幻想郷巡りの旅〜妖怪の山戦闘編〜
物凄い久しぶりの投稿です( 。ω 。)
隼と椛が天狗の里から急いで飛び出す少し程前。詠は一人で山道を歩いていた。
「んー…なんだか滅茶苦茶静かだな…何か変な事が起きる前触れだったりしないよな?」
何て一人で盛大にフラグを建築しつつ、刀を抜き身状態で警戒していた。
「しっかし、思ったよりも木々が生い茂っていて視界があまり良くねぇな…何か奇襲とか食らったらやべぇだろうな。うん。」
しかも木の葉に太陽が隠れてしまっているので、意外と暗い。
「…何か嫌な予感がスッゲェするんだが…何でだ?」
んー、何だろうか…このモヤの残る様な嫌な感じは…
「しかし…哨戒天狗もそこらじゅうに居るだろうと思っていたんだが…意外と居ないもんだな。空を見上げても飛んでる奴は居なさそうだし…そう言えばお昼頃に紅魔館出たから皆飯でも食ってるんかな?」
辺りには哨戒天狗が飛びながら警戒している…と、思っていたんだが、空には誰も居なければ人の気配も何も感じ取れなかった。
「んー、しかしまあ…何も無いと暇になっちまうなぁ…」
しかし…本当にフラグ作ったは良いものの…何もする事無くて警戒しながら歩くってのも結構疲れるなぁ…
「まあ、ここで油断してまたあのバケモンに襲われてもたまったもんじゃねぇからなぁ…」
でもまあ、幻想郷来てから速攻で戦いばかりだったから、こうやってゆっくりと歩くってのも良いもんだな…
「んー…しかし、この刀ちょいと不思議な感じがするなぁ…何か良く手に馴染むと言うか…何だろうな?」
俺は何もする事が無いので手に持っている刀を弄りながら歩く事にした。
「何だろうな…俺の試しに能力を刀に流してみっかな。もしかしたら氷の刀が作れたりしてなw」
なんて思って刀に能力を使うイメージをしてみた。すると、刀の刀身に氷を纏わせる事が出来たのだ!
「お!?マジか!ホントに出来ちまった!」
とりあえず纏わせる事は出来たが、これがちゃんと使えるのかが分からない。
「んー、とりあえず近くの木でも適当に斬ってみるかな?ってか斬れる訳ないが…」
俺は近くにあった丁度よさげな(何処が丁度良いのか分からないが…)木を見つけてその木に向かって刀を振ってみた。すると…
「ん?おおお!?」
何と振るった刀から綺麗な霧のような霜のような物が出たかと思うと、その木と近場に生えていた植物も一瞬で凍ってしまったのだ。
「スッゲェな…フランと戦った時にナイフに能力使って刀みたいにした時より威力あるんじゃねぇか?」
俺は刀をマジマジと眺めてみた。まあ、刀自体は何の変哲もないものだが。
「にしても…ちっとヤベぇかな?」
そう、植物を凍らせてしまったのはまあ仕方ないとして…よく見てみると、凍らせた木が少しずつ削れて傾いてきているのだ。
「んー。これ倒れる気がするんだが…どうすっかな?」
しかも中々良い大きさをしている木なので、恐らく倒れた際の音はかなりのものになると思う。
「…まあ、諦めるしかないか。うん。」
とりあえず俺はため息をついて諦めた。すると…
ドゴーン!!
と、案の定物凄い音を立てて木が倒れた。
「うお!?」
ちょっと待てい!?凍ってるのにドゴーンってどういう事!?普通凍ってるならパリーンとかそんな音じゃねぇの!?
