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将軍二人

 三好一党は空になった御所を占拠し、足利義栄への将軍宣下を朝廷に迫った。

 朝廷はその圧力に屈して、義栄を室町幕府第十四代将軍に任命する。

 叡山は三好に通じ、洛中に僧兵を派して治安維持を名目に反対する宗派の寺を襲った。戦火を避けて人々は郊外や、山野に逃げ出すが、逃げた先には盗賊が待ち受けており、人々は更なる苦難を負う。


 そんなさなか、美濃稲葉山上で、足利義輝が健在を宣言する。三好一党の立てた将軍は僭称であると宣言し、幕府は美濃にありと諸国に書状を送る。

 三好に追いやられた幕臣たちが落ち延びて義輝を訪ねてくる。信長は斯波武衛家を通じて彼らに庇護を与え、勢力下に取り込んでいった。


 そして近江では浅井長政が、野良田で六角軍とぶつかった。兵力は浅井が七千、六角が一万三千を号したが、六角の兵は足並みがそろっておらず、兵の進退にも混乱が見られた。

 

 いくさの発端は境目の領主である肥田城の高野瀬備前守が寝返ったことであった。寝返りの合図は、長政の家督継承の宣言がなされたことであった。

 六角に従っていた前当主の久政が隠居して長政が後を継いだ。先日の佐和山の戦いは長政の暴走とも言われており、その騒動の責任を取って隠居するという理由であったが、重臣らが迫って隠居に追い込んだとも言われている。

 

 六角義賢は激怒して肥田城に攻め寄せるが、あらかじめ備えのあった高野瀬備前は奮戦してよく持ちこたえる。

 そして長政出陣の報を聞いて、先日の戦いでいいようにしてやられた六角方に動揺が走った。

 

「申し上げます。浅井備前が小谷より出陣。数は七千とのこと!」

「ふん、我らの半数ではないか。肥田には抑えの兵を残して迎え撃つぞ」

 宇曽川を挟んで両軍睨みあったが、六角の先鋒、永原重興が一気に川を渡り、浅井の先鋒磯野丹波とぶつかり合う。

 数に劣る浅井はどんどんと押し込まれていくが、戦線の伸び切ったところを長政の腹心、遠藤喜右衛門が一手を率いて側面から攻撃を加えた。

 これによって先陣は総崩れとなり、肥田城からも城兵が打って出た。

 これがとどめとなり、六角は千近い討ち死にを残して退却したのである。


 野良田の戦いの結果、江北の豪族は浅井長政に従うこととなった。佐和山城も肥田城に呼応して開城することとなる。

 浅井長政は織田との同盟を表明した。それによって六角は三好方に付き、近江の南北で、二人の将軍を擁したいくさが繰り広げられることとなるのであった。


 義輝は、斯波武衛家を管領に任じた。先の管領、細川昭元は三好と和睦し、足利義栄に供奉して、再び管領に任命された。

 それに伴い、織田信長に美濃守護、織田信秀に尾張守護、吉良義広(織田信広)に三河守護と改めて任命する。


 そして、遠交近攻策として、越後の長尾景虎の上杉家継承を認め、関東管領および越後守護に任命した。

 当代の関東管領である上杉憲正は、北条との戦いに大敗し、同族の伝手を頼って越後に逃れ、景虎の庇護を受けていた。

 景虎自身は関東への野心を見せており、その名分を求めていた。越後は湖沼が多く、さらに冬は豪雪が振るという厳しい自然環境の国であった。

 農耕ができない時期において、国外に出て略奪を働いて稼ぐ。このこと自体はこの時代特に珍しいことではなかった。

 いくさは領土を広げると同時に糧を奪い、さらには口減らしの意味すらあったのである。

 長尾景虎改め上杉輝虎は、斯波家と盟を結んだ。役割はいうなれば敵対勢力の後方かく乱である。

 武田ににらみを利かせ、北条と戦う。武田と北条を圧迫すれば必然として今川の動きも掣肘できる。


 美濃中央は織田の支配下に入る際に大きな反乱がおきた。その火種はいまだくすぶっている。

 金山に森三左衛門が入り、明智には明智十兵衛が入った。十兵衛の役目は美濃中央部の安定と、美濃東部に割拠する遠山七党の監視である。

 

「大きく動くときには支度が肝要でや。今は淵に潜む臥竜となるべき時にあらあず」

 信長の言葉に家臣団は頷き、西へ東へと駆け巡る。

 

 斯波、織田の体制は、月日を経るごとに固まり、盤石と言っていいほどになっていく。


 そんな織田家を揺るがす事態が起きた。

 領内を巡察していた織田喜六朗秀孝が、誤射によって重傷を負ったのである。

読んでいただきありがとうございます。


ファンタジー戦記物です。

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