」


 というわけで現在の三人のステータスを見せあう。視界の中央にステータスが表示される。



 柳津樹やなづいつき


 魂力   782

 最大HP 924

 HP   924

 最大MP 404

 MP   404




 鳴海陽那なるみひな


 魂力   674

 最大HP 826

 HP   826

 最大MP 901

 MP   901




 桜花結月おうかゆづき


 魂力   698

 最大HP 860

 HP   860

 最大MP 364

 MP   364




 最初と比べるとかなり強くなったな。考えてみれば結月の強さがなかったら、中ボスも倒せなかっただろうし、二番目のエリアでモンスターをサクサク狩ることなんてできなかっただろうな。


 ゲーム的に言うと、結月にレベル上げをキャリーしてもらってるってことになる。


 で、陽那のMPだけど、なんで俺や結月の2倍以上あるんだ……バグか? すると音声アシストが俺の疑問に答える。


「鳴海陽那は魔法に適性があります。威力や成長率が高く適用されます」


 なーんだバグじゃなくてチートスキル的なやつね。うん納得……って、できるかー!


「素の能力で魔法に適性があります。ただし現実世界においては魂力を上げる術が無いため魔法は行使できません」


 うーむ、そういう設定か。 


「よくわからないけど、陽那には魔法の才能があるみたいだね」


「そうなんだー。これなら結月にも勝てるかも……」


 嬉しそうに陽那は呟いた。俺は二人を見ながら、あることに気が付く。


「結月は磨き上げられた剣技があって、陽那には魔法の才能があるのかー。……もしかして俺が一番弱い?」


 俺がガクッと地面に手をつくと、結月が優しく言葉をかけてくれる。


「大丈夫、樹はかなりのペースで強くなってるよ。いざというときは私が必ず守るから!」


 続いて陽那が俺に言葉をかける。


「私も魔法を使いこなせるようになって、樹を守るからね!」


 俺としては女の子を守りたいところだが、守ってくれると言われると、それはそれで嬉しいです……。


 って、そんなんでいいのか!? 


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