「待て待て待て!?これ敵襲ー!とか言って哨戒天狗が集まってくるんじゃ…!?」
ヤベェ…詰んだわ…マジで詰んだわ…どうするこれ!?なんて俺があたふたしていると、頭上から声が聞こえてきた。
「そこの者!何をしている!」
「んな!?ちょっ!来るの早すぎねぇか!?」
俺が声に驚いていると、頭上からまた声が聞こえてきた。
「この木を倒したのはお前か!答えよ!答えなければ貴様を敵と見なす!」
「ちょっ!?ちょっと待ってくれ!確かにこれは俺が倒しちまったが、悪気があってやった訳じゃ…!」
色々な事が急展開になっていたので、流石の俺もこれには焦る。この回答で相手がどう反応するか…
「悪気が有る訳では無い!?では何故この様な事をしたのですか!やはり貴方は怪しい方です!ここから追い出させてもらいます!」
うーん、回答ミスったか?いやでも、この状況なら一番選択肢としては正しいものだったんだが…
「んー…これって戦わないといけない感じか?」
「大人しくここから立ち去るのであれば戦闘は回避出来ます!ですが…ここから立ち去る気が無いのであれば、全力で御相手させていただきます!」
むう…大人しく上がらせては貰えないって事か…
「はぁ…仕方ないか。」
「納得されましたか?それでは大人しくここから出て…」
「俺は上の方に用事があるんだ。って事で交戦させてもらおうじゃないか。」
俺の上にいる哨戒天狗は、思っていた答えが違っていたのか、何か少し焦り気味にこちらを説得しようとしてきた。
「え!?ちょっと待って下さい!貴方は人間ですよね!?なのに天狗と戦おうと言うのですか!?私が言うのもあれですけど、怪我をしてしまうかも知れませんよ!?」
「あー、大丈夫大丈夫。俺、アンタに負けるつもりは一切無いから。」
「んな!?それでしたら私も遠慮はしません!ここから出て行ってもらいます!」
そう言って俺の目の前に白い服装が特徴の少女が降りてきた。
(ん?何かあの服装見覚えが…確か、哨戒天狗の椛だっけかな?それの服装に似てる気が…哨戒天狗って皆こんな服装なのかな?)
「さぁ!哨戒天狗の一人、名は犬走鏡!いざ参ります!」
言うな否や、鏡と名乗った少女は武器を構えて天狗特有と言うべきであろう速度でこちらに向かってきた。
「へぇ…流石の速度ってヤツだな。だけども…」
俺は刀を真正面に向けて能力を使った。
「穿て」
俺が言葉を使うと(・・・)刀から一筋の氷が放たれた。
「え!?」
少女は止まる事が出来ずにそのままの勢いでこちらに向かってきて、そして…
「舐めるなぁ!!」
鏡は武器を構えると、体を回転させて氷を粉々に砕きながら突き進んできた。
「ッチ!お前もフランやレミリアみたいな感じかよ!」
俺は腰に差していたもう一刀も引き抜くと、突っ込んでくる鏡の一撃を二刀で受け止めた。
「中々重い一撃してるじゃねぇか!」
「貴方もやりますね!私の一撃を受け止めるとは!」
俺は鏡の刀を押し退けると、俺も鏡も距離を取った。
(しっかしまぁ…威勢貼ったのは良いものの、実の所コイツの実力結構ヤバそうだな。剣術だけでも俺に張り合えるぐらいだしな…さてどうすっかなぁ…)
何て俺が考えてると、鏡は再度こちらに向かってきた。
「まだまだ行きます!」
「うーん、この考えずに突っ込んでくる感じは脳筋かな?」
まあ、実力はあれども攻撃は単調だし結構簡単にあしらえそうだな。まあ、ヤバいのには変わりないけども。
「えーい!」
「甘いっての。ほいっとな。」
こちらに振られた刃を受け止めて、その後に武器を持っている腕を掴んで軽く後ろに放り投げた。
「えええ!?」
鏡は投げられた事に驚いてはいたが、上手く受け身をしてこちらに武器を構え直した。
「へー、放り投げられたのに上手く受け身をしただけでなく、即座に構え直すか。中々やるなぁ。」
「と言うか普通天狗の速度で突っ込まれたのに、腕を掴むだけではなくて放り投げるって有り得ませんよ!?」
「ん?まあ、確かに天狗の速度は幻想郷随一だろうけどな?だけど最初の初速はどうかな?初速だと妖夢や魔理沙辺りに分があるぐらいのスピードしか出ないんだぞ?だったら俺が腕掴んでぶん投げるぐらいは余裕だっての。」
まあ、俺も正直言って天狗の速度も今初めて見たし、そもそも魔理沙と妖夢の初速がどれぐらいか分からんけども。でもまあ、こうして俺が普通にあしらえるぐらいだから多分合ってるんだと思う。多分。
「くっ…!」
…ん?あれ?そう言えば鏡の能力って何だ?今更ながら気になって来たんだが…何でだ?
