無形透明

苦しみが積もるが、命の形式というならば

損ない続けるが、愚か者の罰というならば

愛想笑いが、心の形になるならば

朧な希望は、吹いて消えるが定めならば

私は水となろう

私は波となろう

私は風となろう

私は無形の放浪者

私は透明の侵犯者

ただゆるりと揺蕩う

さすれば

くだらない人生を飲み込め

綺麗事ばかりの世界を飲み込め

痛覚の欠けたオンボロを飲み込め

芸術も愛も哲学も友達も、全部、飲み込め

あとに残るはきっと、日に焼けた心象だけだ