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箱庭のエリシオン ~ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?~  作者: ゆさま
ファンタジーな異世界に召喚されたら銀髪美少女が迫ってくるんだが?

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古の破壊魔法

 大猿のモンスターが天に向かって吠えると、宰相は勝ち誇り馬鹿笑いをした。


「ふははははー! 強くなりすぎた勇者に対抗するために、古の破壊魔法を復活させておいたのだ! 貴様でもそのモンスターには勝つことは出来まい」


 くそ、悪人っぽく笑いやがって。高平の怪我は完治させたが、MPを消費しすぎてまともに動けないだろう。陵木さんは魂力4万程だ、戦力としては期待できない。


「陵木さん、高平を連れてここから逃げて。俺とセフィリアであいつを何とかするから!」


「分かった、気を付けて」


 俺は二人が離れていくのを確認しつつ、目の前にいる異常な魂力を持ったモンスターに視線をやる。


 アシストさん、あんまり聞きたくないけど、あの大猿のモンスターって魂力いくつ?


「301724です」


 くそ、聞かなきゃよかった。30万超えてるのかよ……。高平との戦闘で消耗している今、俺一人で勝つのは厳しい。

 

「セフィリア、ゴメン。俺一人では勝てそうにない。手伝って」


「そんなことで謝らないで、私達は夫婦でしょ? それにイツキと一緒ならどんな相手にだって負けたりしないわ」


 俺とセフィリア二人でモンスターに対峙する。


 雄叫びをあげ巨大な拳を打ち付けてきた。俺達は跳び上がって躱す。逃げ回る俺達に喰らいつこうとしたり、尻尾を叩きつけたりと野性味あふれる攻撃を仕掛けてくる。


 魔力を扱う技量は低いものの、何せ魂力30万。圧倒的なエネルギー量に任せて振るわれる剛腕は一撃だって食らうわけにはいかない。スピードも中々だ。攻撃が直線的で単調なのが救いだ。


「イツキは消耗してるんでしょ? まずは私がやってみる!」


 セフィリアが、炎を纏った大木のような太い茨を地面から生やして、大猿モンスターに打ち付けると「ぎゃ」と呻いて怯む。続けて何本も茨を生やして、次々と叩きつけた。


 何本もの茨で縛り付けられた巨体は動きを止めた。茨の炎が大猿モンスターを包み込むがはあまり効いていないようだ。


 セフィリアは跳びあがって、魔力を固めて具現化させた白く透き通った大剣を叩きつけた。


 煌めく粒子が散り、斬撃の威力が大猿モンスターの体表を走って切り傷を負わせる。しかしダメージは浅く、その上瞬く間に再生してしまった。


 セフィリアの火力でも、有効打にならないのか。


 固有武器を使うか? でも、セフィリアはガブリエルを使いこなせないだろうし、俺も固有武器を使える程の余力は残っていない。それなら……。


「セフィリア! ガブリエルを使おう、一人では制御できなくても二人で握れば制御できるはず!」


 セフィリアは頷く。


「ガブリエル、来なさい」


 セフィリアは現れた白銀の大剣の柄を左手で握った。俺は右手で握って二人でガブリエルに魔力を込める。


 二人で一緒に地を蹴って跳びあがり、大猿モンスターに斬りかかる。息はぴったりと合っている。


 二人で力を合わせてガブリエルを振り下ろすと、大猿モンスターは真っ二つになった。そのまま二回、三回とガブリエルを振って切り刻んだ。


 地面に大猿モンスターの細切れが積みあがった。しかし、切断面から黒い煙が出てきて、くっついて再生されてしまった。


 先程よりは多少弱体化してはいるようだが、まだ異常に高い魂力は健在だ。


「消滅するまで何度でも斬ってやる!」


 そう言ってガブリエルを握っている手に魔力を込めようとした途端、俺は眩暈がしてその場に跪いてしまった。


 高平との試合でMPを大きく消耗したせいか立っていられない。膝を折り両手を地に付けると、アシストさんの警告が聞こえる。


「MPの消費限界を超えています。これ以上のMP使用は魂魄が崩壊する恐れがあります」


 隙だらけの俺達を大猿モンスターは尻尾で薙ぎ払った。セフィリアが障壁を展開してくれたものの、破られて二人とも跳ね飛ばされてしまった。俺もセフィリアもかなりのダメージを負ってしまった。


 クソっ、目の前が揺れる! 意識が落ちそうだ。


 大猿モンスターは、ゆっくり歩いて近づいて来る。まるで、勝利を確信し嘲笑っているようだった。


 セフィリアは俺に駆け寄り、上体を抱き起こして「イツキ! 大丈夫?」と心配そうに俺の顔を覗き込む。 


 彼女の美しい顔が血と泥で汚れているが、俺には治癒魔法を使う余力は残っていない。ただ、彼女の名を口にするのが精一杯だった。


 まただ……。また俺の力が及ばないばかりにこんな……。


 俺の恋人は絶対に俺が守るって誓ったのに……。どうすればいい?


 陽那と結月とアサカも悲しませたくない、まだ俺は死ぬわけにはいかないんだ……。


 俺は薄れゆく意識の中、この場を切り抜ける方法を必死で模索していた。


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