「そー言えば気になったんだが…お前の能力って何だ?名前持ちの妖怪なら能力の一つは持っていると思うんだが…」
「へ!?」
ん?あれ?なんか明らかに動揺してるな?もしかして…
「…もしかして能力持ってないのか?」
「ギクッ!」
うん。何だか分かりやすいヤツだな。
「お前ってすっげぇ分かりやすいな。」
「べ、別に能力が無くとも私には剣術がありますから!」
「まあ、その剣術とやらも俺に軽く捌かれてるんだがな。」
「ぐぬぬ…」
あれ?なんか戦闘じゃなくなってきたような?
「でも!数撃てば当たるとも言うので!まだまだ行きます!」
「えええー…まだやるのかこれ?」
とまあ、鏡がこちらに突っ込んで来ては俺が軽く避けたり相殺したりしての繰り返しが続いた。
「ぐぬぬ…何でかすりもしないんですか!?」
「いや、そりゃお前の剣術が分かりやすいからってだけだけど?後は目線の方向でどっちに攻撃するか丸分かりだし。」
正直言って鏡の実力は確かにある。あるんだが…多分戦闘経験がかなり少ないんだろうな。目線が攻撃する箇所にずっと向いているし、そもそも剣の振り方が初心者よりの中級者辺りしかない。うーむ、かなり勿体ない。
「うーむ…かなり勿体無いな…」
「へ?」
「あー、いや気にすんな。所でまだするのか?もうかれこれ10分ぐらいはやってるんじゃないか?」
俺がそう言うと、流石に諦めたのか武器を収めた。
「…流石に実力の差が激し過ぎますからね…所で詳しく聞いてなかったのですが、何故そこの巨木を凍らせた挙句に倒したのですか?」
あ、それ今更聞くのね。まあ、聞かれたからには答えるけども。
「うん。まあ、簡潔に言うと能力を込めた刀を振ってみたら思いのほか能力強過ぎて気を完全に凍らせちまった。んで、これも想定外で凍らせた木が倒れちまった。まあ、完全にこれは俺が悪いわな。」
「つまり事故だったと…?」
「簡潔の簡潔に言うと事故だな。」
そう言うと鏡は思いっきり頭を下げて来た。
「大変申し訳ありません!ちゃんと理由も聞かずに襲ってしまって!」
「あー、いやいや気にしなくても良いって。別に怪我した訳でもねぇしな。」
うーん、何か美鈴の時と同じような感じだな。
「所で何だが、俺の事は敵じゃないって事で納得はしてくれたか?」
わ
「勿論です!」
「おー、良かった良かった。そんじゃあ俺は先に行っても良いか?」
「問題ありません!所でどちらに向かわれる途中だったのですか?」
「ん、天狗の里の方にな。ちっと野暮用ってヤツだな。」
「私達の里にですか?一体どんな用事が?」
鏡はこっちの用事の内容が気になったのか、片耳をピョコっと倒しながら聞いてきた。
「まあ、用って言っても軽く言伝を頼まれていてな。大天狗に会いたいんだよ。」
「大天狗様に言伝…ですか?でも一体誰から?」
「あー、竜神からだな。」
「竜神さんが?でもどんな言伝なんですか?竜神さんが大天狗様に言伝を頼まれていると言うことはかなり面倒な事が起きていたりしますか?」
なんか察しが良いな。
「まあな。そんで大天狗の所に行きたいんだ…が?」
何かいきなり変な気配が増えた気がするんだが…絶対最初に作ったフラグがここでようやく本気を出てきたか…?
「あー、緊急事態発生かなこりゃ…」
「もしかして急に現れたこの気配の事ですか?」
「もしかしなくてもそれだな。ここら辺って急に出てくる妖怪とか居るか?」
「いえ…少なくとも私は知らないですが…って、後ろ!」
鏡が叫ぶのと同時に俺は刀を後ろの方へと振るった。すると…
「グァアアア…」
刀の当たった敵は小さな唸り声を上げて倒れた。それは見た事のあるバケモノだった。
「んな!?コイツは…!ってか、俺達囲まれてるじゃねぇか!」
かなりの数の気配は感じてはいたが…流石に俺達の全方位を囲む位のバケモノが集まっていたのは想定外だった。
「と言うかコイツら何時の間にこんなに集まっていたんだ!?ってか、どっから出てきた!?」
「コレかなりの数が居ますよ!?流石に一旦引いて仲間を呼びに行かないとどうにも出来ないですよ!?」
鏡は俺と背中合わせの状態になって、バケモノに向かって刀を構えながら声を掛けてきた。
「んなこたァ分かってるっての!だけど俺は空の飛び方は知らねぇんだ!」
「ええ!?だったらどうするんですか!?私なら飛べるので里に伝えに行く事は出来ますが…!でもそうなると貴方を一人残してしまう事に…!」
鏡は近付いてくるバケモノだけを的確に切り伏せながらこちらに話を続けた。
「流石に貴方を一人残して私だけが里に行っても、ここにまた戻ってくるまでに貴方が耐えきれるか分かりません!」
「確かにこんな数は俺一人だと無茶がある!って言うか流石に無理がある!」
「でも、ここら辺の警備をしているのは私だけなので、他の天狗達が気付く確率はかなり低いです!椛姉さんも反対側の警備に回っているので、ここの異変に気付いたとしても来るまでに少し時間が掛かってしまいます!」
話を聞いている限りだと、かなり状況は最悪。しかも増援を呼ぶにも俺が残って増援が来るまで耐えなきゃ行けねぇ…だが流石にこの数は無理がある。それに幾ら能力を使えるとしても限度はある。しかも、俺の能力は広範囲に対して有効の能力だ。下手に能力を使っちまうとここら一帯の動植物が全滅しちまうかもしれない。
(あー、クソ!どうすりゃ良い!?流石にこんなのは想定してねぇってんだ!)
「万事休すってヤツだな…!」
俺は能力で敵を一体一体的確に凍らせては砕きながら少しではあるが数を減らしている。鏡の方も敵の首を狙いながら確実に倒していっている。
「あー!クソッタレが!これじゃあ埒が明かねぇ!おい鏡!」
「何ですか!?」
「俺はここで耐えておくから増援を呼んできてくれ!このままじゃジリ貧になっちまうし、俺もお前も長時間長くは戦えねぇ!どっちにしろ、増援を呼ばねぇと打開出来ねぇ!」
俺がそう言うと鏡は一瞬悩んでいたが、それでもハッキリとした声で
「分かりました!どうか少しの間耐えていて下さい!」
と、そう答えてすぐに飛んで行った。
「あー!今日はアレだな!厄日ってヤツだよな!?」
俺は途中からあまりの敵の多さに半分キレていた。勿論の事だが、俺はキレてしまっていたのでもう手加減をする気もするつもりも無くなっていた。
「テメェら全員土に還してやる!」
俺は鏡が戦線離脱してから、すぐに二戦目に入るのだった。
どもども。中の人です。いやぁ、忙しくて完全に小説の事を忘れていました( ´ ཫ ` )
次話に関しては制作完了してるので、しばらくしたら投稿する予定です。